Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2023/11/08
Update

『きっと、それは愛じゃない』あらすじ感想と評価解説。イギリス発大人の恋愛ラブストーリーはリリー・ジェームズ主演で“恋愛と結婚”を描く|映画という星空を知るひとよ178

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第178回

多文化が花咲くロンドンを舞台にした“今”のラブストーリー『きっと、それは愛じゃない』が2023年12月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国公開されます。

『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(2013)『ラブ・アクチュアリー』(2003) 『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)の制作陣が恋愛のカタチを映像化しました。

『きっと、それは愛じゃない』の監督は、アカデミー賞7部門にノミネートされた『エリザベス』で世界的名声を獲得したシェカール・カプール。実写版『シンデレラ』(2015)のリリー・ジェームズが、本作でも主演を務めます。

SNSや出会い系アプリが溢れかえっている現代において、あえて親が進める相手と見合い結婚をしようとする幼馴染みの男性・カズ。結婚に愛は必要か? そんな疑問から自分の気持ちに気が付く主人公・ゾーイ。

果たしてゾーイの思いはどうなるのでしょう。映画『きっと、それは愛じゃない』をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『きっと、それは愛じゃない』の作品情報


(C)2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2023年(イギリス映画)

【原題】
WHAT’S LOVE GOT TO DO WITH IT?

【監督】
シェカール・カプール

【キャスト】
リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、シャバナ・アズミ、エマ・トンプソン、サジャル・アリー

【作品概要】
『きっと、それは愛じゃない』の監督はアカデミー賞7部門にノミネートされた『エリザベス』(1999)で世界的名声を獲得した、インド映画界の生ける伝説シェカール・カプール。本作は『エリザベス:ゴールデン・エイジ』以来、15年ぶりの新作となりました。

主演を務めるのは、『シンデレラ』(2015)をはじめ、『ベイビー・ドライバー』(2017)や『イエスタデイ』(2019)などの話題作に出演してきた人気俳優リリー・ジェームズ。

主人公の母を演じるのは、『ハワーズ・エンド』(2019)でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、『ラブ・アクチュアリー』(2003)や「ハリー・ポッター」シリーズなどの人気作にも出演するエマ・トンプソンも共演しています。

映画『きっと、それは愛じゃない』のあらすじ


(C)2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.

ドキュメンタリー監督を仕事としているゾーイ。隣人の結婚式に招かれ、そこで幼なじみの医師カズと久々に再会しますが、彼が見合い結婚をすると聞いて驚きます。

ゾーイは、今の時代になぜ親が選んだ相手と結婚するのかと疑問に思いました。そして、彼女は、カズの結婚までの軌跡を追う新作ドキュメンタリーを制作することにします。

実はゾーイ自身は運命の人の出現を待ち望んでいました。この人こそと思って何人もの男性と付き合うのですが、みなダメ男ばかりで、失敗を繰り返していたのです。

そんな頃に、条件の合う相手が見つかったカズは、両親も交えたオンラインでお見合いを決行。

数日後、カズから婚約の報告を受けたゾーイは、これまで自分で気が付かないふりをしてきたカズへのある思いに気がつきます。

映画『きっと、それは愛じゃない』の感想と評価


(C)2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.

ドキュメンタリー監督のゾーイと幼馴染みの医師カズのドタバタラブストーリー。

仕事に没頭するゾーイですが、慌ただしい毎日の中でも、素敵な恋人を見つけたいと常にアンテナをはっています。ですが、なぜかゾーイが恋人とするのは、ダメ男と呼ばれる部類の男性ばかり。自分の恋に苛立ちを覚え始めたとき、カズがお見合い結婚をすると知り、驚きを隠せません。

自由に異性と知り合い恋愛をして生涯のパートナーを見つけられる今なのに、なぜお見合い結婚なのか。このギャップが面白いとゾーイはカズのお見合いを密着してドキュメンタリー作品を作ることにします。

ゾーイはカズに張り付いて取材をします。お見合いの席にも同行し、カズ自身と両親が決めた結婚相手を見ました。そして気が付く自分の気持ち……。

一番気心が知れて安心できる相手なのにあまりに身近にいると、その存在すら意識しないことは多々あることでしょう。ゾーイの場合もそうでした。

SNSなどが発達している現代ではマッチングアプリなど出会い系サイトも多くあり、新たな出会いを求めるには不自由はしませんが、相手の全部の性格や日常の生き様などが短い期間で分かり合えるのでしょうか。

「運命の人」は身近にいるとは限りません。ですが、本当に自分のことを分かってくれる人というのは、そうそう頻繁に現れるものではありません

パートナーとして生涯を共にする相手に何を求めるのかが、結婚を意識したときの大きなポイントとなることは間違いないでしょう

まとめ


(C)2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.

映画『きっと、それは愛じゃない』をご紹介しました。心の痛みを感じつつ、自分の疑問を素直にカズにぶつける主人公・ゾーイは、リリー・ジェームズが演じました。

シンデレラ』(2015)のナチュラルな演技で周囲を魅了したのは記憶に新しいところです。本作では、揺れ動く女心を時には愛らしく時には小悪魔的に、さまざまな顔で表現していますので注目してください。

恋愛かお見合か結婚についての大きな選択肢を題材にした本作は、愛についての教訓も含まれているので、素敵な出会いを求める人は必見です。

映画『きっと、それは愛じゃない』は2023年12月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



関連記事

連載コラム

Netflix映画『ベルベットバズソー 血塗られたギャラリー』ネタバレ感想。ラスト結末までのあらすじ紹介も|SF恐怖映画という名の観覧車36

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile036 様々な配信サービスが世の中に登場するとともに、生き残り競争も激化し始めた2019年。 配信サービスごとに、各々違った強みを持っているため …

連載コラム

『パイプライン』あらすじ感想と評価解説。韓国映画お得意のコミカルな犯罪集団がスリリングなケーパー・ムービーを魅せる|コリアンムービーおすすめ指南28

映画『パイプライン』は2022年2月04日(金)よりシネマート新宿他にて全国順次公開! 送油管に穴を開けて石油を盗む「盗油師」たちを描く、新たなケーパー・ムービー『パイプライン』。 『君に泳げ!』以来 …

連載コラム

韓国映画『食われる家族』ネタバレ感想と結末考察のあらすじ。本屋大賞小説1位の作家が監督・脚本を務めた本格ミステリーサスペンス“家族乗っ取り”|未体験ゾーンの映画たち2021見破録9

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第9回 世界中から埋もれかけた、様々な魅力を持つ映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第9回で紹介するのは、じんわりと怖いサスペンス …

連載コラム

新海誠の全作品解説。世界観から倫理観へ|新海誠から考える令和の想像力2

連載コラム「新海誠から考える令和の想像力」第3回 「人間の感情という小さなものと、宇宙という極大なものがつながっていく物語」への強い関心。 これが新海誠監督自身の“セカイ”観であり、彼の作品群が「セカ …

連載コラム

【ネタバレ】ゴジラ最新作内容は?マイナスワン続編か?考察で予想するG細胞感染が生む《ポスト・ゴジラ=新人類》時代|0-1方程式の名はゴジラ5

山崎貴監督による新作「ゴジラ」は《人種間戦争》? 日本制作の実写ゴジラシリーズ作品としては『シン・ゴジラ』(2016)以来の7年ぶりとなる「ゴジラ」生誕70周年記念作品として、山崎貴監督が手がけた映画 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学