大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第20作!
リー・タマホリが監督を務めた、2002年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ダイ・アナザー・デイ』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが北朝鮮での任務に失敗し、囚われの身となった上に殺しのライセンス(任務遂行中は自分の一存で容疑者を殺めても不問にされる殺人許可証)を剥奪されてしまう姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ピアース・ブロスナンが5代目ジェームズ・ボンドを演じる、シリーズ製作40周年を記念した「007」シリーズ第20作目『007/ダイ・アナザー・デイ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『007/ダイ・アナザー・デイ』の作品情報
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
【公開】
2003年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミング
【監督】
リー・タマホリ
【キャスト】
ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーヴンス、ロザムンド・パイク、リック・ユーン、ジュディ・デンチ、ジョン・クリーズ、マイケル・マドセン、ウィル・ユン・リー、ケネス・ツァン、エミリオ・エチェバリア、コリン・サーモン、サマンサ・ボンド、ミハイル・グリヴォイ、イアン・ピリー、マドンナ、ローレンス・マコール、ホ・イー、レイチェル・グラント、サイモン・アンドルー、ヴィンセント・ウォン、マーク・ディモンド、トレバー・ホワイト、クリストファー・ショニング
【作品概要】
『ワンス・ウォリアーズ』(1994)のリー・タマホリが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリスのスパイ小説・冒険小説家のイアン・フレミングの小説をもとに、イギリスの脚本家ニール・パーヴィスと、イギリス出身のウェールズの脚本家ロバート・ウェイドが脚本を手掛けた「007」シリーズ第20作目です。
シリーズ第17作目『007/ゴールデンアイ』(1995)や前々作『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1998)、前作『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(2000)で5代目ジェームズ・ボンド役を務めていピアース・ブロスナンが、本作でもボンド役を演じています。
映画『007/ダイ・アナザー・デイ』のあらすじとネタバレ
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
3人の諜報部員が高波を乗り越え、北朝鮮のパクチョン海岸に到着。
その内の1人である「007」こと英国情報局秘密情報部「MI6」の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドは、仲間と共に、アフリカからダイヤモンドを不正輸出したダイヤモンド商人ヴァン・ビヨークを襲撃しました。
そしてビヨークに成りすましたボンドは、ダイヤモンドが入ったケースにC-4爆弾を仕掛けた上で、彼らが乗ってきたMi-8ヘリで非武装地帯にある朝鮮人民軍の軍事基地に向かいます。
そこには、ボンドの抹殺対象である朝鮮人民軍陸軍のタン・サン・ムーン大佐がおり、彼は出所不明のダイヤモンドは国連が取引を禁止しているのを知っていながら、ダイヤモンドと引き換えに武器の密輸を行っていたのです。
ムーン大佐が提供してきたのは、米軍の置き土産だという100万発の地雷、ロケット砲に火炎放射器、銃に弾薬と今すぐ戦争が始められるほどの大量の武器でした。
しかし、ムーン大佐の右腕であるザオがボンドの顔を某所に転送し照会したことで、ボンドの正体がバレてしまいます。
ムーン大佐は対戦車砲の劣化ウラン砲弾を使って、ボンドがMi-8ヘリを破壊。しかしそこへ、砲火を見たムーン大佐の父ムーン将軍が基地に向かってきているとの連絡が入ります。
それを聞いたムーン大佐は、武器を積んだホバークラフトに乗って逃走。実は彼は、ムーン将軍に隠れて武器の密輸を行っていたのです。
