北海道を舞台に描かれる究極の金塊争奪戦!!
2014年から2022年まで『週刊ヤングジャンプ』にて連載され、過激でコミカルな作風ながらアイヌ文化への造詣の深さが話題となり、当時の官房長官が記者会見で言及するほどとなった異色の漫画『ゴールデンカムイ』。
金塊を奪い合う壮絶な戦いと、北海道を舞台とした広大な自然の地を生き抜くサバイバルを両立させた『ゴールデンカムイ』は、累計発行部数が2700万部を越える人気となりました。
連続アニメ化も果たした本作は、2024年についに実写映像化。
今回は山崎賢人主演で実写映画化された『ゴールデンカムイ』を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『ゴールデンカムイ』の作品情報
【公開】
2024年(日本映画)
【原作】
野田サトル
【監督】
久保茂昭
【脚本】
黒岩勉
【キャスト】
山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、矢本悠馬、工藤阿須加、柳俊太郎、大谷亮平、勝矢、木場勝己、大方斐紗子、マキタスポーツ、秋辺デボ、玉木宏、舘ひろし、高畑充希、泉澤祐希、島津健太郎
【作品概要】
2022年に完結した野田サトルの大ヒット漫画『ゴールデンカムイ』を、数多くのミュージックビデオや「HiGH&LOW」シリーズを手掛けた久保茂昭が実写映画化。
大ヒット実写映画「キングダム」シリーズで主演を務めた山﨑賢人が主人公の杉元佐一を演じ、『ミスミソウ』(2018)の山田杏奈がヒロインのアシㇼパを演じました。
映画『ゴールデンカムイ』のあらすじとネタバレ
1905年、日露戦争最大の激戦地「203高地」に派兵された杉元佐一は、銃で撃たれようと銃剣で刺されようと怯むことなく奮戦し、その鬼神の如き強さから「不死身の杉元」と呼ばれました。
2年後、気に入らない上司を半殺しにしたために軍を除隊した杉元は、砂金での一攫千金を狙い北海道を訪れていましたが、道内の砂金はすでに採り尽くされ、納得のいく成果を得られてはいませんでした。
川で酔っ払いの後藤竹千代と出会った杉元は、後藤からある儲け話について聞かされます。
5年前、自分たちの土地を奪った和人への復讐を考えるアイヌが資金源として密かに20貫(現代の価値で8億円)もの金塊を貯めていましたが、ある男がアイヌを皆殺しにしその金塊を強奪。
その男は金塊の在処を語らぬまま網走監獄に収監され、脱獄を阻止するために足の腱を切断されます。獄中生活の中、男は刑務所外の仲間に金塊の在処を伝えるべく、刑務所内の24人の囚人の体に暗号を「刺青」として彫り、囚人たちの護送の最中に脱獄させたのでした。
金塊の噂を聞いた杉元は、酔っ払いの与太話だと聞き流していましたが、素面に戻った後藤が杉元を口封じのために殺害しようとしたことで、噂が真実ではと信じ始めます。
杉元の気迫に押され逃走した後藤はヒグマによって殺され、彼を追いかけた杉元もまたヒグマに襲われます。しかし突如として現れたアイヌの少女・アシㇼパによってヒグマは仕留められました。
アシㇼパは後藤を襲ったヒグマは冬眠できずに凶暴化した別の個体だと話し、二人は再度ヒグマとの対峙を余儀なくされます。
白い狼・レタラの助けもありヒグマを狩ることに成功した二人。また杉元から金塊の噂を聞いたアシㇼパは、噂に登場する「殺害されたアイヌたち」の一人が自身のアチャ(父親)であることから、真相の解明と復讐のために杉元に同行することを決めました。
後藤の遺体に彫られていた例の刺青の文様から、刺青は「皮膚ごと切り取り利用することを前提にした暗号」であると理解した2人は、後藤の遺体から刺青人皮を切り取りました。
脱獄囚を見つけるため「北のウォール街」と呼ばれる小樽を訪れた二人は聞き込みの後に、自分たちを尾行する笹原と白石を捕らえます。
