大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第14作!
ジョン・グレンが監督を務めた、1985年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/美しき獲物たち』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、KGBに流出した英国開発の最新型軍事防衛システム用のマイクロチップの奪還と、マイクロチップ市場独占し地球破壊を狙う実業家の恐るべき計画に立ち向かう姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンドを演じた最後の作品である「007」シリーズ第14作目『007/美しき獲物たち』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『007/美しき獲物たち』の作品情報
(C) 1985 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
【公開】
1985年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説「007」シリーズ第1短編集『007号の冒険』に収録された作品『バラと拳銃(薔薇と拳銃)-From a View To A KIll』
【監督】
ジョン・グレン
【キャスト】
ロジャー・ムーア、クリストファー・ウォーケン、タニア・ロバーツ、グレイス・ジョーンズ、パトリック・マクニー、パトリック・ボーショー、フィオナ・フラートン、アリソン・ドゥーディ、デスモンド・リュウェリン、ロバート・ブラウン、ロイス・マクスウェル、ウォルター・ゴテル、ドルフ・ラングレン、デヴィッド・イップ、ウィロビー・グレイ、マニング・レッドウッド、ジェフリー・キーン、ジョー・フラッド、ダニエル・ベンザリ、ジャン・ルージュリー、ボグダン・コミノフスキー、ルシエン・ジェローム、アンソニー・チン
【作品概要】
前々作『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981)と前作『007/オクトパシー』(1983)のジョン・グレンが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングによる「007」シリーズ第1短編集『007号の冒険』に収録された作品、『バラと拳銃(薔薇と拳銃)-From a View To A KIll』をもとに描かれた「007」シリーズ第14作目です。
「007」シリーズのロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンド役を演じ、『シーナ』(1985)のタニア・ロバーツと、『ディア・ハンター』(1978)のクリストファー・ウォーケンら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『007/美しき獲物たち』のあらすじとネタバレ
(C) 1985 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
英国が開発し、米国で製造された最新型軍事防衛システム用のマイクロチップを持ち出した、英国情報局秘密情報部「MI6」の諜報員「003」がシベリアで遭難。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドはシベリアに潜入し、彼の遺体からそのマイクロチップを回収しました。
ソ連軍に追われるも、ボンドはスキー&スノーボードで振り切って、流氷に偽装した流氷型潜水艇でシベリアから脱出しました。
ロンドンにあるMI6の本部に帰還して早々、ボンドはMI6の部長であるMと、米国の国防大臣フレデリック・グレイに呼び出されます。
その場に同席したMI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQ曰く、「003」の遺体から回収されたマイクロチップは、一般的なマイクロチップとは異なり、核爆発によって起こる磁器電波の影響を受けないものだというのです。
それを聞いたグレイは、ソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」が製造元から盗み出したのだろうと推測しました。
マイクロチップを製造した会社は半年前、ある企業に買収されました。反共産主義者で政界にも顔がきく仏産業界の大物マックス・ゾリンが経営する会社「ゾリン産業」です。
