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映画『沈黙の戦艦』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。スティーヴン・セガールがケーキから飛び出した美女を相棒にシージャック犯に挑む!

  • Writer :
  • 大塚まき

最強コックが巨大戦艦ミズーリ号をジャックしたテロリスト集団と戦うサスペンスアクション!

逃亡者』(1993)『ダイヤルM』(1998)『穴/Holes』(2003)などを手掛けたアンドリュー・デイビス監督が、核ミサイルを狙って戦艦を乗っ取ったテロリスト集団との戦いを描く『沈黙の戦艦』。

最強のコック役にはスティーブン・セガールが演じ、美女の相棒にはエリカ・エレニアックが務めます。テロリストのリーダーには、トミー・リー・ジョーンズが怪演。

スティーブン・セガールの代表作となった映画『沈黙の戦艦』の見どころをネタバレありでご紹介いたします。

映画『沈黙の戦艦』の作品情報


(C)1992 Warner Brothers Productions, Ltd., Regency Enterprises VOF and Studio Canal+. All rights reserved.

【公開】
1993年(アメリカ・フランス合作映画)

【原題】
Under Siege

【監督】
アンドリュー・デイビス

【脚本】
J・F・ロートン

【キャスト】
スティーブン・セガール、トミー・リー・ジョーンズ、コルム・ミーニイ、ゲイリー・ビューシイ、エリカ・エレニアック

【作品概要】
監督は、『逃亡者』(1993)『ダイヤルM』(1998)『穴/Holes』(2003)などを手掛けたアンドリュー・デイビス。

最強無敵のコック役は『沈黙の要塞』(1994)『暴走特急』(1996)『沈黙の終焉』(2019)のスティーブン・セガールが主演。

美女の相棒役には『逃げる天使』(1994)『パンドラ・プロジェクト 』(1998)のエリカ・エレニアックが務めます。

テロリストのリーダーには、『依頼人』(1993)「メン・イン・ブラック」シリーズのトミー・リー・ジョーンズが怪演。

映画『沈黙の戦艦』あらすじとネタバレ


(C)1992 Warner Brothers Productions, Ltd., Regency Enterprises VOF and Studio Canal+. All rights reserved.

50年前、日本軍の真珠湾奇襲で太平洋艦隊が壊滅。その戦死者の追悼で戦艦ミズーリ号が入港します。

最高速で最強の戦艦ミズーリ号が退役となり、アメリカ大統領は海上艦からミサイルを撤去することを命じ、最後の航海に出発しました。

艦長の誕生日にサプライズパーティーを計画したクリル中佐が、ヘリの着艦許可を出すように命令します。本来ならば艦長の着艦許可が必要でしたが、ヘリには美女のジョーダン・テートと音楽バンドを乗せているからと内緒で許可されます。

無許可でヘリが到着することを知った艦長に、クリル中佐はベーツ提督が艦長の誕生日パーティーを企画してヘリで来ると嘘の話をし、呼びに来るまで部屋にいてもらうように伝えます。

ミズーリ号でコック長をするケイシー・ライバック。キッチンでは艦長の誕生日パーティーで振る舞う料理の支度をしていると、クリル中佐が誕生日パーティーのことで命令を出しにやってきます。

ライバックは命令に逆らい、クリル中佐に殴りかかったことで、手錠をかけられ肉の冷凍庫に監禁されてしまいます。

監視についた水兵に扉を開けるように説得をするライバック。

船員たちが集まったミズーリ号のロビーでは、バンドのライブが始まり、女装をしたクリル中佐が悪乗りしながらやってきます。

大盛り上がりのライブ会場でバンドのボーカルがグリーン中佐に呼びかけたかと思うと、突然銃を発砲し、撃ち殺しました。

それと同時にバンドのメンバー、パーティーの給仕たちが銃を取り出し、会場は瞬く間に制圧され、他の水兵たちも鎮圧されます。

艦長を呼びに行ったクリル中佐は、「始まりです」と言って撃ち殺しました。クリル中佐とヘリでやってきた連中は、戦艦を乗っ取りに来たテロリストだったのです。

監禁されているキッチンにも銃声が聞こえ、水兵に艦橋に連絡を取るように言うライバック。

テロリストに抵抗したものは即座に射殺され、前甲板に集められた船員たちは、ハッチを溶接され閉じ込められました。

操縦室を乗っ取ったテロリストたちは、戦艦を制御します。

テロリストの2人がライバックを監視する水兵を射殺しました。冷凍庫の中で待ち構えていたライバックは、いとも容易く敵を倒し、何が起こっているかに気づき始めます。

テロリストたちは、偵察に来たヘリにミサイルを発射し祝杯を上げました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『沈黙の戦艦』ネタバレ・結末の記載がございます。『沈黙の戦艦』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

