「この国に同性愛者は存在しない」とされていた、過酷な時代に恋に落ちた詩人と青年。
イタリアの名匠ジャンニ・アメリオ監督の最新作にして、第79回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され独立賞5部門を受賞した『Il signore delle formiche』(原題)。
この度、邦題を『蟻の王』として、2023年11 月10日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開することが決定しました。
また、併せてポスタービジュアルが解禁となります。
この度、解禁されたポスタービジュアルには、アルドの切なげな表情とエットレの美しくも儚げな横顔が目を引く写真に、キャッチコピーの「愛と誇りだけは、誰にも奪えない。」が象徴的に映えるものになりました。
映画『蟻の王』について
カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した『小さな旅人』(1992)、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞受賞の『いつか来た道』(1998)、2004年の『家の鍵』はヴェネチア国際映画祭で 3部門受賞、米アカデミー賞外国語映画賞のイタリア代表作品に選出されるなど、ヨーロッパを代表する名匠ジャン二・アメリオ。
人と人の繋がりを、時に冷徹に、時に繊細に描き続けてきたアメリオ監督が選んだ題材は、同性愛者の存在すら認められなかった時代に恋に落ちた、実在した詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子を巡る史実、“ブライバンティ事件”にインスパイアされた、“人間の尊厳”を問い直す、魂を揺さぶる物語。
2023年5月のイタリア映画祭でプレミア上映され、正式公開が待ち望まれていた作品です。
アメリオは製作の動機を「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」と語っています。
主演アルドを演じたのは、『輝ける青春』『夜よ、こんにちは』『いつだってやめられる』(2018)シリーズ等で知られるイタリアが誇る名優ルイジ・ロ・カーショ。
本作での演技を「ブライバンティの複雑さと弱さを驚くほど繊細に表現している、卓越した演技(londonmumsmagazine)と絶賛されています。
アルドとの愛を貫き通そうとするエットレ役には、『若者のすべて』のアラン・ドロンを彷彿とさせる、新星レオナルド・マルテーゼを抜擢。
その全身全霊の演技を、アメリオは「映画の奇跡」と称しました。
また、裁判のゆくえを見守る新聞記者エンニオ役には、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞歴を持つエリオ・ジェルマーノが扮し、映画により一層の深みを与えています。
ブライバンティ事件とは?
ファシスト政権下のイタリアでは同性愛者は存在すら認められず、それを禁ずる法もなかったものの、その一方で“教唆罪”という犯罪が成立、1968年にアルド・ブライバンティは、若者をそそのかした「教唆」の罪に初めて問われて逮捕され、裁判になりました。
これに、小説家のアルベルト・モラヴィアやウンベルト・エーコ、映画監督のピエル・パオロ・パゾリーニ、マルコ・ベロッキオら芸術家たちが強く反対の意を表明、世に激しい議論を巻き起こし、のちに“ブライバンティ事件”と呼ばれました。
映画『蟻の王』の作品情報
【日本公開】
2023年(イタリア映画)
【原題】
Il signore delle formiche
【監督・脚本】
ジャンニ・アメリオ
【キャスト】
ルイジ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・マルテーゼ、サラ・セラヨッコ
映画『蟻の王』のあらすじ
1960年代、イタリア・ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人で劇作家、蟻の生態研究者でもあるアルド(ルイジ・ロ・カーショ)は、教え子の若者エットレ(レオナルド・マルテーゼ)と惹かれ合い、ローマに出て共に暮らし始めます。
しかしエットレの家族は二人を引き離し、アルドは逮捕、エットレは同性愛の“治療”で電気ショックを受けさせられるため矯正施設に送られてしまいます。
世間の好奇の目に晒されながら裁判が始まりました。
新聞記者エンニオ(エリオ・ジェルマーノ)は熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げるのですが……。
まとめ
名匠ジャン二・アメリオ監督が今の時代に問う、愛と人間の尊厳の物語『蟻の王』。
実在した詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子を巡る史実、“ブライバンティ事件”にインスパイアされた、“人間の尊厳”を問い直す、魂を揺さぶる物語です。
映画『蟻の王』は、2023年11月10日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショーです。