全てがアメイジング!新たなスパイダーマンの物語の幕開け!
大人気アメコミヒーロー、サム・ライミ版スパイダーマンがリブート!
監督にマーク・ウェブを迎え、新たなピーター・パーカーをアンドリュー・ガーフィールドが演じます。
両親を亡くし、叔父夫婦に育てらた高校生ピーターは、偶然見つけた父の遺品から生前の父を知るコナーズの存在を知り、コナーズの研究を手伝っています。
また、偶然にも遺伝子改良を加えられたクモに噛まれたことにより特殊能力に目覚め、スパイダーマンとして活躍することになります。一方、コナーズは研究により完成した人間に後天的にトカゲの遺伝子を付与する薬を服用し、凶暴で残忍なトカゲ人間リザードに変貌。
そのことを知ったピーター/スパイダーマンは、リザードを止めることが出来るのでしょうか。
映画『アメイジング・スパイダーマン』の作品情報
【公開】
2012年(アメリカ映画)
【原題】
The Amazing Spider-Man
【監督】
マーク・ウェブ
【キャスト】
アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リス・エバンス、デニス・リアリー、キャンベル・スコット、イルファン・カーン、マーティン・シーン、サリー・フィールド、エンベス・デイビッツ、マックス・チャールズ、C・トーマス・ハウエル、カリ・コールマン
【作品概要】
アメリカンコミックスの大人気作『スパイダーマン』を実写化した本作は、サム・ライミ版スパイダーマンと呼ばれる前シリーズから一転、新たなシリーズとしてリブートしています。
監督は映画『(500)日のサマー』(2009)で一躍有名となったマーク・ウェブ監督、主人公、ピーターには映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010)や『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』(2021)で知られるアンドリュー・ガーフィールドを起用。
ヒロイン、グウェンに映画『小悪魔はなぜモテる?!』(2010)などのエマ・ストーン、本作のヴィランとなるリザードことコナーズ博士役には『ノッティングヒルの恋人』(1999)で知られるリス・エヴァンスが務めます。
映画『アメイジング・スパイダーマン』のあらすじとネタバレ
世界的バイオテクノロジー企業、オズコープ社の研究員、リチャード・パーカー(キャンベル・スコット)はある日、自宅に侵入者の形跡を発見。
自身の研究成果を奪われ悪用されることを恐れ、幼い息子、ピーターを兄夫婦、ベン・パーカー(マーティン・シーン)とメイ・パーカー(サリー・フィールド)に預け、安全な場所へ避難しようとします。
しかし、リチャードと妻は飛行機事故に遭って亡くなり、ピーターはそのままベンとメイに育てられます。
時がたち、高校生になったピーター(アンドリュー・ガーフィールド)は、さえない学生生活を送りながら同じクラスのグウェン・ステイシー(エマ・ストーン)に淡い恋心を抱いていました。
ピーターはある日、家の倉庫の片づけを手伝っているとき、父、リチャードのカバンを見つけます。それは、リチャードがベンにピーターを託したときに共に預けたものでした。
カバンの中に新聞の切り抜き写真がありリチャードと一緒に写っている男がいました。
ピーターはその男が当時、リチャードと働いていたカート・コナーズ(リス・エバンス)という人物であることを知ります。
コナーズが異種間遺伝子交配の研究で著名な人物であり、オズコープ社で研究していることを知ったピーターは、オズコープ社のインターン研修生を装い忍び込みます。
研修生の案内に現れたのはすでにインターンとして働くグウェンであり、早々にバレてしまうピーターですが、グウェンは見逃します。
ピーターは父について調べようと研究施設内をうろつくうちに、遺伝子交配で生まれたクモを飼育している部屋に迷い込み、そこで一匹のクモに噛まれます。
研修生の集団に戻ろうとするピーターですが、グウェンに集団を離れていたことを見つかりオズコープ社から追い出されます。
帰りの電車の中で、居眠りをしていたピーターは、自身の感覚が驚くほど敏感になっていることに気が付きます。
そのせいで、ガラの悪い男たちに目を付けられますが、知らぬうちに全員を打ち倒していました。
それどころか、手に触れたものが意図せず離れなくなったり、明らかな自身の体の変調に戸惑います。
その一方で、リチャードのカバンの中にあった手帳に記された謎の数式が、かつてコナーズと共に研究していた遺伝子追交配に関するものであることを知ったピーターは、未完成の数式を解読します。