アメリカ情報機関では、テロリストの主犯格がCIAで働いていたストラニクスであることが判明。その矢先、ストラニクスは元上司のブレーカーへ電話をして、革命の始まりだと宣言し、自分たちの位置を隠すため衛星通信基地を爆破します。

ライバックが、テロリストの動きを探るため船内を調べていると、作り物の巨大なケーキから出てきたジョーダン・テートがトップレスで踊り始めます。彼女は来る途中に乗り物酔いになり、ショーの前に飲んだ薬で眠っていたのでした。

情報機関では、ベーツ提督がストラニクスをなぜ今まで上層部で働かせいたのかブレーカーに言及。すると、危険な存在になったので、彼の殺害を試みたが失敗に終わったと言うのです。

ストラニクスは、CIAの任務で北朝鮮の潜水艦を撃沈させたと見せかけ略奪していました。その潜水艦を今回の計画に利用していたのです。

ストラニクスを“ホトトギス”、潜水艦を“ピーピー鳥”という暗号名を使って後で落ち合おうと通信します。

ストラニクスとクリルは、連絡が取れなくなった仲間を探しにキッチンへ行くと、ライバックがレンジに仕込んであった爆弾が爆発。そして、仲間の殺され方を見たストラニクスは、ライバックをただのコックではないと見抜きます。

情報機関では戦艦と乗組員を救うため、特殊部隊をヘリで向かわせます。これが失敗すれば後は空軍機の爆撃による戦艦の撃沈だけでした。

ストラニクスたちは、甲板で核ミサイルを移動するためのクレーンを組み立てていました。

クリルがライバックの資料を見つけ出し、元特殊部隊員で武術、爆薬、兵器、戦術を専門とし、パナマ事件後に特別職を解任したことがわかります。

置き去りにされたくないテートは、ライバックに付いていきますが、人を殺したくないと宣言し、自分で足手まといの相棒ねと自暴自棄な言い方をします。

ライバックは、衛星電話で情報機関に連絡し敵の情報を伝えると、ベーツ提督から特殊部隊の到着を待てとの命令を受けました。

戦艦では、着々と核ミサイルを潜水艦に積み替える準備が進められていました。ライバックは、飛行甲板に置かれたヘリを爆弾で爆破。隠れていた隠れていたテートが敵に見つかりますが、すぐさま助け出し、船内に逃げ込みます。

クリルは、乗組員を監禁した前甲板のスプリンクラーで水を流し、全員を溺れさせようとします。

ライバックは、監禁されていた乗組員6人を救助し、彼らと共に30分以内に搭載兵器を無能力にするために動き出します。

クリルからモニターを見てくれという船内放送が入り、監禁されている前甲板の様子が映し出されます。

ライバックたちは、乗組員を助け出すために交戦となり仲間の1人が撃たれますが、水を止めることに成功。

銃撃戦が続く中、テートはライバックライバックの後ろが一番安全だからと言って、敵をなぎ倒し進んでいくライバックに付いていきます。

特殊部隊の到着を援護するため戦艦からの攻撃を食い止めますが、潜水艦から発射されたミサイルでヘリが爆破されます。

ライバックは、作った爆弾を潜水艦に取り付けて潜舵を爆破し、潜水不能にさせます。負傷したライバックが戦艦に戻ると敵が待ち構えていましたが、敵の後ろからテートが発砲し、助けます。

