リーアム・ニーソン主演のタイムリミット・アクション!
マーティン・キャンベルが監督を務めた、2022年製作のアメリカのタイムリミット・アクション映画『MEMORY メモリー』。
「完璧な殺し屋」として裏社会で名を馳せてきた主人公アレックスは、アルツハイマーを発症し任務の詳細を覚えられなくなってしまったことから引退を決意します。
これが最後と決めて引き受けた仕事のターゲットは少女でした。アレックスは怒りに震えて契約を破棄します。
「子どもだけは守る」という唯一の信念を貫くため、アレックスは独自の捜査を開始。やがて財閥や大富豪を顧客とする、巨大な人身売買の存在を突き止めます……。
映画『MEMORY メモリー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『MEMORY メモリー』の作品情報
【公開】
2022年(アメリカ映画)
【原作】
ジェフ・ヒーラールツ『De Zaak Alzheimer』
【監督】
マーティン・キャンベル
【キャスト】
リーアム・ニーソン、ガイ・ピアース、モニカ・ベルッチ、ジョシュ・テイラー、タジ・アトウォル、ハロルド・トレス、レイ・フィアロン、レイ・スティーヴンソン、ダニエル・デ・ボーグ、ナタリー・アンダーソン、リー・ボードマン、アタナス・スレブレフ、ミア・サンチェス、アントニオ・ジャラミロ、スコット・ウィリアムズ、レベッカ・カルダー、ソフィア・ソルテス、ルイス・マンディロア
【作品概要】
『007 ゴールデンアイ』(1995)や『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)のマーティン・キャンベルが監督を務めた、アメリカのタイムリミット・アクション作品。
ベルギーの作家ジェフ・ヒーラールツの『De Zaak Alzheimer』を原作とし、同小説を映画化したベルギー映画『ザ・ヒットマン』(2003)のリメイク作品でもあります。
「96時間」シリーズなどで知られるアクションスターのリーアム・ニーソンが主演を務め、『L.A.コンフィデンシャル』(1997)や『アイアンマン3』(2013)のガイ・ピアース、『007 スペクター』(2015)や「マトリックス」シリーズのモニカ・ベルッチら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『MEMORY メモリー』のあらすじとネタバレ
メキシコ・グアダラハラ。「完璧な殺し屋」として、裏社会でその名を馳せてきたアレックス・ルイスは、看護師に扮して病院に潜入していました。
その病院に入院する母の見舞いに来た標的の男を絞殺し「夕食には帰宅する」という任務完了を意味する暗号文を送信した上で、その携帯電話を解体しました。
さて帰ろうと車の鍵を取り出そうとした時、アレックスは一瞬車の鍵をどこにしまったか忘れてしまいます。アレックスはアルツハイマーを発症してしまったのです。さらに任務の詳細を覚えられなくなってしまい、アレックスは引退を決意しました。
アレックスは、メキシコシティに住む仲介人のマウリシオに、引退したい旨を伝えました。
マウリシオはアメリカ・テキサス州エルパソにいるアレックスの兄弟の存在を仄めかし、彼に「引退のことは忘れろ。俺たちに引退はない」と言って仕事をやらせます。これが最後の仕事と決めて引き受けたアレックスは、故郷であるエルパソに向かいました。
テキサス州エルパソ。メキシコ連邦警察と共同捜査で人身売買組織を追っているFBI捜査官のヴィンセント・セラは、捜査対象のレオンへの囮捜査を行います。
買春をさせられていたレオンの娘ベアトリスが彼の服を脱がそうとしたその時、服の下に隠していた盗聴器を発見。大声で自分を呼ぶ娘から、客だと思っていた彼が警察官だと知ってパニック状態に陥ったレオンは、なんと娘を人質にとったのです。
ヴィンセントの同僚リンダ・アミステとコールマンとハウ、メキシコ連邦警察の刑事ウーゴ・マルケスは現場に急行。ヴィンセントと一緒に銃を下ろすよう呼びかけます。