銃殺されそうだったボンドは、レーザー光線や遠隔起爆装置などを搭載したスイスの高級腕時計「シーマスター ダイバー 300M」を使ってC-4爆弾を起爆し、反撃に出ます。
さらにボンドはホバークラフトを奪い、軍事基地を破壊しつつ逃げたムーン大佐を追跡。ホバークラフトによる激しいチェイスの末、ムーン大佐はホバークラフトごと近くの寺院を突き破り、滝壺へと落ちて死にました。
無事任務を達成したボンドでしたが、駆けつけたムーン将軍に捕まってしまい、長きにわたる監禁・拷問を受けることになります。
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
それから14カ月後、ムーン将軍によって収容所から連れ出されたボンドは、今度こそ銃殺されると思っていました。
しかしムーン将軍がボンドを連れ出したのは、中韓首脳会談に爆弾を仕掛け、中国の諜報部員3名を殺害して捕まったザオとの人質交換を行うためです。
搬送先の病院で、ようやくMI6の部長であるMと対面できたボンドでしたが、彼女から「殺しのライセンス(任務遂行中は自分の一存で容疑者を殺めても不問にされる殺人許可証)を剥奪する」と言い渡されてしまいます。
実は1週間前、北朝鮮に潜入していた米国の諜報部員が処刑されていました。その密告は、ボンドのいた刑務所からされていました。
ボンドが拷問に屈し、北朝鮮側に情報を漏らしたのではないかと疑う米国側は、これ以上情報が漏れることを恐れてか、ザオとの人質交換でボンドを連れ戻したのです。
そう話すMに、ボンドは「その密告者がムーン大佐に僕の正体をバラした。彼の父親も“西側に息子の協力者がいる”と話していた」と伝えるも、ボンドのことを疑っているMの決断が覆ることはありませんでした。
この結果に納得がいかなかったボンドは、本当の密告者はザオであると踏み、彼を捕まえるべく病室から脱走。
しかし搬送されたのは病院ではなく、中国・香港の湾内に停泊する英軍艦だったため、ボンドは港まで泳いで逃げました。
そしてボンドは、いつも香港に滞在する時に使っているホテルを訪れ、食事をしたり、新しい服に着替えたり髭を剃ったりして身なりを整えました。
するとそこへ、マッサージ師のピースフル・ファウンテンがやって来ます。ボンドは、彼女がチャイナドレスの下に拳銃を隠し持っていることにすぐに気づき、大きな鏡に灰皿を投げました。
そこには、ホテルの支配人に扮した中華人民共和国の諜報員ミスター・チャンと彼の仲間が、カメラを設置して隠れていたのです。
ボンドは「北朝鮮に入る手助けをしてくれれば、殺された中国の諜報部員の仇をとってやる」と、ミスター・チャンに取引を持ち掛けました。
こうして中国側の協力を得ることができたボンドは、ミスター・チャンからパスポートと航空券を受け取り、ザオの潜伏先であるキューバ・ハバナへ向かいます。
以下、『007/ダイ・アナザー・デイ』ネタバレ・結末の記載がございます。『007/ダイ・アナザー・デイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
ハバナに到着後、ボンドはデレクタドスというブランドの葉巻を製造している工場にいる地元の情報屋ラウルに接触し、ザオがロス・オルガノス島の病院にいるという情報を手に入れました。
さらにボンドは、ラウルから武器と望遠鏡、車フォード・フェアレーンを調達しました。早速その望遠鏡を使って、島の対岸にあるビーチからロス・オルガノス島を監視していた際、ボンドはジアシンタ・ジョンソン(愛称:ジンクス)という黒人女性と出会います。
ジンクスと一夜を共にした後、ボンドは昨日ビーチで目をつけた、ロス・オルガノス島の病院「アルバレス病院」の入院許可証を手に入れた男の介添人を装い、病院に潜入。
遺伝子治療の専門家アルバレス博士が、DNA組み換え療法を行っているその場所で、ザオはドイツ人に化けようとしていたのです。
一方ジンクスは、アルバレス博士からDNA組み換え療法について説明を受けていました。
アルバレス博士の説明が終わった瞬間、ジンクスは隠し持っていた銃を取りだし発砲。アルバレス博士を射殺した後、彼のPCからザオのカルテを探し出し、彼がいる病室を突き止めます。
さらにジンクスは、カルテが入っている棚にプラスチック爆弾を仕掛けました。そして、ザオと乱闘を繰り広げていたボンドと遭遇します。
ボンドはジンクスと共にザオを追い詰めるも、ザオは外に待たせておいたヘリを使って逃走。ザオが外へ飛び出した瞬間に、ジンクスが仕掛けたプラスチック爆弾が起爆し、アルバレス病院は灰と化しました。
