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Entry 2020/04/01
Update

映画『水上のフライト』あらすじと感想レビュー。キャスト中条あやみと杉野遥亮で描くパラカヌーを目指すヒロイン

  • Writer :
  • 星野しげみ

映画『水上のフライト』は2020年11月13日(金)より全国ロードショー。
「負けることは嫌い」。中条あやみ演じる勝気なヒロインがハンディキャップを乗り越えていく

パラカヌーでオリンピックを目指すヒロインを描いた映画『水上のフライト』。『引っ越し大名』(2019)の脚本家・土橋章宏が、パラカヌーの日本代表瀬立モニカの実話に着想を得て作り上げた感動の物語です。

走高跳でオリンピックを目指していた藤堂遥は、ある日交通事故で脊髄を損傷します。車椅子の生活を余儀なくされ、失意の中で遥が出会ったのはカヌーでした。両手を使って水の上を走らせるカヌーなら足が動かなくても出来るのでは……。

母や恩師の期待が今なお走高跳への夢を持つ遥に重くのしかかり、心を閉ざした遥ですが、やがて絶望の淵から再び自分の夢を持って立ち上がっていきます。

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映画『水上のフライト』の作品情報

(C)2020 映画「水上のフライト」製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【監督】
兼重淳

【脚本】
兼重淳・土橋章宏

【キャスト】
中条あやみ 杉野遥亮 大塚寧々 小澤征悦 高月彩良 富手麻妙 高村住偉人

【作品概要】
映画『水上のフライト』は、「超高速!参勤交代」(2014・2016)シリーズなど数多くのヒット作の脚本を手掛けた土橋章宏が、実在するパラカヌー日本代表選手の瀬立モニカさんとの交流を通じて、作り上げたオリジナルストーリーです。

主人公の遥に、『雪の華』(2019)の中条あやみ。遥を心配しながらも優しく見守る母親には『アマルフィ女神の復讐』(2009)の大塚寧々。遥を裏で支える仲間・颯太に『居眠り磐音』(2019)の杉野遥亮。父親のように遥を心配するカヌーコーチに『引っ越し大名!』の小澤征悦と、旬な俳優陣が集結。『キセキ-あの日のソビト-』(2017)の兼重淳を監督に迎え、障害を乗り越えて夢に挑んでいく、1人の女性の成長を描くヒューマンドラマを作り上げます。

映画『水上のフライト』のあらすじ

(C)2020 映画「水上のフライト」製作委員会

走高跳でオリンピック出場を夢見る藤堂遥。負けることが大嫌いな彼女は、自分の実力には絶対の自信を持っていました。

ベスト記録を出した練習帰りに遥は交通事故に遭い、二度と歩くことの出来ない身体になってしまいます。車椅子での生活は、将来の夢を断たれた彼女にとっては、牢獄に居るようなもの。

自暴自棄になって心を閉ざす遥を心配した母・郁子は、遥の父親の親友であるカヌーコーチの宮本に頼み、遥をカヌー体験に連れて行きます。

もともと運動神経のよい遥ですから、カヌーを自分で操作しながら、滑るように水上を移動していく楽しさに目覚めていきます。カヌーを通じて新しい仲間もでき、少しずつ笑顔も取り戻してきました。

どんどん上手になっていく遥。ある日、宮本から「カヌーでパラリンピックを目指さないか?」と誘われます。

パラリンピックという言葉が、胸の奥深くしまい込まれていた遥の「自尊心」を刺激し、走高跳を諦めなければならないという現実に引き戻されました。再び落ち込んだ遥は、車椅子のまま自宅を飛び出します。

