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『ショウタイムセブン』あらすじ感想と評価レビュー。韓国映画リメイク版を阿部寛主演で‟独占緊急生中継”番組として描く|映画という星空を知るひとよ246

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第246回

爆弾犯との独占緊急生中継をリアル進行で描く、サスペンス・エンタテインメントの『ショウタイムセブン』

夜7時、ラジオ番組に爆破犯から1本の電話が入り、人気ニュース番組「ショウタイム7」で犯人との独占緊急生中継が始まります。

映画『ショウタイムセブン』は2025年2月7日(金)全国公開!

犯人の正体と本当の目的とは? テレビ局のスタジオで行われる緊迫した交渉が、前代未聞の「命懸けの生放送」として、リアルタイムで進行。

交渉役に指名された元人気キャスターの折本を阿部寛が熱演しています。不安、焦り、苛立ち……。ストーリーが進むに従って移り変わる彼の緊迫した表情によって、事件の現場に引きずり込まれることでしょう。

『ショウタイムセブン』の映画公開に先駆けて、本作をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『ショウタイムセブン』の作品情報


(C)2025『ショウタイムセブン』製作委員会

【日本公開】
2025年(日本映画)

【原作】
The film “The Terror, Live” written and directed by Kim Byung-woo, and produced and distributed by Lotte CultureWorks Co., Ltd. and Cine2000

【監督・脚本】
渡辺一貴

【主題歌】
Perfume 『Human Factory – 電造人間 -』(UNIVERSAL MUSIC)

【キャスト】
阿部寛、竜星涼、生見愛瑠、前原瑞樹、平原テツ、内山昂輝、安藤玉恵、平田満、井川遥、吉田鋼太郎

【作品情報】
『ショウタイムセブン』は、2013年公開の韓国映画『テロ,ライブ』(監督:キム・ビョンウ、主演:ハ・ジョンウ)の日本リメイク版です。

監督を務めたのは、「岸辺露伴は動かない」シリーズをサスペンスフルで高クオリティに作り上げた渡辺一貴。

彼はメイン舞台の報道番組「ショウタイム7」は2時間の生放送番組と設定。放送と事件が同時進行し、登場人物たちが次々に予想外のアクシデントに巻き込まれていく緊迫感を表現しています。

主演に『テルマエ・ロマエ』(2012)『テルマエ・ロマエⅡ』(2014)や『護られなかった者たちへ』(2021)『異動辞令は音楽隊』(2022)の阿部寛、共演に竜星涼、生見愛瑠、井川遥、吉田鋼太郎とベテラン俳優が顔を揃えました。公開までは正体を明かされない爆破犯役のスペシャルキャストも存在。

映画『ショウタイムセブン』のあらすじ


(C)2025『ショウタイムセブン』製作委員会

真実に鋭く切り込む取材スタイルで人気絶頂の折本眞之輔(阿部寛)は、突然国民的ニュース番組「ショウタイム7」のメインキャスターを降板させられました。

あれから3カ月。彼はあるラジオ番組に左遷され、苦渋の日々を過ごしていました。

そんなある日の番組生放送中の午後7時。男性の声で1本の電話がはいり、その直後に発電所で爆破事件が起こりました。

電話は連続爆弾テロ予告だったのです。電話をかけてきた謎の男から交渉人として指名された折本眞之輔。

なぜ自分が。と不思議に思いながらも、折本は突如訪れた危機を「ショウタイム7」の独占ネタとして生中継し、それを番組への復帰のチャンスと捉えました。

そのまま、生放送中の「ショウタイム7」のスタジオに乗り込み、自らがキャスターとして犯人との生中継を強行します。

ですが、そのスタジオの中にも、既にどこかに爆弾がセットされていると犯人は告げます。

一歩でもスタジオから外へ出たら即爆破という状況下で、犯人の要求は二転三転しエスカレートする一方していきます。
そしてあらわれる、周到に仕掛けられた思いもよらない「罠」の数々。

なぜ、折本は指名されたのか? 犯人の正体と本当の目的とは? 

折本のすべての発言が生死を分けます。その極限状態がリアルタイムに全国民に拡散されていき……。

映画『ショウタイムセブン』の感想と評価


(C)2025『ショウタイムセブン』製作委員会

リアルな緊張感が漂う理由

韓国で大ヒットを記録したソリッドスリラー『テロ, ライブ』(監督:キム・ビョンウ、主演:ハ・ジョンウ)を原作にしているという本作。

スタジオが爆弾が仕掛けられた密室となり、交渉が失敗に終わると爆破されるという緊張感が漂う中、交渉人に指名されたアナウンサー折本が必死に犯人の説得に当たります。

テレビ局のスタジオを丸ごと作り込んだという現場での撮影が多い作品です。渡辺一貴監督は、ライブ感を徹底的に重視し、複数カメラで同時撮影したと語ります。

【渡辺監督の言葉】
本作のメイン舞台、報道番組「ショウタイム7」は2時間生放送の設定。放送と事件が同時進行し、登場人物たちが次々に予想外のアクシデントに巻き込まれていく緊迫感を、昔見た生ドラマのように表現できれば、と思った。できるだけ芝居を止めずに長回し。10分以上のテイクも数知れず。カメラの揺れなど小さなハプニングが起きてもそれを活かしながら。テイクを重ねるごとに阿部寛さんの熱量と迫力に凄みが増していく。モニターを見ながら私もこの生放送に参加している感覚に陥る。

テレビ番組の制作スタッフの配置や座り方までリアルに演出された本作だからこそ、映画の世界を超えた現実的な生放送と錯覚するような緊張感を醸し出すことが出来たのでしょう

その場に居合わせた者が感じるひりひりと追い詰められる緊迫感を、観客も一緒に味わえるのに違いありません

謎ばかりの生放送サスペンス


(C)2025『ショウタイムセブン』製作委員会

『ショウタイムセブン』では、爆破犯から交渉人に指摘された折本が、息詰まるような犯人との電話交渉に挑みます。

ですが、「なぜ、折本が交渉人に指名されたのか?」とか「爆弾はスタジオのどこに仕掛けられているのか?」という疑問が常に付きまといます。

番組名物の全国民に問う‟世論調査”で全国民が求める結末も気になり、人気キャスター折本が番組を降板させられたのには特別な理由があり、折本には誰にも言えない秘密があるのではないか、という新たな謎も生まれて来ました。

犯人の要求は何度も変わりますが、 それはなぜなのか。そして一番気になるのは、声だけで顔の見えない犯人の正体と真の目的でしょう。

真実に鋭く切り込む正義感あふれる折本に、なぜそこまで執着するのか。大きな疑問が、物語をスリル満点のサスペンスにしています

まとめ


(C)2025『ショウタイムセブン』製作委員会

爆弾が仕掛けられたテレビ局で交渉役に指名された元人気キャスター・折本が、爆破犯とリアルな電話交渉に臨みます。

犯人の正体と本当の目的がラストまでわからず、いつ爆破するかわからない爆弾に脅えながらも、交渉を続ける折本。

落ち着いた低音で脅迫を続ける爆破犯に一歩も引けを取らず、ニュースキャスターとしてのキャリアと自信に満ち溢れた折本の勇姿に惚れ惚れすることでしょう。

また、スタジオという密室での98分間の緊迫した一連の事件は、ニュース番組の意図、キャスターの使命感について考えさせられ、真実を報道することの大切さと難しさを改めて思い知るに違いありません。

映画『ショウタイムセブン』は2025年2月7日(金)全国公開!

果たして、折本と爆破犯の交渉の結果はどうなるのでしょう。乞うご期待!

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。




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