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【ネタバレ】映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ|あらすじ感想と結末の評価解説。本上まなみが前作に続いてナレーションを務める劇場アニメの第3弾

  • Writer :
  • 秋國まゆ

「すみっコぐらし」を映画化した劇場アニメ第3弾!

作田ハズムが監督を務めた、2023年製作の日本のアニメ『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』。

ある日、森のはずれにある古くなったおもちゃ工場にいるくま工場長に誘われ、おもちゃ作りを始めたすみっコたち。

みんなが得意なことを活かして上手にぬいぐるみを完成させます。

くま工場長に褒められ、やる気満々になったすみっコたちは次から次へとおもちゃを作る日々に。そんな中、すみっコたちの町に出荷されていったおもちゃがあちこちで動き始め…。

『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』の作品情報


(C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部

【公開】
2023年(日本映画)

【原作】
サンエックス

【監督】
作田ハズム

【キャスト】
本上まなみ

【作品概要】
『ダヤンとタマと飛び猫と~3つの猫の物語~』(2019)の作田ハズムが監督を、劇団「ヨーロッパ企画」の俳優・脚本家であり「映画すみっコぐらし」シリーズ第1弾『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』(2019)の脚本も手掛けた角田貴志が脚本を務めた、日本のアニメ作品。

サンエックスが展開する人気キャラクター「すみっコぐらし」を劇場アニメ化した「映画すみっコぐらし」シリーズ第3弾です。

「映画 すみっコぐらし」シリーズ第2弾『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』(2021)に引き続き、『リバー、流れないでよ』(2023)の本上まなみがナレーションを務めています。

『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』のあらすじとネタバレ


(C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部

これは、この世界のどこかにあるすみっこでひっそり暮らしているすみっコたちの物語。

寒いのが苦手で、自分の荷物のふろしきと一緒に北から南の方へ逃げてきたしろくま。とっても手が器用です。

おにく1%・しぼう99%とあぶらっぽいせいでのこされちゃったとんかつのはじっこ、とんかつ。かたいから食べ残されちゃったえびふらいのしっぽといつも一緒にいます。

自分はぺんぎんかどうか自信がないぺんぎん?は、自分探し中。はずかしがりやで、やさしい性格のねこは、気が弱くて言いたいことが言えません。

ねこと仲良しなざっそうは、とってもポジティブ。ミルクティーだけ先に飲まれてのこされた、たぴおかたちとブラックたぴおか。

カタツムリに憧れている、カラをかぶったなめくじのにせつむり。きょうりゅうの生き残りであるとかげは、そのことがバレると捕まってしまうから、にせつむりと2人だけの秘密にしています。

そんなすみっコたちが暮らす家にお客さんが。しろくまが北にいた頃に出会ったともだちのぺんぎん(本物)です。

ぺんぎん(本物)は青いふろしきに包んでいた、しろくまのおかあさんと双子のきょうだいから預かったツギハギのぬいぐるみと手紙をしろくまに渡しました。

「元気にしてますか?こっちはみんな元気です」「むかし、ふたりでよく遊んでいたぬいぐるみを送ります。寒いときはこれをぎゅっとして、あたたまってね」と記された、しろくまのきょうだいからの手紙でした。

しろくまがきょうだいのために北の家に置いてきたぬいぐるみ。ですが、胸についていたはずのボタンがありません。

ぺんぎん(本物)には、その理由に心当たりがありました。ここへ来る道中、木の枝にぬいぐるみがひっかかって、それを無理矢理取ろうとした拍子にボタンが取れちゃったのです。

