元FBIの小説家による原作小説を映画化したアクション・エンターテイメント!
レニー・ハーリンが監督を務めた、2023年製作のアメリカ・ブルガリア・ギリシャ合作のPG12指定のアクション・エンターテイメント映画『ブリックレイヤー』。
ヨーロッパでアメリカの諜報活動への抗議デモが広がる中、ギリシャでアメリカ政府に批判的な女性記者の遺体が発見されました。
CIAの仕業に見せかけられたその殺人事件の容疑者として浮上したのは、なんと1年半前に死亡したはずのCIA諜報員ヴィクターでした。
元CIAエージェントのスティーヴは、かつての友との因縁に決着をつけるため捜査に協力するも………。
映画『ブリックレイヤー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ブリックレイヤー』の作品情報
COPYRIGHT (C) 2023 BRICKLAYER PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
【公開】
2024年(アメリカ・ブルガリア・ギリシャ合作映画)
【原作】
ノア・ボイドの小説『脅迫(The Bricklayar)』
【監督】
レニー・ハーリン
【キャスト】
アーロン・エッカート、ニーナ・ドブレフ、ティム・ブレイク・ネルソン、イルフェネシェ・ハデラ、クリフトン・コリンズ・Jr.
【作品概要】
『クリフハンガー』(1993)や『ダイ・ハード2』(1990)などのアクション映画で知られるレニー・ハーリンが監督を務めた、アメリカ・ブルガリア・ギリシャ合作のアクション・エンターテイメント作品。
本作の原作は、元FBIという経歴を持つ小説家のポール・リンゼイが「ノア・ボイド」名義で発表した小説『脅迫(The Bricklayar)』です。
『ダークナイト』(2008)や『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013)のアーロン・エッカートが本作の主演を務めています。
映画『ブリックレイヤー』のあらすじとネタバレ
COPYRIGHT (C) 2023 BRICKLAYER PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
ヨーロッパでアメリカの諜報活動への抗議デモが広がる中、ギリシャ・テッサロニキで、アメリカの諜報活動に批判的なドイツ人記者グレタ・ベッカーの遺体が発見されました。
アメリカ・バージニア州ラングレー。この事件の犯人は、アメリカの中央情報局(CIA)の仕業に見せかけて、世界を敵に回させようとしていると考えたCIAは、捜査の末ある1人の男に辿り着きました。
その男の名はヴィクター・ラデック、1年半前に死亡したはずのCIAの諜報員でした。
アメリカ・フィラデルフィア。アメリカ政府職員のオマリーとCIAの新星エージェントのケイトは、ラデックのことを知り尽くしている彼の友人である元CIAのエージェント、スティーヴ・ヴェイルに協力を求めます。
CIAと縁を切り、現在はレンガ職人として穏やかな生活を送っていたヴェイルはその要請を断りますが、ラデックが送り込んできた刺客の襲撃を受けてしまうのです。
辛くもこれを退けたヴェイルは、旧友との因縁に決着をつけることを誓い、ケイトとコンビを組み、ラデックの身柄確保のためギリシャへ向かいます。
CIA機に乗りギリシャ・コザニにあるフィリッポス空港に到着したヴェイルは、ケイトを連れてある男のもとに向かいました。
ヴェイルの戦友である補給員のパトリシオのところです。そこでヴェイルは、CIAが用意した「中流階級の観光客」という設定を、パトリシオに用意してもらった「海運王トーランスとその妻」という設定に変更。
武器と、V8ツインターボ・エンジンとレーダー探知機を搭載したメルセデスAMG・CLSクラスを調達します。
アメリカを出発してから15時間後。ヴェイルたちはテッサロニキの高級ホテルに到着。ケイトがシャワーを浴びている隙に、ヴェイルは単独行動を開始。
ラデックが好きだった十二使徒教会にプリペイド携帯を置きに行ってから、昔の恋人であるCIAのギリシャ支局長タイ・デルソンに会いに画廊に行きました。
そしてタイから、自分とラデックの汚れ仕事の下請けをしていた地元ギャングのボスのステンが、ステファノポロスという名前に改名し実業家としてクラブを経営しているという情報を得たヴェイルは、ステンに会いに行きました。
ステン1人の店とは思えないほどの繁盛っぷりを見て、ヴェイルは彼のバックに誰かがついていると考え、ラデックの行方を聞き出そうとします。
