Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

【ネタバレ】トランスフォーマーONE|あらすじ感想と結末評価レビュー。メガトロン&オプティマスプライムら人気キャラクターの友情と訣別の物語を描く

  • Writer :
  • 秋國まゆ

大ヒット映画「トランスフォーマー」シリーズの始まりの物語!

ジョシュ・クーリーが監督を務めた、2024年製作のアメリカの3DCGアクション・エンタテインメント映画『トランスフォーマー/ONE』。

ロボット生命体が暮らす惑星サイバトロン。変形能力を持たない労働ロボットのオライオンパックス(のちのオプティマスプライム)とD-16(のちのメガトロン)は固い友情で結ばれていました。

ある日、謎のSOSメッセージを受けた2人は、仲間と一緒にSOSの座標へ。謎めいたアルファとライオンの力により、変形能力を手に入れるのです。しかし新しい力を手に入れたことで、2人の関係性に変化が………。

映画『トランスフォーマー/ONE』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『トランスフォーマー/ONE』の作品情報

【日本公開】
2024年(アメリカ映画)

【製作総指揮】
スティーヴン・スピルバーグ、ゼヴ・フォアマン、オリヴィエ・デュモン、ブラッドリー・J・フィッシャー、マット・クィッグ

【監督】
ジョシュ・クーリー

【脚本】
エリック・ピアソン、アンドリュー・バレル、ガブリエル・フェラーリ

【キャスト】
クリス・ヘムズワース、ブライアン・タイリー・ヘンリー、スカーレット・ヨハンソン、キーガン=マイケル・キー、スティーブ・ブシェーミ、ローレンス・フィッシュバーン、ジョン・ハム

【日本語吹き替え版キャスト】
中村悠一、木村昴、吉岡里帆、木村良平、佐藤せつじ、上田耀司、星野貴紀、柚木涼香、諏訪部順一、玄田哲章、稲田徹、杉田智和

【作品概要】
『インサイド・ヘッド』(2015)のストーリー監修・脚本を手がけたジョシュ・クーリーが監督を務めた、アメリカの3DCGアクション・エンタテインメント作品。世界で大ヒットを記録した「トランスフォーマー」シリーズの前日譚というべき、若き日のオプティマスプライムとメガトロンの物語を3DCGで描いた作品です。

本作の主人公オライオンパックス(オプティマスプライム)役は「マイティ・ソー」シリーズのクリス・ヘムズワース、D-16(メガトロン)役は『ロスト・マネー 偽りの報酬』(2018)のブライアン・タイリー・ヘンリー。

エネルゴン採掘チームをまとめあげる女性リーダーのエリータを「アベンジャーズ」シリーズのスカーレット・ヨハンソン、陽気でノリが軽いチームのムードメーカー的存在のB-127(バンブルビー)を『ザ・プレデター』(2018)のキーガン=マイケル・キーがそれぞれ担当します。

映画『トランスフォーマー/ONE』のあらすじとネタバレ

太古の昔、プライマスという慈悲深く強大な創造主がいました。彼は宇宙を救うために自ら犠牲となり、サイバトロンという惑星へと姿を変えました(トランスフォーム)。そのサイバトロンの中核から最初のトランスフォーマー、プライムたちが生まれました。

プライマスは、未来の世代を導き守る最強のトランスフォーマーである彼らにある大いなる力、リーダーの証「マトリクス」を与えました。

プライムたちがマトリクスを得たことによって、サイバトロンの天然エネルギー源であるエネルゴンが地下からふんだんに湧き出し、この星のあらゆる生き物の命を育んでいきました。

何世代という長きにわたり、平和と繁栄をもたらしました。しかしマトリクスが行方不明になり、エネルゴンは湧き出ることなく枯渇してしまいました。

サイバトロンの都市アイアコン。記録保管所の書庫に忍び込み、この「マトリクス伝説」を盗み見ていた採掘ロボットのオライオンパックス(のちのオプティマスプライム)。

サイバトロンの危機に、たった一人で異星人クインテッサの侵略を退けたとされるヒーロー、センチネルプライムに憧れ、地上に出てマトリクスを探す彼の手伝いがしたいと思っていました。

