2026年9月4日(金)より映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』は新宿ピカデリーほか全国公開!
ベルリンの壁崩壊直後の旧東ドイツを舞台に、廃棄された大量の紙幣をめぐる実話に基づいたヒューマン・コメディ『ハルバーシュタットの埋蔵金』。
まもなく無価値になる旧通貨をめぐり、失業中の夫婦と幼なじみが近隣住民を巻き込んで西側の最新家電を買いあさる奇想天外な大作戦が展開します。
『落下の解剖学』(2024)のザンドラ・ヒュラーが主演を務め、俳優としても活躍するナーチャ・ブルンクホルストが監督・脚本を手掛けた本作は、ドイツ映画賞で主要2部門にノミネートされ現地でも大きな注目を集めました。
統一へ向かう激動の時代をユーモラスに切り取りながら、市井の人々の逞しさと絆を温かく描き出した見応えある一作です。
映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』の作品情報

(C)2024 ROW Pictures GmbH, zischlermann filmproduktion GmbH, Lichtblick Film- und Fernsehproduktion GmbH, ZDF, ARTE
【日本公開】
2024年(ドイツ映画)
【原題】
Zwei zu eins
【監督・脚本】
ナーチャ・ブルンクホルスト
【キャスト】
ザンドラ・ヒュラー、マックス・リーメルト、ロナルト・ツェアフェルト、ウルスラ・ベルナー、ぺーター・クルト、マルティン・ブラムバッハ、カトリン・ベーリシュ、オッリ・ディトリッヒ、ウーベ・プロイス、アンセルム・ハーデラー、ロッテ・シーリン・カイリング、ロベルト・ヘラー、トム・コイネ、ヨルク・ディッペ、ウティラ・クラトホビル、ヒルマー・アイヒホルン、ダービト・ブレディン、クリストフ・ミュラーほか
【作品概要】
東西ドイツ統一前夜を舞台に、人生の大きな転機に訪れた大事件に揺れる東ドイツのある集合住宅の住民たちを描いたコメディ。
作品を手掛けたのは『クリスチーネ・F』の主演や『ネレ&キャプテン 壁をこえて』の脚本などで知られるナーチャ・ブルンクホルスト監督。
キャストには『落下の解剖学』(2024)『関心領域』(2024)のザンドラ・ヒュラー。『マトリックス レザレクションズ』(2021)のマックス・リーメルト『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』(2017)のロナルト・ツェアフェルトらが名を連ねています。
映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』のあらすじ

(C)2024 ROW Pictures GmbH, zischlermann filmproduktion GmbH, Lichtblick Film- und Fernsehproduktion GmbH, ZDF, ARTE
1990年の夏、東ドイツで暮らす幼なじみのマーレン、ロベルト、フォルカーは、街の近くにある地下坑道で、旧体制下で廃棄されるはずだった大量の紙幣が残されているのを発見します。
大量の紙幣を手にしホクホク顔であったのもつかの間、貨幣価値など殆どないと知った彼らは落胆。しかしそれに西側が提供する物質と交換ができることを知り、仲間同士で独自の流通網を開拓していきます。
ある意味「西側資本主義に小さな反旗を翻す」ともみえるその行動は、やがて大事件へと展開していくのでした。
映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』の感想と評価

(C)2024 ROW Pictures GmbH, zischlermann filmproduktion GmbH, Lichtblick Film- und Fernsehproduktion GmbH, ZDF, ARTE
歴史が大きく動くとき、そこに暮らす人々は何を思ったのか
社会主義国の中で、人々はどのように暮らしていたのか?
民主主義や資本主義が世界を席巻する現在から振り返ると、社会主義体制そのものを否定的に捉えがちです。
しかし、そこで暮らしていた人々にも、それぞれの仕事があり、生活があり、長い時間をかけて築いてきた人生がありました。
東西ドイツの統一も、そうした人々の暮らしを大きく変えた出来事でした。1989年、東ドイツでは自由や民主化を求める動きが広がり、翌1990年には東西ドイツ統一へと向かいます。
もちろん、社会主義体制からの変化を歓迎した人は少なくありません。一方で、急激な社会の変化によって、それまで築いてきた仕事や暮らしを失ったと感じる人々もいました。
特に1990年7月の通貨統合を境に、東ドイツには市場経済の波が一気に押し寄せます。企業の淘汰が進み、失業者も増加しました。昨日まで当たり前だった生活の仕組みが、短い時間のうちに変わっていったのです。

(C)2024 ROW Pictures GmbH, zischlermann filmproduktion GmbH, Lichtblick Film- und Fernsehproduktion GmbH, ZDF, ARTE
東ドイツの人々が置かれた状況を思うと、映画『グッバイ・レーニン!』(2003)を思い出す人もいるでしょう。
そこに描かれていたのも、社会主義体制そのものの是非というより、体制が変わることで、それまでの生活や記憶までが急速に過去のものになっていく人々の姿でした。
しかし、まさにそこが本作の面白いところです。東西ドイツ統一という出来事は、歴史の教科書にすればほんの数行で語ることができます。けれど、その瞬間を生きていた人々にとっては、人生そのものが変わってしまうほどの出来事でした。
大きな歴史の転換点に立っていたのは、政治家や歴史上の人物だけではありません。ハルバーシュタットのような街にも、その時代を生きていた普通の人々がいました。そして彼らにも、それまで積み上げてきた暮らしがあります。
本作が興味深いのは、そうした「歴史の大きな物語」ではなく、その片隅にいる人々の目線から時代の変化を見つめているところです。
社会の仕組みが変わったとき、人は何を失い、何を守ろうとするのか。そんな問いが、ユーモアを交えた小さな物語の中から浮かび上がってきます。
まとめ

(C)2024 ROW Pictures GmbH, zischlermann filmproduktion GmbH, Lichtblick Film- und Fernsehproduktion GmbH, ZDF, ARTE
本作の舞台となるのは、ドイツ中部、現在のザクセン=アンハルト州にあるハルバーシュタットという場所です。
当時は東ドイツに属していたこの街には、中世から続く大聖堂や歴史的な街並みも残されています。そのためか、劇中の街には、私たちが「東ドイツ」と聞いて思い浮かべる無機質な都市風景とは少し違った印象があります。
歴史の大きなうねりから少し離れた、穏やかで素朴な街。その風景が、この映画の持つ独特の空気を作り出しています。
社会が大きく変わるとき、その変化をすべての人が同じように受け止められるとは限りません。過去のドイツを舞台にした物語でありながら、「大きな変化の中で、人はどう生きるのか」という問いは、決して過去だけのものではないでしょう。
歴史の大波に翻弄されながらも、自分たちの生活を取り戻そうとする人々。『ハルバーシュタットの埋蔵金』は、そんな人々の姿を通して、歴史の教科書からは見えてこない「その時代を生きた人々の時間」を感じさせてくれる作品です。
2026年9月4日(金)より映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』は新宿ピカデリーほか全国公開!





































