映画『流転の地球 -太陽系脱出計画-』は3月22日(金)より全国の劇場でロードショー
「SF」映画と言うジャンルは鑑賞者が求める視覚効果のクオリティが年々高くなる一方であることもあり、突飛すぎるアイデアを映画化するには高いリスクが付きまといます。
そのため大作の代名詞とも言えるハリウッドほど、奇抜すぎるアイデアの「SF」映画が生まれにくい傾向があります。
その一方で資金力も映画の製作規模もハリウッドに勝るとも劣らない中国では、突飛すぎるアイデアの「SF」映画が日々生み出されていました。
今回は「地球にエンジンをつけ移動させる」と言う、めちゃくちゃな設定を描いた大ヒット映画の続編『流転の地球 -太陽系脱出計画-』(2024)をご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の作品情報
【日本公開】
2024年公開(中国映画)
【監督】
グオ・ファン
【原作・製作総指揮】
リウ・ツーシン
【脚本】
王紅衛、楊治学、龔格爾、郭帆、葉濡暢
【キャスト】
ウー・ジン、アンディ・ラウ、リー・シュエチェン、シャー・イー、ニン・リー、ワン・ジー、シュ・ヤンマンツー
【作品概要】
2015年に小説「三体」で、アジア人初となるヒューゴー賞の長編小説部門賞を受賞したリウ・ツーシンによる短編小説「さまよえる地球」の映像化作品第2弾。
中国国内で600億円の興行収入を記録した前作『流転の地球』の監督を務めたグオ・ファンが引き続き本作を手がけ、本作から製作総指揮として原作者のリウ・ツーシンが作品に携わりました。
映画『流転の地球 -太陽系脱出計画-』のあらすじ
老化によって膨張し続ける太陽が100年後に地球を飲み込み、300年後には太陽系が終幕を迎えるという予測が世界の研究者たちによって発表されます。
世界各国は争いを止め「地球連合政府」として結束し、1万基のロケットエンジンで地球を太陽系から離脱させるという壮大な計画を準備していました。
しかし、計画を武力によって中断させようとするテロリストの存在や、想定を超える月の引力によって計画と地球の運命が揺らぎ始め……。
映画『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の感想と評価
前作を越える規模で描かれる壮大すぎる「前日譚」
前作『流転の地球』では、地球が大量のロケットエンジンによって移動している状態から映画が始まりました。
地球が動いたことによって生じる気温の変化や、星の引力による地震の発生など「移動中のトラブルへの対応」が主軸だった前作に対し、続編となる本作は「準備段階」の混乱に焦点を充てています。
作中ではテロリストとの宇宙ステーションを巡る攻防や、月の引力や太陽風による自然発生のトラブルが絶え間なく人類に襲い掛かるため、およそ3時間の上映時間の間は常にハラハラが止まりません。
ひとつひとつのエピソードが信じられないほどの予算をかけて製作されているため、爆発や巨大建築物の崩壊など大迫力のVFXが広がる、これ以上ないほどにスクリーンで観ることに適した作品となっていました。
「トンでも」だけではない本格「SF」
「地球にエンジンをつけ移動させる」と言う力強すぎる設定が目を引く「流転の地球」シリーズですが、実は原作はSF小説ファンによる一般投票によって受賞作が決定される「ヒューゴー賞」で長編小説部門賞を受賞した初のアジア人であるリウ・ツーシンが執筆しています。
「ヒューゴー賞」の長編小説部門と言えば、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」やフランク・ハーバートの「デューン/砂の惑星」、オースン・スコット・カードの「エンダーのゲーム」などSF映画ファンにとっても見逃すことの出来ない作品が多い賞。
そんな名だたる作品群に並んだ小説「三体」の著者であるリウ・ツーシンが執筆した「さまよえる地球」を原作とした本作は、人を構築する性格をデータとして取り込み、デジタルの世界で命を再現する「デジタル生命」の在り方を問いかけるなど「SF」映画のメッセージ性も随所に存在しています。
「地球で生きるために地球を移動させる」ことに伴う様々な思惑の交差もリアルに描かれており、「設定がすべて」と高を括ることは決してできない本格的な「SF」映画となっている作品でした。
まとめ
映画の公開直前に主演のウー・ジンが「流転の地球」の3作目の製作を匂わせ、監督のグオ・ファンも続編の製作を行うことを認め、中国では2027年に3作目が公開されることが発表されました。
1作目では地球を移動させる計画は完遂できておらず、安息の地への旅路がまだまだ始まったばかりだと語られ、幕が閉じられました。
おそらく3作目では人類の安息の地への到着までが描かれると考えられ、この壮大な計画の行く先が今から楽しみで仕方ありません。
そして、その計画がどのように始動したかが描かれる『流転の地球 -太陽系脱出計画-』は、3月22日(金)より全国の劇場でロードショー。
どのシーンも手に汗握ること間違いなしの本作を、ぜひ大スクリーンで鑑賞してみて下さい。