そのため、マトリクスを見つける手がかりがないかと古いデータを探していたのです。

しかし立ち入りを禁じられている書庫への侵入がバレてしまったオライオンパックスは、駆けつけた警備ロボットとの逃走劇を繰り広げていきます。逃走劇の末、追い詰められたオライオンパックスを救ってくれたのは、彼の親友D-16でした。

オライオンパックスとD-16ら採掘ロボットは、変形能力を持っていません。それ故に、変形能力を持つ採掘ロボットの監督役ダークウィングらトランスフォーマーからいつも馬鹿にされていました。

ときに無鉄砲でルールに縛られない性格のオライオンパックスと、正義感にあふれ仲間想いなD-16。不完全なお互いをかばい合い、気の合った掛け合いと友情のグータッチを交わして、共に採掘ロボットとして働いていました。

そんなある日、地上から帰還したセンチネルプライムが、変形能力を持つトランスフォーマーたちが街を駆け巡るレース「アイアコン5000」の開催を宣言。

優勝しなくとも誰か一人にでも勝つことができれば、不可能を成し遂げたとして歴史に残り、自分たちの能力を示すことができると考えたオライオンパックスは、親友を巻き込んでレースに飛び入り参加します。

採掘仲間がレースに出ていると沸き立つ採掘ロボットたち。主催者のセンチネルプライムも、史上初の快挙を成し遂げるかも知れないと彼らに期待を寄せていました。

激戦の末、オライオンパックスたちは健闘虚しく、あと一歩のところで優勝を逃してしまいました。

降格を覚悟した2人でしたが、センチネルプライムは彼らの勇気ある行動によって、レース後の採掘ロボットたちの作業効率が大きく上昇したとしたとして褒めたたえ、自身の修理ポッドでの修理という褒美を与えます。

ですがセンチネルプライムと入れ違いできたダークウィングによって、2人は最下層のレベル40よりもさらに下、溶鉱炉があるレベル50の地下に閉じ込められてしまいました。

そこで彼らは、永遠に近い昔から、搬送ベルトから落ちてきたスクラップの選別を行っている焼却ゴミの監視係をしている黄色のトランスフォーマー、B-127(のちのバンブルビー)と出会います。

さらに2人は、ずっと孤独だったB-127の話し相手となっていた廃棄ロボットから、謎のSOS信号をキャッチ。

「クインテッサの襲撃だ。親衛隊に連絡し援軍を」「ゼータプライムは倒された。マトリクスを守れ、現在位置を送信する」

その場所はプライムたちが戦死した場所、そこに行けばマトリクスが見つかるかもしれないと考えたオライオンパックスは、D-16とB-127と一緒に地上にまで行ける廃棄物運搬列車に忍び込みます。

そこには、オライオンパックスのしでかしたヘマで廃棄管理部にとばされた元エネルゴン採掘チームの女性リーダー、エリータの姿が……。

エリータはオライオンパックスへの恨みゆえに、最初は彼の話に聞く耳を持ちませんでした。

しかし彼らに巻き込まれる形で廃棄物運搬列車で地上に出た後、美しい地上の光景を見て冷静さを取り戻し、彼らの話を聞いて協力することに……。

すると背後から、成長し続ける巨大な鉱脈が迫ってきて、4人は成すすべなく廃棄物運搬列車から振り落とされてしまったのです。

何かを探しているクインテッサの船に見つからないように、SOSの信号の座標へ向かう4人。

不思議な形をした洞窟の中で、D-16が憧れるプライムの1人メガトロナスプライムや、ゼータプライムたちの遺体を発見。

さらに動力は切れているものの、トランスフォーマーの魂「スパーク」は消えていないアルファトライオンを発見。SOSのメッセージを残したプライムの1人です。

オライオンパックスたちによって再起動したアルファトライオンは、センチネルはプライムではないと否定。自分が見た真実を話します。

以下、『トランスフォーマー/ONE』ネタバレ・結末の記載がございます。『トランスフォーマー/ONE』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