しかしステンは、ラデックは死んだの一点張りで話になりません。ヴェイルはステンの手下たちが襲ってくる前に、銃を使わずに彼らを撃退。
ですが思った以上に大きな騒ぎとなってしまい、ヴェイルは慌ててクラブから逃走。ヴェイルのスーツの襟の裏につけた発信器を追って、レンタカーで駆けつけたケイトと合流します。
ケイトは助けてあげた代わりとして、ラデックに何があったのか洗いざらい話してとヴェイルに言いました。
ラデックは2つのマフィアの仲介役を装い、ロシアの密輸業者ボーリス・ポポヴの暗殺などのCIAの極秘任務で潜入していたこと。
しかしラデックの正体がバレてしまい、ロシアマフィアに妊娠中の妻と娘を殺されてしまったこと。
復讐に燃えたラデックは、ロシア人を次々と殺害。ヴェイルはCIAから彼の説得を命じられたけれど失敗してしまったこと。
それらをホテルへ一旦戻る道中で話したヴェイルは、自分に着いていた発信器をつけたステンをケイトと共に追跡。
ステンたちが出払ったのを見計らって彼の邸宅に侵入。ステン一味がラデックと繋がっている証拠がないか探します。
その結果、書斎にあったパソコンからはエンポリオ・スクエアの写真と地図が、煙突のレンガからグレタの携帯と、アメリカ政府を批判する記者のアレコス・メラスの記事が見つかりました。
するとそこへ、ステンの手下が1人戻ってきました。ヴェイルたちは彼と戦うも、2人がかりでも歯がたたず苦戦します。
激闘の末、ヴェイルは自分を絞め殺そうとしたステンの手下を、自分の仕事道具であるへらを首に突き刺して殺しました。
傷の手当てをしながらケイトと話をしていたヴェイルのもとに、パトリシオからメラスの行き先を突き止めたとの連絡が。その場所は、エンポリオ・スクエアでした。
以下、『ブリックレイヤー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ブリックレイヤー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
COPYRIGHT (C) 2023 BRICKLAYER PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
エンポリオ・スクエアにあるカフェのテラス席にいるメラスを、つかず離れずの距離を保ちながら警護するヴェイルたち。
ヴェイルの持つプリペイド携帯に、ラデックから連絡が入ります。十二使徒教会に置いたプリペイド携帯は、彼と接触するために置いたのです。
ヴェイルは友が死んでいなかったことに困惑しました。あの日、ラデックを見逃す代わりに永遠に姿を消すと約束したはずだったからです。
ラデックは一度は姿を消しました。ですが、逃げてからも分からずじまいだった、自分の正体をバラした犯人を突き止めようと思い立ちました。
調べた結果、ラデックの正体をバラしたのはCIAでした。しかもCIAは、ラデックの友人であるヴェイルに、彼の命を狙わせたのです。
そう話すラデックに、ヴェイルは「だとしても、お前の行動(CIAへの脅迫やジャーナリストの殺害)は間違っている。とても正気とは思えない」と非難しました。
実はラデックは、CIAのスパイ網を壊滅させるほどの情報を握っており、それが世界中に漏洩し戦争になることを阻止したければ、仮想通貨で1億ドル用意しろとCIAのギリシャ支局に脅迫動画を送っていたのです。
ラデックはヴェイルに、邪魔をするなと警告しました。この通話中、彼と思しき人物を尾行していたヴェイルは、彼を捕まえようとしましたが、ラデックと同じ格好をした全くの別人でした。
本物は抗議デモによる暴動の最中、それに気を取られているメラスに近づき、射殺しました。
ヴェイルはラデックを追いかけるも、あと一歩のところで取り逃がしてしまいます。
ですが現場には、ラデックが持っていたタブレット端末と、キューバの国連大使ルイス・テルガドの写真が残されていました。
ヴェイルはパトリシオにタブレット端末の解析を頼み、オマリーにこのことを報告しようとするケイトに待ったをかけました。
ヴェイルは、ギリシャに応援がこない理由について、ある2つの可能性を考えていました。
1つ目はオマリーの責任逃れ(ラデックが暴走した時、オマリーは支局長だった)、2つ目はオマリーがラデックに情報を流した内通者であること。
オマリーたちCIAの人間を信用するなというわりに、ギリシャ国内で諜報活動をしているタイに会いに行ったヴェイルの言動に納得がいかないケイトは、彼と衝突してしまいます。