そしてジンクスは、着ていたワンピースを脱ぎ捨てビキニ姿になり、ボンドの目の前で海に飛び込みました。
ジンクスは予め待機していたボートに乗り込み、その場から華麗に立ち去っていきました。
なぜジンクスがザオを追いかけていたのか疑問を抱きつつ、ボンドはザオから奪った縦断型のペンダントの中身を取り出します。中に入っていたのはダイヤモンド4粒でした。
その後、ラウルにそのダイヤモンドを分析してもらった結果、英国のダイヤモンド王グスタフ・グレーヴスが1年前にアイスランドの鉱山で発見したとされている、西アフリカのシエラレオネ産の紛争ダイヤモンドであることが判明しました。
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ボンドは英国に戻り、ナイト(主にヨーロッパのキリスト教国家において勲章の授与に伴い、王室または教皇から授与される、中世の騎士階級に由来した栄誉称号のこと)の称号授与式に向かうグレーヴスを監視・尾行しました。
それに気づかないグレーヴスは、自身の会社「グレーヴス社」の広報担当であるミランダ・フロストと共に、ロンドンのフェンシングクラブ「ブレーズ・クラブ」を訪れます。
そこでボンドは、賭け試合専門の剣術の達人であるグレーヴスに接触し、彼に勝負を挑みました。
真剣まで持ち出す激闘の末、ボンドは苦戦しつつも勝利を得ました。グレーヴスは自分と互角に戦ったボンドの腕を見込み、週末にアイスランドで行う人工衛星「イカルス」の発表会に招待しました。
グレーヴスたちが去った後、ボンドはフェンシングクラブの従業員から、鍵が入った封筒を受け取りました。
その鍵は、MI6の秘密拠点である地下鉄構内に入るための鍵でした。そしてそこには、ボンドがザオを追っているという情報を耳にしたMが待っていました。
MI6もまた、グレーヴスに疑惑の目を向けていますが、彼に関する情報は「孤児。アルゼンチンの鉱山でダイヤモンドの採掘技術を取得し、アイスランドで一山当てた。その儲けの半分をチャリティに寄付した」という、メディアに公表された略歴だけでした。
職場復帰を果たしたボンドは、VRを使った殺しのライセンスの再評価テストを受けました。
テストを終え、ボンドはMI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQの元を訪れます。Qは新しい腕時計と、リング状の高周波のソニック・アジテータ、光学迷彩装置や自動追尾散弾砲などが装備されたアストンマーティン・V12ヴァンキッシュ、もといボンドカーをボンドに提供しました。
翌日。凍った湖の上に築かれた一夜限りの氷の宮殿(ダイヤモンドの鉱山とグレーヴスの住居が隣接している)を訪れたボンドは、そこのバーでジンクスと再会しました。
ザオも氷の宮殿を訪れ、グレーヴスと再会を喜び合います。実はグレーヴスは、滝壺に落ちて死んだはずのムーン大佐だったのです。
辛うじて生き残った彼はザオ同様、アルバレス博士のDNA組み換え療法を受けて別人の容貌を手に入れており、それ以降はグスタフ・グレーヴスと名乗るように。
その一方で、滝壺に落とされ死にかけた後遺症で不眠症となり、グレーヴスは「ドリーム・マシン」という装置を使って疑似的な睡眠を行い、脳を休めていました。
その後、グレーヴスは自身の会社が発明した「イカルス」の発表会を行いました。グレーヴス曰く、「イカルス」はダイヤモンドのように大空に輝く人工太陽であり、銀の表面が太陽光線を吸収し必要な場所にレーザー光線で熱を注ぐことができるといいます。
「イカルス」の発表会が終わり、ボンドはグレーヴスの住居を偵察。見張りに見つかってしまったものの、近くにいたミランダに助けられます。
実はミランダは、3カ月前からグレーヴス社に潜入していたMI6の暗号解読課の職員であり、Mからボンドの監視役を命じられていました。
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ボンドとミランダが恋人のフリをして一夜を共にしている間、ジンクスは屋上からグレーヴスの住居に侵入し、ドリーム・マシンに眠るグレーヴスを殺そうとします。
しかしそこにいたのはグレーヴスではなく、ザオでした。グレーヴスはロシア人の科学者ヴラッドに作らせた、10万ボルトの電流を触れた相手に流すことができる甲冑の籠手型自己防衛システムでジンクスを感電させます。
ジンクスが意識を取り戻した時には、既に両手足は台の上に縛りつけられていました。ザオは甲冑の籠手型自己防衛システムを使って、なぜ自分の命を狙うのかとジンクスを尋問します。
しかし、ジンクスがなかなか口を割らないため、ザオはグレーヴスの手下キルにレーザー光線を使って彼女を殺すよう命じました。
一方ボンドは、Qお手製の腕時計を使って凍った湖に穴を開け、超小型の酸素ボンベを口にして水中からグレーヴスの住居に侵入。レーザー光線で今にも殺されそうなジンクスを見つけます。
しかしジンクスを助けようとした瞬間、ボンドたちの元へキルが襲来。装置が故障しレーザー光線が乱れる中、ボンドはキルと死闘を繰り広げていきます。
死闘の末、ボンドによってレーザー光線から逃れることができたジンクスが、ボンドを殺そうとするキルの頭にレーザー光線を照射し殺害しました。
ジンクスにつけられた拘束具を外す際、ボンドは彼女の正体が国家安全保障局(NSA)の者であることを知ります。
ジンクス曰く、ザオはキューバから持ってきた変な仮面を着けていたという。それを聞いたボンドは、その仮面はザオとは別の朝鮮人のものかもしれないと推測しました。
グレーヴスが自身の部屋に戻ると、ボンドが待ち伏せていました。ボンドはグレーヴスが、自分が北朝鮮で殺したはずのムーン大佐であることに気づいたのです。
するとそこへ、銃を持ったミランダが登場。ミランダは最初グレーヴスにその銃口を向けていましたが、彼が「北朝鮮での密告者の正体を知っているか?」とボンドに尋ねた途端、ボンドを標的にしたのです。
そう、ミランダは二重スパイでした。グレーヴスはシドニー・オリンピックのフェンシングの金メダル候補に薬物を与えて失格させ、彼女を繰り上げ優勝させ抱き込んだのです。
ミランダとザオに銃と腕時計を奪われてしまったものの、ボンドはリング状の高周波ソニック・アジテータを使ってガラスの床を破壊し、グレーヴスがテスト走行していた氷上レースカーを奪って逃走します。
グレーヴスはボンドを追いかけることはせず、「イカルス」を使ってボンドを焼殺しようとするのです。
それを何とか躱したボンドでしたが、レースカーに搭載された錨を発射して氷河の端に宙吊りに。グレーヴスはそれを見逃さず、ボンドを湖に沈めようとします。
ボンドはレースカーのブレーキ用のパラシュートと、カバー・パネルをサーフボード代わりにしてそのピンチを切り抜けました。
さらにボンドは、グレーヴスの手下からスノーモービルを奪い、氷の宮殿に閉じ込められたジンクスを救出するために氷の宮殿へ向かいます。
しかし氷の宮殿前に到着後、ボンドが乗り込んだボンドカー(光学迷彩装置を使って隠しておいた)に、グレーヴスの手下が乗ったスノーモービルが激突。
すぐ近くにいたザオに見つかってしまい、ボンドは熱感知機能やガトリング砲などが装備された緑の車ジャガーXKRに乗るザオと、真冬の氷上でカーチェイスを繰り広げる羽目になってしまいます。
その最中、グレーヴスとその一味は旧ソ連製の輸送機「アントノフAN-255」を使って、北朝鮮へ向かう準備を進めつつ、「イカルス」を使って氷の宮殿ごとジンクスを焼き殺そうとするのです。
それを見たボンドは、氷の宮殿へ急行し、追いかけてきたザオと宮殿内でもカーチェイスを繰り広げていきました。
激しいカーチェイスの末、ジャガーXKRと衝突寸前でボンドカーの光学迷彩機能が回復し、後退したため、ザオはジャガーXKRごと氷を突き破り湖へと落下。
命からがら浮上したザオでしたが、ボンドによって壊された氷のシャンデリアの下敷きになって死亡しました。
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
ザオを倒した後、ボンドは崩壊していく氷の宮殿で溺死寸前だったジンクスを救出し、彼女を連れて韓国の非武装地帯にある米軍司令部へ向かいました。
そこにはMとその側近であるチャールズ・ロビンソン、そして人質交換の際にボンドの前に現れたNSAの長官ダミアン・ファルコの姿がありました。
Mはファルコに、なぜキューバにジンクスを潜入させていたことを秘密にしていたのか尋ねます。
これに対しファルコは、「MI6に裏切り者がいると知っていたから」と答えました。実は、ミランダとムーン大佐が在籍していた大学は同じだったのです。
Mたちと合流したボンドは、彼らから「北朝鮮が本気で南(韓国)を侵攻しようとしている」、「グレーヴスは北朝鮮の空軍基地にいる」と聞き、グレーヴスは「イカルス」を使って韓国を攻撃しようとしていると推測しました。
ですが南北境界線には地雷原があるため、迂闊に手を出すことができません。そこでMたちは、「イカルス」には衛星攻撃砲で、グレーヴスにはボンドとジンクスに始末してもらうことにしました。
一方、北朝鮮のピョンヤン空軍基地に到着したグレーヴス一味は、抱き込んだタカ派(交戦的で戦争など武力を辞さない姿勢を持つ集団や人物のこと)の朝鮮人民軍の将軍たちと合流。「イカルス」を使って衛生攻撃砲を破壊します。
