余命半年の少女が恋をした!『ストロベリームーン 余命半年の恋』で描かれる少女の思いは?
余命半年と宣告された病気の少女が、高校1年生の春に体験する一生分の恋を描いた、芥川なおの純愛小説『ストロベリームーン』。
高校の入学式の日に美少女・桜井萌が自身の病気を隠して、出会ったばかりの同級生・佐藤日向と交際を始めます。ピュアな思いを紡ぎ、幸せで切ない限られた時間を過ごす2人の純愛ストーリーが映画化されました。
『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(2023)『恋を知らない僕たちは』(2024)の酒井麻衣が監督を務め、主役に2025年の『おいしくて泣くとき』『雪風』の當真あみを抜擢。
マジで泣けるピュアな恋愛物語、映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』をネタバレありでご紹介します。
CONTENTS
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』の作品情報

(C)2025「ストロベリームーン」製作委員会
【日本公開】
2025年(日本映画)
【原作】
芥川なお『ストロベリームーン』(すばる舎)
【監督】
酒井麻衣
【脚本】
岡田惠和
【編集】
和田剛
【音楽】
富貴晴美
【主題歌」
ORANGE RANGE『トワノヒカリ』(Sony Music Labels Inc.)
【キャスト】
當真あみ、齋藤潤、杉野遥亮、中条あやみ、池端杏慈、黒崎煌代、吉澤要人、伊藤健太郎、泉澤祐希、黒島結菜、池津祥子、橋本じゅん、田中麗奈、ユースケ・サンタマリア
【作品概要】
本作は、余命半年と宣告された少女の一生分の恋を描いた芥川なおの純愛小説『ストロベリームーン』の映画化です。
監督は『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(2023)『恋を知らない僕たちは』(2024)の酒井麻衣。脚本をNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』や、映画『余命10年』(2022)など、数々のヒット作を手がけてきた岡田惠和が担当しています。
主人公・萌役は、『おいしくて泣くとき』(2025)の當真あみ。彼女は本作で見事に長編映画初主演を飾りました。
日向役を『カラオケ行こ!』(2024)の齋藤潤が演じ、杉野遥亮、中条あやみ、ユースケ・サンタマリア、田中麗奈らが脇を固めています。
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』のあらすじとネタバレ

(C)2025「ストロベリームーン」製作委員会
家業の醤油屋の仕事と小学校の教師という二束のわらじを履く佐藤日向(齋藤潤)。
ある日、勤務先の小学校で交通安全指導の実習があり、警察官を招いて生徒の前で横断歩道の渡り方を教授していました。
女性警察官・高遠麗(中条あやみ)が生徒たちに、自分も佐藤先生もこの小学校の卒業生であること、佐藤先生は過去に2度も横断歩道でぼーとしていたことを話します。
実は、麗と日向は幼馴染であると同時に、ある少女との共通の思い出を持っていたのです。
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話は13年前に遡ります。
病弱な体のため、学校にも通えず毎日ひとり家の中で過ごしている一人の少女がいました。
彼女の名前は桜井萌(當真あみ)。萌を愛する両親は学校に通えない彼女のために、自宅で教室と同じ机を用意して勉強させ、給食が食べたいと萌が言えば、給食風の食事を用意したりと、何でも彼女の希望を叶えていました。
萌は中学生になった頃、いつも書いているイラスト日記に、かっこいい女の子の親友が欲しいと書きました。
その日記を見た両親は知恵を絞り、萌と同い年の総菜屋の娘・高遠麗(池端杏慈)にから揚げを宅配してくれるように頼みました。
から揚げを届けに来た麗は、そのまま桜井家の2階の萌の部屋に案内され、萌と初対面をします。
お姫様のような服を着て物おじしない可愛らしい萌と、活動的で面倒見のいい麗は気が合って、すぐに打ち解けます。その日のうちに2人は親友になりました。
萌はすぐにイラスト日記に、次は「男の子の彼氏が」欲しいと書きます。さてこの願いは叶うのでしょうか。麗と自宅で遊ぶ日々が続くうちに、萌は15歳になりました。
その年の冬、萌は発作を起こしました。両親は萌を車に乗ぜて一刻も早く病院へ行こうとしたのですが、渋滞にはまってしまいます。
その時、萌が車の中から見たのは、横断歩道を渡ろうとして買い物袋を落としてしまい、泣いている女の子の姿でした。
そこへ、見知らぬ男の子が駆け寄ってきて、女の子を助けました。近所の中学校の制服を着たその男の子に、萌は一目ぼれします。
病院の検査結果は思わしくなく、医師から余命が残り少ないことを宣告されました。ですが、萌は「運命の相手」に会いたいために、高校に通うことを決意したのです。
映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』の感想と評価

