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映画『ムガリッツ』あらすじ感想と評価レビュー。ミシュラン二つ星レストランの料理開発は“ミッション:インポッシブル”?|だからドキュメンタリー映画は面白い90

  • Writer :
  • 松平光冬

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第90回

今回紹介するのは、2025年9月19日(金)よりシネスイッチ銀座ほか同時公開の『ムガリッツ』

スペインのミシュラン常連店が生み出す革新的な料理の誕生プロセスに迫る、ガストロノミック・ドキュメンタリーです。

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映画『ムガリッツ』の作品情報


(C)2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.

【日本公開】
2025年(スペイン映画)

【原題】
Mugaritz. Sin pan ni postre(英題:Mugaritz. No Bread No Dessert)

【監督・脚本】
パコ・プラサ

【製作】
パブロ・イスラ、カルラ・ペレス・デ・アルベニス

【共同脚本】
マパ・パストール

【撮影】
エイドリアン・ヘルナンデス

【編集】
マパ・パストール

【音楽】
ミケル・サラス

【キャスト】
アンドニ・ルイス・アドゥリス

【作品概要】
半年間をメニュー開発に充てるため休業する、スペインのレストラン「ムガリッツ」に密着したドキュメンタリー。

「REC」シリーズ(2008~12)、『エクリプス』(2017)などのホラー作品で知られ、ムガリッツの熱心なファンというパコ・プラサ監督が、2年にわたる厨房への密着取材を敢行しました。

第72回サン・セバスティアン国際映画祭カリナリーシネマ部門・ベストフィルムを受賞しました。

映画『ムガリッツ』のあらすじ


(C)2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.

ミシュランガイドに「レストランを超えた存在」と評され2つ星を獲得した、スペイン・バスク地方にある名店「ムガリッツ」。

アーティスティックなオブジェだけを乗せたテーブル、カトラリーを使用せず手や舌を直接使って味わう料理など、従来のレストランコードを崩した独自の世界観で、これまでにない食空間を生み出してきました。

半年間は休業し、スタッフ総出でメニュー開発に専念する。その年に誕生した料理が翌年以降に提供されることはなく、メニューは常に更新され続ける……。

その創造の秘密を解き明かすべく厨房に潜入し、研究開発チームやシェフたちによるメニュー開発の舞台裏を映し出します。

レストランを超えたレストラン


(C)2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.

スペイン・バスク地方の港町サン・セバスチャンにあるムガリッツ。ミシュランガイドに「レストランを超えた存在」と評され、2つ星を獲得した名店です。

ただし、本作の原題『Mugaritz. Sin pan ni postre(ムガリッツにはパンもデザートもない)』が示すように、提供される料理はあまりにも独特。グラスではなくアーティスティックなオブジェだけを乗せたテーブル、カトラリーではなく手や舌を直接使って味わうなど、従来のレストランコードを崩した世界観を要しています。

しかも、毎年11月から4月の6カ月間は休業に充て、スタッフ総出でメニュー開発に専念。その年に誕生した料理は翌年以降に持ち越されず、レシピは破棄され二度と再現不可能となります。

オーナーシェフのアンドニ・ルイス・アドゥリスは、革新的な料理法や「分子ガストロノミー」を先駆けて取り入れ、料理界に多大な影響を与えた三つ星レストラン「エル・ブジ」などのレストランで修行後、1998年3月にムガリッツを開業しました。

バスク自治の象徴とされる樫(オーク)の木を店名に冠し、ルールを破ることほど好きなものはないとする彼は、来店客に異質な食体験を提供するのです。

ミッション:インポッシブルなメニュー開発


(C)2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.

ムガリッツを「単なる⾷事ではなく、知識を提供する場」と定義するアドゥリスが、その年に提示したメニューテーマは“目に見えぬ物”

食欲をそそる感覚の1つである、視覚を削ぎ落すようなメニューをどう形にするのか。海の物、山の物、花の物など、さまざまな食材を俎上にアイデアを練っていく。発酵物ならば目に見えないのでは?と、納豆を直接指に乗せて試食してみる。

注射器やブラシ、スポイトやヤスリなどを駆使して調理を施し、会話から飛び出してきたキーワード元にアドゥリスがイラストを描き起こして、壁一面を“アイデア“で埋め尽くしていく。

まさに実験という言葉がふさわしい、“ミッション:インポッシブル”なメニュー開発。それでもムガリッツチームたちの表情は明るく、探究心に満ちあふれています。


(C)2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.

「人を驚かせ、感動させ、怒りまで与えるメニュー」と断言するように、常に賛否両論を巻き起こすアドゥリスの哲学は、人間の五感のみならず、人間の喜怒哀楽にも挑戦状を叩きつけます

何度も調理し、何度も試食を重ね、不可能を可能とした料理の全貌を、その目で確かめてみてはいかがでしょうか。

次回の連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』もお楽しみに。

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松平光冬プロフィール

テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。

ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューのほか、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219



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