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Entry 2023/02/16
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『ブラッド・ファーザー』ネタバレ結末あらすじと感想評価。メル・ギブソンがサバイバルアクションで“元犯罪者のアウトロー”を演じる|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー98

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第98回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第98回は、ジャン=フランソワ・リシェ監督が演出を務めた、映画『ブラッド・ファーザー』です。

かつて血生臭い犯罪の世界に身を置いていた元犯罪者のジョン・リンクは、アルコール中毒のリハビリをしながらトレーラーハウスで細々と暮らしていました。

ある日、数年前から行方不明になっていた一人娘リディアが突如現れます。

ジョンはリディアを守るため、犯罪のサバイバル術を駆使して彼女を狙う悪漢たちと戦う物語とは、具体的にどんな内容だったのか。

犯罪歴あり、アルコール中毒者でもある元犯罪者の父をメル・ギブソンが演じる、2016年製作のフランスのPG12指定のサバイバルアクション映画『ブラッド・ファーザー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『ブラッド・ファーザー』の作品情報


(C)Blood Father LLC, 2015

【公開】
2017年(フランス映画)

【原作】
ピーター・クレイグ『ブラッド・ファーザー』

【監督】
ジャン=フランソワ・リシェ

【キャスト】
メル・ギブソン、エリン・モリアーティ、ディエゴ・ルナ、マイケル・パークス、ウィリアム・H・メイシー、ミゲル・サンドバル、デイル・ディッキー、リチャード・カブラル、ダニエル・モンカダ、ラウル・トルイロ、トーマス・マン

【作品概要】
『アサルト13 要塞警察』(2005)のジャン=フランソワ・リシェが監督を務めた、フランスのサバイバルアクション作品。

原作は、アメリカの脚本家・小説家のピーター・クレイグの小説『ブラッド・ファーザー』です。

「マッドマックス」シリーズや「リーサル・ウェポン」シリーズのメル・ギブソンが主演を務めています。

映画『ブラッド・ファーザー』のあらすじとネタバレ


(C)Blood Father LLC, 2015

かつて血生臭い犯罪の世界に身を置いていた元犯罪者のジョン・リンクは、9年間の刑務所暮らしを経て、アルコール中毒のリハビリをしながら、トレーラーハウスで細々と暮らしていました。

そんなある日、一人娘のリディア・ジェーン・カーソンから突如電話がかかってきて、「仕事と住む部屋を探すために2000ドルのお金が必要なの」と言われます。

ジョンはとりあえず詳しく話を聞くため、リディアが今いる場所を聞き出し車で迎えに行きました。

車の中で眠ってしまったリディアが起きないうちに、ジョンは彼女の所持品を調べると、鞄の中から酒と麻薬、そして一丁の拳銃が出てきたのです。

しばらくして起床したリディアは、裏社会に身を置くギャングの恋人ジョナ・ピンセラが首を撃たれて死んでしまい、彼の大勢の仲間に追われていることをジョンに打ち明けます。

しかしジョンは、リディアがアルコールと麻薬の依存症のせいでそんな妄想に囚われているのだと思い、彼女の話を信じようとしませんでした。

ジョンは離婚した元妻に電話を掛けるも、聞く耳を持ってくれませんでした。

すると翌日、リディアの携帯に「必ずお前を捕まえる」というメッセージが届きます。

リディアはそれを見て酷く怯え、不安感から解放されようと麻薬を使ってしまいました。

そのことにすぐ気づいたジョンは、リディアの楽器の中に隠し持っていた麻薬を取り上げ、いつから麻薬をやっているのかと彼女を問い詰めると、1ヶ月前から麻薬に手を出していたことが分かりました。

ジョンは仮出所中である自分の身元引受人であるカービー・カーティスに助言を求めました。

カービーは「お前の娘に必要なのは治療だ、親子の感動の再会はそのあとに」と助言しました。


(C)Blood Father LLC, 2015

その日の夜、ジョナの仲間がリディアを捕まえに来ました。ジョンはリディアを守るため、銃とナイフを使って彼らを追い払いました。

逆上したジョナの仲間はトレーラーハウスを目掛けて銃を乱射。弾切れになると、今度は車でトレーラーハウスに突っ込んできたのです。

この間、ジョンが警察に保護してもらえばいいと提案するも、リディアは「警察に行けば刑務所にいる彼らの仲間に殺される」と拒否。

ジョンから連絡を受け、カービーはトレーラーパークの自警団と共に、ジョナの仲間に銃口を向け追い払いました。

ジョンはカービーに感謝を述べ、リディアを連れてその場から立ち去りました。

裏社会の知識と、彫り師として刺青に詳しいジョンは、ジョナの仲間のうち2人はメキシコ系ギャングで、1人は「PEN1」と呼ばれる白人至上主義が売りのギャングであると推測。

