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007トゥモロー・ネバー・ダイ|ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ジョブズをイメージする敵の野望をボンドが阻止する第18作

  • Writer :
  • 秋國まゆ

大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第18作!

ロジャー・スポティスウッドが監督を務めた、1997年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』。

「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが中国の女性スパイと手を組み、世界の情報を操作し第三次世界大戦を誘発させようと画策するメディア王に挑む姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。

ピアース・ブロスナンが5代目ジェームズ・ボンド役を務めた2作目である、「007」シリーズ第18作目『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』の作品情報


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

【公開】
1998年(イギリス・アメリカ合作映画)

【原作】
イアン・フレミング

【監督】
ロジャー・スポティスウッド

【キャスト】
ピアース・ブロスナン、ジョナサン・プライス、ミシェル・ヨー、テリー・ハッチャー、リッキー・ジェイ、ゲッツ・オットー、ジュディ・デンチ、デスモンド・リュウェリン、サマンサ・ボンド、サマンサ・ボンド、ジョー・ドン・ベイカー、コリン・サーモン、ジェラルド・バトラー、ブルース・アレキサンダー、ジョフレー・パーマー、ジュリアン・フェロウズ、テレンス・リグビー、コリン・スティントン、セシリア・トムセン、フィリップ・コク、マイケル・バーン

【作品概要】
『48時間』(1982)の脚本担当の1人、ロジャー・スポティスウッドが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。

原作であるイギリスのスパイ小説・冒険小説家のイアン・フレミングの小説をもとに描いた、「007」シリーズ第18作目です。

前作『007/ゴールデンアイ』(1995)に引き続き、アメリカのテレビドラマシリーズ「探偵レミルトン・スティール」(1982~1987)で人気を博したピアース・ブロスナンが、5代目ジェームズ・ボンド役を務めています。

映画『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のあらすじとネタバレ


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

英国情報局秘密情報部「MI6」はロシア当局と合同で、ロシア国境におけるテロリストの武器取引所を調査していました。

現場に潜入した「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが撮影した映像から、チリ製の地雷やドイツ製の爆薬、ガトリング砲などの大量の武器と2人のテロリストが集まっていることが確認できました。

そのテロリストたちの顔を照合した結果、東京の地下鉄事件に関与した化学専門の日本人テロリストサトシ・イサグラと、ハイテク・テロの草分けをしている米国人テロリストヘンリー・グプタであることが判明。

彼らが米軍のトップ・シークレットである「座標確認衛星システム(以後、GPS暗号機と表記)」を持っていることも確認したMI6は、ロシア当局の合意を得て、武器取引現場を破壊するべく、英国海軍の攻撃艦「チェスター」から巡航ミサイルを発射します。

そのためボンドには退避命令が出されるのですが、一向に退避しようとしません。それを不審に思ったMI6の部長であるMが映像を注視してみると、商品の中に旧ソ連製の各魚雷が入っていたのを発見。

Mと共に指揮所で事態解決に当たる英国海軍の提督ローバックは、チェスターの艦長にすぐさま巡航ミサイルを自爆させるよう命じますが、母艦からの距離があるため自爆操作できません。

このまま巡航ミサイルが命中すれば、放射性元素の1つであるプルトニウムが拡散され、チェルノブイリ原子力発電所事故など目じゃないほどの大惨事となってしまいます。

Mたちはボンドに再度退避命令を出すものの、ボンドはこれを無視し、核魚雷を搭載した戦闘機を奪い飛び去りました。

ボンドのおかげで、チェルノブイリ原子力発電所事故以上の核汚染は阻止されました。しかしその代償として、GPS暗号機を手にしたグプタの逃亡を許してしまったのです。

その後、南シナ海にある中国沿岸の公海上を航行していた英国海軍の23型フリゲート「デヴォンシャー」が、突如現れた中国人民解放軍(世界最大の中国空軍のこと)のMiG戦闘機から「中国領海を侵犯している。今すぐ針路を変えなければ攻撃する」と警告を受けます。

これに対しデヴォンシャーの艦長は、「ここは公海上だ、反撃辞さず」と返電しました。

ですが中国人民解放軍のMiG戦闘機は、「ここは中国沖の18キロ地点だ」と言い、「デヴォンシャー」に再度接近。そのタイミングを見計らっていたかのように、レーダー探知不能の謎のステルス艦から魚雷が発射されました。

