Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2025/10/10
Update

映画『KIDS/キッズ』あらすじ感想と評価解説。キャストのクロエ・セヴィニーの演技光る!ティーンの生々しいリアルを映し出す“超問題作”

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『KIDS/キッズ』は2025年10月17日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開

伝説の写真家ラリー・クラークのセンセーショナルなデビュー作映画『KIDS/キッズ』が2025年10月17日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開されます。

多くの映画監督に影響を与えてきたクラーク監督が、リアルで生々しいティーンの24時間を映し出す一作です。

出演はレオ・フィッツパトリック、ジャスティン・ピアース、クロエ・セヴィニー、ロザリオ・ドーソン。

断崖に向かってスピードを上げて疾走するティーンネージャーたち。彼らの危険な生態を正面から映し出す問題作の魅力をご紹介します。

映画『KIDS/キッズ』の作品情報


(C)1995 KIDS N.Y. LLLC. All rights reserved (C)2018 Filmverlag Fernsehjuwelen. All rights reserved.

【日本公開】
2025年(アメリカ映画)

【監督】
ラリー・クラーク

【脚本】
ハーモニー・コリン

【編集】
クリストファー・テレフセン

【キャスト】
レオ・フィッツパトリック、ジャスティン・ピアース、クロエ・セヴィニー、ロザリオ・ドーソン、ハロルド・ハンター、ヤキーラ・ペグエロ

【作品概要】
写真集「タルサ」などティーンエイジャーのリアルな姿を撮り続けてきたラリー・クラークの監督作品。マーティン・スコセッシ、ガス・ヴァン・サント、フランシス・F・コッポラなど、多くの映画監督に影響を与えた写真家のデビュー作です。

誰も作らなかった映画を作りたいという強い思いで、ティーンエイジャーの24時間をリアルに描き上げました。脚本は当時19歳だったハーモニー・コリン。

SEX、ドラッグ、HIVとあまりにもリアルで生々しく90年代のティーンの姿をまるでドキュメンタリーのように映し出し、多くのクリエイターに影響を与えるなど、今もなお熱烈なファンを増やし続ける作品です。製作からちょうど30年の時を経て、スクリーンで観る者に新たな衝撃を与えます。

キャストは、俳優ではなく街中でラリー・クラークが知り合ったレオ・フィッツパトリック、ジャスティン・ピアース、ハロルド・ハンターといったスケーターを起⽤。ジェニー役のクロエ・セヴィニーは当時演技未経験でしたが、本作の出演によって時代のアイコンとなっていきました。現在も⼥優として活躍するロザリオ・ドーソンがルビー役を演じています。

映画『KIDS/キッズ』のあらすじ


(C)1995 KIDS N.Y. LLLC. All rights reserved (C)2018 Filmverlag Fernsehjuwelen. All rights reserved.

ニューヨークのある夏の暑い日の午後。テリーはいつものようにバージンの女の子をモノにして、親友のキャスパーに自慢しながら、街をブラついていました。

仲間がたむろすポールの家でくすねたビールを飲み、ドラッグを決め、SEXの話で盛り上がります。

一方、ルビーの家ではジェニーたち女の子5人もSEXの話ばかり。経験豊富で無防備なSEXを楽しむルビーは、自分の体験談をネタに盛り上げます。

ジェニーは自分のバージンを奪い、その後は連絡もしてこないテリーを許せずにいました。

HIV感染を心配するルビーに付き合い、テリーとの1回きりのSEXしか経験のないジェニーも検査を受けます。

後日ふたりが検査結果を聞きにいくと、ルビーは陰性でしたが、ジェニーは陽性の判定が出ていました。

たった1回、1人の男とのSEXのために突然の死の宣告をされてしまったジェニー。とにかくテリーを見つけて、このことを伝えなければと必死で町を探し回ります。

しかし、テリーは新たなバージンの女の子・ダルシーを誘い出し、仲間たちと夜のプールではしゃいでいました。自分自身がHIVキャリアとも知らずに・・・。

映画『KIDS/キッズ』の感想と評価


(C)1995 KIDS N.Y. LLLC. All rights reserved (C)2018 Filmverlag Fernsehjuwelen. All rights reserved.