クリルは潜舵を修繕しようと悪戦苦闘。戦艦の操縦室も電源が入らず回復不能になり、苛立ちを隠せないストラニクス。

仲間の乗組員と合流したライバックは、甲板にある砲弾で爆破させるため、潜水艦を目掛けて撃ち込みます。

潜水艦が直り潜航しますが、三発目の砲弾が命中。ライバックたちは、潜水艦を爆破させ祝賀しますが、トマホーク(核ミサイル)が2発がホノルルへ発射されます。

ストラニクス以外を倒したライバックは、操縦室に向かいますが、待ち構えていたストラニクスに銃を取り上げられます。

ライバックは、こんな反乱を起こしても世界は変わらないとストラニクスに話しながら、隙を狙って手にしていた銃を蹴り上げ、ナイフでの格闘でストラニクスを倒します。

ホノルルへ発射された核ミサイル2発のうち1発を米軍ヘリが迎撃。もう1発はライバックが爆装を解除し、爆撃を防ぐことに成功。

監禁されていた乗組員が救助され、皆甲板で朝を迎えました。ライバックは寄り添っていたテートにキスをします。

帰還したミズーリ号に海軍一同が集まり、艦長の追悼のためささげ銃を行いました。

映画『沈黙の戦艦』感想と評価


(C)1992 Warner Brothers Productions, Ltd., Regency Enterprises VOF and Studio Canal+. All rights reserved.

スティーブン・セガールの代表作となった『沈黙の戦艦』。沈黙シリーズの第1作目です。本来の続編は『暴走特急』(1996)のみになりますが、後のセガール作品の邦題は沈黙シリーズと称され多用されています。

本作が公開されたのは1992年。80年代のアクション映画からVFX(視覚効果)の発展により、広大な規模の世界観、激しい銃撃戦や派手な爆破といったアクションが実現できるようになった90年代に製作された1作品となります。

SFアクションでいうと『ターミネーター2』(1991)、『ウォーターワールド』(1995)、『フィフス・エレメント』(1997)と続き、『マトリックス』(1999)が、90年代のSFアクションの集大成として締めくくられます。

そして、本作は海のダイハードと呼ばれるように、『ダイ・ハード2』(1990)を筆頭とし、バスのダイハードの『スピード』(1994)といったアクションジャンルです。

このジャンルの類似性は、限定された舞台で主人公が不利な状況に追い込まれながら戦うという設定があります。

本作でいうと、海上でテロリストに乗っ取られた戦艦を1人で阻止しよう挑みます。

アクション俳優に注目してみると、シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーが活躍を見せた80年代から、90年代に入るとブルース・ウィリス、キアヌ・リーブス、トムクルーズといった面々が主役を飾っていきます。

アクション俳優の名前を連ねていくと、それぞれのアクション俳優の特色のようなものが作品に反映されてキャラクターを担っていることがわかります。

スティーブン・セガールもまた、より特色をつけるために、スティーブン・セガール=沈黙といった称号が付けられたのでしょう。

そうやって考えてみると、『沈黙の戦艦』が唯一無二のスティーブン・セガール映画でなくてはならないのです。

どんな状況でもジョークを交えながら冷静沈着に敵を一掃する最強無敵のヒーローでなくては!

そして、セガール映画といえば、ファイティングシーンではないでしょうか。

合気道をやっていたこともあり、持ち前の独特なスタイルで敵と格闘するシーンは見どころです。

本作では、表向きは腕利きのコック、素性は元特殊部隊員で武術、爆薬、兵器、戦術を専門とするという役柄に扮して、器用にも爆弾を自作し、隙を見せないナイフファイトや素手で敵の喉を掻きつぶしたり、目玉をくり抜いたりと、銃撃戦以外のあり得ない最強さで敵をなぎ倒していく面白さ。

最後には相棒となった美女にさらりとキスをして奪い去り、何の落ち度もなくスカッと終わる。それがセガール映画の醍醐味なのです。

まとめ

本作で話題になったシーンといえば、作り物の巨大なケーキからトップレス姿で現れるモデル役のエリカ・エレニアックです。

何も知らずに巻き込まれた被害者として、はじめはめそめそと泣くばかりで、セガールが扮する主人公の後を文句を言いながら、後に付いていきます。

そして、徐々に戦闘へ挑む相棒として、赤く塗ったマニキュアの爪が光る手に銃を構える姿が様になっていくのです。

トップレスというインパクトある登場で観客を釘付けにしてから、金髪のショートカットに防弾チョッキと黒服という姿も色気があって、最強無敵の相棒として花を添えます。

最強無敵のセガールだからこそ、か弱くてもいざという時にだけ銃を撃つ勇ましさを備えた美女というのがしっくりきます。

また、元CIAで戦艦を乗っ取るテロリストのリーダー役のトミー・リー・ジョーンズの怪演ぶりにもご注目。

潜水艦と連絡を取る場面では、自身の暗号名を“ホトトギス”と名乗り、まさしく織田信長が詠んだ「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス(時鳥)」の句を連想するようなテロリストのリーダー役の狂気を漂わせました。

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