あわててなくしちゃったボタンを探しに行くぺんぎん(本物)。すみっコたちはペンギンのあとを追いかけます。

しかし、ぺんぎん(本物)は地下のすみっこでくらしていたもぐらが掘った穴に落ちてしまいました。すみっコたちは、ぺんぎん(本物)を見失ってしまいます。

すると虫眼鏡を持っていたぺんぎん?が、木の枝に引っかかっているボタンを発見。ですがボタンがある木の枝は、すみっコたちの手が届かない高さに…。

そこでとんかつが、たぴおかたちとえびふらいのしっぽを頭の上にのせて、一番上にいるえびふらいのしっぽがボタンをとることを思いつきます。

無事ボタンがとれた直後、バランスが崩れてしまいました。

寸でのところで、とんかつはえびふらいのしっぽを、ぺんぎん?ととかげがたぴおかたちをキャッチしました。

一安心したところで、ボタンが転がっていることに気づいたすみっコたちは、慌ててボタンを追いかけます。

ボタンが転がっていったのは、森のはずれにある古くなったおもちゃ工場。そこですみっコたちは、くま工場長に出会いました。

しろくまから事情を聞いたくま工場長は、工場にあるおとしものの中にないか尋ねます。

しろくまはボタンがないか探しましたが、残念ながらありませんでした。

そのことをくま工場長に伝えた時、しろくまはくま工場長のリボンがほつれていることに気づきます。

しろくまは持っていた裁縫道具を使って、あっという間にくま工場長のほつれたリボンをきれいになおしてあげました。

なくしたボタンは見つけられなかったものの、くま工場長が喜んでくれて嬉しかったすみっコたちは家に帰りました。

その夜。ぬいぐるみをぎゅっと抱き締めて寝ていたしろくまは、小さいころの夢を見ました。

他のしろくまたちが外で遊ぶ一方で、寒いのが苦手で外に出れず、暖を取るようにぬいぐるみをぎゅっとしていたことを。

翌日。すみっコたちの家にお客さんが。ぺんぎん(本物)が帰って来たのかと思い玄関の扉を開けると、くま工場長がいました。

くま工場長はかばんに入れてきたおもちゃ工場の制服を見せ、「ひとりじゃおもちゃは作れないから、みんなで一緒におもちゃを作ろう」とすみっコたちを誘います。

昨日、おとしものを使っておもちゃを作ったとかげたちが、「おもちゃ作りたのしい」と言ってくれたこと。

しろくまの手の器用さやぺんぎん?の観察力などを見込んでのお誘いでした。

すみっコたちはくま工場長の誘いに乗り、おもちゃ作りを手伝うことに。おもちゃ工場までの道中、すみっコたちはバスの中でくま工場長が用意してくれたおそろいの制服に着替えます。

くま工場長が運転するバスはおもちゃ工場に到着。くま工場長は早速、すみっコたちにぬいぐるみ作りをお願いします。

とかげはぬのをハサミで切り、しろくまはそのぬのをミシンで縫い合わせる。ねこが縫い合わせたぬいぐるみに綿をつめて、ぺんぎん?がそれを検品する。

最後にくま工場長が、ぬいぐるみの耳の裏に工場のロゴのスタンプを押す。そうして完成したぬいぐるみは、なぜかまるで生きているように動き始めたのです。

その理由について、くま工場長は「みんながぬいぐるみを上手に作ったから」と褒めました。そしてくま工場長は、とんかつに完成したぬいぐるみの梱包を任せました。

くま工場長に褒められ、やる気まんまんになったすみっコたちは、次から次へとたくさんのぬいぐるみを作っていきました。

その日の夕方。くま工場長は、おなかをすかせたすみっコたちを工場の食堂に案内します。

そこにはおいしそうなごはんがいっぱいあって、しかも食べ放題だという。すみっコたちは、自分の好きなご飯をお腹いっぱい食べました。

夜になりすみっコたちが家に帰ろうとすると、くま工場長がまるでホテルみたいなすてきな、すみこみの部屋を用意してくれました。

すみっコたちは大喜び。でしたが、結局いつものようにすみっこで、みんなで固まって一緒に寝ました。

しろくまはまた、小さいころの夢を見ました。家でぬいぐるみを投げて遊んでいた時、家具の間に落ちて挟まってしまったぬいぐるみを無理矢理取って、ぬいぐるみについていたリボンが取れて破けてしまったことを。

こどもたちが寝静まった夜、しろくまのおかあさんはぬいぐるみを直して、しろくまのそばにそっと置きました。

どうやら失くしてしまったボタンは、取れてしまったリボンの代わりにしろくまのおかあさんがつけたみたい。

以下、『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』ネタバレ・結末の記載がございます。『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部

