映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』は2024年2月に《未体験ゾーンの映画たち2024》封切り後、2024年3月9日(土)のみシネ・リーブル梅田にて上映、また関東地域では3月8日(金)より、あつぎのえいがかんkikiにて1週間上映!
睡眠時に見ることのある、現実と錯覚する心象を指した「夢」。
日常的に多くの人間が体験する「夢」ですが、実はそのメカニズムは現代でもなお解明しきれてはおらず、いまだ多くの謎が残されています。
今回は、そんな「夢」を解明するために行われた睡眠実験の中で、想像を絶する恐怖を味わうことになる映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』(2024日本公開)。
SFホラー映画の魅力をご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』の作品情報
【日本公開】
2024年公開(カナダ映画:2020年制作)
【監督・撮影・編集】
アンソニー・スコット・バーンズ
【脚本】
アンソニー・スコット・バーンズ、ダニエル・ワイセンバーガー
【キャスト】
ジュリア・サラ・ストーン、ランドン・リボアイアン、カーリー・リスキィ、クリストファー・ヘザリントン、テドラ・ロジャース、スカイラー・ラジオン
【作品概要】
ヴィンチェンゾ・ナタリが監督したNetflix独占配信映画『イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路』(2019)に、第2班監督として参加したアンソニー・スコット・バーンズが単独長編映画デビューを果たしたカナダ産ホラー映画。
トロント国際映画祭やバンクーバーで開催される「LEO AWARD」において、多くの賞を受賞したジュリア・サラ・ストーンが本作の主演を務めました。
映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』のあらすじ
家族とのトラブルを抱え、外で寝泊まりを繰り返した結果、不眠症を患ってしまった高校生のサラ(ジュリア・サラ・ストーン)は、寝る場所を求め、時給12ドルの睡眠実験に参加することになります。
しかし、実験に参加する前から「ある夢」を見続けていたサラ。
彼女は実験に参加したことで「夢」で見る「人影」の存在を知ってしまい、想像を絶する恐怖を襲われることになり……。
映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』の感想と評価
狂気の世界を描いたサイコホラー
「夢」のメカニズムは完全には解明されてはいませんが、「夢」の光景はその人が現実世界で見た映像をバラバラに繋ぎ合わせたものであると言われています。
そのため「夢」での光景は映画やドラマのように意味を成した映像になっていないことが多く、一般的な感覚で言えば「狂気」とも取れる光景が広がっていることもあります。
見ている際はその光景に疑問を覚えず、覚醒してから思い返せば意味不明の映像に少しの違和感を覚える「夢」。
映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』はそんな「夢」の「狂気」を映像として再現しており、どこまでも続く迷路のような洞窟に点在する逆さまに吊られた人間など、意味を成しているのかも分からない不気味な映像が作中に差し込まれています。
本作は「睡眠中に何かにうなされて飛び起きたものの、何にうなされたかは覚えていない」という、珍しくもない日常の光景を恐怖に置き換えることに成功したサイコホラー映画となっていました。
「夢」と「心理学」
無意識の働きを把握するための「深層心理学」において、自己を分析する方法として用いられる「夢分析」という技法が存在します。
「夢」は「心理学」と深い関係にあり、特に心理学者ジークムント・フロイトと心理学者カール・グスタフ・ユングによる分析は、現代の夢分析に強い影響を与えています。
本作にも「心理学」の要素は多分に取り入れられており、章分けされている本作の各章題はユングの定説した「心理学」の用語が用いられています。
章題のひとつでありユングの定説した有名な心理学用語「ペルソナ」。
私たちは人と相対する際に、自身が想うその人と相対するに相応しい振る舞いを選択して日々を過ごしているはずです。この自己の中にある外向きの顔を「ペルソナ」と呼び、日々その仮面を付け替えることで外部との摩擦を減らそうとしています。
そんな「ペルソナ」は「夢」とも強い相関関係にあり、ユングは人が「夢」の中で自身の持つ「ペルソナ」が正しいものかを判断していると定説。
本作の主人公サラが抱える家庭内のトラブルが「夢」にどのような影響を与えているのか、考察もはかどる作品です。
現実でも行われる睡眠実験
日常生活の改善や人間のメカニズムの解明、治療困難とされていた病気の特効薬や副作用の少ない薬の開発など、世界では常に多くの臨床試験が行われています。
その中には本作に登場した「寝るだけ」の睡眠実験も多く存在しており、「寝るだけ」でそれなりに高額な対価を得られる臨床試験に興味を惹かれる人が多く、たびたび大きな話題となっていました。
いつもとは異なる環境下での睡眠は人によっては大きなストレスとなることもあり、そのストレスを利用した試験もあればストレス負荷に弱い人の参加を拒否する試験まであり、「睡眠」が人間に与える影響の強さを窺い知ることができます。
本作でサラが参加した試験は果たして何を目的としたものなのか、お金と寝る場所を求めるサラは試験に参加し何を感じるのか。
「睡眠」に恐怖を覚えることで奪われる日常を描く物語としても目を離せません。
まとめ
夢に恐怖を覚え「明日から夢を見ない!」と決意しても、実際にそれを実現することは出来ません。
生きる上で避けることの出来ない「睡眠」を奪われる恐怖と「夢」という狂気の世界を描いた本作は、映像面においても心理描写面においても「夢」を描いた類似作と一線を画す内容となっていました。
映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』は2024年2月に《未体験ゾーンの映画たち2024》封切り後、2024年3月9日(土)のみシネ・リーブル梅田にて上映、また関東地域では3月8日(金)より、あつぎのえいがかんkikiにて1週間上映!。
狂気の「夢」の世界を大きなスクリーンで鑑賞できるチャンスをぜひお見逃しなく!