大金絡みで繋がったであろう連中に何で追われているのか追及しました。

以下、『ブラッド・ファーザー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ブラッド・ファーザー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)Blood Father LLC, 2015

最初ははぐらかしていたリディアでしたが、少しずつこうなったいきさつを語っていきます。

リディアは追ってきたジョナの仲間に面識はなく、ジョナの仕事仲間であることくらいしか知りませんでした。

ずっと昔に母親と暮らしていた家を出たリディアは、パーティーで不動産関係の仕事をしていたジョナと出会い、倍以上年上の彼が頼りがいがある男に思えて交際に発展。

友達の家に居候していたリディアに、ジョナはいくつか所持している不動産のうちの一つである、渓谷にあるコテージに管理人として住まないかと提案してきました。

しかしそのコテージには、麻薬カルテルの資金が隠されていたのです。

ある晩、リディアが友達をコテージに呼んだらどんちゃん騒ぎとなり、組織の金が紛失。

リディアは組織の金を一度も見たことがありませんでしたが、ジョナはリディアに疑惑の目を向けました。

ジョナはリディアを銃の弾を買いに行かせてから車に乗せ、別の家に連れていきました。

その家を管理している夫妻が組織の金を盗んだと言い、ジョナは仲間と共に夫妻を襲撃。

家の裏側を見張るよう言われていたリディアが銃声を聞いて駆けつけた時には、夫の方は既に殺されていました。

妻の方に詰め寄り尋問していたジョナは、リディアに妻を殺すよう脅迫します。

ジョナから銃を渡された瞬間、リディアは頭が真っ白になりました。何が何だかわからないまま、リディは無我夢中で引き金を引き、妻ではなくジョナを撃ち殺してしまったのです。

その後、ジョンたちはモーテルに泊まりました。そこで、リディアがサンタクラリタで発生した複数の殺人に関与したとして、ロサンゼルス市警と郡保安局が重要参考人として令状を出したというニュースが流れました。

さらにジョンも、リディアと一緒に車で逃走していると報道されていました。モーテルで働く青年は警察に通報するも、親子を助けることを選びました。

ジョンたちは別の部屋から、駆けつけた警察官の様子を伺います。彼らが部屋に辿り着いた瞬間、3発の銃声が鳴り響きました。

ショットガンを持つ正体不明の男が、警察官たちを射殺したのです。ジョンは駐車場に停められていた車を盗み、リディアと共に命からがら逃げ出しました。

顔中に彫られた男の刺青を見て、ジョンは男が麻薬カルテルの手下で、警官や判事を狙う殺し屋だと推測。リディアに殺した恋人の名を尋ねます。

その後別の車に乗り換え、リディアと一緒にバーを訪れたジョンは、「この近所に住む、”説教師”という通り名を持つトム・ハリスを知らないか?古い友人なんだ」とバーテンダーや客に尋ねました。

ですがバーテンダーも客も何も答えません。ところがリディアが聞くと、彼らはすんなりハリスの住所を紙に書いて教えてくれました。


(C)Blood Father LLC, 2015

ジョンはリディアを連れてパリスの元を訪れ、「沈黙を貫いた代わりに、約束通り俺のバイクと金を返してくれ」と頼みます。

ですがハリスは積もる話もあるからと言って、まずはハリスが所属する、荒れくれ者どもで構成されたバイククラブのメンバーに会わせました。

ジョンは昔のバイク仲間と談笑しつつ、自身の愛車のバイク「1997年式ソフテイル 570リフトカム」の整備を行っていました。

その一方で、リディアがどんな状況に置かれているのか言わずとも見抜いたハリスは、「逃げたければどこまでも逃げ続ければいい。だがどこに逃げようとも、社会のクズどもは執拗に追いかけてくる」とリディアに忠告します。

