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Entry 2022/12/08
Update

【ネタバレ】ブラックアダム|あらすじ感想と結末の評価解説。シャザムとの関係は?強さ・能力が問うヒーローの“勇気と戦意をもたらす姿”

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

永い眠りから覚めた最強の神ブラックアダムが貫く「正義」とは?

5000年の眠りから覚めた破壊神ブラックアダムと、世界の秩序を守ろうとするヒーローチームの戦いを描いた映画『ブラックアダム』

無敵の強さを誇るブラックアダム。「そもそも彼は何者で、何故目覚めたのか?」という誕生の謎を軸にした本作は、ヒーローチーム「JSA」との戦いを交えて「ヒーロー」という存在を問いかける作品になっています。

ブラックアダムの最強ぶりも楽しすぎる、本作の魅力をご紹介します。

映画『ブラックアダム』の作品情報


(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC Comics

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
Black Adam

【監督】
ジャウム・コレット=セラ

【脚本】
アダム・スティキエル、ローリー・ヘインズ、ソフラブ・ノシルバン

【キャスト】
ドウェイン・ジョンソン、オルディス・ホッジ、ノア・センティネオ、サラ・シャヒ、マーワン・ケンザリ、クインテッサ・スウィンデル、モー・アマー、ボディ・サボンギ、ピアース・ブロスナン

【作品概要】
5000年の眠りから覚めた、神の力を操る最強のアンチヒーロー「ブラックアダム」と、それに対抗するスーパーヒーローチーム「JSA」との戦いを通して、ブラックアダムの謎が描かれるDCコミックスを原作にしたアクション・エンターテインメント。

ブラックアダムを演じるのは、人気レスラーから俳優に転身して以降『ワイルドスピード5 MEGA MAX』(2011)の「ワイルド・スピード」シリーズをはじめ、さまざまな大ヒット作品で活躍するドウェイン・ジョンソン。

ヒーローチーム「JSA」のリーダー「ホークマン」を演じるのは、『ドリーム』(2016)で「全米映画俳優組合賞」のキャスト賞を受賞したオルディス・ホッジ。また「JSA」に参加するベテランヒーローのドクター・フェイト役を、『007 ゴールデンアイ』(1995)などに出演し、5代目ジェームズ・ボンドとして知られるピアース・ブロスナンが演じています。

映画『ブラックアダム』のあらすじとネタバレ


(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC Comics

紀元前、エジプト文明の影響を色濃く受ける小国カーンダック。カーンダックの王サバックは、絶対的な力が手に入る王冠を作るため、その原料となる鉱石エタニウムを、集めるようになります。

サバックは、カーンダックの民衆を奴隷として扱い、エタニウムを発掘させていました。そのサバックの圧政に逆らい、民衆を束ね反乱を起こした一人の少年がいました。

少年の名はフルート。ですが、サバックはフルートを捕らえ、民衆の前で見せしめに処刑を行います。その瞬間、フルートは「魔術師協議会」に召喚され、無敵の神の力を与えられます。

「シャザム!」と唱えたフルートは、見違えるような大男になり、サバックに戦いを挑みます。そして、フルートとサバックの戦いで、カーンダックは崩壊します。

5000年後、カーンダックは軍事組織「インターギャング」に支配されていました、

レジスタンスであるアドリアナは、かつてサバックが作り出した王冠を手に入れる為、弟のカリーム、相棒のイシュマエルと共に遺跡へ向かいます。

ですが、そこへ「インターギャング」が現れ、アドリアナは捕虜にされかけます。「インターギャング」から逃れるため、アドリアナは遺跡の上で呪文を唱えます。

すると遺跡が光り、中から封印を解かれた「アダム」と名乗る男が現れます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ブラックアダム』ネタバレ・結末の記載がございます。『ブラックアダム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC Comics

復活したアダムは「インターギャング」の兵士を次々に倒していきます。その隙にアドリアナは逃げ出しますが、イシュマエルだけ、崩壊した遺跡の中に取り残されます。アドリアナは、暴れるアダムから逃げようとします。

