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Entry 2019/07/30
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映画『仮面ライダージオウ(2019)』ネタバレあらすじと感想。Over Quartzerは平成ライダーシリーズに終止符と祝福を|邦画特撮大全55

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第55章

平成最後の仮面ライダーとなった『仮面ライダージオウ』。平成も終わり令和という新時代を迎えた2019年7月26日から、『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』が公開されました。

本作は“ジオウの真の最終回”と銘打たれた、平成仮面ライダーシリーズの集大成とも言える作品です。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』の作品情報

【公開】
2019年7月26日(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【監督】
田崎竜太

【脚本】
下山健人

【音楽】
佐橋俊彦

【アクション監督】
宮崎剛

【特撮監督】
佛田洋

【キャスト】
奥野壮、押田岳、大幡しえり、渡邊圭祐、稲葉友、クリス・ペプラー、ISSA、斉藤秀翼、パパイヤ鈴木、前野朋哉、若林時英、木梨憲武、生瀬勝久

【作品概要】
本作は平成最後の仮面ライダーシリーズ『仮面ライダージオウ』の劇場オリジナル作品です。監督は平成仮面ライダーシリーズの中核を担ってきた田崎竜太。脚本はTVシリーズのメインライターでTVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』で知られる下山健人。

奥野壮、押田岳、大幡しえり、渡邊圭祐らTVシリーズの主要キャストに加え、本作の主題歌を担当しているISSAたち「DA PUMP」のメンバーが総出演。さらに『仮面ライダードライブ』(2014~2015)から稲葉友とクリス・ペプラーがゲスト出演します。

本作に登場するオリジナル仮面ライダー役には前述のISSAの他、ジョウゲン/仮面ライダーザモナスには斉藤秀翼、カゲン/仮面ライダーゾンジスにはパパイヤ鈴木がキャスティングされています。

映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』のあらすじとネタバレ


劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映AG・東映

常盤ソウゴ/仮面ライダージオウたちの元に、仮面ライダードライブの生みの親であるクリム・スタインベルトから助けを求めるメッセージが届きました。何者かがクリムの祖先を消し、仮面ライダードライブの存在を歴史から抹消しようとしていたのです。

ソウゴ、明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ、ツクヨミ、ウォズ/仮面ライダーウォズの4人はクリムを助けるため、敵が向かったと思われる1575年へ向かいます。

1575年は、織田信長が武田信玄と戦った「長篠の戦い」を目前に控えた時期でした。

ソウゴたちは織田信長がクリムの祖先であるクララ・スタインベルトというオランダ人の美女と一緒にいると聞き、信長を探し出し接触します。しかし信長は飄々とした女好きの男で、後世に伝わるイメージとは大きくかけ離れた人物でした。

信長はゲイツを影武者にして、自身が惚れ込んでいるクララとどこかへ消えてしまいます。

残ったソウゴたちは信長らを追います。信長と合流するソウゴたちでしたが、そこへクララを狙ってジョウゲン/仮面ライダーザモナス、カゲン/仮面ライダーゾンジスが現れました。ソウゴたちは2人の謎のライダーを蹴散らし、クララを守りきります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』ネタバレ・結末の記載がございます。『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映AG・東映

現代に戻ってきたソウゴたち。さらにゲイツにほれ込んだ信長の家臣・牛三も現代にやって来てしまいました。

ソウゴはクリムと詩島剛/仮面ライダーマッハの2人からドライブライドウォッチを受け取ります。これで平成ライダーのライドウォッチが全て揃ったのです。

しかしその時、世界に異変が起き始めたのです…。

ソウゴたちがクジゴジ堂の外へ出ると、魔王の玉座が用意されており、民衆がそれを囲んでいました。ウォズが声高に祝いの言葉を述べる中、ソウゴは玉座へ向かいます。

しかし玉座には、歴史の管理者を名乗る集団“クォーツァー”のリーダー・常盤SOUGOという男が鎮座していました。その時、ソウゴは自分が生まれながらの魔王ではなく、常盤SOUGOの替玉として擁立されたことを思い出したのです……。

クォーツァーの目的は平成と平成ライダーの2つの混沌とした時代を全て否定し、新たな「美しい歴史」を一から作り出すことでした。ウォズ、そしてザモナスとゾンジスの2人の仮面ライダーはクォーツァーの一員だったのです。

幽閉されたソウゴでしたが、となりの房にいた木梨猛/仮面ノリダーという男から励まされます。そしてソウゴは剛と牛三の助けにより脱出し、常盤SOUGOへ立ち向かいます。

