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Entry 2020/03/24
Update

韓国映画『ムルゲ/王朝の怪物』ネタバレあらすじと感想。実話の朝廷陰謀論にモンスターパニックを織り交ぜた時代劇

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

映画『ムルゲ/王朝の怪物』は2020年3月13日より公開。

都を脅かす存在となった「物怪」と、最強の武人との戦いを描いた映画『ムルゲ/王朝の怪物』。

韓国版ドラマ『白い巨塔』など、多くの映像作品に出演し「出演作に外れ無し」と呼ばれる実力派俳優キム・ミョンミンが、かつて政争により朝廷から追放された最強の武人に扮しました。

「朝鮮王朝実録」の一節をもとに、監督のホ・ジョンホが、独特の世界観で「物怪(ムルゲ)」との戦いを描いた映画『ムルゲ/王朝の怪物』をご紹介します。

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映画『ムルゲ/王朝の怪物』の作品情報


(C)2018 CINEGURU KIDARIENT & TAEWON ENTERTAINMENT.All Rights Reserved.

【日本公開】
2020年(韓国映画)

【原題】
Monstrum

【監督・脚本】
ホ・ジョンホ

【キャスト】
キム・ミョンミン、チェ・ウシク、イ・ヘリ、キム・イングォン、パク・ソンウン、パク・ヒスン、イ・ギョンヨン

【作品概要】
1527年の朝鮮半島を舞台に、朝廷内のクーデターと正体不明の怪物、2つの戦いに挑む武人ユン・ギョムの姿を描いたモンスター・アクション。主演は、韓国版のドラマ『白い巨塔』など、多くの映像作品に出演し「出演作に外れ無し」と呼ばれる実力派俳優、キム・ミョンミン。

共演は、2016年に韓国歴代視聴率No.1を記録した『恋のスケッチ ~応答せよ1988~』でヒロインに抜擢されたイ・ヘリに加え、新米の宮廷の役人ホ宣伝官を、世界で高い評価を得た『パラサイト 半地下の家族』でギウ役に抜擢された事でも知られる、チェ・ウシクが演じています。

映画『ムルゲ/王朝の怪物』のあらすじ


(C)2018 CINEGURU KIDARIENT & TAEWON ENTERTAINMENT.All Rights Reserved.

朝鮮・中宗22年(1527年)。都では謎の疫病が蔓延し、人々は不安を抱えながら生活をしていました。

疫病の根源は、宮廷の背後にそびえる仁王山(イナンサン)に現れる「物怪(ムルゲ)」であるという噂も飛び交います。

国の民が混乱状態である事に、心を痛める11代中宗王。さらに、中宗王の腹心であるはずの領議政役が、この混乱に乗じて権力を掌握しようとしていました。

人里離れた山奥で、ひっそりと暮らすユン・ギョム。ユン・ ギョムは、娘のミョンと、自身を「兄貴」と慕う、お調子者のソン・ハンと3人で、猟師として自給自足の生活を送っていました。

ある時、庭の作物を収穫していたミョンは、自分の家を覗く怪しげな男に気付きます。男は宮廷から使いとして現れたホ宣伝官で、「かつて、王直属の軍隊の長官で、最強の武人と呼ばれたユン・ギョムに用がある」とミョンに伝えました。

山奥で冴えない暮らしをしているユン・ギョムが最強の武人であった事を信じないミョンですが、ユン・ギョムの家を中宗王が直々に訪ねて来ます。

中宗王が語る、ユン・ギョムの過去。

ユン・ ギョムは、疫病に苦しむ村から助け出した幼い娘を宮廷に連れ帰りますが、感染を恐れた役人により「娘を殺せ」と命令されます。ですが、ユン・ギョムは、この命令を無視した為、宮廷から追い出される事になりました。

ユン・ギョムは「幼い命1つ守れないなら、意味が無い」と、武人の証である剣を置いて宮廷を去り、彼の部下でナンバー2の強さを誇る武人だったソン・ハンも、共に宮廷を後にしたのです。