ですが機密情報が漏洩したのは、ゾリンが社長に就任して以降でした。そのためゾリンとゾリン産業が怪しいと睨んだMたちは、ボンドに内偵調査を命じました。
ボンドはMとその秘書マネーペニー、Qと共にフランスへ飛び、アスコット競馬場に出場するゾリンが所有する常勝の競走馬「ペガサス」について調査します。
そのペガサスについては、既に協力者である厩舎の経営者チベット卿が、自身の友人であるフランス人の探偵オーバジーンを雇い調査していました。
ボンドは、パリのエッフェル塔にあるレストランでオーバジーンに接触し、パリ近郊にあるゾリンの屋敷の敷地内にある牧場で、競走馬の競売があるという情報を得ます。
しかしその直後、オーバジーンは何者かに毒針を撃たれ殺されてしまったのです。
犯人はエッフェル塔から飛び降り、パラシュートを使って逃走。ボンドはその後を必死で追いかけます。
アレクサンドル3世橋を通過したセーヌ川のクリーズ船「バトー・ムッシュ」に降下した犯人。ボンドもバトー・ムッシュへ飛び降りますが、既に犯人は別のボートに乗り換えていました。
そのボートに乗っていたのはゾリンと、オーバジーンを毒殺したメイ・デイでした。
ボンドはチベット卿が手配してくれた招待状を使い、彼と共にゾリン主催の競走馬のオークション会場に潜入。そのオークションの目玉は、ペガサスの兄弟馬「イシカス」です。
ボンドは秘密兵器「指輪型カメラ」を使って撮影しながら、ゾリンの屋敷を警備する警備主任スカルピン、招待客の石油商売人ボブ・コンリー。
ゾリンの厩舎で種馬コンサルタントをしているカール・モルトナー博士、そしてヘリに乗って現れた謎の美女ステイシー・サットンに接触し、ペガサスたち競走馬に隠された秘密について探りを入れました。
さらにボンドは、窓ガラスの反射を除去して室内を見通すことができる秘密兵器「偏光サングラス」を使って、ゾリンが他の招待客に隠れて、ステイシーに500万ドルの小切手を切っていたところを目撃しました。
早速ボンドは、人の目を盗んで屋敷に忍び込み、秘密兵器「小切手ホルダー」を使いスキャンしました。
この間、厩舎に忍び込んだチベット卿は、ペガサスについて調べようとします。しかし、いるはずの厩舎にペガサスがいません。
以下、『007/美しき獲物たち』ネタバレ・結末の記載がございます。『007/美しき獲物たち』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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その日の夜。チベット卿からその話を聞いたボンドは、彼と一緒に厩舎を調べることにしました。
調査の結果、厩舎の下に実験室があることが判明。そこにいたペガサスの脚には、マイクロチップが埋め込まれていたのです。さらに薬品棚にはステロイドと、それを注入するために使う注射器がありました。
これらを見たボンドは、この実験室でモルトナー博士が、ペガサスたち平凡な血統の競走馬の脚に埋め込んだマイクロチップは、適量のステロイドが投与するようプログラムされたものだと推測しました。
注射器の細い針は、電波でリモコン操作できます。そのリモコンがあるのは、機種が持つステッキの中です。
つまりペガサスたちは、騎手の匙加減でステロイドを投与され、疲れ知らずのサラブレッドに変えられている、ということになります。
まさにここは、サラブレッドを作るための実験室です。さらに奥へ行ってみると、世界の需要をまかなえる量のマイクロチップが貯蔵されていました。
するとそこへ、ゾリンの屋敷の警備員2人が現れます。ボンドは襲い掛かってきた警備員たちを返り討ちにし、チベット卿と共に倉庫から脱出しました。
翌朝。「倉庫に賊が忍び込んだ」と、ゾリンの屋敷の警備主任スカルピンからの報告を受け、ボンドが実験室と倉庫に忍び込んだことを知ったゾリンは私室に呼び出します。
ゾリンはボンドに、素直にサラブレッドの血統をコンピューターでプログラムしていることを明かし、種馬について話しました。
その会話の裏で手下に彼の身元を調べさせた結果、ゾリンはボンドがMI6の諜報員であることを知りました。
ゾリンとの謁見後、ボンドはチベット卿に、「洗車しに行くと嘘を言って街へ行き、Mに連絡して小切手を至急追跡してほしい」と頼みました。
ボンドがゾリンに誘われて、種馬「インフェルノ」のトレーニングを兼ねたレースをやることに。
ですがそれは、ゾリンがボンドを殺すために仕掛けたものであったため、ボンドは大勢の手下と障害物に襲われてしまいます。
そこでボンドは、レースの外へ飛び出し、屋敷に戻る最中の車ロールスロイス・シルバークラウドIIに駆け寄ってチベット卿に助けを求めました.