ヴェイルは再びタイに会いに行き、ラデックの正体をばらしたのはCIAだったという確証を得ました。
そしてヴェイルは、一緒に逃亡しようと約束したのに、何本も電車を見送るほど待っても来なかった彼女を責めました。
CIAに入ってから20年間、いつも死と隣り合わせで孤独で侘しい人生だったけれども、それ以外の人生を考えたことがなくて怖かったこと。
オマリーから昇進の話をされて、出世することを選んだと、タイは言葉を詰まらせながら答えました。
翌日。タイの家で一夜を明かしたヴェイルは、タイから、脅迫動画の送信先が郊外の鉄道車両基地だったと知らされます。
タイと別れ、ホテルに戻ったヴェイルは着替えをしながら、ケイトの推理を聞きました。
ラデックの目的は金ではなく、CIAに罪を着せ罰すること。オマリーではなく、プリペイド携帯を2台持っていたヴェイルが内通者なのではないかと。
1年半前、ヴェイルはラデックを撃ち合いの末に殺したのではなく、逃がしたのではないかと。
プリペイド携帯2台の領収書と、エンポリオ・スクエアを監視した映像でヴェイルが誰かと電話している姿が捉えられているのが何よりの証拠だと言い、ケイトは彼に銃口を向けます。
しかし一瞬のうちにヴェイルに銃を取り上げられ、立場が逆転。2人の間に緊張がはしります。
するとヴェイルはニヤリと笑い、ケイトに銃を返しました。そしてラデックと接触したことは認めましたが、ケイトの思う理由ではないと否定しました。
ヴェイルたちは、パトリシオがいる郊外の鉄道車両基地に行きました。しかし彼と電話が繋がらず、人の気配もなし。床下に潜ることが好きな彼の愛犬がなぜか外にいました。
不審に思ったヴェイルたちは、車から降りてパトリシオを捜索。変わり果てた姿の彼を目撃します。
しかも天井からロープで吊るされたパトリシオの遺体には、ケーブルでつないだ爆弾、彼が抱えていたリュックの中にも爆弾が仕掛けられていたのです。
戦友の死を悲しむ暇もなく、ヴェイルのもとに武装したステン一味が襲来。ヴェイルはケイトを後ろに下がらせ、ステン一味を銃撃戦を繰り広げていきます。
床下に避難したケイトは、そんなヴェイルを陰ながらサポートしていきました。
銃撃戦の末、1人ずつ確実に仕留め、ステン一味の戦力を半分以上削ったヴェイルでしたが、ケイトを人質に取られてしまいました。
ヴェイルは、自分とケイトの人質交換を要求。ステンは素直に応じ、ケイトを解放しました。
ヴェイルはケイトを逃がしてから、ステンに向かって爆弾入りのリュックを投げつけて銃を発砲。ステン一味を爆殺しました。
ケイトと合流し車で逃げる道中、ヴェイルはラデックとCIAの間に何があったのかを説明します。
優秀な諜報員だったラデックはその腕を買われ、標的が小物から大物へと変わり、ついには政敵であるギリシャの外務副大臣コスタス・リオンタレスの暗殺を命じられたこと。
しかしギャング相手ならともかく、政治家の暗殺というCIAの極秘任務にラデックは抵抗があったものの、もし断ればキャリアはもちろん、家族で移住する話も消えてしまうこと。
しかし家族の移住が可能ならとっくに実行しているはずなのに、それをしないCIAに不信感を抱いたラデックから、自分たち家族と一緒に逃亡しようと提案されたこと。
そんなラデックに、彼の家族を何としても守り抜くことを誓い、自分が逃亡先として選んだ彼好みの場所、海の近くの街モンタナのグリズリー・パインズで落ち合おうと約束したこと。
しかし命令に背き逃亡を図った自分たちは、CIAの執念深さを甘く見ていたことを………。
パトリシオが殺されるまでは、ラデックを救おうと考えていたヴェイルでしたが、彼がここまでやった以上、彼を見つけ出し永遠に終わらせるしか方法はないと思いました。
そこへオマリーから、ラデックが要求する金を支払うとの連絡が入ります。
ラデックと接触できるチャンスだと考え、ヴェイルたちはギリシャに来たオマリーたちとタイと合流。ラデックが金の受け渡し役に指名したのがケイトだと知ります。
当然、ヴェイルは異議を唱えましたが、オマリーから「この町に被害をもたらした君は用済みだ」と言われてしまいました。
ケイトは、オマリーたちとの連絡のやり取り・会話の盗聴ができるイヤホンと、仮想通貨が入ったハードウェアウォレットを持って地下鉄に乗り、ラデックが指定したシントリヴァニ・エクテシ駅へ。
その近くの公衆電話の裏に貼り付けられた携帯電話を手に入れ、その中の写真が示す取引場所である酒場へ向かいました。
そこで、ケイトの上着の襟の裏に仕込んだ発信器を辿ってきたヴェイルと合流。ヴェイルはイヤホンを踏み潰し、ケイトの代わりにラデックと接触しようとします。