その後、山小屋に身を潜めたユン・ギョムが、自分の娘のように育てたのがミョンでした。

国に広まる「物怪」の噂の裏に領議政役の陰謀が絡んでいる事を悟った中宗王は、ユン・ギョムの力を借りに来ました。悩んだ末、ユン・ギョムはソン・ハン、ミョンと共に都へ戻り、「物怪」と朝廷の陰謀から中宗王を救う事を決意します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ムルゲ/王朝の怪物』ネタバレ・結末の記載がございます。『ムルゲ/王朝の怪物』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2019 Schonne Film IVS

都に戻ったユン・ ギョムは、「物怪」に襲われた犠牲者達の死体を調査。

その結果、「物怪」に襲われた犠牲者には、襲われた後に疫病が発症して命を落とした者と、明らかに刃物で切られた者の2つの特徴がある事が分かり、「物怪」騒動に便乗した人為的な物をユン・ギョムは感じます。

中宗王は、「物怪」が潜むと言われる仁王山に兵を出し、捜索する事を決めます。領議政役は、自身の部下であるジンの部隊に捜索させようとしますが、中宗王は「捜索隊の隊長」として、ユン・ギョムを宮廷内に呼び寄せます。

ユン・ギョムとジンの部隊で仁王山を捜索する事になりますが、ジンは強引に都の民を捜索隊として招集。

仁王山の捜索が開始された初日の夜、捜索隊として参加した老人が山奥に消えて行く所を目撃したソン・ハンは、老人を追いかけます。すると、老人の姿は消え、深く暗い谷が出現しました。

ソン・ハンは、後を追ってきたユン・ギョムとミョンと共に、谷底を調査しようとします。

一方、部下に命じて、捜索隊に参加した民達を次々と切り捨てていくジン。彼の目的は、捜索隊が全員「物怪」によって命を奪われたように見せ、計画が失敗した中宗王を失墜させ、領議政役に全ての権力を集中させる事でした。

ジンは、谷底を調査しようとしたユン・ギョム達にも襲いかかりますが、かつて朝廷最強の武人と呼ばれたユン・ギョムは手強く、ジンの部下は次々と倒されます。

ですが、ジンの罠にかかり、ユン・ギョムとソン・ハンは捕らえられ、ミョンとホ宣伝官は谷底に落とされます。

騒ぎを聞きつけてか、谷底で眠っていた「物怪」が目覚め、姿を現し、ジンの部隊に襲いかかります。

その隙をついて、ユン・ギョムとソン・ハンは谷底に落ちたミョンとホ宣伝官を救出しますが、「物怪」が谷底に帰って来ます。

ユン・ギョム達は、いきなり谷底へ現れた老人に「『物怪』は音に敏感である事」「『物怪』のよだれを体に塗れば、匂いも消える」事を聞き、命からがら逃げ出しますが、「物怪」が追いかけて来ていました。

一方、「物怪」から逃げ出したジンに「物怪」が実在する事を聞かされた領議政役は、都に火を放ち、民をさらに混乱させ、中宗王を失権させる事を企てます。

ユン・ギョム達が辿り着いたのは宮廷に繋がる水路で、そこには「調隼坊(じょじゅんばん)」と呼ばれる大きな小屋がありました。

老人には、珍獣を好んだ先代の国王「燕山君」に仕えていた過去があり、「物怪」となってしまった動物も「調隼坊」で老人が世話をしていました。しかし、国内でクーデターが発生し、逃げ出した動物は疫病にかかった人間を食べた事で、恐ろしい怪物となってしまいました。