翌朝7時。目を覚ましたすみっコたちは、先に起きていたくま工場長とたぴおかたちのところへ行って、朝の体操をしました。

朝の体操を終えたすみっコたちは、工場の機械が新しくなっていることに気づきました。しかも便利そうなものがいっぱい。

おもちゃ作りを手伝ってくれる工場の機械のアームによって、それぞれ持ち場についたぺんぎん?・とんかつ・しろくま・ねこ・とかげ。

新しい機械のおかげで作業スピードが上がり、どんどんぬいぐるみを作っていきます。たぴおかたちとみにっこはそのお手伝いを。

そしてすみっコたちはぬいぐるみ52こを作り、見事目標の50こを達成しました。一番仕事を頑張った今日のMVPは、しろくまとぺんぎん?です。

さらに翌日、すみっコたちはぬいぐるみではなく、ロボットを作ってみることに。

最初は初めての作業に不安そうでしたが、みんなで手分けして上手に1個を完成させたら自信がついた様子。2こ目以降は手際よく作っていきました。

それからすみっコたちは、くま工場長と一緒にあたらしいおもちゃを企画。ゼンマイをつけたつよそうなかいじゅうのおもちゃに、可愛いおにんぎょう、ラジコンではじるカッコイイくるまのおもちゃも作っていきます。

また、仲良くなったすみっコたちとくま工場長は集合写真をはじめ、普段の作業風景やおもちゃの仮装をした写真を撮ったりと、楽しい思い出も作りました。

その日の夜。作業に夢中になっていたしろくまは、じぶんを待っていてくれたみんなのもとへ向かい、一緒にすみっこで寝ました。

しろくまはまた、幼いころの夢を見ました。しろくまの双子のきょうだいとぬいぐるみの取り合いになり、耳がちぎれてしまって喧嘩してしまったこと。

しろくまのおかあさんがぬいぐるみを直して、自分たちを仲直りさせてくれたことを。

次から次へとおもちゃを作る日々を送るすみっコたち。ですが日を増すごとに、おにんぎょう80こ、くるま100こなど、作るおもちゃの数はどんどん増えていきます。

くま工場長はもっとたくさん作らないとと、なんだか焦っている様子。そんな中、えびふらいのしっぽと一緒に倉庫に荷物を置きに行ったとんかつは、倉庫の奥に部屋があることに気づきます。

扉の窓から見えたのは、その部屋の壁に飾られていた古い写真。その写真に写っている建物は、どこかおもちゃ工場に似ていました。

とんかつがそのことを疑問に思っていると、梯子を使っていたえびふらいのしっぽがバランスを崩してしまいます。

とんかつはジャンプして、空中でえびふらいのしっぽをキャッチして、倉庫の隅に置いてある綿が入った段ボール箱の上に置きました。ですがその代わり、とんかつは謎の機械の中に落ちてしまったのです。

えびふらいのしっぽは手当たり次第、いっぱいあるボタンを押しましたが、機械は止まらず…。慌ててみんなに助けを求めます。

すると次の瞬間、機械によって沢山増えてしまったとんかつが、すみっコたちのもとへ雪崩れこんできたのです。

すみっコたちはどれが本物のとんかつか見分けがつきません。ですがえびふらいのしっぽを引っ張り合うとんかつたちのなかに、えびふらいのしっぽの言葉に反応して手を放したとんかつがいました。

そのとんかつこそ、本物のとんかつ。とんかつは、えびふらいのしっぽが嫌がることはしません。

その直後、椅子の角に工場のロゴがこすれて消えてしまったとんかつのおもちゃが、動かなくなってしまいました。

それに気づいたすみっコたちは、大量生産されたとんかつのおもちゃについた工場のロゴを消して回り、なんとか事態を収束させました。

それを知らないくま工場長は、生産数が落ちていることを気にして、へとへとのすみっコたちにおもちゃ作りを強要。さらにその翌日、おにんぎょうを1000こ作るよう指示します。

いつにも増して忙しそうなすみっコたち。ねこは疲れてしまい、おにんぎょうのパーツとざっそうを取り違えてベルトコンベアに流してしまいました。

作業の手を止めて、慌ててざっそうを救出しようとするすみっコたち。ですがざっそうは箱に入ってしまい、そんなざっそうを助けようとしたみにっこたちは一緒に梱包・出荷されてしまいます。

みにっこたちは、すみっコたちの町に出荷されました。そこで目にしたのは、今まですみっコたちが作って出荷してきたおもちゃたちがいっぱい、あちこちで動き回っている姿でした。

あそんでー!と迫るおもちゃたちに、困り果てた町に住むすみっコたち。その様子を見て、みにっこたちはおもちゃ作りを止めた方がいいと思いました。

その頃しろくまたちは、みにっこたちを助けに行こうと工場を出ようとします。ですがアームや工場のロボットに行く手を阻まれてしまい、なかなか工場から出ることができません。