「数千サイクルの間、トランスフォーマーの最大の敵クインテッサとの激しい戦いが続いた」「プライムの補佐官センチネルが敵の通信を傍受し、クインテッサの司令官が極秘に集まると判明」「奴らを倒せばこの戦争は終わる。そのため我々プライムは自ら出動したのだ」

「センチネルとこの洞窟で合流するはずだった」「しかし奴らも来た」「形勢は不利だが力を合わせ、勝利は目前だった」「しかし裏切り者が出た」

「だがセンチネルは、自分が求める大いなる力のことを理解していなかった」「マトリクスのパワーを得られるのは、プライマスが認めた者だけ」

センチネルがそれを手に入れることができなかったのは、それにふさわしい者ではなかったということ。

センチネルがプライムたちを裏切った理由は、大いなる力を得るために、サイバトロンの新しい支配者であるクインテッサと取引をしたからです。

その証拠に、5人が見ている前で、センチネルがクインテッサに大量の汚染廃棄物を渡していました。

汚染廃棄物の中身は、エネルゴン。権力に目がくらんだセンチネルはプライムたちを裏切っただけでなく、オライオンパックスたちを騙してこき使い、採掘したエネルゴンをクインテッサに渡していたのです。

さらにアルファトライオンの推測によると、センチネルはエネルゴンの採掘のために、採掘ロボットが起動する前に、彼らの変形能力を故意に取り除いたという……。

アルファトライオンは、「トランスフォーマーの真価を決めるのは変形能力ではなく、コアの中にある、世界をよくしようという意志の輝き(スパーク)だ」と言いました。

アルファトライオンの力によって、プライマ・オニキス・アルケミスト・マイクロナスという4人の気高き戦士の忠誠心と強さ、4人の個性ある力を高めた変形能力が、オライオンパックスたちに与えられます。

そのことが敵に知られたと気づいたアルファトライオンは獣に変形し、やって来た敵の注意をひきつけるための囮となり、彼らを逃がしました。

変形能力を手に入れたものの、どうすれば変形できるのか知らないオライオンパックスたちは、四苦八苦しながら何とかトランスフォームし、追ってきた敵を撃退。

しかし新しい力を手に入れたことで、オライオンパックスとD-16の正義感にズレが………。

その後、アルファトライオンはセンチネルに、オライオンパックスたちは伝説のサイバトロン戦士スタースクリーム率いるサイバトロンの親衛隊に捕まってしまいました。

彼らもセンチネルの裏切りを見て、それ以来身を隠して彼を妨害しているのです。

そうと知ったオライオンパックスは、みんなで団結してセンチネルを倒そうと協力を持ちかけます。

一方D-16は、今すぐに裏切り者のセンチネルに報いを与えたいと言い、スタースクリームを力でねじ伏せ、その場にいる者全員に決断を迫りました。

スタースクリームに従ってここで隠れ続けるか、自分と一緒にアイアコンへ向かい、センチネルの息の根を止めてやるかを……。

とそこへ、センチネルの腹心である蜘蛛型のトランスフォーマー・エアラクニッド率いる、センチネルの手下たちが襲来。

オライオンパックスとエリータ以外、D-16もB-127も、親衛隊も半数が彼らの捕虜となってしまいました。センチネルの裏切りを映した証拠のデータも破壊されてしまいました。

それをエリータから聞いたオライオンパックスは、D-16の言うとおり、自分が規則を破ったからこんなことになったのだと落ち込みます。

するとエリータからこう言われました。「ジャズ(オライオンパックスの同僚の採掘ロボット)を救うために坑道に戻ったり、マトリクスを探すために地上に出たりと、お前は理由があって直感的に規則を破ったのよ」

「無謀なまでに楽観的だからこそ、大胆で勇気ある決断ができる。誰にも想像できないようないい未来が見えてる」「2人と再会したいなら、そんなお前が必要なの」

オライオンパックスは、街に戻る列車の乗っ取りと、仲間を増やすことを思いつきます。そのためにまず、残った親衛隊の幹部ショックウェーブとサウンドウェーブら親衛隊の半数を説得し仲間にしました。