しかしその魚雷は何故か爆発せず、水中カッターによってデヴォンシャーの発電機3基と船尾が破壊されました。

デヴォンシャーが沈没した直後、中国人民解放軍のMiG戦闘機もステルス艦からの攻撃を受け撃墜されてしまいました。

さらにステルス艦の乗組員たちは、脱出したデヴォンシャーの乗組員たちを助けず、銃を使って容赦なく皆殺しにしたのです。

その後、Mとローバック、英国の防衛大臣がいる英国海軍本部は、デヴォンシャーから艦の位置情報と共に、「公海上で中国人民解放軍のMiG攻撃機の魚雷攻撃を受け、沈没中だ」という電報を受けました。

そしてシンガポールにある軍事基地から、デヴォンシャーと中国人民解放軍のMiG攻撃機が攻撃されたのと同時刻に、不審な電波をキャッチしたとの情報を入手。

これを受け、英国海軍とMI6、英国の防衛大臣はその不審な電波が沈没座標を攪乱させたと推測。ですが、肝心のその電波の発信場所がまだ特定できていません。

そのためローバックは、すぐさま艦隊を出動させ報復措置をとろうとします。それに待ったをかけたのはMでした。

事実確認しないまま艦隊を出動させてしまえば、第三次世界大戦を誘発してしまう恐れがあるからです。するとそこへ、デンマークから帰還したボンドが登場。

まだマスコミに公表していないにもかかわらず、彼が持ってきた英国の新聞には「英国海軍の艦は、中国人民解放軍のMiG攻撃機の攻撃を受け沈没。生存者の17名は惨い犠牲者」、「回収された遺体からは、中国人民解放軍が用いる弾丸が摘出された」と掲載されていました。

これを受け、英国の国防大臣はMに、英国海軍の艦隊出動を48時間保留にする代わりに、その時間内に電波の発信場所を突き止めるよう命じます。

その後、MI6が電波の発信場所を調べた結果、デヴォンシャー沈没事件を掲載した英国の新聞「トゥモロー紙」をはじめ、放送事業や雑誌など幅広くメディア事業を展開する「カーヴァー・メディア・インターナショナル」という会社の放送衛生だったことが判明。

ですが、その社長であるエリオット・カーヴァーはメディアの帝王と呼ばれ、政府を転覆させるほどの力を持っていたため、軽々しく彼の名を公表することはできません。

そのためMはボンドに、今夜ドイツ北部にある大きな港湾都市ハンブルクで開かれる、カーヴァーの全世界へ電波を送る新放送衛星の打ち上げ記念パーティーに出席するよう命じます。

それに付け加え、Mはボンドに「その放送権を拒否したのは中国だけだ」と伝えた上で、「デヴォンシャー」の針路を操作したのはカーヴァーなのか調査するよう命じました。


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

ハンブルクの空港に到着後、ボンドはレンタカー会社のカウンターで出迎えてくれたMI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQから、新しい「ボンドカー」こと新型BMW750を受け取りました。

ボンドカーには、マシンガンやロケット弾、GPS追尾システムなどの最新装備がついています。

さらにQは、指紋照合装置と2万ボルトの防犯ショッカー、車のリモコン操縦装置が搭載された携帯電話を手渡し、毎回のことながら「全て傷をつけることなくQ課に戻してほしい」と忠告しました。

以下、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』ネタバレ・結末の記載がございます。『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

その日の夜。ボンドはカーヴァー主催のパーティーに潜入し、銀行家を装って彼に接触しました。

するとそこへ、新華社通信のウェイ・リンが近づいてきたのです。彼女がカーヴァーの相手をしている隙に、ボンドは以前関係を持ったカーヴァーの妻パリスに接触します。

それに不信感を抱いたカーヴァーは、配下のドイツ人戦闘員スタンパーにボンドを尋問するよう命じます。

ボンドは警備員3人による尋問を受けたものの、華麗に撃退して会場の電源を切り、カーヴァーの演説を台無しにさせました。

これに激怒したカーヴァーは、パリスを差し向けてボンドを始末しようとしますが、それが逆に彼女のボンドへの愛を再熱させることになり失敗。

代わりに、エンジニアとして雇っているグプタにボンドの身分と、ボンドとパリスの会話を調べさせた結果、ボンドが身分を偽装した諜報員であること。

パリスがボンドの正体を知っていることが分かり、カーヴァーは自分を裏切った妻への怒りを抱きます。

翌日。パリスから、「(カーヴァー・メディア・インターナショナルのハンブルク本部ビルの)最上階に、秘密の研究室がある」という情報を得たボンドは、ハンブルグ本部ビルの屋上から最上階に侵入。