過去を語り終えた老人は「調隼坊」に現れた「物怪」により、命を落とします。

中宗王の身の危険を感じたユン・ギョムは、宮廷に向かいますが、すでに領議政役のクーデターが起きていました。

ユン・ギョムが中宗王と共にジンの兵に包囲されたところに、「物怪」が出現。

混乱に乗じて中宗王を外に連れ出したユン・ギョムは、「物怪」を退治する為、ソン・ハンとホ宣伝官に宮廷内の爆薬を集めるように指示を出します。

「物怪」は宮廷内を暴れ回り、ジンや領議政役に襲いかかります。

ソン・ハンとホ宣伝官は、過去に「物怪」が育てられた「調隼坊」に爆薬を塗り、その間、ユン・ ギョムは時間稼ぎの為に「物怪」を引きつけます。

準備が完了した事を、ョンから聞いたユン・ギョムは、「調隼坊」の中に「物怪」をおびき寄せますが、点火した爆薬の火が消えてしまいました。

ユン・ギョムは、ソン・ハンとホ宣伝官にミョンを託し、爆薬に点火して「物怪」を「調隼坊」ごと吹き飛ばします。

「調隼坊」の瓦礫の中でユン・ギョムの死を悲しむミョンでしたが、ユン・ギョムは生きていました。爆発する直前に、ユン・ギョムは小屋の中にあったロープに捕まり、脱出していたのです。

「物怪」騒動の3年後、しばらく宮廷で働いていたユン・ギョムとソン・ハンは、山奥での暮らしに戻る事を決意します。

山道を歩く2人を、ミョンとホ宣伝官は見送るのでした。

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映画『ムルゲ/王朝の怪物』感想と評価


(C)2018 CINEGURU KIDARIENT & TAEWON ENTERTAINMENT.All Rights Reserved.

都を脅かす「物怪」と、最強の武人、ユン・ギョムとの戦いを描いた『ムルゲ/王朝の怪物』。

本作は「物怪」との戦いを描いたモンスターパニック映画に、朝廷を揺るがす陰謀を加えた、一風変わった作品となっています。

物語の序盤は、朝廷の全権力の掌握を目論む領議政役の陰謀が中心。序盤では「物怪」の存在をハッキリと表現する場面は無く、一連の事件を調査するユン・ギョムの目線で、物語が進行します。

「物怪」の混乱に乗じて、自身が朝廷の権力を掌握しようとする領議政役と、陰謀から中宗王を守ろうとするユン・ギョムとの攻防戦が、物語の軸となります。

ここまでモンスターパニック映画としては異色の展開ですが、物語中盤では「物怪」がその姿を現します。

「物怪」が登場して以降は、「『物怪』との戦い」と「領議政役のクーデターの阻止」という2つの物語が同時進行していき、クライマックスでは2つが交じり合う展開となります。

時代劇ならではの剣術アクションと、一筋縄ではいかない「物怪」との死闘を描いたSF要素が入り混じった、独特の展開となっています。

かなり個性的な作品ですが、監督のホ・ジョンホは「朝鮮王朝実録」の短い一節から、本作の構想を得た事を明かしています。

「朝鮮王朝実録」には、「中宗の治世中に『物怪』が現れ、宮殿中が混乱に陥り、王が居城からの退去を余儀なくされた」という一節がありました。

この「物怪」が、何の事かは不明ですが、作中に登場した領議政役は自身の野望の為に多くの民の命も平気で犠牲にする「物怪」と呼べる人物です。または疫病を「物怪」と表現したのかもしれません。

「朝鮮王朝実録」には、第10代国王の燕山君が実際に珍獣を収集しており、作中に登場した珍獣を閉じ込めていた小屋「調隼坊」も実在していた事が記されています。

なので、本当に正真正銘の「物怪」が現れたのかもしれません。

ホ・ジョンホは、想像力を膨らませ時代劇にモンスターの要素を加えるという、唯一無二の作品を生み出しました。

まとめ


(C)2018 CINEGURU KIDARIENT & TAEWON ENTERTAINMENT.All Rights Reserved.

『ムルゲ/王朝の怪物』は、登場人物も個性的となっており、主人公のユン・ギョムは最初は冴えない雰囲気で登場しますが「実は最強の武人だった」という、漫画のようなバックボーンを持つキャラクターとなっています。

敵役の領議政役は、「物怪」に民衆を襲わせようとした挙句、最後は自分が襲われるなど、モンスター系の映画ではお馴染みのお約束の展開も、しっかりと入っています。

これに加え、ユン・ギョムに娘のように育てられたミョンとホ宣伝官のラブストーリーも入っており、本作はエンターテイメント作品としてはてんこ盛りの内容となっていますよ。

映画『ムルゲ/王朝の怪物』は2020年3月13日よりロードショーです。


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