オライオンパックスは単身、アイアコンに戻り、ジャズたち採掘ロボットに真実を伝えました。

そして彼らに、一生採掘ロボットとして過酷なシフトをこなし死ぬまで働くか、自分と一緒にセンチネルと戦うか決断を迫ります。

証拠である記録を見ずとも彼の言葉を信じたジャズたちは、彼の言葉で奮起し、彼と一緒にセンチネルと戦うことを選びました。

一方センチネルは、真実を知ったD-16たちを意に介さないどころか、彼らこそがクインテッサと手を組んだ裏切り者として処刑しようと考えていました。

さらにセンチネルは、自分に盾つくD-16のメガトロナスプライムへの憧れを侮辱し、彼が親友から貰ったメガトロナスプライムのシールを一度ボディーから剥がしては、二度と剝がれないようにとドリルを使って直接ボディーに刻んだのです。

それでもD-16は、センチネルに屈さず再び立ち上がりました。

センチネルが彼に攻撃しようとした瞬間、エリータと親衛隊が乗っ取った列車が、センチネルたちがいるタワーの最上部に接近。奇襲攻撃を仕掛けるのです。

さらにそこへ、オライオンパックスが仲間を引き連れて加勢します。そしてエリータたちがいる列車の運転席に乗り込み、列車ごとタワーに突入しました。

サウンドウェーブの音波を操る攻撃で、D-16たち捕虜を救出。オライオンパックスたちはセンチネルとその手下たちと激闘を繰り広げていきます。

しかし偽りの王とはいえ、センチネルと、新しい力を手に入れたばかりのオライオンパックスたちとではやはり戦力差が………。

オライオンパックスたちはまず、すべてを見ることができる無数の目を持つエアラクニッドを捕獲してメモリーを奪うことに。ちょうどエアラクニッドに捕まったエリータが戦い、捕まえました。

新しい力に興奮したB-127は、アイアコンの放送局で大暴れ。オライオンパックスたちはそのことを注意しつつ、エアラクニッドのメモリーを介してアイアコンにいるすべてのトランスフォーマーへメッセージを送ります。

D-16と戦っている、今のセンチネルの姿を。センチネル自ら、自分がみんなの変形能力を奪い、王のように暮らしたことを告白していることを。

センチネルが、みんなに過酷な労働を強いて採掘したエネルゴンを、クインテッサに渡した時の映像も。

自分の悪事が暴露され、自分の裏切りに憤慨するみんなを見て、動揺するセンチネル。その一瞬の隙を、彼と対峙していたD-16は見逃しませんでした。

D-16の奇襲攻撃により、一部パーツが破損して劣勢になったセンチネル。D-16は命乞いをする彼に止めを刺そうとしますが、オライオンパックスに止められます。

センチネルを殺してもアイアコンは再建できない、センチネルと同じになるなと説得するオライオンパックスでしたが、D-16の怒りは収まらず聞く耳をもってくれません。

D-16は、右腕に装着したレーザー砲「融合カノン砲」をセンチネルに向けて発砲。しかし被弾したのは、間に入ったオライオンパックスでした。

オライオンパックスは融合カノン砲によって、胴体の大部分を欠損。そのまま暗いそこへ落ちそうになった彼の手を、D-16は咄嗟につかみました。

D-16は、なぜこんなバカなことを、なぜ自分の邪魔をしたのかとオライオンパックスにいいます。

苦悶の顔を浮かべ、俯いたD-16が次に顔をあげた時は、彼の目は邪悪な赤に染まっていました。そして「お前を助けない」と言って、オライオンパックスの手を放しました。

D-16は立ちはだかる敵をなぎ倒し、逃げようとするセンチネルを捕まえ、真っ二つに引き裂いて殺します。

そしてセンチネルが奪ったメガトロナスプライムの力を取り戻し、D-16は皆にこう叫びました。

「プライムたちの時代は終わった。偽の預言者は消えた」「俺に続け、二度と騙されることはない」「立ち上がれ!」

その頃、地の底へと落ちていったオライオンパックス。そんな彼のもとに、センチネルによって命を落としたアルファトライオンたちプライムの魂が現れます。

そしてプライムたちは、大義のために犠牲となり、プライマスに真価を証明した彼にマトリクスを与え、サイバトロンの未来を委ねました。

マトリクスを手に入れたオライオンパックスは新たなプライム、オプティマスプライムとして、メガトロナスプライムの力を取り込んだD-16は破壊大帝メガトロンとしてそれぞれ同時に目覚めます。