しかし、後部座席にいたチベット卿は既に死んでいました。殺したのは、運転席に座るメイ・デイでした。
ゾリンの手下たちに包囲されてしまったボンド。抵抗虚しく後頭部を殴られ、目覚めた時は湖に車が沈められた時でした。
車内から自力で脱出したボンドは、タイヤに穴を開けて空気を取り込みました。それを知らないゾリンの元に、部下2人を連れたKGBのゴゴール将軍がやってきます。
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「KGBからの命令を無視するだけでなく、我々の許可なくボンドを始末しようとしたこと、新たな事業を始めたことは、到底許すことはできん」と怒りを露わにするゴゴール将軍。
ですが、ゾリンはゴゴール将軍の言葉に聞く耳を持ちません。ゾリンは世界で使われているマイクロチップの8割が生産されている、サンフランシスコ近郊にある米国の電子産業の中心地シリコンバレーを壊滅させ、市場の独占を企てていたのです。
一方、サンフランシスコへ飛んだボンドは、捜査協力者であるCIAのエージェント、チャック・リーと合流。彼から招待客にいた地質学者ボブ・コンリー、ステイシーあての小切手、モルトナー博士に関して分かった情報を教えてもらいます。
その結果、コンリーは南アフリカの金鉱で働いていましたが、大事故を招いてクビになったこと、ステイシーあての小切手はまだ現金化されていないこと。
モルトナー博士の本名はグラウブ、彼の本当の仕事はステロイド研究の草分けであること。彼がナチスの強制収容所で妊娠女性を使い、ステロイドによる知能向上実験を行っていたこと。
その実験の結果は悲惨なもので、ほとんどが流産し、生まれた子供は抜群のIQを持つ代わりに神経に影響が出てしまったこと。
モルトナー博士が戦犯とならなかったのは、ソ連に拾われたからだということ。15年前まで、運動選手用のステロイド研究をしていたことが判明。
それはゾリンがソ連に亡命した時期とピッタリ重なります。つまり、ゾリンはモルトナー博士のステロイド研究で生まれた異常発達児ということです。
さらにチャックの紹介で出会った漁業組合のオラークに話を聞くと、ゾリンがコンリーと手を組み、新たな事業として始めた石油のせいで、カニ漁場が全滅。汚染されたからではなく、カニ自体がいなくなってしまったのだというのです。
その日の夜、ボンドはゾリン石油の採油現場に潜入を試みるも、ゾリンの指示により出力最大まで上げたポンプに吸い込まれそうになります。
酸素ボンベなどの器具をプロペラにかませたことで、何とかピンチを切り抜けたボンド。再び海上に浮上した際、自分以外にも採油現場に潜入しようとしている男女2人組を目撃します。
しかし、ゾリンたちに見つかってしまった男は、再び出力を上げたポンプに投げ込まれ、プロペラに切り刻まれてしまいました。
採油現場から逃げ帰ったボンドは、同じく採油現場から逃げ帰ってきた女をとっ捕まえます。
その女の名はポーラ・イワノヴァ。以前ボリショイサーカスのロンドン公演で、ボンドを誘惑するという密命により、彼に接触したことがあるKGBの女スパイです。
今回ポーラに課せられた任務は、採油現場でのゾリンたちの会話をテープに録音すること。しかしその任務自体は成功したものの、そのテープはボンドに盗まれてしまいました。
イワノヴァがゴゴール将軍の車に乗り立ち去った後、そのテープに録音された会話を聞いたボンドは、「シリコンバレー」「作戦開始は3日後」「メインストライク作戦」という言葉を知ります。
翌日。ボンドはロンドン経済新聞の記者に扮して、カリフォルニア州の市役所の石油・鉱山管理部門の部長W・G・ハウにゾリン石油について話を聞きました。
ハウから聞いた話によると、ゾリン石油は石油を採出せず、海水を取り入れパイプの耐久力を試しているのだというのです。
局から出る際、ボンドはハウに話しかけるステイシーの姿を目撃。こっそり後をつけ、サン・アンドレアス水源地近くにある彼女の自宅に、窓の隙間に挟めば自動的に開錠する秘密兵器「クレジットカード」を使って忍び込みます。
しかし、ステイシーに小切手のことを聞いた瞬間、ゾリンの手下たちが現れ襲い掛かってきたのです。
激闘の末、ゾリンの手下たちを撃退したボンド。ステイシーの命を救ったことで彼女の信頼を得て、ゾリンとの関係について聞き出すことが出来ました。
「サットン石油」という石油会社を経営していた父の跡を継いだステイシーは、大学で地質学を勉強しました。しかし、ゾリンが不正に会社を乗っ取ったのです。
ステイシーは全財産をはたいてゾリンと法廷で戦いました。そして今は市役所に勤めて、残ったこの家と会社の株を守っているのだといいます。