しかしレオンはひどく興奮しており、娘も彼女のこめかみに突きつけた銃も離そうとしません。そのためヴィンセントは彼の腕を掴んでまず娘を救出します。
二人が揉み合いになった末、レオンは部屋の窓から転落して死亡。父の死を目の当たりにしたベアトリスは、ヴィンセントを睨みつけながら当局に連行されました。
傷の治療を受けていたヴィンセントのもとに、彼の上司ジェラルド・ヌスバウムがやってきて「お前のせいで、アメリカ・メキシコの国境の両側で多額を費やした11か月の捜査が水の泡となった」と叱責します。
エルパソにあるホテル「メトロ・ホテル」。デヴィッド・マーシャルという偽名を使ってチェックインしたアレックスは、ホテルのバーで今回の仕事の仲介役を担うウィリアム・ボーデンと話をします。
ボーデンは二人の標的をどう殺すのか詳細を訪ねましたが、アレックスは「知らない方がいい」と答えます。
アレックスは部屋に戻り、端末に入っている標的の情報を確認。一人目の標的である建設業者のエリス・ヴァン・キャンプの自宅に侵入します。
アレックスはエリスに銃で脅し、依頼人が欲しているUSBを金庫から出させました。その瞬間、家にいないと思っていたエリスの娘が帰宅。アレックスは子どもに気づかれないように、エリスの首を腕で絞めて殺害しました。
「夕食には帰宅する」という暗号文をボーデンに送ったアレックス。その直後、もう一度資料を読み返したアレックスは、その中に少女の写真が入っていることに気づき、嫌な予感がしました。
翌日。ヴィンセントとリンダは、エリス殺害事件の現場に到着。この事件を担当するエルパソ警察の刑事ダニー・モーラから、呼んでもいないジェラルドが現場を踏み荒らしたことに加え、エリスの妻ウェンディと親密な関係にあるのではないかと言われます。
ヴィンセントたちはジェラルドに邪魔されながら、ウェンディに事情聴取を行いました。
ウェンディは「夫に仕事上で恨みを抱いていそうな相手がいるかは分からないが、金庫が開いていたから強盗の仕業ではないか」と答えました。彼女が警察に通報するのではなくジェラルドに連絡したことと、彼にだけそのことを先に話していたことについて、ヴィンセントたちは不審に思いました。
一方アレックスは、介護施設にいる兄に会いに行きました。彼の兄も同じく、アルツハイマーを患っていました。
アレックスは兄のことを思い出すきっかけとなったコインを兄に握らせたうえで、昔はよく二人で見ていたバスケの試合を最近は見ていないどころか、最後にいつ見たか思い出せなくなったことを話しました。
FBI児童労働搾取特捜班。ヴィンセントたちは突然、ジェラルドからチームの解散と、マルケスの帰国を告げられます。
その決定に納得がいかないヴィンセントとマルケスは抗議するも、ジェラルドは取り合おうとしません。それどころか、ジェラルドは「ベアトリスのことはいいから、ヴァン・キャンプ殺害事件の捜査に集中しろ」とヴィンセントに命じたのです。
その後ヴィンセントは、唯一の証人であり被害者でもあるベアトリスを守るため、エルパソ移民収容施設からグループホームに移動させました。
ヴィンセントはグループホームの女性職員に事情を話し、カウンセラーと学校を手配してもらうことに。そんな彼に少なからず恩を感じたのか、ベアトリスは彼と最初に会った時に描いた砂漠の絵をプレゼントしました。
その日の夜。アレックスは2人目の標的を殺そうとしましたが、その直前で標的が少女であることに気づき、その場から立ち去りました。
翌日。怒りに震えたアレックスは、ボーデンを呼び出し、契約を解除すると告げます。ボーデンが思わず「雇われの身のくせに偉そうに……」と悪態をつくと、アレックスはさらに怒り顔を殴りました。
アレックスは、USBは自分が持っていることと、ボーデンの名前と住所も知っていることを伝えたうえで、「あの子を殺したらタダじゃおかない」と彼を脅しました。
その日の夜。メトロ・ホテルのバーで1人酒を飲んでいたアレックスは、酔っ払いに絡まれて困っている美女マリヤを救出。マリヤとそのまま一夜を共にしましたが、悪夢にうなされてしまいます。
