映画『あっちこっち じゃあにー』は2023年11月4日(土)から17日(金)まで新宿K’s cinema上映、以降全国順次公開
『ラフラフダイ』(2023)『ダイナマイト・ソウル・バンビ』(2022)などの作品を手がけてきた映像制作チーム「シネマ健康会」の松本卓也監督作品『あっちこっち じゃあにー』が2023年11月4日(土)から17日(金)まで新宿K’s cinemaにて上映、その後全国順次公開です。
人の生き死にをテーマに、売れない芸人・末松と少女・加奈の奇妙なキャンピングカーの旅を描いたロードムービーです。
松本卓也自身が主演を務め、少女役を6歳の新人・ゆずが演じます。
孤独を抱えた大人と子どもが互いに支え合いながら旅するさまを温かく描く、本作の魅力をご紹介します。
映画『あっちこっち じゃあにー』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本】
松本卓也
【編集】
高橋周平、松本卓也
【出演】
松本卓也、ゆず、ディネス・サプコタ、ハン・ギュヒ、岡田深、後藤龍馬、澤真希
【作品概要】
『ラフラフダイ』(2023)『ダイナマイト・ソウル・バンビ』(2022)などの作品を手がけてきた映像制作チーム「シネマ健康会」の松本卓也監督作品。
売れない芸人・末松と少女・加奈がキャンピングカーで繰り広げる奇妙な旅を描きます。東京、群馬、新潟、山形と実際に移動しながらロードムービーを撮影しました。
松本監督自ら主演を務め、女の子役には6歳の新人・ゆずを起用。その年齢にしか出せない雰囲気と自然な演技が目を引きます。
またネパール人のディネス・サプコタ、韓国人のハン・ギュヒなど国際色豊かなキャスティングも魅力です。
劇中キーとなる曲はザ・クロマニヨンズを使用し、物語を盛り上げます。劇伴にアーティストのハマノヒロチカが参加。
映画『あっちこっち じゃあにー』のあらすじ
末松はお笑いコンビを解散してピン芸人となりましたが、まったく売れないままでした。ヘッドフォンで音楽を聴きながら、孤独に生きています。
後輩芸人からも面白くないといじられ、ドッキリ動画を仕掛けられる始末。
そんな中、元相方の竹下が自殺し、葬儀で末松は遺族から竹下が末松には才能があると言ってくれていたことを聞かされます。
末松は竹下がコンビを解消した後も、一人で動画をアップしていたことを知りました。
末松は昔の知り合いの元芸人・わかなを訪ね、自分の動画チャンネルに出演してほしいと頼み強引に撮影します。しかし、その後末松はその動画を削除しました。
公園で動画を撮影していた末松は、わかなの6歳の娘・加奈と出会い、動画配信の手伝いをしてもらうようになります。
キャンピングカーで動画配信する企画を受けた末松ですが、誰も同行者をみつけられません。
やむなく末松は加奈に一緒に行ってくれるように頼みます。加奈は遠方に住む自分の父に会いに行くことを交換条件に了解しました。
こうして、大人と子どもの奇妙な二人の旅が始まりますが…。
映画『あっちこっち じゃあにー』の感想と評価
シュールな笑いが持ち味の売れない芸人・末松と、元カノの6歳の娘・加奈との奇妙なロードムービー『あっちこっち じゃあにー』。
元相方の死を経験した末松が、生と死の悩みを抱きながら、笑いを追求する旅に繰り出します。
お笑いコンビを解散した後、元相方の竹下が突然自死してしまいました。竹下がひとりでお笑いの動画を配信していたことを知った末松は、自身も動画配信を始めます。
竹下の葬儀でギャグを連発して周囲から白い目で見られたり、ステージでも竹下をネタにする末松でしたが、それらは彼なりの友への弔いでした。末松の悲しみと慟哭が伝わってきます。
笑いを周囲に理解されず、後輩からもバカにされ、せっかく決まったキャンピングカーの動画配信の旅にも誘える友人がいない末松。
気の毒になるほどの孤独感ですが、必死に加奈をくどくさまはとてもコミカルです。重苦しい空気の中で、このじんわり染みてくるユーモア感が癖になってきます。
加奈を演じる幼いゆずの醸し出す雰囲気もなんともいえない味わいがあります。彼女の生と死への問いかけには思わずぐっとくることでしょう。
飄々とした末松とあどけない加奈のコンビのバランスのよさに加え、次々に入れ替わっていく旅の同行者の顔ぶれが楽しく、最後まで目が離せません。
まとめ
売れない芸人と、彼の元カノの6歳の娘との動画配信珍道中を描いた『あっちこっち じゃあにー』。
友人の自死をきっかけにキャンピングカーの旅がスタートし、さまざまな出会いと別れが繰り広げられます。
ユーモアをたたえた世界観の中、大人と少女が生と死、そして世界を見つめる姿に、時折ハッとさせられることでしょう。
映画『あっちこっち じゃあにー』は2023年11月4日(土)から17日(金)まで新宿K’s cinemaにて上映、以降全国順次公開です。