ジョンの元に戻ってきたリディアに、彼は「彼が犯した犯罪について口を割らず7年の刑期を過ごしたが、殺傷沙汰があって2年刑期が延びた」、「そのせいで娘のお前を、3人の継父に託すしかなかった」と打ち明けました。

さらにジョンは、「敵対関係だの報復だの馬鹿げたルールに縛られたせいで人生を無駄にした、ろくでなしの俺は父親失格だ」と、リディアに謝罪しました。

翌日。手配書を見て何となく事情を察したハリスは、多額の賞金に目が眩み、「リディアは金持ちママの家に帰って、ジョンはさっさとここから立ち去れ」と親子に言いました。

それを聞いてジョンは激昂し、「父親のように慕っていたあんたを守るために、俺1人であんたが犯した罪を被ってきた」、「それなのに、賞金欲しさに俺らを売ろうとするなんて見下げ果てたクズだ」とハリスを叱責します。

そしてジョンは、ハリスの机の引き出しにある愛車のキーを奪い、愛車に跨り、リディアを連れてその場から立ち去りました。

その後、ハリスが差し向けたであろう追手を撃退したジョンたちは、ジョンは生やしていた髭を剃り、リディアは髪色を変えて変装し転々としました。


(C)Blood Father LLC, 2015

ジョンはリディアをモーテルに残し、刑務所に服役中の古い友人アルトゥーロ・リオスに助けを求めに行きました。

実は会う前に、ジョンは密かに知り合いの囚人を通して、リオスにジョナのことを調べてもらっていました。

その結果、ジョナの叔父アルフォンゾ・アンヘル・ディアスは麻薬カルテルのボスで、服役中の刑務所からカルテルを動かしていること。

ジョナはロスでブツの管理をしていたことが判明。ですがディアスにとってジョナは問題ばかりを起こす不出来な甥だったらしく、実質厄介払いをしたようなものだといいます。

ジョンからリディアのことを話すと、リオスは「組織の金を盗んだのはジョナで、お嬢ちゃんらはその犯人に仕立て上げられた」と推測。

自分がディアスと話をして何とかするから、リディアにはもう二度と裏社会と関わらないようきちんとお灸を据えておけと、ジョンにアドバイスしました。

その頃リディアは、突如電話をかけてきたカービーの指示に従い、モーテルを出て大勢の人に紛れ込めるよう映画館に足を運んでいました。

するとそこへ、死んだはずのジョナから電話がかかってきます。ジョナは闇医者に輸血してもらい、何とか一命を取り留めていたのです。

そしてリディアの前に姿を現したジョナは、仲間やカルテルの手下たちと協力して彼女を捕まえ、拉致しました。

ジョンは携帯の着信履歴を見て、刑務所から出てリディアに折り返し電話をかけるも、応答なし。

カービーに電話をかけると、彼を拉致したジョナが電話に出ました。ジョナに頼んでカービーに電話を代わってもらった瞬間、何発もの銃声が聞こえてきたのです。

ジョナはカービーから既に知りたい情報を聞き出していたため、用済みとなった彼を射殺。リディアを拉致したことを匂わせる発言をします。

カービーを殺し、娘に危害を加えようとしているジョナにジョンは大激怒。

「お前の叔父のことも、お前が組織の金を盗んだことも、その罪を管理人夫婦になすりつけたことも知ってる」と言い、それをバラされたくなければ、自分を殺すつもりで会いに来いと取引を持ちかけました。

ジョナとの取引成立後、ジョンはハリスの元から武器になりそうなものを盗み、出入り口で銃を持って待ち構えていた彼を射殺します。

そしてジョナの指示に従ってバイクを走らせ、ついに荒野にて、ジョンは彼と対峙するのです。

ジョナとその仲間は、ボディーチェックをして武器を所持していないことを確認すると、ジョンの両手を縛り、リディアがいる車の後部座席に押し込みます。

そしてこの場所から移動しようとしますが、ジョンの愛車のバイクが進路を塞いでいました。ジョナはカルテルの手下2人にバイクをどけるよう命じました。

彼らがバイクを傾けた瞬間、ジョンがあらかじめスタンドの下に仕込んでおいた爆弾が爆発。カルテルの手下2人もろともバイクは木っ端みじんに吹き飛びました。

この機に乗じて反撃に転じたジョンは、車内でもみ合った末、ジョナの仲間が持っていた銃を利用して彼を射殺しました。

1人安全圏の車外に逃げていたジョナは、後部座席に向かって銃を発砲し逃走。ジョンは自分とリディアの両手を縛っているガムテープを歯で噛み千切り、ジョナの後を追おうとします。

