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Entry 2022/02/16
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HOMESTAY(ホームステイ)ネタバレあらすじ感想と結末解説。森絵都の「カラフル」映画化の系譜から読み解く|Amazonプライムおすすめ映画館11

  • Writer :
  • 西川ちょり

連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第11回

今回ご紹介するのは、直木賞作家・森絵都の小説『カラフル』をジャニーズのアイドルグループ「なにわ男子」の長尾謙杜主演で実写映画化した『HOMESTAY(ホームステイ)』です。

Amazonが製作する初めての日本映画で、Amazon Prime Videoで2022年2月11日から世界配信されています。

死んでしまった人間の魂が、同時期に亡くなった高校生の体に乗り移り、高校生にホームステイしながら、なぜ高校生が死に至ったのかを探っていくというファンタジー風ヒューマンドラマ。

ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020)、『PARKS パークス』(2016)の瀬田なつきが監督を務め、山田杏奈、八木莉可子が長尾の高校の友人を、石田ひかり、佐々木蔵之介が長尾の両親を演じています。

【連載コラム】「Amazonプライムおすすめ映画館」一覧はこちら

映画『HOMESTAY(ホームステイ)』の作品情報


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【日本公開】
2022年2月11日よりAmazon Primeにて配信(日本映画)

【監督】
瀬田なつき

【原作】
森絵都『カラフル』(文春文庫)

【キャスト】
長尾謙杜、山田杏奈、八木莉可子、望月歩、眞島秀和、渋川清彦、阿川佐和子、篠井英介、渡辺大知、濱田岳、石田ひかり、佐々木蔵之介

【作品概要】
森絵都の小説『カラフル』をジャニーズのアイドルグループ「なにわ男子」の長尾謙杜主演で実写映画化。

亡くなった人間の魂が同時期に亡くなった高校生の体に移り、100日間で高校生が死んだ原因を探るようにと命じられます。わからなければ魂は消滅すると知り、魂は少年として生活し始めますが・・・。

瀬田なつきが監督を務め、山田杏奈、八木莉可子、望月歩等が共演しています。

映画『HOMESTAY(ホームステイ)』あらすじとネタバレ


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シロはなんらかの理由で命を落としますが、自分と同じように死んでしまった高校生・小林真の肉体に魂が移り目を覚まします。

戸惑っているシロの前に「管理人」を自称する謎の人物が現れ、「真が死んだ原因を100日以内に突き止めなさい。それが出来なければ、魂は消滅する」と語りかけました。

真の体を借りて“ホームステイ生活”を送ることになったシロは、退院し、真の家へと向かいます。母親は真が記憶喪失であると医師から聞かされ心配そうでした。

シロはリビングに飾られた家族写真に真がいないことにふと疑問を持ちます。父親は海外に単身赴任で不在。勉強に忙しそうな兄は無愛想でどこかよそよそしい感じがしました。

翌朝、晶(あきら)という名の同級生が真を訪ねてきました。真は風邪で休んでいたことになっていたらしく、彼女は心配して来てくれたのです。一瞬、真の恋人かと思いましたが、ただの幼馴染のようです。

一緒に登校していると、晶は真がなんだか変わったようだと言い出します。饒舌で言葉のキャッチボールが出来ているという指摘に、シロはどきりとしつつ、真の性格について考えをめぐらしました。

教室に入ったシロは、クラスメイトから邪険に扱われ、さっき別れ際に晶から言われた「頑張ってね」の意味を理解するのでした。

どうやら真は運動も苦手なようで、体育の時間も散々な思いをするシロ。「こいつの体で人生やり直すだなんて」と少々落ち込みますが、母親の作ってくれた弁当が美味しいのは救いでした。

屋上で1人弁当を食べていると、美しい女生徒に声をかけられます。「DMもスルーだし、電話にも出ないし、絵のモデルになってあげたのにひどくない?」と問い詰めてくる彼女。

彼女は美月という名の先輩で、真と親しいようでした。美月の友達の誕生日プレゼントを買うのに一緒に行こうと約束をしていたらしく、ふたりは改めて約束を交わします。今日はなんだか別人みたいだねと美月に言われて少しドキリとするシロ。

そんなある日、担任教師に呼び出され、職員室にやってきたシロは担任から「小林の家は教育熱心だから大変だろうが、本気で美大に行きたいならきちんと話をしなさい」と言われ、美大の大学案内を渡されます。