つまりあの500万ドルの小切手は、ゾリンが訴訟を取り下げ、ステイシーを黙らせるために渡した口止め料です。
翌日、ヘイワード断層に沿ったゾリン石油の採油現場の近くを震源地とした軽い地震が発生。ボンドからゾリン石油が石油ではなく、海水をポンプで引き込んでいることを知ったステイシーは、断層への流水が地震の原因だと思い、やめさせようと上司のパウに抗議をしに行きました。
しかし、州の経済が潤うほど投資してくれたゾリンを邪険にできないからか、ハウはステイシーにクビを言い渡します。
それを聞いたボンドは、ワシントンからチャックを呼び寄せ、再び彼の力を借りることにしました。
ですが3人で話し合った後、チャックはCIA本部に応援を要請しようとしましたが、自身の車に潜り込んでいたスカルピンによって殺されてしまいました。
それを知らないボンドたちは、ステイシーの通行パスを使って市役所に忍び込み、ゾリン石油の石油井戸の数と場所を調べます。
その結果、メインストライクとは、ゾリンが所有するサン・アンドレアス断層に近い銀の廃鉱であることが判明。
その資料をボンドが服のポケットに忍ばせた瞬間、チャックの車を奪って2人を尾行していたゾリンとメイ・デイが襲来。
ゾリンたちはハウの元に2人を突き出し、「ステイシーはクビにされた腹いせに、ボンドと一緒に君を殺しに来た。その犯行を隠すためにオフィスに放火を…」、「エレベーターの中に閉じ込められ、炎の中で焼け死んだ」とハウに言いました。
しかし、ボンドたちがハウを殺しに来たというのは真っ赤な嘘。ですがゾリンたちはハウと、2人を殺すためにここへ来たのです。
ゾリンはハウを射殺。さらに市役所に放火し、2人をエレベーターの中に閉じ込めて殺そうとしました。
何とかエレベーターから脱出し、奇跡の生還劇を果たしたボンドたちでしたが、ゾリンがハウを撃った銃はボンドから奪ったものだったため、ハウ殺害の容疑で警察に逮捕されそうになります。
そのためボンドははしご車を盗み、ステイシーと共に逃走。警察は橋を上げてボンドを捕まえようとするも、はしご車は強引に橋を渡ったため、あと一歩のところで逃げられてしまいました。
翌日、ボンドたちはサン・アンドレアス湖近くにあるメインストライクに潜入。坑内に大量の火薬が運び込まれていることと、坑内の部屋にあった巨大地図を見て、ゾリンたちが恐るべき計画を企てていることを知ります。
ゾリンたちがやろうとしている「メインストライク作戦」とは、大量の火薬とダイナマイトを使ってサン・アンドレアス湖の底を爆破し、二重地震によってゾリン石油の採油現場が取り入れた海水をヘイワード断層とサン・アンドレアス断層に沿って放出すること。
メインストライクの真下にある断層の動きに歯止めをかける石盤も破壊し、2つの断層を同時に動かしてシリコンバレーを水没させる、というものでした。
タイムリミットが刻一刻と迫る中、ボンドたちはゾリンたちに見つかってしまい、坑内を逃げ回ることに。
メイ・デイと作業員がいるのにも関わらず、ゾリンはダイナマイトを起爆させます。それを止めようとしたコンリーは、スカルピンによって殺されてしまいました。
さらにゾリンとスカルピンは、流れ込む海水に逃げ惑うゾリンの手下たちと作業員を全員射殺し、トロッコに乗って廃鉱から脱出。モルトナー博士と合流し、あらかじめ逃走用に用意しておいた飛行船に乗って逃走しました。
ゾリンに裏切られたと知ったメイ・デイは、ボンドたちに協力し、大量の火薬の上にセットされた大型爆弾の起爆装置の解除を手伝います。
未曽有の大洪水が起きるまであと数十秒。ボンドとメイ・デイは起爆装置を坑外へ運び出し解除しようとするも、途中で止まってしまったトロッコを押し出した際にボンドが転んでしまいます。
慌ててトロッコから降りるようメイ・デイに言うも、彼女は「ゾリンをやっつけて」とボンドに言い遺し、そのまま爆死してしまうのです。
計画が失敗してしまったゾリンたちは、一足先にメインストライクから脱出していたステイシーを人質に取り、飛行船での逃亡を図ります。
ボンドは飛行船が上昇する間際、飛行船の前部係留ロープに捕まることに成功。それに気づいたゾリンたちは、サンフランシスコの吊り橋「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」に落として殺そうとします。
それを逆手に取り、ボンドは前部係留ロープをゴールデン・ゲート・ブリッジのフレームワークに結びつけ、飛行船での逃亡を阻止しました。
この隙にステイシーは飛行船から脱出し、ボンドと合流。ゾリンは斧を持ってステイシーを追いかけ、ゴールデン・ゲート・ブリッジの上でボンドと死闘を繰り広げていきます。
