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Entry 2020/03/06
Update

映画『仮面病棟』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末で暴かれるピエロの正体とその黒幕とは?

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『仮面病棟」は2020年3月6日(金)ロードショー

現役医師・知念実希人のベストセラー小説『仮面病棟』を映画化。坂口健太郎と永野芽郁がW主演を務めます。

ピエロの仮面をつけた凶悪犯に占拠された病院。軟禁される当直医とピエロに襲われて傷ついた女子大生。閉じ込められた病院から、二人はうまく脱出できるのでしょうか。

入院記録のない患者たちや隠された病室、あるはずのない最新の手術室。おまけに警察への通報を拒否する院長とスタッフ。何かがおかしい病院で、ピエロの仮面の男が二人に襲いかかる恐怖。病院を舞台にした<密室×病院×心理戦>のミステリーサスペンス映画です。

映画『仮面病棟』の作品情報

(C)2020 映画「仮面病棟」製作委員会

【公開】
2020年(日本)

【監督】
木村ひさし

【脚本】
木村ひさし 知念実希人

【キャスト】
坂口健太郎、永野芽郁、高嶋政伸、内田理央、江口のりこ、朝倉あき、大谷亮平、笠松将、鈴木浩介、丸山智己、佐野岳、永井大、小野武彦

【作品概要】
現役医師・知念実希人の同題小説を『屍人荘の殺人』(2019)やテレビドラマ『99.9 -刑事専門弁護士-』(2019)の監督として、ミステリー作品に実績のある木村ひさしが映画化。

かつて『俺物語!!』(2015)で共演済みの坂口健太郎と永野芽郁がW主演。究極のノンストップ“脱出”ミステリーに挑みます。

共演に高嶋政伸、内田理央、江口のりこ、朝倉あき、大谷亮平、笠松将、鈴木浩介、丸山智己、佐野岳、永井大、小野武彦というメンバーが集結。若手からベテランまで勢揃いの豪華な顔ぶれです。脚本には原作者の知念実希人も関わっています。

映画『仮面病棟』のあらすじとネタバレ

(C)2020 映画「仮面病棟」製作委員会

医師の速水は一夜限りの当直のアルバイトをすることになります。速水は三ヶ月前に恋人の菜緒をプロポーズ直前に交通事故で亡くしたばかりで、心に深い傷を負ったままでした。

今回のアルバイトを紹介した小堺は菜緒の兄で、速水の先輩でもあり、事故以降、医療現場から遠ざかっていた速水を何とか立ち直らせようと考えていました。

アルバイト先の田所病院は、精神科病院を改装した療養型病院で、大半の患者は高齢者ばかりです。寝たきりの患者も少なくない田所病院ですが、急変するような患者がいないのも事実で、速水の職場復帰にはある意味最適でした。

速水と一緒に宿直を担当するのは、ベテラン看護師の東野と寿退職直前の佐々木の二人です。何もなければ数時間で終わる宿直の夜が始まります。

緩やかな時間が流れる宿直室で、ウトウトしていた速水は突然の内線電話で起こされます。慌てた様子の東野が呼んできたのは患者たちのいる3階や4階ではなく、なぜか1階でした。

1階に向かうと、そこには腹部から出血している女性・川崎瞳の姿が……。驚く速水の前に拳銃を構えたピエロの仮面をかぶった男が現れます。ピエロ面の男はコンビニ強盗を働き、その場に居合わせた瞳を銃撃、そのまま田所病院に逃げ込んできたのです。ピエロ面の男は「籠城する」と宣言し、速水に瞳の治療を命じます。

まともな設備もないと聞かされていた速水ですが、緊急を要する事態のために瞳を手術室に運ぶことに……。その手術室は意外な程に最新の設備が揃っていました。

瞳の治療を終えると、隠れていた田所院長がピエロ面の男に襲い掛かりますが、返り討ちにあってしまいます。速水たちは元精神科病院という建物の特性を利用して院内に軟禁されてしまいます。

以下、『仮面病棟』ネタバレ・結末の記載がございます。『仮面病棟』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

突然、佐々木の悲鳴が病院内に響き渡りました。皆が駆けつけると、そこには胸をナイフで刺された東野が……。寝たきりの患者ばかりの病院ということを考えれば、犯人は病院にいる二人かピエロかということになります。

この状況になってもなお、何かを隠し続ける病院側に不信感を抱いた速水と瞳は独断で病院内を調べて回ることにしました。

手術室に向かうと、そこに隠し扉を発見します。それは見取り図にはないエレベーターで、そのまま院長室と資料保管室のある5階に向かっていました。

5階に行き、資料保管室を調べるとさらに隠し扉があり、その中に入ると正体不明の青年が眠っていました。カルテを見た速水は、青年の手術跡と肝機能の劇的な改善を知り、田所院長が非合法の臓器移植をしてることを突き留めます。

そこにピエロ面の男が現れ、事情の説明求めてきます。田所院長は多額の口止め料を交渉材料に、速水とピエロ面の男に取引を持ち掛けます。速水は突然表情を変えると、この話に乗り気の様子を見せ、瞳は大きなショックを受けます。