晶は学校の創立100周年を祝うイベントの係として多忙な日々を送っていました。その中で行われるマスゲームに使う絵を真に依頼していました。

美月を描いた絵を探しに美術室にやってきたシロは、美術教師から声をかけられます。教師はシロを座らせると絵を描くようにと言い、クロッキーを持たせました。

断ろうとすると、俺の頼みが聞けないのかと言い出し、やらざるを得なくなります。描けるわけがないと思いきや、筆が進み、見事にりんごの絵を完成させました。

でもやっぱりカラフルな絵のほうが好きだなと教師は言い、赤や青のセロハンを空中に投げ出しますが、その瞬間、時が止まり、セロハンは空中に浮かんだままになります。

教師に管理人が乗り移り、クイズの答えはわかったのかと尋ねました。風邪でないことだけはわかったと応えるシロ。呆れた管理人はヒントを出そうと言って一つのセロハンを指差し「何色?」と尋ねました。

「紫」だと答えるシロに、管理人は実はそれが「赤」と「青」のセロハンが重なったものだったことを明らかにします。

なんのことだかさっぱりわからないシロに「まず真のことをよく知ることだね」と管理人がアドバイスした途端、時間が動き始めました。

シロはマスゲーム用の作品に美月をモデルにした絵を提出し、念願の美月とのデートも果たします。

プレゼントを買った美月の相手が誰なのか気になって尋ねてみると、それは美月の親友であるりこでした。女の子と知りちょっぴり安心するシロ。

真としての生活に馴染んでいく中、海外に赴任していた父が一時帰国しました。父は自分は間違ったことをしたとは思わないと語りますが、シロには意味がわかりません。父は息子の様子をみて本当に記憶喪失なのだと感じたようです。

父の帰宅が原因なのか、いつにも増して家族が落ち着かない様子に違和感を覚え、シロは兄の部屋に行き、真の顔がハサミか何かで削られた写真の束をみつけます。驚いているシロにさらに追い打ちをかけるように一冊のクロッキー帳が目にはいりました。

それは真の「遺書」でした。そこに兄が入ってきて、シロを怒鳴りつけます。「真にお前は何をしたんだ」と叫ぶシロ。兄はクロッキー帳を奪うと、それに火をつけ、窓の外に放り投げました。

あわてて取りに向かうシロ。マンションの外ではひとり女の子が縄跳びで遊んでいました。

その時、またもや時が止まり、女の子に管理人が乗り移っていました。燃えた帳面は空中に浮かんで止まったままです。

「クイズの答えはわかった?」と問われ、シロは「兄貴のせいだ。あいつのせいで真は死んだ」と応えました。すると女の子は「不正解。これで3つのチャンスのうちのひとつが消えた。あとチャンスは2回だけだよ」と言い、また突然時が動き出しました。

シロは落ちてきたクロッキー帳の火をあわてて踏みつけて消し止めました。ひどく気持ちがふさいでベッドに横たわっているとチャイムが鳴りました。出ると、かわいらしくお洒落をした晶が立っていました。

今日は花火大会の日で、一緒に行こうと約束していたのですが、シロはとてもその気になれません。

小さい頃からずっと花火大会には一緒に行っていたというふたり。シロは急に心がささくれ立ち、「真は風邪なんかで入院していたんじゃない。自殺したんだよ」と叫んでいました。

さらにシロからひどい言葉を投げつけられた晶はその場を走り去りました。

シロは真の遺書に改めて目をとおしました。だめな自分を嫌悪し、自分と関わる人々に同情すらする真。絵を描くことだけが自分をいかせる道だと喜びを感じていたのに、父からは美大への進学を却下され、筆を折られてしまったことが綴られていました。

ただひとつ、美月先輩のいる屋上だけが唯一の希望でした。美月先輩だけが真に気がついてくれたのです。彼女をモデルにして描いた絵が校舎に飾られ、それを見上げている美月先輩。

ところが彼女の友人たちが絵のことで彼女をからかい始めると、彼女は小林真なんて知らないと言って、友人たちと出ていきました。真は絵が好きというたった一つの夢を否定され、絶望してしまったのです。

多目的室にやって来たシロは美月がりこと一緒にいるところに出くわします。りこはシロが提出した美月をモデルにした絵をこれはないわと否定し、美月もそれに同調していました。

シロはふたりの前に出ていき、「かっこいいだとか、頼りにしているだとか思わせぶりなことを言って楽しんでいたわけ?」と美月を責め、屋上に駆け上がると絵を引き裂きました。

真もまた、美月先輩を描いた絵を同じように破壊していたのです。シロと誠の心と体はシンクロしていました。

飛び出していったシロを見送りながら、りこは美月に「あの子と付き合っているの? 私はいいから追いかけなよ」と話しかけました。

美月はそんなりこに「私が好きなのはりこなの」と告白し、驚く彼女に誕生日プレゼントを渡すと、顔を近づけて口づけました。

雨の中、暗い気持ちで家へと向かっていたシロは偶然、母の浮気現場を目撃してしまいます。

真もまた、そのことを知ってしまい、「僕ははじめから誰の目にも映っていなかったんだ」「僕がいなくなってもその空白を埋める必要はない」と家族写真の自分の顔を削り取ったのです。