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映画『水上のフライト』の感想と評価

(C)2020 映画「水上のフライト」製作委員会

映画『水上のフライト』は、実在するパラカヌーの日本代表選手・瀬立モニカの体験からヒントを得て作られた物語です。

ヒロイン・遥は、オリンピック確実といわれる走高跳の選手でした。不慮の事故で脊髄が傷つき歩けなくなったとき、遥の夢は砕け散り、絶望の淵に立たされます。

幼い頃に少しだけ経験をしたカヌーを再びやり始めて、少しずつその楽しさが分かってきたけれども、“自分の夢をかけたスポーツ”と“趣味で楽しむスポーツ”とは違います。

自分の全てをかけてきた夢を諦めなければならないという現実が、人一倍勝気な遥をずっと苦しめていたのです。

一本筋の通った自我を持ち、正直すぎる自分をしっかりと出せるキャストとして、遥役に白羽の矢が立ったのは、中条あやみでした。彼女は、役作りのために、走高跳をはじめカヌーにも積極的に訓練をしたそうです。

主人公の遥同様に運動神経がいい中条は、すぐにオリンピック級のカヌーの腕前に上達したとか。後半に出場するパラカヌーの予選会において、遥と有力選手とのデッドヒートするレースは見ものです。

一方、遥の救世主ともいうべきはエンジニアの颯太。演じているのは杉野遥亮です。杉野は、家庭的に恵まれずに暗い影を持つ無口な颯太を、ごく自然に演じていました。

エンジニアですがパラリンピック競技の装具も手掛ける颯太は、身体の不自由な人には、さりげなく手を差し伸べる優しさを持っていました。遥との出会いのシーンにもそんな優しさがあふれています。

身体の不自由な人の役に立ち立ちという颯太が思いをこめて手掛けるパラ装具を知り、颯太が作った車椅子に乗ってみて、遥はその機能の良さと利便性に驚きます。

車椅子一つとっても、障害者が周りの人からどんなに支えられているのかということがよく分かったのです。

健常者であった頃の遥は、自分に自信がある高慢な女性でした。人の干渉は受け付けないし、自分のポリシーだけで生きている人。努力するのも自分のためだし、「自分はメンタルも含めて強い」と思っていた人でした。

遥は事故で普通の人とは違う境遇になって初めて挫折感を味わいます。そして、仲間たちからどれだけ自分は支えられているのかということに気が付きました。

ハンディキャップは個性なんだとポジティブに考えることで、遥は人としてひと回りも二回りも成長したのです。

自分が今生きていることへの感謝の気持ちをかみしめて、パラリンピックのカヌー選手略してパラカヌーを目指す遥。

澄み切った湖面を空にたとえ、パラカヌーで「飛んでいる」遥の姿は、苦難を乗り越えた自信に満ち溢れ、清々しい気分にさせてくれます。

まとめ

(C)2020 映画「水上のフライト」製作委員会

映画『水上のフライト』は、オリンピック・パラリンピックをめざすだけのスポーツ根性物語ではありません。

人は目標を見失ったとき、どうすれば前向きになれるのでしょうか。夢中になれるような‟何か”を持つべきで、それがスポーツだとする映画なら今までも存在したかもしれません。

「人は一人では生きて行けない」とよくいわれますが、映画『水上のフライト』では、遥の周りの人たちの頑張りを描くことで、それを実証しています。

人を見下したような高慢な態度にもあきれずに遥を慕ってくるカヌー仲間の少年少女たちと颯太。そして陰日向なくいつも遥に寄り添い、励まし続ける母・郁子の存在。父親のように遥を思うコーチの叱咤激励。

己惚れやだった自分に対して、こんなにも応援してくれる人たちがいて、それに気が付いて前向きに生きる決意をする遥。

これは、人生の目標を再認識して立ち直っていく女性のヒューマンドラマなのです。

遥のモデルとなった瀬立モニカは、事故で車椅子生活となり、約1年のリハビリを経てパラカヌー選手となりました。競技歴2年で日本選手初のパラリンピック出場を果たしています。

2019年8月のパラカヌー選手権で5位に躍進するという経歴の持ち主で、今後の活躍も充分期待できます。

オリンピック同様にパラリンピックもまた、白熱した試合が繰り広げられるビッグイベントです。映画の鑑賞後は、スポーツの祭典を心待ちしたくなることでしょう。

映画『水上のフライト』は2020年11月13日(金)より全国ロードショーです。

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