しかし車外に出た瞬間、上にいたカルテルの手下によってジョンが足を撃たれ負傷してしまいました。

親子は合図を決めてカルテルの手下が乗っていた後ろの車へ移動。ジョンはカルテルの手下2人と銃撃戦を繰り広げ、1人倒しましたがもう1人に胸を撃たれ、瀕死の重傷を負ってしまうのです。

リディアは無事後ろの車に逃げ込み、ジョンの元へと移動。ですがジョンが瀕死の重傷を負っているのを見てパニック状態に陥ってしまいます。

ジョンはそんな娘を右腕で抱き寄せ宥めつつ、空いている左手でリディアが車から盗んできた銃を掴み、止めを刺しに来たカルテルの手下を待ち伏せし一発で仕留めました。

リディアは助けを呼びに行こうとしますが、ジョンに自分のそばにいるよう引き止められます。

ジョンは娘に何も残してやれない自分を責めるも、リディアから「ずっとパパのことを忘れずに思っていたし、こうしてそばにいる。もうパパのそばを離れないから」、「私たちずっと一緒よ、二度と逃げたりしない」と言われました。

ジョンは「お前はいい子だ」と繰り返し呟きながら、リディアの腕の中で静かに息を引き取りました。

そこへハイウェイパトロールのパトカーが3台現れ、逃げていたジョナが捕まり刑務所に。その刑務所では、リオスとその仲間たちが待ち構えていました。

それから1年後。リディアは酒と薬物の依存症から立ち直るためリハビリを行い、そこで父への感謝の気持ちを語ったのでした。

映画『ブラッド・ファーザー』の感想と評価


(C)Blood Father LLC, 2015

数年ぶりに失踪した愛娘と再会できたと思いきや、ギャングの恋人とその仲間とトラブルを起こしたと聞いて内心困惑する元犯罪者のジョン。

ですがジョナの仲間がトレーラーハウスを襲撃しに来た時は、まだリディアからちゃんと事情を聞いていないにもかかわらず、彼女を守るために体を張って追い払いました。

リディアがなぜギャングと麻薬カルテルの手下、そして警察からも追われる身となったのか分かった後も、ジョンは彼女をりはしたものの、決して見捨てたりしませんでした。

失踪した娘のことをずっと思い続けていたり、厄介ごとを持ち込んできた娘を守るために悪漢たちと戦ったりしたジョンの姿や言動から、父親の深い深い愛情を感じることができます。

対してリディアは、疎遠だった父に対し最初はどこか反抗した態度をとっていましたが、逃亡生活を続けていくにつれていかに彼に娘として大事に想われているのかひしひしと感じたのでしょう。

物語の最後には、リディアは瀕死状態に陥ったジョンに、素直に思いの丈をぶつけ、「もう二度と離れたりしない」と彼に約束しています。

これまで親子としてどこかぎこちなかった2人が、今度は固い絆で結ばれ互いを大事に想い合えるいい親子になれると思ったところで、ジョンが死んでしまったのは本当に悲しくて泣けます。

まとめ


(C)Blood Father LLC, 2015

元犯罪者の父が血生臭い犯罪の世界で培ったサバイバル術を駆使して、愛娘を狙う悪漢たちと激闘を繰り広げていく、フランスのサバイバルアクション作品でした。

本作の見どころは、ジョンとリディアの不器用な2人の親子愛と関係性の変化、ジョンvsギャングと麻薬カルテルの手下の激闘の数々です。

ジョンたち親子を助けてくれたカービーが殺されてしまったことと、味方になってくれると思っていたハリスがまさか金欲しさに裏切ったことは、予想外の展開でしたしジョンが激怒するのも頷けます。

叔父の組織の金を盗んだだけでなく、その罪を管理人夫婦やリディアに擦りつけようとしたジョナは、刑務所でリオスとその仲間たちに囲まれて委縮している姿が物語のラストに描かれていました。

しかもリオスは、ジョナの叔父とのパイプがあります。なのでジョナは、自分が仕出かした悪事よりもさらにキツイお仕置きが待ち受けていることでしょう。

メル・ギブソンがはまり役の荒くれ親父を演じる、ハートフル要素多めのサバイバルアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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