さらにグレーヴスはアントノフAN-255に戻って、空中から「イカルス」を操作して南北境界線の地雷原を破壊しました。
この間、グレーヴスに招待されて同乗したムーン将軍に、彼は自身の正体と、そして「イカルス」を使って北緯38度線を破壊するという計画を明かしました。
しかし、ムーン将軍から国を滅ぼす気かと反対されたため、グレーヴスは装着していたパワードスーツの電気を流し込み、彼を射殺しました。
その直後、ジンクスと共にアントノフAN-255に侵入したボンドが登場。グレーヴスを殺そうとするも手下に邪魔され、撃った弾は窓ガラスに被弾。
その場にいた者はボンドたち2人を除いて破孔から機外に放り出されてしまいました。ボンドとの格闘中にも機体がどんどん破損していくため、グレーヴスはパラシュートを使って脱出しようとします。
ですが、準備が整わないままボンドにパラシュートを作動させられたため、グレーヴスは破孔から機外に放り出されてしまうのです。
かろうじて破孔のふちに捕まったグレーヴスでしたが、ボンドに自身が装着していたパワードスーツの電気を逆流させられたせいで手を放してしまい、そのままエンジンに吸い込まれ死亡しました。
「イカルス」が停止したことで、攻撃を受けていたMたちも救われました。ボンドはミランダとの死闘を制したジンクスと合流し、ダイヤモンドを載せたヘリで脱出します。
後日。無事生還したボンドは、MI6本部に帰還。「ボンド、“00”に復帰」とPCに打ち込んでいたMの秘書マネーペニーと熱いキスを交わします。
しかしその直後、Qの声で目が覚めたマネーペニーは、彼に今しがた体験したばかりのVRテストの感想を述べました。
本物のボンドは、海が見える小高い丘の上に立つ小屋の中で、ダイヤモンドを敷き詰めたベッドの上に横たわるジンクスと熱いキスを交わしていました。
映画『007/ダイ・アナザー・デイ』の感想と評価
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
ボンドは北朝鮮での拷問後、『007/消されたライセンス』(1989)以来、二度目となる殺しのライセンス「00」の剥奪を言い渡されてしまいます。
これまでどんなピンチも乗り越え、凶悪な敵に打ち勝ってきたボンドですが、さすがにこれは心身ともに堪えたことでしょう。
そんなボンドを奮い立たせたのは、「007」としての誇りと、自分と米国の諜報員を北朝鮮に密告した者への強い怒りでした。
ボンドもジンクスも、そして本作を観る誰もがザオが密告者だと疑ったことでしょう。ですが物語の後半、実はミランダだったということが明らかとなりました。
味方だと思っていたミランダが、まさかの二重スパイだったという衝撃的な事実。
それに加え、ザオと共にDNA組み換え手術をして別人に生まれ変わったムーン大佐もといグレーヴスが、「イカルス」を使って韓国はおろか、北緯38度線を破壊しようと企てていたなんて、誰も予想できない展開に思わず呆けてしまうほど驚かされます。
ただそれは、作中でグレーヴスがボンドに語っていたように、グレーヴスもミランダも誰よりも勝利願望が強く、また誰かに認められたい気持ちが強かったからでしょう。
まとめ
(C)2002 United Artists Corporation and Danjaq, LLC.
北朝鮮での任務に失敗し、殺しのライセンスを剥奪されてしまった「007」ことジェームズ・ボンドが、同じ人物を追うNSAの局員の協力のもと、自らの疑いを晴らすべく奮闘する、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
全編とおして緊迫した空気が流れる中、怒涛の勢いで繰り広げられるボンドたちの激闘の数々は、ド派手で迫力があるアクションばかりです。
特にロンドンのフェンシングクラブで繰り広げられる、ボンドvsグレーヴスのフェンシング対決と、物語の終盤で描かれる空中でのジンクスvsミランダの対決は見応えがあります。
そして何といっても、本作のボンドガールであるジンクス役を演じるオスカー女優ハル・ベリー。メインのボンドガールに黒人女性が起用されたのは「007」シリーズ作品で初めてです。
ボンドを嫌煙する美女ミランダと、ボンドとラブロマンスを織りなすボンドガール・ジンクスという対照的な2人が描かれるのも、これまでの「007」シリーズ作品にはないのではないでしょうか。
ピアース・ブロスナンが5代目ジェームズ・ボンドを演じる最後の「007」シリーズ作品を観たい人に、とてもオススメなスパイアクション映画です。