その研究室に設けられたグプタの部屋から、デヴォンシャーの針路攪乱に使われたGPS暗号機を奪います。

その場から立ち去ろうとした際、ボンドは部屋に侵入しようとしていたウェイ・リンと鉢合わせました。

侵入者に気づいた警備員たちに追われた末、ボンドたちはそれぞれ脱出しました。カーヴァーはボンドカーに乗って逃げるボンドに電話をかけ、今すぐホテルに戻るよう促します。

急いでホテルに戻ったボンドは、部屋でパリスの遺体を発見。カーヴァーの逆鱗に触れてしまったパリスは、彼に雇われた殺し屋のカウフマン博士によって殺されてしまったのです。

さらにボンド自身も、彼女との心中を装って殺すというのがカーヴァーの狙いでした。カウフマン博士は射撃の名手であると同時に、法医学の教授でもあるため、どこから撃っても自殺に偽装することができるからです。

その間、カウフマン博士の弟子であるスタンパーが、カーヴァーの部下たちと共にボンドカーを破壊し、その貴重品収納庫に隠されたGPS暗号機を回収しようとします。

ですが、ボンドカーには防弾ガラスに防弾ボディ、盗難防止装置などの特殊装備がフル活用されているため失敗。

車の開け方を教えろと脅してきたカウフマン博士の一瞬の隙を突いて、ボンドはQから貰った携帯電話を使って彼を倒しました。

ホテルの立体駐車場でのカーチェイスの末、ボンドはGPS暗号機と携帯電話を持って無事脱出しましたが、囮に使われたボンドカーは立体駐車場の屋上から向かいにあるエイビスの営業所に突っ込んでしまいました。

南シナ海にある米空軍基地。ボンドはCIAのエージェントであるジャック・ウェイドと、GPS専門の博士グリーンウォルトと合流。

グリーンウォルトが持つGPSシステムを使ってGPS暗号機を調べた結果、何者かがGPS暗号機に内蔵されたタイミング・チップを弄って、デヴォンジャーの針路を操作したことが判明。

さらにグリーンウォルトが故意にずらされた2つの円を重ね合わせ、正確な沈没場所を割り出した結果、デヴォンシャーは英国艦隊と中国艦隊に挟まれた南シナ海に沈没したことが判明しました。

ウェイドとグリーンウォルト、米空軍の支援を受け、ボンドは単身南シナ海へパラシュート降下し、針路錯乱の証拠を掴むべくデヴォンシャーの捜索に当たります。

ボンドは、南シナ海の海底に沈んでいたデヴォンシャーを発見。デヴォンシャーの喫水下には魚雷の爆発ではなくカッターで切り取られたような孔が開いており、船内のミサイル室からは巡航ミサイルが1発消えていたのです。

そこで再び、ボンドはデヴォンジャーを調べにきたウェイ・リンと鉢合わせます。やがてデヴォンシャーを支えていた岩場が重さに耐えきれず崩れ始めたため、2人は浮上しました。

しかしそこへ、スタンパー率いるカーヴァー一味が襲来。2人は捕らえられ、ベトナム・サイゴンにあるカーヴァー・メディア・インターナショナルの支局に連れていかれました。


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

そこで待っていたカーヴァーの口から、ウェイ・リンが中国外務局の公安部員であることが明かされます。カーヴァーはこの時、中国軍の将軍チャンと手を結んでいました。

そのカーヴァーのそばには、ボンドへの復讐に燃えるスタンパーの姿が。彼にとって、ボンドに殺されたカウフマン博士は尊敬する師であり、父親同然の存在だったからです。

カーヴァーに命じられ、スタンパーがカウフマン博士仕込みの古代拷問術で2人を痛めつけようとしたその瞬間、ボンドたちは反撃に転じます。

カーヴァーの顔が大きく描かれている会社の垂れ幕を使って脱出したボンドたちは、手錠で繋がっているため協力してバイクを運転し逃亡しました。

逃亡劇の末、何とかカーヴァー一味を退けたボンドたち。ボンドはウェイ・リンに捜査の協力を求めましたが、ウェイ・リンは単独捜査を続行するべく、自身のイヤリングを使って手錠を外しました。