あまりにも残酷で無鉄砲な子供たちを容赦なく映し出す恐ろしい映画です。公開当時、その内容で全米に賛否両論を巻き起こしたのもうなずけます。

大人の体に幼稚な頭を乗せたテリーは、若くしてすでにセックス中毒となっています。寝ても覚めても性欲の虜で、病気の心配もないバージンばかりを狙って関係を持ち続けていました。

真っ昼間の公園で容易に手に入るドラッグ。それを堂々と仲間同士でまわして吸えるとんでもない環境に唖然とするばかりです。暴力的になった彼らの狂気じみた笑い声と、ブレーキの効かない悪意が映し出され、途方もない恐怖に襲われます。

精神が幼いまま体だけが大人になることの危険性が、いやというほど伝わってきます。彼らが手に入れた大人の体は、あまりにも刺激的でした。欲望と狂乱の中に生きる子供たちは、人生の恐ろしさに目を向けようとしません。

幼い少女にも躊躇せず手を出し、気づかぬうちにHIVに感染していたテリー。彼によって感染させられたジェニーは、テリーを探して町を彷徨います。テリーとの関係は1回きり、節度ある生活を送っていたはずのジェニーが、厳しい運命に選ばれてしまったことに胸が痛みます。

重要キャストのジェニーを演じるのは本作がデビューとなるクロエ・セヴィニーです。芝居のセンスやオーラなど、後の活躍を予感させる輝きをすでに放っています。

まとめ


(C)1995 KIDS N.Y. LLLC. All rights reserved (C)2018 Filmverlag Fernsehjuwelen. All rights reserved.

フィクションか現実か、という論争まで巻き起こした問題作『KIDS/キッズ』。制作から30年を経た今もその鮮烈さは薄れることなく、多くのファンを魅了し続けています。

抱えきれないエネルギーを燃やしながら暴走する若者たち。彼らの行き着く先が悲劇でないことを祈らずにはいられません。

映画『KIDS/キッズ』は2025年10月17日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開です。



関連記事

ヒューマンドラマ映画

Netflix海外ドラマ『コブラ会』ネタバレあらすじと感想考察。シーズン1として“ベストキッドの34年後”に描かれたストーリーとは

Netflix海外ドラマ『コブラ会』シーズン1 1984年に公開された映画『ベスト・キッド』は、いじめられっ子の少年ダニエルが、空手の達人であるミヤギさんに出会い、空手を通じて成長していくストーリー。 …

ヒューマンドラマ映画

地下鉄(メトロ)に乗って|あらすじネタバレ結末と感想評価の解説。感動映画おすすめ!浅田次郎原作のタイムトラベルよる断絶した“父子の和解”

若き日の父と出会うタイムスリップの旅 『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)の堤真一が主演を務める感動のヒューマンドラマ。 浅田次郎の出世作を原作に、『花戦さ』(2017)の篠原哲雄監督が映画化し …

ヒューマンドラマ映画

映画『ネクタイを締めた百姓一揆』あらすじと感想レビュー。ロケ地である岩手花巻の“まちづくりの精神”

来るのかな?新幹線!花巻に!? 映画『ネクタイを締めた百姓一揆~新花巻駅設置を巡る14年間の物語』は、東北新幹線の新花巻駅設置を巡り、奮闘した花巻市民たちの14年間に渡る活動を描いた作品です。 当時の …

ヒューマンドラマ映画

『とんび』映画化原作小説のあらすじネタバレと結末感想。泣ける名言によるヤスさんの我が子への不器用な愛し方

重松清の小説『とんび』が2022年4月8日(金)に初の映画化! 重松清のベストセラー小説『とんび』。累計発行部数60万部を突破したこの小説は、これまでに2度ドラマ化され、ついに初の映画化が実現しました …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ】サウンド・オブ・ミュージック|あらすじ感想とラスト結末の評価。ミュージカルの傑作!ナチスに抗う家族の絆を数々の名曲に乗せて描く金字塔

名曲が彩る感動の傑作ミュージカル 『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)は、『ドレミの歌』『私のお気に入り』『エーデルワイス』など劇中で歌われる名曲の数々とともに、映画史に名を刻む傑作ミュージカ …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学