その頃リンダは、マルケスを飲みに誘い、彼を励ました。その時ふと目に入った、マルケスが首につけている6個のチャームが気になり、リンダはその理由を尋ねます。
マルケスは、若くして糾弾され殉教した聖イネスだと答え、メキシコ・フアレスで行った事件の捜査について語りました。そこでは大勢の女性が行方不明になっているのですが、警察は住民を番号としてみているせいなのか何もしません。
そんなある日、13歳の少女エミリアナが工場から帰宅中に消えてしまいました。その4か月後、街の子供たちがエミリアナの遺体を発見しました。
エミリアナの身に何が起きたのか、みんな知っていました。エミリアナは、麻薬カルテルに近い兵士と車に乗ってしまったのです。
エミリアナの母と姉妹は、全市警の壁に彼女の写真を貼りました。マルケスも密かに証拠を集めました。しかし起訴状を見た兵士の上官が、メキシコ・シナロアへ異動させたのです。
それから3週間後、マルケスの職場の前の橋に、エミリアナの母とおば、3人の姉妹が吊るされていました。
映画『MEMORY メモリー』の感想と評価
アルツハイマーに苦しむ殺し屋アレックス
FBIに追われながら、少女を殺すよう命じた人身売買組織の黒幕にたった一人で立ち向かうアレックスの正義感あふれる格好良いアクションに老若男女問わず魅了されます。
アルツハイマーを患う殺し屋アレックス。作中では刻一刻と症状が悪化し、アレックスは任務の詳細どころかダヴァナを起訴するために必要な証拠の隠し場所、撃針の入れ忘れなど致命的なミスをしてしまいます。
さらにアレックスはマルケスに撃たれた傷と、ダニーの尋問で負った大怪我も相まってか物語の終盤、余命わずかの身となってしまったのです。
徐々に薬も効かなくなり、失われていく記憶に苦しめられるアレックス。彼を通じてアルツハイマーがどんなものか知ることができるとともに、アルツハイマーを患った人の苦しみを体感し胸が痛くなります。
アレックスと共に人身売買組織の黒幕を追い詰めるFBI
物語の後半からアレックスと協力関係を結んだヴィンセントは、実は1年前に覚醒剤でハイになった男が起こしたひき逃げ事故で妻と息子を亡くした過去がありました。
その犯人を目撃したはずの少女が3回も行った面通しで毎回違う男を選ぶため、犯人は無罪となり自由の身となってしまいました。
そのことから、ヴィンセントは「人の記憶とは厄介なもの。正義は保証されない」と思うようになってしまいました。
そんな彼の言葉を忘れていなかったアレックスは、「子供だけは殺さない」という唯一の信念を最後まで貫き、信用できる彼に望みを託して、彼を守るために警察に殺されにいったのです。
ヴィンセントもアレックスのことを腐食した警察組織よりも信頼しており、彼の犠牲を無駄にしないために警察組織を相手に奮闘しました。
ヴィンセントとアレックス、二人の男の正義が一つとなり、黒幕打倒に繋がったのはスカッとした爽快な気分を味わえます。
まとめ
アルツハイマーにより余命わずかとなった紳士な殺し屋が、最後に正義のために、人身売買組織の黒幕に立ち向かうアメリカのタイムリミット・アクション作品でした。
物語の終盤まで、組織の黒幕であるダヴァナを裁くのはアレックスかヴィンセントのどちらかだと思った視聴者も多いはず。
ですが、実際に彼女を裁いたのは、ヴィンセントと同じかそれ以上に人身売買組織を撲滅したい気持ちが強いマルケスでした。
リンダもマルケスも、ヴィンセントに下された上層部の決定に不満があったのでしょう。しかもそれが組織の黒幕と癒着があるせいだとあれば尚更です。
ですが、ヴィンセントがこれ以上ダヴァナを裁くために動くのは、彼自身も事件と一緒に消される可能性もあります。
それを防ぐために、リンダはヴィンセントのアリバイ作りに、マルケスがダヴァナを殺害しようと考えたのでしょう。
孤高の男リーアム・ニーソンが、アルツハイマーを患った殺し屋を熱演するタイムリミット・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。