しかし酒場にもその地下室にもラデックの姿はなく、地下室の机に彼のパソコンだけが置いてありました。
ヴェイルがそのパソコンにハードウェアウォレットを差し込むと、仮想通貨が送金されている間、ラデックとビデオ通話することができました。
「俺からは逃げられないぞ。どこまでも追っていく」と怒りをあらわにするヴェイルに対し、「どこへも行かないよ。ただやり残した任務が1つある」と答えたラデック。
ラデックは、世界中を敵に回すほど危険なCIAのスパイリストだけでは説得力がないため、CIAの陰の任務を世界中に知らしめるためには、コスタスの暗殺という任務を遂行せねばならないと考えていたのです。
しかし彼を殺せば、国々が戦争に突入し大勢の命が奪われてしまうと、ヴェイルはラデックに言いました。
すると仮想通貨の送金が完了されたと同時に、ラデックとの通話が切れ、彼が地下室に仕掛けた罠が作動。ヴェイルは時限爆弾が仕掛けられた地下室に閉じ込められてしまいます。
ヴェイルはケイトに連絡を取り、「ラデックが近くにいる。コスタスを殺す気だ」「裏通りに急げ」と手短に指示を出し、時限爆弾を利用して地下室から脱出。
裏通りにいたラデックの車を、ケイトと運転を代わった車で追跡します。
車1台しか通れないほど狭い道が続く街中でのカーチェイスの末、ヴェイルは衝突事故を起こしてまでラデックの車を止めましたが、またしても逃げられてしまいました。
アメリカ政府とその諜報活動を批判する記事を書いた直後に起こった、記者の殺害事件を独自に調査したコスタスは記者会見を開きました。
その記者会見の場に辿り着いたヴェイルは、報道陣に紛れ込んでいるラデックを発見。ラデックは、カメラを模したスナイパーライフルの引き金を引こうとします。
その瞬間、ヴェイルが近くの工事現場にあった金槌を使って足場を崩したことにより、ラデックは受け身も取れずに地面に転落。
コスタスの暗殺に失敗したラデックは、怒りに燃えるヴェイルによって、銃を取ろうとした右手を金槌で潰されてしまいました。
ヴェイルはラデックに銃口を向け、これでもうおしまいだと彼に言いました。
ラデックは「お前にとってこれで終わりじゃない。この悪夢に一生付き纏われるんだ」と答えました。
ヴェイルは銃口を向けつつ、ラデックに彼の家族を守れなかったことを謝りました。ラデックは「俺も無念だ」「グリズリー・パインズで会おう」と言い、懐に手を忍ばせます。
銃を手に持ったと勘違いしたヴェイルは銃を発砲し、ラデックを殺しました。
その直後に、彼が出そうとしていたのは任務前日、彼の家族と自分の4人で撮った写真だと気づきました。
そこへギリシャ警察の警官2人が現れ、ヴェイルは振り向きざまに彼らに撃たれました。
その後、ヴェイルは救急搬送された病院で目を覚ましました。そこにはオマリーとケイトがいて、ラデックのパソコンには仮想通貨はなかったことや、彼の犯行声明文には「CIAの指示でコスタスを殺す」とあったこと。
彼によるコスタスの暗殺未遂事件は、ヴェイルをCIA局員とし、CIAがコスタスを救ったことで解決したこと。
彼が持っていた過去と現在の標的リストはCIAが回収したことを聞きました。
ヴェイルにそう話したオマリーは立ち去る前に、なぜレンガ職人になったのか尋ねました。
ヴェイルは、レンガ職人は手につけた職でありそれで学費を稼いだこと、「レンガを手に持った瞬間、それが何で、何をするのか理解できる」「形が機能そのもので、絶対に裏切らないという安心感がある」と答えました。
オマリーの罪を追求しようとするケイトに、ヴェイルは待ったをかけました。
気難しくとも動機も弱点も理解できたラデックに対し、政治に命を懸け他人の命を軽んじるオマリーのような連中は自分には理解できない。理解できない敵とは戦えない、と。
2人と別れた後、ヴェイルは病院を抜け出し、タイに会いに行きました。
そこでヴェイルは、任務前日にラデックが自分にくれた彼の好きな曲のレコードがあったことから、内通者が彼女であると知りました。
正体がバレたタイは、ラデックに自分たちの関係を知られて断れなかったといい、ヴェイルに銃口を向けたまま奪った1億ドルを持って高飛びしようとします。
ヴェイルはタイが差し向けたギャングたちが来る前に、他のレコードに隠されていたリストをオーブンレンジにかけ、窓から脱出。ギャングの1人が加熱したオーブンレンジを開けた瞬間、爆発しました。
爆風で吹き飛び、路肩に停められた車のボンネットをクッションに地面に倒れたヴェイル。タイは彼を車で轢き殺そうとします。