しろくまたちは、工場の機械の手を掻い潜って、工場室にいるくま工場長のもとへ。「きかいとめて」「そとにだして!」とお願いします。

ですがそこにいたのは、くま工場長という名のぬいぐるみでした。つまりこのおもちゃ工場を動かしているのは、工場そのものだったのです。

その頃みにっこたちは、何とか工場まで戻って来れたものの、ついてきたおもちゃの大群に邪魔されて近づけません。


(C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部

ピンチのみにっこたちを救ってくれたのは、ぺんぎん(本物)でした。ぺんぎん(本物)はもぐらが暮らす地下を旅していたのです。

その地下は工場の地下と繋がっていました。ぺんぎん(本物)たちのおかげで、工場の通気口を通ってしろくまたちのもとに無事戻ることができたみにっこたち。

みにっこたちから町が大変なことになっていることを知ったしろくまたちでしたが、工場を止める方法が分かりません。しかも工場を出ようにも、出入り口が塞がれています。

そこでぺんぎん?は、あることを思いつきました。おもちゃに扮して出荷されれば、工場から出られるのではないかと。

その作戦は無事成功。した直後、「いかないで、おもちゃが作れなくなる」と嘆いた工場が立ち上がり、逃げたすみっコたちを追いかけてきたのです。

ぬいぐるみを忘れていることに気づいたしろくまは、1人工場内に残ってしまいピンチに。ですが工場が動き出したことで、ロボットたちの動きが止まりました。

その隙に何とかぬいぐるみを取りに行けたしろくま。あとは工場から出るだけですが、痴情から離れているため外に出られません。

絶体絶命のピンチに陥ったすみっコたち。しかし突如、工場もおもちゃたちも動かなくなりました。

宙を舞うふろしきを見て、しろくまが工場内にいることに気づいたねこたちは、しろくまの救出に向かいます。

その頃しろくまは、倉庫から雪崩れこんできた綿入りの段ボールに埋もれて気絶していました。

その時見たしろくまの夢は、しろくまのおかあさんがしろくまたちにぬいぐるみをプレゼントしてくれた時のこと。

そう、今はツギハギだらけのぬいぐるみ、元はくま工場長のようなリボンをつけた茶色のくまのぬいぐるみだったのです。

そのことを思い出したしろくまがぬいぐるみを持って箱の山から出てきたのを、ぺんぎん?が発見。すみっコたちは無事合流できました。

はやく工場から出ようとした時、誰かが泣いているような声が倉庫から聞こえてきました。

泣いている子を放っておけないすみっコたちは、倉庫の中へ。ですが、その泣き声がする倉庫の奥の部屋には鍵がかかっていました。

ここでとかげが、階段の下に落ちていた鍵を拾ったことを思い出します。確かその鍵は、アームに捕まってしまった時にとかげの手から落ちて、にせつむりのカラの中に入ってしまったはず。

実はくま工場長が休んでいるにせつむりを注意した時、慌てていたせいでこの部屋の鍵を落としてしまったのです。

開かれた倉庫の奥の部屋。見たところ、ここもおもちゃを作る部屋だったようです。

さらに部屋の奥にある扉を開いて、外から眺めてみると、とんかつが見たあの写真に写っていた、生まれたばかりのおもちゃ工場がありました。

実は今は大きな工場ですが、最初は小さな工場でした。ここで作られたおもちゃは、みんなを笑顔にしました。

工場も、おもちゃを手にしたみんなの笑顔を見るのが大好きでした。工場のおもちゃがどんどん人気になっていくにつれて、もっとたくさんのおもちゃを作るために工場も大きくなっていきました。