死闘の末、ゾリンはゴールデン・ゲート・ブリッジから落下し死亡。それに激怒したモルトナー博士がダイナマイトに火をつけ、ボンドを殺そうとしますが、ボンドが斧で前部係留ロープを切ったため、船内にダイナマイトを落としてしまいます。
その数秒後、ダイナマイトが起爆し爆発。船内にいたモルトナー博士とスカルピンは爆死しました。
後日。ゴゴール将軍はMゾリンの計画を阻止したボンドに、外国人としては初めてのレーニン勲章を授与するため、MI6本部を訪れます。
シリコンバレーの壊滅はソ連が望んでいることではないのかというMの問いに対し、ゴゴール将軍は「それは大間違い。ソ連の研究はあそこが頼りなのだ」と答えました。
Qが開発したスパイ・ロボットを使い、ステイシーの自宅を探索。行方不明となったボンドがMたちの心配をよそに、ステイシーとシャワーの中でイチャついているのを発見します。
QはMに、「“007”は無事です。今事後処理の最中です」と報告しました。スパイ・ロボットに気づいたボンドはその目をタオルでふさぎ、ステイシーとの甘い時間を堪能しました。
映画『007/美しき獲物たち』の感想と評価
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ゾリンの恐るべき計画を阻止するボンド
今回ボンドに課せられた任務は、英国が開発した最新の軍事防衛システム用のマイクロチップがKGBに流出したことに関与したとされるゾリンの内偵調査です。
作中、ボンドはチベット卿たち強力な協力者と一緒に調査していくのですが、ゾリンに関して何か情報を得るたびに、協力者がゾリンたちに次々と殺されてしまいます。
チベット卿たちが死んだことをゾリンに知らされるたびに、ゾリンへの怒りを露わにするボンド。彼がいかに一緒に調査する仲間を大事にしているかが伝わってきます。
チベット卿たち協力者、そして最後の最後で味方になってくれたメイ・デイの死を無駄にすまいと、何度殺されかけても諦めず、ゾリンに挑み倒したボンドの戦う姿はとても格好良いです。
マイクロチップの市場独占を企むゾリン
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本作で名優となったクリストファー・ウォーケン演じる悪役であるゾリンは、米国の製造元から最新の軍事防衛システム用のマイクロチップを盗み、協力関係にあるKGBに流しました。
しかしだからと言って、ゾリンがいつまでもKGBの味方でいるわけではありません。何故ならゾリンは、KGBが抱き込んだモルトナー博士のステロイド研究によって生み出された異常発達児だったからです。
そのため、KGBのイヌとして散々利用されてきたことに不満を抱いていたであろうゾリンは、KGBに反旗を翻します。
ゾリンの境遇を考えるとかわいそうだと同情したくなりますが、シリコンバレーを水没させ、マイクロチップの市場を独占するという恐るべき計画を企てただけでなく、スカルピンとモルトナー博士以外の人間を無慈悲に切り捨てる冷酷な一面を見せたゾリンはとても恐いです。
まとめ
(C) 1985 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、マイクロチップの市場の独占を目論む最強の敵に立ち向かう、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
前作『007/オクトパシー』(1983)がコミカル路線だったのに対し、本作は再びシリアス路線へ戻りました。
そして前々作『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981)と前作『007/オクトパシー』(1983)以上にスタントアクションを多く取り入れており、シベリアでのスキー&スノーボードでの逃亡劇や、サンフランシスコでのカーチェイスや騎馬上での格闘、飛行船を追っての空中スタントなどスリリングなアクション場面が満載です。
また、これまでの「007」シリーズ作品にも登場したKGBのゴゴール将軍は、本作でもMI6とボンドの敵として暗躍します。
ですが物語のラスト、ゴゴール将軍は自ら敵対関係にあるMI6本部を訪れ、ボンドに直接、外国人初のレーニン勲章を授与しようとしていました。
作中でKGBに黙って勝手な真似ばかりするゾリンに怒っていたことといい、ゴゴール将軍たちKGBにとっても、ソ連に大損害を与えようとした彼とその計画をどうにかしたかったに違いありません。
7作にわたって3代目ジェームズ・ボンド役として出演したロジャー・ムーアの集大成である、「007」シリーズ史上最高にスリリングなスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。