巧妙な戦略を駆使して政治を陰で動かすロビイストを描いた社会派サスペンス『女神の見えざる手』をご紹介します。
『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインが人を人とも思わぬ敏腕ロビイストを熱演。第74回ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門女優賞にノミネートされました。
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1.映画『女神の見えざる手』作品情報
(C)2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA
【公開】
2017年(アメリカ・フランス映画合作)
【原題】
Miss Sloane
【監督】
ジョン・マッデン
【キャスト】
ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング、ググ・バサ=ロー、アリソン・ピル、マイケル・スタールバーグ、サム・ウォーターストン、ジョン・リスゴー、ジェイク・レイシー、チャック・シャマタ、デビッド・ウィルソン・バーンズ
【作品概要】
敏腕ロビイスト、エリザベス・スローンは、銃規制法案反対派の要請を断り、大手会社から銃規制法賛成派の小さな会社に仲間を連れて移籍する。反対か賛成かをまだ決めていない議員を賛成派にするべく、あらゆる手段を使った説得工作が行われる。
時には倫理に反する手段を使いながらも勝利へと突き進もうとするエリザベス。世論は賛成派に動くかに見えたがある事件が起き、状況は一転する。
2.映画『女神の見えざる手』あらすじとネタバレ
(C)2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA
ワシントンD.C.の連邦議事堂にて、スパーリング上院議員による聴聞会が開かれていました。
証人はロビイストのエリザベス・スローン。彼女は、大手ロビー会社、コール=クラヴィッツ&ウォーターマンに在籍していた際に手掛けた仕事で、不正を犯したのではないかという嫌疑をかけられていました。
「敵は君をあおり、怒らせようとする」と忠告する弁護士に対して、エリザベスは「証人台に立ったら壁になるわ」と答えるのでした。
聴聞会から遡ること3ヶ月と一週間前。コール=クラヴィッツ&ウォーターマンに所属し、敏腕ロビイストとしてならすエリザベスのもとに、銃擁護派団体の代表者であるサンドフォードが仕事を依頼してきました。
「新たな銃規制法案に対し、女性たちに向けた新しい組織を作りたい。あなたが、女性たちを銃器保全賛成者に変えるのだ」。サンドフォードが語った途端、エリザベスは爆笑し始めました。
サンフォードの依頼をけんもほろろに断ったエリザベスに対して、上司のデュポンはかんかんです。エリザベスが考えを変える様子がないのを見て取ったデュポンは「サンドフォードの要求に応える気がないならここにいてもらう必要はない」と通告するのでした。
その夜のパーティーを早めに抜け出したエリザベスに男が一人近づいてきました。彼は小さなロビー会社、ピーターソン=ワイアットのCEOであるシュミットでした。
ピーターソン=ワイアットは、銃規制法案賛成工作に携わっていました。エリザベスは彼の誘いを受け、移籍を決意。コール=クラヴィッツ&ウォーターマンでチームとして働いていた他のメンバーも連れていこうとしますが、彼女についてきたのは、半分の4人だけでした。
四年間、エリザベスの下で働き、彼女が信頼を寄せる部下のジェーンは、意外にも移籍を拒否。当然付いて来てくれると思っていたエリザベスはショックを隠せません。
ジェーンはエリザベスの同僚コナーズのチームに加わり、銃規制法案廃止の仕事に従事し。エリザベスとは真っ向から対立する立場となりました。
銃規制法案反対派は賛成派の何十倍もの資金を持っており、非常に厳しい闘いが予想されます。エリザベスたちは賛否を決め兼ねている議員たちを取り込むために様々なアプローチを開始しました。
一方、ジェーンは四年間エリザベスの下で働いてきた経験から、彼女が狙うだろう議員を先に取り込むよう動き出していました。
反対、賛成の態度を決めていない議員22名の奪い合いが始まります。
エリザベスは一人でフェミニスト団体など、様々な女性団体から1500万ドルの寄付金を集め、シュミットを驚かせます。その一方、エリザベスが自費で盗聴チームを雇っていることを知り、彼は手段を選ばないそのやり方に不安を覚え始めます。
新たな部下、エズメ・マヌチャリアンの履歴を見て、エリザベスは疑問を抱きました。彼女が通っていたという高校は存在せず、空白期間があるのです。実はエズメは銃乱射事件の起こったブルーミント高校の生存者だったのです。
エリザベスは、あまり目立ちたくないという彼女を説得して徐々に表に出していき、彼女がメディアに出ることに慣れてきたのを見計らって、コナーズとのテレビ討論の際に、その事実を暴露します。
何も聞かされていなかったエズメは、エリザベスの行為に驚きつつも、銃規制法案賛成派の顔となって、闘うことを決意します。彼女への同情が集まり、世論は銃規制法案賛成に徐々に傾くかのように見えました。