そして、薬を大量に飲み、自殺を図りました。自分が死ぬことで誰かが僕のことに気づいてくれればいいと願い。

雨の中、シロが橋の欄干にもたれて佇んでいるとまたもや時間がストップしました。車から降りてきた管理人はクイズは解けたかと尋ねました。

「みんなが殺した。兄や母親、父親、美月。真に気づいてやれなかった奴全員が真を自殺に追い込んだんだ」と答えるシロ。ところが、砂時計は止まらず、「お手つき2回目。残りは8日だ」と宣告されてしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『HOMESTAY(ホームステイ)』ネタバレ・結末の記載がございます。『HOMESTAY(ホームステイ)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
帰りが遅い息子を心配して母が雨の中、迎えに来ました。でもシロは彼女に反発し、浮気のことを問い詰めます。会うのは今日で最後なのだと母は語りますが、納得いくわけがありません。

ふたりでもみあっていると車がやってきて、母はシロをかばおうと覆いかぶさりました。

シロが目覚めるとそこは病院で医師から「君はもう大丈夫だ」と告げられました。別のベッドには意識不明のまま母が横たわっていました。兄が心配そうに付き添い、父は母の手を握って「自分の間違いを認めるのがこわかったんだ。もう一度話をさせてくれ」と涙を浮かべながら話しかけていました。

兄は目覚めたシロに「黙っていてもさっしてくれなんて甘えるな。美大に行きたいならちゃんと戦え」と語りました。

退院したシロが学校に行くと、美月とりこのキスシーンの動画が拡散されていました。呆然とたちすくむ美月の前でりこは「美月が勝手にしたことで正直迷惑」と言い、美月は深く傷つきます。

シロは美月が屋上で身を乗り出している姿をみとめ、あわてて、屋上に向かいます。シロがやって来たのを見て、美月は自分も真くんに同じことをしたんだねと謝りました。

そんなこと気にしなくていいと応える真に「真くんは強いね、私はだめ。ひとりになるのが怖かった」と涙ぐむ美月。シロは美月を励まし、美月はようやく笑顔を取り戻しました。

誰もいない家に帰宅すると、机の上に「父より」と書かれた包が置かれていました。中には絵筆が入っていました。

病室にやってきたシロをみつけて母に付添っていた父が手をあげました。シロはそんな父や兄、母の姿を見て、「ちょっと忘れ物」と言って、病室を出ました。

彼は管理人を探して町をさまよいました。ようやくみつかった管理人に「俺がクイズに答えたらこの体はどうなる?」と尋ねました。

お前のものになると答えた管理人に「いらない」と応えるシロ。真と家族のために、真の命を返してやってくれと頼みます。

「もどしてやってもいいが、そのかわりにお前自身が前世で犯した過ちを思い出せ」という管理人。その時間は一日しかありません。もし見つけられないなら真の魂もシロの魂も消滅すると告げられます。

シロは図書館に駆け込み、新聞やパソコンで自分の罪を探そうとしますが、何からはじめていいかもわかりません。

その頃、学校では真の絵がないと委員の面々が探していました。晶は美術室に向かい、真の棚からある絵を抜き出します。

自分の罪を探せず、シロは自暴自棄になりかけますが、家族の皆が、かけてくれた温かい言葉を思い出します。シロは真に手紙を書き始めました。「僕は君に体を返そうと思った。でももう時間切れだ・・・」

真のアルバムをめくっていると晶との写真が目に入りました。彼女にきつい言葉を投げたままなのを思い出し、シロは絵筆を取り、絵を描き始めました。

記念行事のリハーサルの日、シロは晶に会いに行きます。晶はマスゲームの全体のチェックを行っていました。

シロはひどいことを言ったことを詫びました。晶は一生分傷ついたと応えましたが、「でもおあいこ。私も真が抱えていることに気付いてあげられなかった」と語りました。

シロは描いた絵を晶に渡しました。それは花火の絵でした。「花火大会行けなかったから」

リハーサルが始まり、次々とマスゲームの美しい絵が浮かび上がります。その中に真の絵が現れました。それは同じ花火の絵でした。晶はこの絵が一番好きなのだと語りました。

シロは晶と別れたあと、急に体に不調を感じ、倒れ込んでしまいました。もう時間切れです。その時、管理人がやってきました。「答えがわかった。犯人は僕だ。真が真を殺したんだ。僕が真だ。」