そして固い友情で結ばれた親友であった2人は、完全に袂を分かち、敵として相まみえることに。

激闘の末、オプティマスプライムはメガトロンとの戦いの最中に左腕に装着された斧で、彼の融合カノン砲を一刀両断しました。

オプティマスプライムは、かつての親友にこう言いました。

「世界を変える力を、お前は破壊に使った」「センチネルと同じで、サイバトロンを裏切ったんだ。そして俺のことも」

そして立ち上がったメガトロンと正面から向き合い、スタースクリームら親衛隊ともどもアイアコンからの追放を告げるのです。

メガトロンは、「まだ終わりじゃないぞ、プライム」と悔しそうに言い、戦車にトランスフォーム。それぞれ乗り物に変形した親衛隊を連れて立ち去っていきました。

去っていく彼の姿を眺めていたオプティマスプライムは、彼と初めて出会った時のことを思い出します。

これから採掘ロボットとして働くことになったあの日、彼に「俺のことを守ってくれ。俺もお前の味方になる」と言って、初めて友情のグータッチを交わしたことを。

新しいサイバトロンのリーダーとなったオプティマスプライムは、仲間のエリータを司令官に、B-127を自身の右腕として昇進させます。そしてマトリクスの力をサイバトロン中に流し、ジャズたちに変形能力を与えました。

こうして彼らは1つになり、みんなトランスフォームできるようになりました。オプティマスプライムはこう思いました。「自分の運命に従い、悪を正しよりよい世界を作れる」

「ここではすべての者が自由と自立の権利を持つ」「ここでは誰もが、“自立したロボット(オートボット)”なのだ」と。

そのオートボットのリーダーとして、みんなを導くことになったオプティマスプライムはこう宣言します。

「クインテッサどもに警告する」「サイバトロンに戻ったら、我々オートボットが相手になる」「私はオプティマスプライム」だと………。

映画『トランスフォーマー/ONE』の感想と評価

作中のオライオンパックスは、ときに無鉄砲で、理由によっては決められた規則を破る危なっかしい性格。対して、正義感にあふれるD-16は、オライオンパックスが起こす厄介ごとに巻き込まれても、なんだかんだ言いつつ彼を助けてくれる仲間想いな性格。

互いに変形能力を持たず、不足しているところを補い合っている2人の姿は、こんな親友欲しいなと羨ましくなる気持ちになります。

視聴者も憧れるほど、固い友情で結ばれた2人の関係性に変化が生じたのは、センチネルの裏切りを知ってからでした。

それまでの仲がとても良い2人を見ていたからこそ、作中で徐々に2人の間に亀裂が生じていく様はとても切なくもどかしいさを感じます。

今まで信じて疑わなかったカリスマ性あふれるトランスフォーマーたちのヒーロー、センチネルの裏切りに対するオライオンパックスとD-16の正義感は違いました。

センチネルの裏切りを皆に知らせ、一致団結してセンチネルを倒そうとするオライオンパックス。

対してD-16は、自分たちを裏切り利用したことへの怒り、自分のヒーローを殺し侮辱したことへの怒り、センチネルをどう痛めつけて殺してやろうかという憎悪と怒りでいっぱいでした。

彼らの立場になって考えれば、どちらの気持ちも共感できます。ですがD-16の考えるとおりにしてしまったら、作中でオライオンパックスが言っていたように、センチネルと同じになってしまう……それはD-16だって分かっているはずです。

分かっていても止められない怒りがあるD-16は、ついに親友と袂を分かつ決心をしてしまいます。

2人で協力してトランスフォーマーの未来を築いていくこともできたのに……と、彼にいった時のオライオンパックスの悲しい表情、複雑で切ないです。

かけがえのない親友を失ったオライオンパックス改めオプティマスプライムですが、同時にともに新しい未来を築いていく親友が出来ました。B-127です。

物語が進んでいくにつれてシリアス要素が多くなっていく中、B-127は長く孤独でいた故にとてもおしゃべりで、おちゃめな性格。

エリータがB-127のおしゃべりにずっと付き合うより、恨みがあるオプティマスプライムの話を聞いて協力した方がマシと思えるほど。

サウンドウェーブとショックウェーブがオプティマスプライムたちを捕まえた時、B-127はテープで口を塞ぐ前より後の方がやかましいと辟易していたほどの、B-127のおしゃべりっぷりに視聴者を大いに笑わせてくれることでしょう。