その時、病院を取り囲むように多数のパトカーが集まってきました。交渉役を任された速水は独断で食料の差し入れの話を進めます。そんな速水の勝手な行動にピエロは怒り拳銃を突き付けますが、なぜか途中で機嫌を直し、院長と佐々木に食料を受け取りに行くように命じます。

院長と佐々木が向かったのは非合法な臓器移植の記録ファイルの隠し場所。警察が突入してきて、このファイルを見られると困るのです。

ファイルを抱えて出てきた二人を速水・瞳・ピエロ面の男が待ち構えていました。全てはピエロ面の男が臓器移植に関する情報を探しているとふんだ速水の芝居でした。

その時、警官隊が突入、ファイルを手にしようとした速水はスタンガンで襲われてしまいます。

朝になり、警官隊に保護された速水は田所と佐々木、そして、ピエロ面の男の射殺体を発見したことを教えられます。

ピエロ面の男は理学療法士の宮田でした。しかし、肝心の川崎瞳の存在は確認されず、そこだけが警察の捜査結果と大きな齟齬を生んでいました。確かに、危険な一夜を共に乗り切った瞳は存在していたのに、本人も遺体も確認されず、警察の目を盗んで脱出した形跡もありません。そもそも人質の瞳がそんなことをする必要がないのです。

その時、速水の脳裏に警察で聞かされた病院関係者3名とピエロ面の男の遺体、そして患者全員の無事が確認という言葉が蘇ります。川崎瞳とは川崎で発見された身元不明の患者13番(語呂合わせでヒトミ)だったのではないかという考えが浮かびます。

瞳が川崎13という患者であれば、確かに警察の捜査結果とピタリと符合します。瞳の腹部の銃創も臓器を摘出された手術跡を隠すためのことだった可能性があります。速水は急ぎ、自分にアルバイトを紹介した小堺の元へ走ります。臓器移植には小堺も関わっていた可能性が高いのです。

調布の病院にたどり着いたとき、速水は瞳によって刺殺された小堺を発見しました。その場にいた瞳は、自分と共に事故に遭い意識不明になった姉のことを話し始めました。その姉が身元不明者扱いとなって田所病院で臓器移植手術の提供者に仕立て上げられたこと、そして姉は帰らぬ人になったことも。

瞳は寝たきりの意識不明者を装いながら、理学療法士の宮田を抱き込んで今回の一件を起こしたのです。

立ちすくむ速水を置いて立ち去る瞳が目指したのは、姉の臓器を得て政界の表舞台に戻ってきた国平元総理大臣の演説会場でした。カバンに拳銃を潜めて国平に近づく瞳。ところがその演説会場にあるオーロラビジョンに速水の姿を発見して動きが止まります。

速水は田所病院の不正を告発し、テレビカメラを通して瞳に向かってもう恨みや憎しみで動くことは止めるようにと涙ながらに訴えます。その言葉を受けた瞳は、復讐を完結せずにその場を立ち去りました。

映画『仮面病棟』の感想と評価

(C)2020 映画「仮面病棟」製作委員会

原作小説はワンシチュエーションモノといった印象がありました。映画化の話が聞こえたときも、映像よりも舞台の方が向いているのではないかと思ったほどです。

実際には映画化にあたって、原作者の知念実希人が、ストーリーに大胆なアレンジを加えました。元精神病院という特殊な病院の作り、笑いながら襲い掛かるピエロ面の怖さ、いつまたピエロが飛び出して来るのかわからないドキドキハラハラ感は、ミステリーならではのもの。ピエロに追われるスリルを充分に味わえます。

仮面をつけるという行為は、“真相を隠す”という意味があるのかも知れません。ピエロの仮面の下に隠された素顔と事件の真相には驚きました。

映画全体は原作よりも映像映えする出来となっていて、映画としてのルックを感じさせてくれます。『屍人荘の殺人』(2019)や『劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL』(2013)など、サスペンス作品に定評のある木村ひさし監督の登板もあって、一級のエンタメサスペンスとなっています。

まとめ

(C)2020 映画「仮面病棟」製作委員会

病院を舞台とし謎の凶悪犯に軟禁される主人公たち。無事に脱出できるのかどうか、ラストまで気になる作品でした。病院が舞台のミステリー作品としては、昨年の『十二人の死にたい子供たち』(2019)があります。本作品と同じく、配給はワーナーブラザースジャパンです。

『十二人の死にたい子供たち』も本作品と同じように、限られた人数だけでのセリフの応酬がメインの巨大な密室ものです。木村ひさし監督の先輩に当たる堤幸彦監督が、ハッタリの利いた映像テクニックを駆使して、文字情報から成り立っていた原作のミステリーとしての根本の部分を映画的なものにうまく変換していました。

『愚行録』(2017)『22年目の告白』(2017)『AI崩壊』(2020)などの本格ミステリーの映画化の成功例を、多数誇っているワーナーブラザースジャパンです。今回の映画『仮面病棟』もミステリー映画としての醍醐味たっぷりで、巧く仕上げてきたなという感じがします。





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