落ち続けていた砂時計の砂が止まりました。

真の体はもとに戻っていました。「俺はどうなるの?」と問うと、「死ぬよ」と管理人は応え、にやりと笑うと「数十年後にね」と付け足しました。

「人生なんてホームスティのようなもの。しぶとく生きな」と言い残すと管理人は去っていきました。

それからまもなくしてようやく母が目を覚ましました。母の手の上にそっと手を重ねる真。

真、君は愛されていたんだよ。真は真に語りかけました。

映画『HOMESTAY(ホームステイ)』の感想と評価


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森絵都『カラフル』映画化の系譜

森絵都の小説『カラフル』は発表以来、長年若い読者に愛され続けている作品で、これまでに何度も映画化されています。

とりわけ原恵一監督によるアニメーション映画『カラフル』(2010)は、出色の映像美と、シリアスな描写で、観る者の心を激しく揺らす名作として知られています。

また、パークプム・ウォンプム監督が実写映画化したタイ映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』(2018)は、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)のティーラドン・スパパンピンヨーと、タイの国民的アイドルグループ「BNK48」のチャープランが主演したこともあり話題を呼びました。

アニメ映画『カラフル』よりも明るく陽気な部分も取り入れ、一方で、死後の世界や管理人たちの描き方はホラー的な演出で描かれるなど、エンターティンメントの要素が色濃く出た作品でした。

本作『HOMESTAY(ホームステイ)』のエンドロールにはこの『ホームステイ ボクと僕の100日間(パークプム・ウォンプム監督)』をベースにしたという表記があります。

確かに、主人公の造形に明るい要素が加わり、快活な青春ものの雰囲気を纏っている部分もありますし、また、原作における「人生はホームステイのようなもの」という主題を大きく扱っている点も共通します。

ですが、その一方、『HOMESTAY(ホームステイ)』は、管理人の描写などバラエティ豊かで凝った面もありつつも、全体的には極めてシンプルに構成されています。ストーリーも研ぎ澄まされており、よりまっすぐ主題に向き合った作品という印象を受けました。

フレッシュなメインキャラクターたち


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ストレートでシンプルな構成になっているということはつまり、キャラクター個々の存在が大きくクローズアップされるということでもあります。

主演を務めた長尾謙杜は、ジャニーズのアイドルグループ「なにわ男子」のメンバーで、映画は初出演ということですが、素直な演技は親しみやすく、好感が持てます。

この「別の体に間借りしている魂」という役柄は、屈託のない「シロ」と生きることに絶望している「真」の二役をこなしているようなもので、非常に難しいものに思われますが、長尾謙杜は力み過ぎず、軽やかにシロと真になりきっており、驚かされます。

また、真が密かにあこがれる先輩・美月には、モデルやドラマで注目を集めている八木莉可子が扮し、フレッシュな魅力を発揮しています。自然な台詞回しに役者としてのセンスを感じさせます。

そんな二人と共に抜擢されたのが、今や若手実力派俳優と言っても良い山田杏奈です。『ひらいて』(2021)、『彼女が好きなものは』(2021)では、それぞれ、恋に執着し後先考えず暴走する少女、BL好きの少女という個性的な役柄を演じていましたが、本作ではある意味地味ともいえる隣の女の子役なのが逆に新鮮です。

主人公に仄かに恋心を抱いているのですが、おおっぴらに表面に出すことはなく、少々ぶっきらぼうに接している、そうした少女の感情を細やかに表現し、キラリと光っています。さすがと言わずにはいられない貫禄のようなものさえ感じさせます。

まとめ


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非常にポピュラーなこの題材を瀬田なつき監督がどのように演出するのかも注目すべき点のひとつです。

若い人々に主題をわかりやすく提示するために、極めてオーソドックスな演出を試みているように見える反面、やはりいつもの瀬田作品と同様に、人と人の出会いがテーマになっていると感じました。

瀬田作品の場合、はっきりとした「出会い」というよりは、「すれ違って出会わない」ことが度々描かれています。同じ街を同じ時間に歩いても大概の人は互いの存在に気づくことなくすれ違っているものです。

いくつも人生がある事を映画は俯瞰で眺め、それでもその中から、誰かが誰かに出会い、その存在に気付き、物語が生まれるのです。

本作は「はじめから誰にも気付いてもらえていなかったのだ」と人生に絶望する少年が、実は多くの人に愛されていたことがわかることから生じる感動がクライマックスとなる作品です。

誰かと出会っていたり、出会っていなかったり、出会っているのに気付いていなかったり、本当に人間とはままならぬもの。そうしたもどかしさに暖かな視点を送っている点が実に瀬田作品らしいといえるのではないでしょうか。

ラスト、真と晶がふたりで海沿いの道を歩いていくシーンでカメラは勢いよく動き、ふたりから遠ざかります。

少し離れた距離からふたりを眺めているその視点は「管理人」のもので、「もう大丈夫」と安堵し微笑んでいるかのようです。と、同時に、このラストシーンは、この世に生まれて出会うことのできたふたりへの祝福を表すものにも感じられます。

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