まとめ

変形能力を持たないエネルゴン採掘ロボットのオライオンパックスたち4人の日常。SOSのメッセージの発信者であるプライムの1人、アルファトライオンが彼らに与えた新しい力。新しい力を得たと同時に知った、偽りの王センチネルの裏切り

それによって固い友情で結ばれていたオライオンパックスとD-16は、正義のトランスフォーマー・オプティマスプライムと、破壊大帝メガトロンとして敵対関係になってしまう、ワクワクドキドキハラハラする「トランスフォーマー」シリーズの始まりの物語でした。

作中でオプティマスプライムが言った、「友人と敵との境界性は思っていた以上にあいまいだ。その線を越えたら二度と戻れない」「永遠に変わったままになるものもある」というセリフが、メガトロンと敵になってしまった時の彼の心情を現していてとても印象的でした。

エンドロール前。話し相手だった古いロボットたちに、変形能力と戦う武器を手に入れたことを嬉しそうに報告するも、両腕に装着されたソードで2体のロボットを破壊してしまい、嘆くB-127の姿が描かれていました。

対してエンドロール後。オプティマスプライムと袂を分かち敵となったメガトロンは、自分に付き従うスタースクリームたちのボディーに自分と同じマークを刻みました。

そして彼らにこう言いました。「裏切り者のセンチネルは死んだ」「彼の死により、新たな敵が生まれた。より強く、憎らしき敵だ」

「我々は奴の欺瞞(ディセプション)にだまされない」「我々はこう名乗る。“ディセプティコン”!立ち上がれ!」



関連記事

アクション映画

韓国映画『ムルゲ/王朝の怪物』ネタバレあらすじと感想。実話の朝廷陰謀論にモンスターパニックを織り交ぜた時代劇

映画『ムルゲ/王朝の怪物』は2020年3月13日より公開。 都を脅かす存在となった「物怪」と、最強の武人との戦いを描いた映画『ムルゲ/王朝の怪物』。 韓国版ドラマ『白い巨塔』など、多くの映像作品に出演 …

アクション映画

イラン映画おすすめ『ダマスカス』あらすじと感想レビュー。戦争アクション作品で描かれたものは⁈

世界各国から集めた選りすぐりの危険な映画たち。個性的かつハイクオリティ・スリリングな5作品が一挙上映と、挑発的な宣伝文句で公開された特集上映。 「モースト・デンジャラス・シネマ・グランプリ2018[M …

アクション映画

『ディヴァイン・フューリー/使者』ネタバレ考察と見どころ解説。ホラー映画として新たる悪魔祓いをテーマにした新感覚アクション!

神の存在を信じない男が、悪魔に闘いを挑むアクション映画 幼少期の辛い経験から、神の存在を信じなくなった男が、神父と悪魔の争いに巻き込まれる、映画『ディヴァイン・フューリー/使者』。 キム・ジュファン監 …

アクション映画

映画『続 荒野の用心棒』あらすじネタバレと感想。棺桶を背負うガンマンの生き様を描く

様々な映画監督に影響を与えたマカロニウエスタンのカルト人気作品 様々な映画監督に影響を与え、未だカルト的人気が尽きないマカロニウエスタン全盛期の秀作、セルジオ・コルブッチによる 映画『続・荒野の用心棒 …

アクション映画

映画『ローグ』あらすじ感想評価と内容解説。結末までライオンとミーガンフォックスのガンアクションが見どころ!

映画『ローグ』は2021年5月7日(金)より全国順次公開予定。 人質救出作戦に挑む傭兵部隊。ギャングの魔の手から逃れるべく奮闘する彼らには、もう一つの追っ手が迫っていた…! ギャングの人質解放を試みる …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学