そんな時、事件が起きました。銃規制法案反対派の男がエズメに銃をつきつけ彼女を殺そうとしたのです。その時、銃を携帯していた民間人が、男を射殺。エズメは九死に一生を得ました。
この事件は大きく報道されることとなりました。エズメを助けた男は一躍マスコミの寵児となり、銃の必要性が声高に叫ばれ始めました。
エズメは故郷に帰ることとなりました。手段を選ばず部下さえも道具にしてしまうエリザベスに対して彼女は「あなたが仕組んだのかとさえ思った。あなたは他人への敬意を失い境界線を超えた」と言い放つのでした。
コナーズたちは、エリザベスの弱みをつかもうと躍起になっていましたが、ついにジェーンは、エリザベスがかつて取り上げた案件の書類が彼女を追い込む重大な証拠になるのではないかと気付きます。「上院倫理規定の違反を証明できます!」彼女は叫びました。
3.映画『女神の見えざる手』の感想と評価
(C)2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA
ロビイストとは、特定の団体のために、政党や議員などの政策決定者に働きかけ、メディアを使って世論さえも動かし、団体に利益をもたらす役割を果たす者のことです。
アメリカではロビイストは3万人いると言われ、ワシントンD.C.のホワイトハウス北側にあるKストリートはロビイストの会社が集合している通りとして知られています。
本作に登場する女性ロビイスト、エリザベスは、「銃器規制法案」を巡る闘いに、頭脳という武器をフル回転させ、敵を出し抜き、味方すら欺き、人を人とも思わず、勝利のためには倫理すら越えてしまいます。
ワーカーホリックで一人暮らし。性欲を満たすためにエスコート業の男性を買っているという展開には驚かされます。これまでにない女性キャラクターの登場と言っても良いでしょう。
眠らないために(長時間仕事をしたいために)薬を乱用し、どうやら尋常でない過去を背負ってもいるようなのですが(それがどういうものなのかは明らかにされません)、そのようにどこか病んだ部分もあるヒロインは、共感を持てるタイプではまったくありません。
少しばかり彼女の脆い面や、愛すべき断片を見せるなどすれば、共感も得やすいのでしょうが、そのような手段を映画は決して取りません。寧ろそんなもの必要ないと言わんばかりです。
彼女はいわばアンチヒーローなのです。アンチヒーロー、アウトローというのはこれまで多くの映画の中に登場し、私たちを魅了してきました。彼女もまたその系譜につらなるのです。
エリザベスを演じるジェシカ・チャステインがこのアンチヒーローを溌剌と演じています。
西部劇のヒーローのように銃器を振り回すことはありませんが、先を読む力、人を動かす力、仕事の速さなど、仕事の出来る人(仕事が出来すぎる人?)のキレッキレの頭の良さを武器に、画面を縦断、闊歩していくのです。これが魅力的でないわけがありません。
敵のロビイストたちとの騙し合いを経て、終盤、映画は驚くべき展開を見せます。なんという巧みなスト―リー! この展開を予測できた人っているのでしょうか!?
脚本にクレジットされているのはジョナサン・ペスという人物ですが、これが初めて書いた脚本というから驚きです。すっかり騙され、あとから少し怖くなる見事なエンディングです。
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4.まとめ
(C)2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(11)などで知られるジョン・マッデン監督はこれまでの彼の作品世界とはかなり毛色の違う本作を上質の政治ミステリーに仕上げました。
情や愛というものがない世界において、ただ一人、エリザベスの懐に入り込もうとするのが、エスコート業に従事するジェイク・レイシー扮するロバート・フォードです。
彼の行動はエリザベスを戸惑わせ、苛立たせますが、聴聞会の証人として現れた彼は、彼女との特別な関係を聞かれ、きっぱり「ありません」と答えます。偽証すれば刑務所行きとなるにもかかわらず。
これはもしや誠実な愛ゆえではなかろうか、ここだけに感情があったのではないかと思ったのですが、そんなことを言おうものなら、何甘いこと言ってるの、と一笑に付されるかもしれません。
彼は職業がら顧客を守るという義務を負っており、それを忠実に守っただけなのだと。それがプロの仕事なのだと。
おそらくジェイク・レイシーだからこそ、「愛」なんて連想が出てきたのかもしれません。『キャロル』(15)では保守的でナイーブな1950年代当時の典型的なアメリカ青年を。『クーパー家の晩餐』(15)では地方の素直な共和党支持の青年を演じていました。彼がただのマッチョの合理主義者だとは思えないのですが、真相は如何に?
ジェシカ・チャステインを囲む女性陣、とりわけジェーン役のアリソン・ピル、エズメ役のググ・バサ=ローは、一度観たら忘れられない存在感です。
スパーリング上院議員役のジョン・リスゴーを始め、脇を固める役者が全て生き生きして見えるのも本作の魅力の一つです。
映画通は勿論のこと、普段あまり映画を観ないという方々にも、これ絶対面白いから!と自信を持っておすすめできる上質のエンターティンメントに仕上がっています。
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