工場も、もっとたくさんの笑顔を見たくて毎日頑張りました。忙しい毎日でしたが、工場は楽しく働き続けました。

ですがそんな日々も長くは続かず、おもちゃを作る人がどんどん減っていってしまい、いつしか工場は使われなくなり捨てられてしまいました。

泣き声の正体は、のこされてしまった工場でした。すみっコたちにもっとおもちゃを作るように指示していたのは、そうしないとまた捨てられちゃうと思ったからでした。

真実を知ったすみっコたちは、またおもちゃを作ろうといいました。しかし、先ほどの騒動で工場は壊れてしまいました。

工場は寂し気に、「もうおもちゃ作れない」「壊れたもの、古くなったもの…。役に立たないから捨てられちゃう」と言って、体に巻きつく蔓に身を任せます。

そんな工場に、しろくまは「すてないよ!」と言って、ツギハギだらけのぬいぐるみを見せました。そのぬいぐるみの耳には、工場のロゴがありました。

さらにしろくまは、「古くなっても、役に立たなくなっても、すてないよ」「だいじだから!」と言いました。

「だいじ?」と尋ねる工場に、すみっコたちは工場に抱き着きながらだいじだよと笑顔で答えました。だって工場も、一緒に働いた仲間だから。

工場は、「工場なのにおもちゃを作れなくても、なかま?」と尋ねます。すみっコたちは笑顔で、「うん!なかまだよ!」と答えました。

しろくまなのに、寒がりなコ。とんかつなのに、食べてもらえなかったコ。本当は恐竜なのに、それを言えないコ。みんな、おんなじ仲間。

しろくまたちの言葉を聞いて元気になった工場はピカッとひかり、体に巻き付いていた蔓を払いのけました。

朝日が昇るころ、工場はしろくまたちに感謝を伝えました。その時に落ちた工場の一粒の涙に、工場の部品が入っていました。

それを拾ったしろくまは、「これもらっていい?」と尋ねます。工場がそれに承諾すると、しろくまはすぐさまぬいぐるみにその部品を縫いつけました。

完成したぬいぐるみを見せてくれた時のすみっコたちの笑顔を見て、まだみんなを笑顔にできるのだと工場は思いました。

昇った朝日に向かって、すみっコたちは工場と一緒に朝の体操をしました。

工場は、おもちゃ工場ではなくなってしまいました。ですがだいじな仲間たちがいるから、新たな一歩が踏み出せそうです。

『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』の感想と評価


(C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部

工場に素敵なすみこみの部屋を貰っても、おうちにいた時と同じように一緒にすみっこで寝ているすみっコたちの姿。

すみっコたちがくま工場長に褒められながら、初めて作るぬいぐるみやロボット、自分たちが話し合って考えたおもちゃを一生懸命協力して作っていく姿。

なかまがだれかひとりでも欠けると、みんなで一緒に探したり助けようとしたりする仲間思いなすみっコたちの姿。

そのどれもがとても可愛らしく、微笑ましくて観ていてとても癒されますし笑わせてくれます。またすみっコたちの声が吹き替えられておらず、出てくる文字やすみっコたちの表情で表現しているから余計にイイ。

また、すみっコたちが出会ったくま工場長が実は工場で作ったぬいぐるみで、くま工場長やおもちゃたちなどを動かしていたのは工場だったというのはとても驚かされます。

しかも工場がなぜ、あんなにもおもちゃを沢山を作ろうとしていたのか、その理由がとても悲しく切ないものでした。

最後はもうおもちゃを作れなくなってしまったからと、森の一部になろうとしていた工場。ですが工場の気持ちがわかるすみっコたちが大事な仲間だと言ってくれたおかげで、また元気になり、皆を笑顔にするために新たな一歩を踏み出せるようになったのもまた泣けます。

まとめ


(C)2023 日本すみっコぐらし協会映画部

すみっコたちに寄り添う心温かな本上まなみのナレーションで贈る、すみっコたちと、森のすみっこにいた工場の出会い。

本作を観れば、大人でも子供でも、自分が大事にしているおもちゃやぬいぐるみを、どんなに壊れても捨てずに大事にしようと思えます

エンドロール中の映像では、おもちゃ工場ではなくなった工場が次に何になるか、一緒に考えるすみっコたちと工場の姿。

車のおもちゃに扮したとんかつとえびふらいと一緒に、たぴおかたちを乗せて電車ごっこをする工場の姿。

しろくまとぺんぎん?が、町の喫茶店のまめマスターと、喫茶店の屋根裏に住んでいるおばけに、工場を紹介する姿。

まめマスターの提案で、すみっコたちが工場を映画館にしようとする姿。そして見事、映画館として生まれ変わった工場に、すみっコたちのなかまが次々と入っていく姿。

チケット売り場にはねこがおり、チケット売り場のそばに置いてある椅子には映画館の館長になった、くま工場長の姿が。

とんかつととかげの友達のとかげ(本物)がポップコーンを運ぶ姿。そしてスクリーンに映し出された映画を、仲間たちと一緒に見るすみっコたちの姿が描かれていました。

エンドロール後。それから工場は、すみっコたちの町を後にしました。今もどこかの町で、みんなを笑顔にしているそうです。

もしかしたら、みんなの近くにいるかもしれませんね。



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