連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第74回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第74回は、『仮面殺人会』(2017)です。
山荘に逃げ込んだ強盗犯たちが対峙することになるのは、仮面を被った猟奇的な殺人鬼。血で血を洗う壮絶な殺し合いの果てに、いったい誰が生き残るのか。
手に汗握る韓国産スラッシャー映画をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら
映画『仮面殺人会』の作品情報
【公開】
2017年(韓国映画)
【原題】
콜리션
【監督】
チャ・ミョンウク、ホ・ソヒョン
【脚本】
イ・ユノ
【キャスト】
イ・スンジュン、イ・イクチュン、キム・ボムテ、チャ・ミョンウク
【作品概要】
チャ・ミョンウクとホ・ソヒョンが監督を務めた韓国映画。
主演は『ビースティ・ボーイズ』(2009)や『工作 黒金星と呼ばれた男』(2019)に出演したイ・スンジュン。また『7人の追撃者』(2018)に出演したイ・イクチュンが共演として参加しました。
映画『仮面殺人会』のあらすじとネタバレ
山奥にある「チサングループ」の豪華な山荘で性行為中の男女が、仮面を被った2人の侵入者にナイフで殺害されます。仮面の男は殺した男の手首を切り落とすと、金品を奪いました。
山道でテファは、弟分のジョンスとソンギンとともに現金を運ぶ車を強盗し大金を奪います。
その後、テファは2人を連れて「チサングループ」のヤン会長の指示通り山荘へと落ち延びますが、先に到着しているはずの「チサングループ」の人間が見つからず怪訝に思います。
山荘内に漂う肉の腐った匂いのもとを探ったジョンスは、クローゼットの中のトランクから殺害された男女の遺体を発見。その頃、仮面の男たちはヤンによる殺人依頼を終えると、次なるターゲットの殺害のため山荘を目指していました。
クローゼットに遺体を戻したテファたちの前に、ハ室長の許可を得たと言うドングン率いる4人組の男女が山荘に現れます。
テファは怪しまれないためにドングンたちの宿泊をやむを得ず了承。夜、7人は親交を深めるために全員で食事をしますが、酒に弱いソンギンは泥酔。ドングンの仲間であるソンヒョンに部屋へと連れていかれます。
深夜になり、ジョンスはソンギンの部屋へと向かうと、ソンギンは首を切られ惨殺されていました。
テファとジョンスは、部屋へと連れていったソンヒョンを犯人と決めつけ問い詰めますが、自室から出てきたドングンの連れであるソニョンが何者かに刺され死亡し、山荘の電源が落とされます。
映画『仮面殺人会』の感想と評価
鮮血が飛び散る血みどろスラッシャー映画
性行為中の男女が仮面の男に惨殺される衝撃的な場面で物語の幕が上がる韓国産スラッシャー映画『仮面殺人会』。
その後も仮面の男たちは残忍な手口で殺人を重ねていき、死体が映らない場面が珍しいほどの地獄絵図となっていきます。
本作では殺人鬼は刃物を好んで利用するため、必然的に画面上には多くの血が飛び散ることになりますが、その想いきりの良い血液量はスラッシャー映画ファンには一見の価値があるとさえ言えます。
本作は世界でも有名な日本の映画監督・三池崇史のバイオレンス映画を彷彿とさせる、阿鼻叫喚の血みどろスラッシャー映画となっていました。
二転三転する裏切りだらけの殺人劇
恐怖が山荘を場を覆い始める中盤までは定番のスラッシャー映画と言える展開をなぞる本作ですが、終盤にかけて物語は怒涛の展開に発展。
仮面の男たちは殺人を快楽ではなく仕事として行っている殺し屋であることは序盤から明らかにされますが、目的は謎のまま殺戮を続けていきます。
しかし、彼等の目的が明らかになると、山荘に集まった人間たちの隠された目的も徐々に明らかになり、様相は二転三転していくことになります。
物理的な「仮面」を題材としながらも、誰もが精神的な「仮面」を被り、自身の目的をひた隠しにしていると言う意味も込められた裏切りだらけの殺人劇映画でした。
まとめ
約1時間半で描かれる予測不能な裏切りの交差する血みどろスラッシャー映画『仮面殺人会』。
特にラスト30分の勢いは目を見張るものがあり、画面に飛び散る血の量と併せて一見の価値のある作品となっています。
弟分2人を率いて計画を完遂させながらも、警戒心高く周囲をうかがい続ける主人公のテファを演じたイ・スンジュンの繊細な演技も光る映画でした。
【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら
配信状況などはU-NEXT公式サイトをご確認ください。