ですがその直後、自身の隠れ家に戻ったウェイ・リンのもとにチャン将軍の部下たちが襲来。窮地に陥ったウェイ・リンをボンドが助けたことで、彼女はボンドと協力関係を結ぶことにしました。

ウェイ・リンがカーヴァーに接触したり、沈没したデヴォンシャーについて調べていたりした理由は、1年前にチャン将軍の基地から紛失したステルス艦の資材の行方を追っていたからです。

それを知ったボンドは、カーヴァーたちはデヴォンシャーを襲って巡航ミサイルを盗むために、基地から盗んだ資材を使ってステルス艦を作ったのだと推測しました。

さらにボンドは、「チャン将軍が会いにきたから予定を繰り上げねばならん」とカーヴァーが言っていたのは、ステルス艦を使って英国艦隊の近くへ接近し、中国に向けて盗んだ巡航ミサイルを発射することを言っているのだと気づきました。

そうなれば英国と中国間で戦争が勃発し、それを演出したカーヴァーが独占報道できるからだと………。

カーヴァーたちの目的に気づいたボンドたちは、ステルス艦は一夜のうちにデヴォンシャーに行って戻れる距離に隠されているはずだと踏んで、その位置を調べます。

その結果、「行方不明の漁船4隻、不審な溺死体3体」との報告があった、南シナ海のハーロン湾にステルス艦があることが判明。

その日の夕方。ボンドたちは英国艦隊と中国艦隊の間に潜り込もうとするステルス艦を発見。ステルス艦に潜入し、外板に爆弾を仕掛けます。

しかしその最中、カーヴァーたちにステルス艦に潜入したことがバレてしまい、ボンドの目の前でウェイ・リンが捕まってしまうのです。

一方、ボンドからの報告を受けたMたちは、カーヴァーがステルス艦を使って英中両国を手玉に取っていたことを知ります。

Mたちは中国側に確認をとった上で、ローバックにそのことを伝え、ハーロン湾に向かった英国海軍の23型フリゲート「ベッドフォード」の艦隊に、レーダーで探知できない船を探すよう命じてくれないかと進言しました。

英中両艦隊がステルス艦を捜索していることなど露知らず、カーヴァーはウェイ・リンに、チャン将軍と立てた計画を明かします。

まず、ステルス艦から中国艦隊に向けて巡航ミサイルを発射。英国艦隊からの攻撃だと思い込ませる。中国艦隊が報復に出た後、今度は英国が報復したように見せかけ、巡航ミサイルを北京に向けて発射させる。

チャン将軍は北京で首脳会議を招集するも、道路が渋滞していることを理由に遅刻。その間にミサイルで中国指導者を皆殺しにする。

激怒した中国軍は戦闘機を出撃させ、英国艦隊を海に沈める。これによって政権を握ったチャン将軍は、英国と和平調停を行い世界の英雄となる。

そしてカーヴァーは、チャン将軍が支配する戦後の中国での100年間のテレビ放映権を手に入れる。これこそ、カーヴァーたちの野望を叶える彼らの筋書きでした。

それを知ったボンドがグプタを人質に取ると、カーヴァーは巡航ミサイルの発射準備を済ませたことを確認した上で、用済みとなった彼を射殺しました。

その直後、ボンドはウェイ・リンのアジトで入手した腕時計「シーマスター ダイバー 300M(中国情報部が改良した特殊機能付き)」を使って、遠隔操作で爆弾を起爆させます。

これにより外板が破壊され、ステルス艦はレーダーで探知可能に。ステルス艦を捕捉したベッドフォードは、中国艦隊にステルス艦の情報を知らせます。

これに対し中国艦隊は、「我々もステルス艦を捕捉した。我々に敵対行為を見せるまで、貴艦に任せる」と返電しました。

ベッドフォードはステルス艦への砲撃を開始します。カーヴァーたちがそれに気をとられている隙に、ボンドと共にカーヴァー一味と銃撃戦を繰り広げていたウェイ・リンがエンジンを破壊。