ですが、「インターギャング」の兵士がエタニウムの砲弾でアダムを攻撃。アダムが意識を失ったことで、アドリアナはアダムを救出します。

目を覚ましたアダムは、アドリアナの家に匿われていました。

アドリアナにはアモンという息子がいて、アモンはアダムを「スーパーヒーロー」と称えます。ですが、アダムはスーパーヒーローなどに興味は無く、アドリアナの家を出ていこうとします。

それでもアダムをスーパーヒーローと信じるアモンは、わざと「インターギャング」の兵士を挑発します。

アモンが兵士に襲われた時、アダムはアモンを守るために、兵士を痛めつけます。そこへ「JSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)」と名乗る、ヒーローチームが現れます。

「JSA」のリーダーで、自由に空を飛ぶ能力を持つホークマンは、アメリカの秩序を守る「タスクフォースX」の依頼を受け、世界の脅威になりかねないアダムを捕獲しようとします。

ホークマンは、風を自在に操るヒーローのサイクロン、巨大化能力を持つアトム・スマッシャー、そして予知能力を持つ魔術師ドクター・フェイトとチームを組んでいます。

「JSA」はアダムを捕獲しようとしますが、強大な力を持つアダムの前に成す術がありません。

一方、自宅に戻ったアモンはイシュマエルと遭遇。イシュマエルの狙いは、アドリアナが持ち出した王冠で、イシュマエルは「インターギャング」の一員でした。

王冠を鞄に入れて逃げ出したアモンは、アダムに助けを求めます。アモンを救う為に駆け付けたアダムですが、アモンを誘拐したイシュマエルに逃げられてしまいます。

しかし、アドリアナは本物の王冠を自宅内に隠していました。それに気付いたイシュマエルは、本物の王冠とアダムの交換を要求します。

アモンを救うため、協力することになったアダムと「JSA」。ですが「正義」に関する認識が合わず、アダムとホークマンの間に亀裂が生まれます。

指定された遺跡に辿り着いたアダムと「JSA」。イシュマエルは実はサバック王家の末裔で、王冠を手に入れ絶対的な力を手に入れようとしていました。

王冠を手に入れたイシュマエルは、アモンを撃ち殺そうとしますが、その行いにアダムの怒りが爆発。強大なエネルギーが暴発します。

アモンを救うことに成功はしましたが、自身の力の危うさを感じたアダム。アダムは、ホークマンに自身の過去を話します。

アダムは、かつてカーンダックの民衆を率いた少年フルートの父親でした。魔術師の力を得たフルートに勝てないと判断したサバックは、フルートの両親を狙いました。

そして重傷を負ったアダムを助けるために、フルートは自身の力をアダムに与えます。力を失ったフルートは、アダムの目の前でサバックの兵士に殺されてしまいます。

それによりアダムの怒りが爆発し、カーンダックは崩壊してしまいました。その力を恐れた「魔術師協議会」により、アダムは封印されてしまったのです。

ホークマンに自身の過去を話したアダムは、自ら望み「タスクフォースX」の施設に仮死状態で拘束されます。

全てが終わったように思われましたが、イシュマエルが王冠の力で復活します。無敵の力を得たイシュマエルに「JSA」が挑みますが、太刀打ち出来ません。

ドクター・フェイトは、自身の精神をアダムに送り「力が必要」と説得します。その間にドクター・フェイトの体は、イシュマエルにより消滅させられます。

復活したアダムはイシュマエルの前に現れ、真っ向からの戦いを挑みます。ドクター・フェイトの意思を受け継いだホークマンは、イシュマエルを倒すためにアダムと共闘します。