笹原・白石がともに「刺青囚人」だと知った杉元は二人を殺害し刺青人皮を剥ごうとしますが、アシㇼパとの「人を殺さない」という約束から思いとどまり、絵の上手なアシㇼパに刺青を模写してもらいます。
しかし、模写の最中に笹原が狙撃によって射殺され、杉元はアシㇼパと白石を逃がしながら狙撃犯と距離を詰めて対峙します。
狙撃犯は陸軍第七師団所属の尾形百之助であり、対峙した杉元に金塊探しから手を引くように忠告しますが、尾形は対峙した相手が「不死身の杉元」であることを察し、襲いかかります。
近接戦闘に優れる杉元は尾形を崖下へと投げ飛ばしその場を制しますが、杉元とアシㇼパの元から逃げようとする白石を追ううちに、杉元は白石とともに川へ転落。
真冬の川に浸かった二人は凍死寸前となり、白石は「自分を見逃すこと」を条件に胃の中に隠していた銃弾を吐き出します。杉元は銃弾の火薬を使って火を起こし、二人は助かります。
アシㇼパも合流し服を乾かした白石を見送った二人。一方で第七師団の鶴見中尉は瀕死となった尾形を保護し、「不死身の杉元」の存在を知ります。
その後、杉元とアシㇼパは第七師団の追っ手に追われることに。二手に分かれると、杉元はヒグマの巣穴に潜り込み、ヒグマを利用して追っ手を全滅させ、アシㇼパもレタラの助けによって追っ手の一人・谷垣を退けます。
アシㇼパの誘いでアイヌの村を訪れた杉元は、アシㇼパの家族と触れ合うと同時に自身がアシㇼパを危険な戦いに引き込んだことを痛感。その日の夜、寝静まるアシㇼパを見届けた杉元は独り静かに村を去ることにしました。
映画『ゴールデンカムイ』の感想と評価
「アイヌ文化を知れる作品」も原作に忠実
日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌ民族。
狩猟や採集を主として生活し、自然界のすべての物に魂が宿るとされる「精神文化」など、独特の風習を持つアイヌの文化は、知ろうとしなければなかなか知る機会の少ないものでした。
そんな中、映画の原作にあたる漫画『ゴールデンカムイ』は、北海道アイヌ協会の理事長を務めた加藤忠氏が太鼓判を押すほどに、アイヌの文化が正確に描かれており、アイヌ文化の継承と周知に大きく貢献しました。
実写映画化となる本作でも、原作での丁寧なアイヌ文化の描写を引き継いだ実写映画化となっており、アイヌの言葉を分かりやすく説明しつつ、自然を狩り生きるということがどういうことかを見せてくれる作品となっていました。
曲者揃いの金塊争奪戦を彩る俳優たち
『ゴールデンカムイ』の人気はアイヌ文化の正確な描写や、先の気になる金塊争奪戦の行方ももちろんですが、個性のありすぎるそれぞれのキャラクターの魅力によって生まれたものでもあります。
「実写映画化」では原作の登場人物の高い再現性が求められ、その再現性の高さが作品の前評判や作品そのものの評価につながることもあり、「実写映画化」における重要な要素ともなります。
映画『ゴールデンカムイ』では、『テルマエ・ロマエ』(2012)などに出演した勝矢演じる牛山や、大御所俳優・舘ひろし演じる土方歳三のビジュアルが話題になるなど、再現性の面でも大きく話題となっていました。
中でも、実写映画化にあたって原作者から直々の指名を受けたとされる玉木宏演じる鶴見中尉のビジュアルは凄まじく、公開前から原作ファンたちの心を鷲掴みにしていました。
前頭葉を砲弾によって傷つけられたことでの異貌はもちろん、高いカリスマ性と異常性、計算高さもあわせもちながらも直情的にも動ける鶴見を演じきった玉木宏は「実写映画化」という点において、本作の評価を高めた俳優といえます。
まとめ
北海道の広大な自然と、迫力満載の戦いを堪能できる映画『ゴールデンカムイ』。
本作は原作における旅の始まり部分を映像化しており、この後金塊争奪戦は戦火を拡大しつつ過激さを増して続いていくこととなります。
原作へのリスペクトを忘れず、原作への興味も生ませてくれる「実写映画化」というジャンルのあるべき姿として、原作ファンにも原作未読の人にもオススメしたい作品です。