(C)2025「ストロベリームーン」製作委員会
余命宣告を受けた恋の行方
余命半年と宣告された少女・萌の生涯で最初で最後の恋を描いた『ストロベリームーン 余命半年の恋』。
残された時間があまりないことを承知のうえで、萌は「私とつきあってください」と自分の思いを初恋の相手・日向にぶつけました。
そして、日向が「小学校の教師」と「家業の醬油屋を継ぐ」という2つの夢があってどっちにするか迷っていると言うと、「2つも夢があっていいじゃないですか。どっちもやるべきです」と即座に答えます。それも、ハッとするほど素敵な笑顔で……。
物おじせずにはっきりと自分の考えを述べる萌。一途に日向を思う萌の真心にたじろいながらも、その純粋さにひかれていく日向。
2人の交際は周囲の友人たちも巻き込んで、とても微笑ましい青春ストーリーを刻みます。
死を間近に控えた恋する少女の一挙一動が清々しい……。なんと潔く凛としていることでしょう。
もっと彼と一緒にいたいという気持ちは、病気ということを忘れてしまうほどの強いものでしたが、病魔は確実にその魔の手を伸ばしていました。
自分の命が残り少ないことをはっきりと悟った萌は、このまま日向と付き合っていていいのかと真剣に悩みます。そのことを知った日向もまた自分が萌にしてあげられることはないのかと、思い悩みました。
どうにもならない現実に直面しながらも、2人のお互いを思う気持ちに胸が締め付けられます。
ストロベリームーンに秘められた萌のピュアな願いは叶わなくても、日向の心にいつまでもその面影が残ることは間違いありません。
原作小説との違い

(C)2025「ストロベリームーン」製作委員会
さて、ここで原作小説との大きな違いに気が付きます。
萌の親友となった高遠麗は、日向の幼馴染でひそかに日向に恋しているということは変わりませんが、原作小説では親友ではありません。
原作では日向に思いを寄せる登場人物として描かれた高遠麗ですが、映画では萌の親友で常に萌の心の支えになっているというキャスティングです。
ずっと友人がいなかった萌の心に飛び込み、時には厳しく、時には優しく、萌の相談にのる麗。高校生の頃の麗は池端杏慈が演じています。
活発でかっこいい少女でしたが、大人になった麗は日向への思いを胸に秘めて、親友を送り出した悲しみを噛みしめている憂いのある女性となりました。
大人の麗を演じているのは、中条あやみ。キラキラした青春時代の面影を残しながらも、萌への変わらぬ友情を持つ真の強い女性を演じきっています。
好きな人がいればその人しか見えなくて、すぐそばに自分のことを好きな人いるのも気が付かない……。それは、麗と日向だけでなく、ほかの友人たちにも言えることで、本作では、青春時代の複雑な恋愛感情をものぞかせていました。
余命宣告を受けながらも初恋を全うする萌を演じるのは、『おいしくて泣くとき』(2025)にも出演し、今後の活躍が期待される當真あみ。一途に一人の男性を思う少女をピュアなイメージそのままの演技力で表現しています。
日向の現在の職業も原作の医師と異なり、小学校の教師と醤油屋の2つに設定しています。
この設定には、未来がほぼ消えている萌が日向が悩む2つの夢を喜んで「2つとも叶えてください」と言い、日向がそれを叶えるという重要な役割があったことがわかります。
また、13年後に届く萌からの手紙も原作にはないのですが、相手のことを考える萌らしさにあふれるサプライズで、優しい気持ちにさせてくれました。
短い青春を駆け抜けた萌のラブストーリーを涙なしでは観れませんが、その恋の結末はしっかりと胸に刻まれると思います。
まとめ

(C)2025「ストロベリームーン」製作委員会
『ストロベリームーン 余命半年の恋』は、あまりに切なくて、涙なしには見られない映画でした。
萌に与えられた残酷な運命を誰が変えられるというのでしょう。
誰も悪くなく、その運命を恨みたくなる作品です。ですが、萌は誰も恨んだりしません。それどころか、健気にも自分がいなくなった後のことを考えていました。
萌と日向の一途な初恋、そして萌の家族や友人たちへの心配りが、観る者の心に勇気と感動を与えてくれることは間違いありません。
エンドロールでは、萌が書いていたイラスト日記が映し出されます。
病気を発症した時から、天国へ召される前までの萌の気持ちが、色彩豊かなかわいいイラストと素直な文章で描かれていました。
この日記だけでも萌の青春が十分に読み取れる優れものと言えます。幕が下りる最後まで、萌の生きた証を見届けてください。



