そして、コナーズの自宅を訪ね、父がリチャードであることや数式を解読したことを明かしたピーターは、コナーズの研究を手伝うことになります。
映画『アメイジング・スパイダーマン』の感想と評価
本作のタイトル『アメイジング・スパイダーマン』という名称についてはあまりなじみのない方も多いと思います。
本作の原作となっているコミックのタイトルこそが『アメイジング・スパイダーマン』であり、アメリカンコミックの世界において、もはや伝説的と言っても過言ではないコミックスのタイトルを関した本作は、まさに“アメイジング(驚嘆)”に値する作品となっています。
本作『アメイジング・スパイダーマン』公開以前、ハリウッドにおいて“スパイダーマン”と言えば、サム・ライミが監督を手掛け、トビー・マグワイヤが主演した「スパイダーマン」シリーズ三部作が絶対的存在であり、スーパーヒーロー映画の常識を変えたとさえ言われる同シリーズの前に他のスーパーヒーロー作品も苦戦する状況にありました。
しかしながら、満を持してリブート版として製作された本作は、リアルな人間関係が織りなす重厚なドラマが高く評価された前シリーズとは打って変わって、主人公・ピーターの内面に焦点を当てています。
とりわけ、そんなピーターを描くにあたり、彼が抱える“コンプレックス”についての描写が多く描かれており、特に“両親に捨てられた”と感じている点は直接的なセリフはないもののその行動や言動に現れています。
例えば、偶然見つけた父親のカバンから父・リチャードの面影を求めコナーズに会いに行ったり、手帳に記された数式を解読したことも父親への理解を深めようとした結果のように感じられます。
反面、激怒したベンがリチャードの話題を持ち出した際は逆上してしまうと言った、二律背反な感情を抱いていることが描かれ、ナイーブな十代の複雑な心境が描写されていました。
後に特殊能力を得てスパイダーマンとして活動する中でも、ベンを殺した犯人を見つけ出すことが目的であり、あくまで“私情”が行動理由となっている点も直情的な少年らしさを描いているように感じられます。
ピーターがいわば自分で蒔いた種から生まれてしまったリザードと対決し、ニューヨークを守る壮絶な戦いに身を投じていく訳ですが、そこで自らの“責任”へ対峙し子供から大人へ、少年からヒーローへ成長していく過程が描かれています。
より人間味あふれるスパイダーマン=ピーター・パーカーを描いた本作は前シリーズと一線を画す作品となり、大ヒットとなりました。
アクションシーンもまさに“アメイジング”でした。
特筆すべきは、ピーターの通う高校に現れたリザードとスパイダーマンが戦う場面です。
多くのスーパーヒーロー映画では迫力ある演出のため広い場所で戦うことが多いのですが、この場面においては学校内という閉鎖的な空間を逆手に取り、学校の備品や壁を豪快に破壊しながら戦うリザードと俊敏に床や天井を移動するスパイダーマンを至近距離でのカメラワークで臨場感あふれるシーンを演出しています。
また、スパイダーマンをはじめさまざまなヒーローの生みの親、スタン・リーがカメオ出演している図書館での場面は、戦いに巻き込まれ倒れる本棚や舞い散る書籍、飛んでいく机や椅子をよそに、ヘッドホンを着用しているため全く気が付かないスタンをせっせと助けるスパイダーマンがコミカルな場面が登場します。
その反面、すれすれで飛来物がスパイダーマンに取り除かれている様子を描いたスリリングな場面でもありました。
このようにアクションシーンでは全体的に疾走感あふれる演出が多く、息をつかせぬアクションの数々、白熱するバトルシーンはエンターテイメントと作品としても質の高い作品とであり、原作人気に依存することなく新たなスパイダーマンを描こうとしている製作陣の意気込みが感じられます。
まとめ
新シリーズとしてリブートを果たしたスパイダーマン、そして、その第1弾なった本作『アメイジング・スパイダーマン』は誰もが知るスパイダーマンを描きながらも、誰も知らないピーター・パーカーを描き、複雑な環境の中で育った少年が、自身の壮大な運命に立ち向かう物語を織りなしています。
本作で多く語られた、主人公・ピーターの両親への想いと反感は、人が誰も持ち合わせる二面性を強く表現し、一般人からヒーローへ成長する以前に少年から大人へと成長する過程をより濃く描くことで観客の感情移入を促し、誰からも愛される“人物像”を描いていたのではないでしょうか。
人間としての成長を経て“スパイダーマン”として戦う事を選んだピーターが、今後、どのような活躍を見せるのか楽しみでなりません。