そこへケイトが現れ、猛スピードで向かってくるタイの車に向かって銃を発砲。被弾したタイは死亡し、車は壊れました。
タイの死を悲しんだ後、ヴェイルはケイトの肩を借りてその場から立ち去っていきました。
後日。帰国したケイトは、オマリーを疑っていたことを正直に本人に打ち明けました。
オマリーは「愛国者だからこの仕事に誇りを持っている」と容疑を否定、なぜタイが怪しいと思ったのか尋ねます。ケイトは、タイの気持ちを理解できたからだと答えました。
オマリーは後始末が大変だと愚痴をこぼし、ケイトにギリシャへの入国禁止と、(厄介者のヴェイルと無事任務をやり遂げた功績を称えて)昇進を言い渡しました。
しかしケイトは、別の場所で今後も国に仕えたいからと言って昇進の話を断りました。
そしてケイトは荷物をまとめ、犬アレルギーにもかかわらず引き取ったパトリシオの愛犬と一緒にCIAを去りました。
彼女と同じ曲を聞いているヴェイルは、レンガ職人として穏やかな生活を取り戻していました。
映画『ブリックレイヤー』の感想と評価
COPYRIGHT (C) 2023 BRICKLAYER PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
ヴェイルがアメリカやギリシャで繰り広げる、銃撃戦や激闘の数々、カーチェイスはどれも迫力とスリルがありハラハラドキドキ、大勢の敵を相手に確実に1人ずつ仕留め危機的状況を脱していく姿が、とても格好良くて胸が熱くなります。
それにヴェイルとラデックによる元CIAのエージェントならではの駆け引き、互いのことを知り尽くした友だからこそわかる相手のやり口に弱点をついた熾烈な攻防、胸を熱くさせる物語の展開もとても見応えがあって面白いです。
その一方で、作中でヴェイルの身に起こる悲劇の数々に言葉を失います。
あの日、逃亡先で会おうと約束した友を殺してしまったこと。ヴェイルが任務に巻き込んでしまったために、CIAにいた時も今も支えてくれていた戦友が惨殺されてしまったこと。
そして、かつて愛した昔の恋人が過去だけではなく、今もヴェイルを裏切っていたという真実と、彼女の死………。
ヴェイルが信頼していた者たちが次々と死んでしまったことに、彼の心中を考えると胸が痛くなりますし涙が止まりません。
またラデックも、復讐心と怒りに燃えて恐ろしい犯行に及んでいく姿が作中では描かれているのですが、内心ではヴェイルと仲直りしたいと思っていました。
自分の家族を守らなかっただけでなく、自分の警告を無視して目的を邪魔する友への怒り故に、彼を殺そうと策を講じていくラデックでしたが、最後の最後で彼と話をして和解していました。
「もう疲れた」という作中でのラデックの台詞から、彼は怒ることに疲れてしまったのではないかと考察できます。
ですが友のことは許せても、家族の死に関与したCIAに対する怒りは収まらず、あの日できなかった任務をやることでCIAを陥れようとしました。
そんなラデックよりも、過去も現在もヴェイルのことを裏切り暗躍していたタイは、腹黒すぎてとても恐ろしいです。
まとめ
COPYRIGHT (C) 2023 BRICKLAYER PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
『ダークナイト』(2008)や『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013)などのアクション大作で、次々とメインキャストを務めている演技派俳優アーロン・エッカートが、旧友との因縁に決着をつけアメリカの破滅を阻止する元CIAのエージェントで現在レンガ職人のヴェイルを演じた、ハラハラドキドキして胸が熱くなるアクション・エンターテイメント作品でした。
原作者のポール・リンゼイは、実際に20年以上FBIに勤務し、様々な難事件に携わった経歴を持っています。
そんなポール・リンゼイが生んだリアリティー溢れるストーリーを、『クリフハンガー』(1993)や『ダイ・ハード2』(1990)などのアクション大作を次々と送り出したアクション職人として名を馳せるレニー・ハーリン監督と、『エクスペンダブルズ』(2010)や『ハンターキラー 潜航せよ』(2018)の製作陣によって映画化されたというのもまた胸アツですよね。
しかもアーロン・エッカート演じるヴェイルの戦う姿、犯人を追い詰めていく様はまさに悪運が強くしぶとい男、「ダイ・ハード」シリーズの主人公であるマクレーン刑事そのもの。本作はスパイもの好きもアクション映画好きも、「ダイ・ハード」シリーズのファンも楽しめます。