アダムはイシュマエルから王冠を剥ぎ取り、消滅させることに成功します。

「JSA」が去った後、アダムはヒーローではなく、カーンダックのために「守護神」になることを決意、アモンの提案で自身を「ブラックアダム」と名乗るようになります。

映画『ブラックアダム』感想と評価


(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC Comics

ドウェイン・ジョンソンが演じる、神の力を持つ最強の男アダムの戦いを描いた映画『ブラックアダム』

アダムは魔術の力でパワーを授かり「シャザム!」と呪文を唱えることで変身をするのですが、これは同じDCコミックを原作に、同じ世界を共有する「DCエクステンデッド・ユニバース」の『シャザム!』(2019)と同じ設定ですね。

実は、原作だとブラックアダムは、シャザムのライバル的な存在として登場したキャラクターでした。では何故今回、「ブラックアダムが主人公の作品」が作られたのでしょうか?

それは本作が「正義」という概念に真っ向から向き合う作品であり、そのテーマを語るためには、「既存のヒーロー像から外れた存在」が必要だったからです。

まずブラックアダムというキャラクターですが、シャザム同様にさまざまな神の能力を受け継いでおり、実力だけだとスーパーマンにも匹敵します。ですが、ブラックアダムは「世界を救わない」という自分の信念を貫くキャラクターです。

そこへ登場するのが「JSA」。「JSA」は自称「世界の秩序を守る存在」で、特にリーダーのホークマンは「世界の平和と秩序をどんな手段を使っても守る」ことだけを考えています。

「自分こそが正義」「自分が正しい」と考えるホークマンの正義はどこか一方的で、逆に危険な部分を持っています。

このホークマンの一方的で危険な正義と、ブラックアダムの「世界を救うことに興味はない」という信念が常にぶつかり合うのですが、そこで問われるのは「スーパーヒーローの存在」についてです。

本作で一番印象的なのは、王冠の力を得たイシュマエルによって街中に溢れた死霊の兵隊から、街を守るために戦う一般市民の姿です。

「インターギャング」という軍事組織に占拠され、長く誰も助けに来なかったカーンダックの街に突如現れ、圧倒的な力で「インターギャング」を蹴散らしてくれるブラックアダムは、信念はさておき、カーンダックの街の人にすれば「待ち望んだヒーロー」となります。ブラックアダムという「戦う者」の存在が、街の人に勇気を与え、戦う決意をさせたのです。

カーンダックの街の人々にとって、絶対的な正義を振りかざすホークマンより「勇気」と「戦意」を与えくれたブラックアダムこそ、本当のヒーローというわけですね

困っている人々を助け、圧倒的な力と戦い、その姿を通じて人々に勇気と希望を与える存在。「ヒーローの存在意義は、そこにあるのではないか?」と感じます。

本作のプロデューサーであるハイラム・ガルシアはブラックアダムについて「既存の枠から少し外れていて、スーパーヒーローのモラルを問うことを可能にするようなキャラクター」と語っています。

そういった観点からも『ブラックアダム』は、近年数多く公開されているスーパーヒーローを主役にした映画の中でも異質でありながら、ヒーローの存在意義、そして正義を問う「王道のスーパーヒーロー映画」であるといえます。

エンドクレジットに登場する、世界の正義の象徴で、ブラックアダムとは対照的な立場にいる、スーパーマンとの対峙からも、本作に込められたメッセージが際立ちますね。

まとめ


(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &(C)DC Comics

『ブラックアダム』は「スーサイド・スクワッド」シリーズでお馴染みの組織「タスクフォースX」が登場するなど、ある程度「DCエクステンデッド・ユニバース」に関して予習しておいた方が良い作品ではあります。

ですが、そういう細かい部分を気にせずに、圧倒的なブラックアダムの強さを体感するだけでも、めちゃくちゃ楽しい作品です。

また、今作で初登場となる「未来が見える魔術師」ドクター・フェイトは、絶対的な悪も正義も信じない、独自の思想を持つベテランヒーローなのですが、演じるのはピアース・ブロスナン

ブラックアダムを「守護神」に導く重要な役どころを、魅力たっぷりに演じていますので、そこにも注目して下さい





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