ボンドはカーヴァーを追い詰め、ステルス艦に搭載されていた水中カッターを使って殺害しました。


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

スタンパーはウェイ・リンを人質に取って抵抗するも、彼女から雷管を受け取ったボンドは、デヴォンシャーから盗み出された巡航ミサイルに爆弾を仕掛けることに成功。

スタンパーもろとも巡航ミサイルとステルス艦を爆破し、海中に沈まされていたウェイ・リンを救い出しました。

ボンドからの報告を受けたMは、秘書のマネーペニーに「カーヴァーは南シナ海で自家用ヨットでクルーズ中、自殺した模様。地元警察はメディアの帝王が自殺したと伝えている」という声明文を出すよう命じました。

ボンドとウェイ・リンは熱いキスを交わしながら、ベッドフォードによる救助を待つのでした。

映画『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』の感想と評価


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

巨悪に立ち向かうボンドとウェイ・リン

ボンドがデヴォンシャー沈没事件を捜査するのと同時に、ウェイ・リンも1年前に中国の基地から紛失したステルスの資材の行方を追っていました。

2つの事件は一見、違う事件だと思いきや、己の野望のために結託したカーヴァーとチャン将軍が起こした1つの事件だったのです。

それが物語の後半で明らかとなった時、点と点が結んだその爽快感がたまりません。それを何度も修羅場を潜り抜けて辿り着いたボンドたちは凄いなと感嘆します。

ですが、ウェイ・リンは最初ボンドのことが信用できず、あくまで単独でこの事件を捜査をしようとしていました。

彼女のその考え方が変わったのは、チャン将軍の部下たちに襲われていたところをボンドが助けてくれたからです。

ボンドたちがチームとなって事件を捜査する前後で繰り広げられる壮絶なアクション場面の数々。そのどれもがスリルに満ちたものでワクワクドキドキします。

第三次世界大戦を誘発するカーヴァー


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

物語の終盤まで、カーヴァーがステルス艦を使って英中の艦隊を襲ったのは、情報操作をして第三次世界大戦を誘発させるためだと登場人物の誰もがそう考えていました。

ですが物語の終盤、カーヴァーの本当の目的は、第三次世界大戦後の100年間、チャン将軍が支配する中国でのテレビ放映権を獲得することだったことが明かされます。

カーヴァーとチャン将軍は己の野望のために手を組み、ステルス艦を作ってデヴォンシャーと中国人民解放軍のMiG戦闘機を沈没・墜落させたのです。

ところが、カーヴァーが手玉に取っていたのは英中の艦隊だけではありません。仲間であるはずのチャン将軍もまた、カーヴァーに利用された駒でしかなかったのです。

あくまで己の利益になることしか考えていなかったカーヴァー。メディアの帝王であると同時に、それなりに悪のカリスマ性を持ち合わせていたのでしょう。

物語の終盤、スタンパーが「カーヴァーとカウフマンの仇だ!」と激昂しボンドを殺そうとしたことから、カーヴァーが彼にある程度慕われていたことが窺えます。

まとめ


(C)1997 Eighteen Leasing Corporation and Danjaq, LLC.

「007」ことMI6の敏腕諜報員と中国外務局の公安部員が、己の野望のために第三次世界大戦を誘発しようと画策するメディアの帝王に挑む、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。

作中ではボンドによるスパイアクション場面はもちろん、英国と中国の軍隊が対峙するという軍事的要素が多く描かれており、いつ戦争が起きてもおかしくないほどの緊迫感がひしひしと伝わってきます。

そして本作のボンドガールであるウェイ・リンは、ボンドの戦いと同じくらい格好良いカンフーアクションを魅せてくれるため、最強の2人が手を組み戦う姿に誰もが見惚れてしまうこと間違いなしです。

また作中では、Qがボンドにボンドカーや秘密兵器を壊さないで返して欲しいと忠告するという、「007」シリーズ作品ではお馴染みの場面が描かれています。

今回もこれまで通り、Qの忠告を無視して大暴れするボンド。シリアスな場面が多い中で取り入れられたギャグ要素は、「007」シリーズファンはもちろん、初めて「007」シリーズ作品を観る人にも大ウケすることでしょう。

ピアース・ブロスナン演じる5代目ジェームズ・ボンドが、ミシェル・ヨー演じるウェイ・リンとチームを組み、利己主義のメディアの帝王の野望を阻止しようとするスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

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