しかし、SOUGOは仮面ライダーバールクスに変身!! ソウゴもゲイツも、クォーツァーが変身する仮面ライダーの強大な力に圧倒されてしまいます。

しかしこれまでのソウゴとの旅路を思い出し、ウォズはクォーツァーを裏切ります。


劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映AG・東映

ウォズが逢魔降臨暦を破り捨てると、仮面ライダーG、仮面ライダーブレン、仮面ライダー斬月カチドキアームズ、マンガ版仮面ライダークウガらが現れクォーツァーたちと戦います。

さらにソウゴは自身の存在意義を再確認し再起。オーマジオウライドウォッチを手に入れ、仮面ライダージオウオーマフォームに変身するのです!! バールクスは対抗するために、バイオライダーライドウォッチとJライドウォッチを使って巨大化します。

しかしジオウとゲイツ、そして19人のライダーたちは“平成ライダーキック”を繰り出し、仮面ライダーバールクスを撃破するのでした。

クォーツァーの残党から本当に今のままの歴史で良いのかと問いかけられたソウゴは、「人生が美しくないなんて当たり前じゃん」と笑顔で返し、ゲイツとツクヨミら仲間が待つクジゴジ堂へと帰っていきました。

“平成仮面ライダーシリーズ”とは何だったのか?

『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』田﨑竜太監督特別コメント映像

2000年(平成12年)に放送が開始された『仮面ライダークウガ』から始まった平成仮面ライダーシリーズ。昨年2018年の冬に公開された前作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』は、『クウガ』の放送開始前日を起点に平成ライダー20作品全てを総ざらいした作品でした。

本作『仮面ライダージオウ Over Quartzer』は、前作以上に“平成ライダーとは何だったのか”というテーマを深化させた作品です。

そもそも、平成仮面ライダーシリーズという名称は便宜上のもので、昭和と平成をまたいで放送された『仮面ライダーBLACK RX』(1988~1989)、『真・仮面ライダー 序章』から始まったいわゆる“ネオライダー”と呼ばれる3作品、そしてネット配信され話題を呼んだ『仮面ライダーアマゾンズ』(2016~2018)などそこから零れてしまう作品も多数あります。

平成という時代を変えようとする本作の敵・クォーツァーが変身する仮面ライダーたちは、上記の“平成ライダー”に含まれない作品がモチーフとなっています。

常盤SOUGOが変身する仮面ライダーバールクスは『仮面ライダーBLACK RX』(1988~89)がモチーフ。仮面ライダーゾンジスは『真・仮面ライダー 序章』『仮面ライダーZO』『仮面ライダーJ』の3体のライダーがモチーフで、仮面ライダーザモナスはネットドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』(2016~2017)がモチーフとなっているのです。

平成ライダーたちに取って代わろうとする仮面ライダーバールクスが、平成最初に放送された『仮面ライダーBLACK RX』を基にしているというのは非常に面白い点です。


劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映AG・東映

クォーツァーは平成ライダーたちを“設定もバラバラ”で“不揃い”だと評し、美しい形に改変しようとします。しかしこの設定もバラバラで不揃いというのは、『クウガ』以降の平成ライダーたちの最大の魅力でもあるのです。チャレンジ精神を忘れずに毎年、独特の魅力を持つ平成ライダーが生み出されてきました。悪くいってしまえばシリーズの筈なのに作風に統一性がなく、劇中でウォズが言うように一つの枠に収めることなど出来ないのです。

しかし「不揃い」や「美しくない」などという、結果論としての評価は誰にでも出来るものではないでしょうか。主人公の常盤ソウゴは本作のラストにて、クォーツァーに対して「過去があるから現在の自分がある」と反論します。どんなに過去が不揃いでも美しくなくても、それは現在の自分にとって確実に糧となっているのです。これは『仮面ライダー電王』(2007~2008)で描かれた“過去が希望をくれる”というメッセージにも通じるものです。

まとめ


劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映AG・東映

『仮面ライダードライブ』(2014~2015)の主題歌は「SURPRISE-DRIVE」でしたが、『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』の後半部はとにかく観客を驚かす仕掛けばかりでした。

平成という時代を仮面ライダーと共に歩んできたファンにとっては、最後のお祭り映画です。未見の方は劇場へ急ぎましょう。そして、令和に現れる新たな仮面ライダーたちの活躍も見守っていきましょう。

次回の邦画特撮大全は…


劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映AG・東映

次回の邦画特撮大全は『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』と同時上映される『騎士竜戦隊リュウソウジャーTHE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』(2019)を特集します。

お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら




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