連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第168回
「台湾史上最も恐い映画」と言われた『呪詛』(2022)や、韓国・タイ合作『女神の継承』(2022)に続く衝撃作『トンソン荘事件の記録』。
1992年、旅館「トンソン荘」で起きた殺人事件の犯人が残したビデオに映っていた、いるはずのない“何か”……それを追って取材班が調査をする過程が、フェイクドキュメンタリー形式で描かれていきます。
リアルな恐怖と予測不能な展開が話題を呼んだ本作は、韓国での劇場公開時にはハリウッド作品が並ぶ中で、初登場5位にランクインしました。
映画『トンソン荘事件の記録』は2023年10月27日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほかにて全国ロードショーです。
映画『トンソン荘事件の記録』の作品情報
【日本公開】
2023年(韓国映画)
【原題】
마루이 비디오(英題:Marui Video)
【監督】
ユン・ジュンヒョン
【キャスト】
ソ・ヒョヌ、チョ・ミンギョン
【作品概要】
30年前に旅館トンソン荘で起こった猟奇殺人事件の一部始終を記録したビデオが見つかりました。そこに映った“何か”を追って取材班が調査する姿を、フェイクドキュメンタリー形式で描いたホラー映画。
監督はユン・ジュンヒョン。キャストにはソ・ヒョヌ、チョ・ミンギョン。そのリアルな恐怖と予測不能な展開が話題を呼び、韓国公開時にはスマッシュヒットを記録しました。
映画『トンソン荘事件の記録』のあらすじ
1992年、釜山の旅館「トンソン荘」で殺人事件が起きました。
旅館のアルバイトの男が恋人を連れ込み、隠しカメラで部屋の様子を撮影。しかし、男はその部屋で恋人を殺害してしまいました。
逮捕された男は、心神耗弱による無罪を主張しましたが、判決は無期懲役となり、仮釈放の1年前に男は自ら命を絶ちました。
その殺害の一部始終が収められたビデオは、その残虐性から当局によって封印されていました。しかし検事の間で話題になったのは、殺害の様子ではなく、部屋の鏡に映った“あるモノ”でした。
それは、事件の犯人の男でもその恋人でもなく、そこにいるはずのない“何か”の姿……。
取材班は、その真相を突き止めるべく調査を開始。その様子を記録映画として撮影しますが……。
映画『トンソン荘事件の記録』の感想と評価
30年前、旅館「トンソン荘」で起きた殺人事件。事件の一部始終を捉えた映像の中には、とんでもないものが映っていました。
その正体を突き止めようと取材班が動き出し、やがてトンソン荘にまつわる秘密が暴かれていきます。
旅館の映像に映っていた“何か”が訴えたかったこととは、いったい何なのでしょう。
事件の真相に迫るはずが、いつのまにかそこに隠された秘密に迫ることになる本作。あくまでも“フェイク”ドキュメンタリーとして作られた作品ですが、リアリティあふれる恐怖感は絶品です。
真相を追い求める取材班にもその影は襲いかかり、いつ、何時、自分たちもそんな被害に遭うかもしれないという不安に掻き立てられることでしょう。
黒い四角で目元を隠した集合写真、血を用いた呪術の様子など、薄気味悪さを増大させる演出も功を成し、スリル満載のホラー映画となっています。
まとめ
「1992年に起きた殺人事件を追った記録映像を編集し、完成させた」というフェイクドキュメンタリーが展開されていくホラー映画『トンソン荘事件の記録』をご紹介しました。
事件のあらましを録画したビデオを再生しているうちに、映ってはいけないものが映っていることに気が付いた取材班。
ビデオを基に真相を追究する取材を始めますが、やがてとんでもない事実が判明します。
旅館トンソン荘に隠されたある一家の秘密が分かった時、恐怖に慄くことでしょう。
映画『トンソン荘事件の記録』は2023年10月27日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほかにて全国ロードショー!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。