青年、ピーターが見出す“ヒーローの定義”とは
トビー・マグワイア主演、サム・ライミ監督で贈るシリーズ第2弾『スパイダーマン2』。
グリーン・ゴブリンとの戦いから2年が過ぎたニューヨーク。ピーター・パーカーの前に新たな敵、ドクター・オクトパスが現れるも、スパイダーマンとしての自信を失ってしまうピーター。
やがて、ピーターは“ヒーロー”としての存在意義を見出し、ドクター・オクトパスとの戦いに臨みます。
そんな映画『スパイダーマン2』のネタバレを感想評価を交えてご紹介します。
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映画『スパイダーマン2』の作品情報
(C)2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (C) & ™ 2021 MARVEL.
【公開】
2004年(アメリカ映画)
【原題】
Spider-Man2
【監督】
サム・ライミ
【キャスト】
トビー・マグワイア、キルステン・ダンスト、アルフレッド・モリーナ、ジェームズ・フランコ、ローズマリー・ハリス、J・K・シモンズ、ドナ・マーフィ、ダニエル・ギリス、ディラン・ベイカー、ビル・ナン、バネッサ・フェルリト、アーシフ・マンドビ、テッド・ライミ、エリザベス・バンクス、ブルース・キャンベル、ウィレム・デフォー、
【作品概要】
2002年に公開された『スパイダーマン』の続編となる本作、『スパイダーマン2』は主演のトビー・マグワイアはもちろん、MJ役のキルステン・ダンストや、ハリー・オズボーン役ジェームズ・フランコらが再集結。
新たなヴィランとして登場するドクター・オクトパスことオットー・オクタビアスには、映画『ダ・ヴィンチコード』(2006)などで知られるアルフレッド・モリーナが。キャスティング・監督は、前作に引き続きサム・ライミが務めています。
本作で主人公・ピーター/スパイダーマンは自身の存在を揺るがす大きな危難に直面します。ピーターはその危難をどう乗り越えるのか、そして、新ヴィラン、ドクター・オクトパスとの戦いの行方は?
映画『スパイダーマン2』のあらすじとネタバレ
(C)2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (C) & ™ 2021 MARVEL.
グリーンゴブリンとの戦いから2年が過ぎ、ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)はスパイダーマンとしてニューヨークを守りながら大学に通い日々の生活のため収入を得ていました。
しかし、スパイダーマンとしての活動を優先するあまり、学業の成績は落ち、仕事も次々と解雇され、部屋の家賃の支払いも滞っていました。
そんなある日、ピーターは亡き父、ノーマンの遺志を継ぎオズコープ社を経営する親友、ハリーからオットー・オクタビアスに引き合わされます。
オットーは、核融合による新たなエネルギー技術の開発しており、大学のレポートのため、話を聞くピーターとオットーは意気投合します。
一方、ピーターが想いを寄せる女性、メリー・ジェーン・ワトソン(キルステン・ダンスト)通称、MJは女優とし、キャリアを積み、舞台に立てるまでになっていました。
その舞台を見に行こうとしたピーターですが、逃走する強盗犯を追い、開演に間に合わず、せめて劇場から出てきたMJに会おうとしますが、見知らぬ男性と親しげに話す様子を目撃し、ショックを受けます。
翌日、オットーは出資者へのデモンストレーションのため、公開実験を行います。
そこでオットーは効率的に実験を行うため開発した4本の補助アームを披露、それを装着し、実験に臨みます。
しかし、実験は失敗、オットーは重傷を負います。
重傷のオットーを救命する手術の最中、突如、補助アームが暴れだし、医者や看護師を襲います。
目覚めたオットーは補助アームの人工知能に影響を受け、凶暴な性格に変貌、失敗した実験をやり直すことに取りつかれ、資金集めのため、銀行を襲いますがスパイダーマンに阻止されます。
凶行を行ったオットーはいつしか、ドクター・オクトパスと呼ばれるようになります。
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映画『スパイダーマン2』の感想と評価
(C)2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (C) & ™ 2021 MARVEL.
本作『スパイダーマン2』において、“ヒーローとは?”というテーマが深く描かれています。
前作『スパイダーマン』(2002)では、偶然、力を得た少年が様々な困難を乗り越えながらも自身の運命と対峙し、ヒーローへと成長していく姿を描いていました。
しかし、打って変わって本作ではピーターをヒーローとしての理想を体現しようとするが故、襲う現実に直面します。
スパイダーマンとしての活動は、ピーターの志や行いの尊さを差し置いて言ってしまえば、慈善活動に等しく、さらに、劇中でデイリービューグルのようなメディアから日夜、批判にさらされ、心身ともに疲れ切っている中でのMJの婚約、ハリーの心無い言葉を受け、限界を迎えたピーターは一度はスパイダーマンを引退しようとします。
しかし、メイの言葉でスパイダーマンがニューヨーク市民にとっての“ヒーロー”であり、みんなが求めていることに気付き、再びスーツを手にする訳ですが、本作で高い評価が得られているのが単純にピーターが自身に折り合いをつけ、ヒーローとして復活するのではなく、いかに“スパイダーマン”が人々に愛されているのかが描かれている点ではないでしょうか。
それを象徴するシーンがドクター・オクトパスが暴走させた列車を止める際、焦るピーターは思わず、マスクを脱いでしまい、人々の前に素顔を晒してしまいますが、誰もが口外しないことを誓い、直後現れたドクター・オクトパスから満身創痍のピーターを守ろうと次々と立ちふさがる姿は胸が熱くなる名場面です。
一度は心折れたピーターですが、日夜、自身の犠牲を顧みず、ニューヨークを守ってきたからこそ、誰もが“親愛なる隣人”として愛してくれていたのではないでしょうか。
また、本作のヴィランであるドクター・オクトパスについても単純な善悪では語れないキャラクターでした。
ヴィランとなる前のオットー・オクタビアスはピーターと意気投合し、短い時間でしたがピーターはオットーから数多くのことを学びます。
ですが、補助アームの人工知能の暴走から、失敗した実験を成功させることに執着するようになり、その為の手段を選ばず、犯罪にも手を染めるようになります。
しかし、裏を返せば、元のオットーがそれだけ自身の研究に心血を注いできたことの証のわけで、そこには純粋に科学の発展や人類の繁栄という善良な想いが原動力としてありました。
最後にはピーターの説得でオットーとしての人格を取り戻し、暴走する実験装置を自ら水中に沈め、科学者としての矜持を全うしただけに、ドクター・オクトパス/オットー・オクタビアスについては、どこか考えさせられるヴィランでした。
人間ドラマ面でも前作以上に濃く、深いものを展開していた本作ですが、アクションシーンについても、より迫力のある映像で圧巻のバトルが展開していきます。
例えば、ドクター・オクトパスとスパイダーマンが始めて対峙する場面でビルの壁を足掛かりに人質にとられたメイを守り、戦います。
戦いの余波で崩れる落ちるレンガやドクター・オクトパスにより放り投げられるメイと、それを追って降下するスパイダーマンなど、人間が本能的に植え付けられている落下への恐怖を煽るような演出はスリル満点の映像でした。
また、走行する列車の上で縦横無尽に飛び回り、すれ違う別の列車や頭上を通り過ぎる歩道橋などを避けて戦う様子の列車でのバトルシーンは、前者とは打って変わって疾走感あふれる中で展開されるテンポの速いアクション。
その迫力に圧倒されるとともに、唐突にやってくるスリリングな演出は息をつかせません。
まとめ
(C)2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (C) & ™ 2021 MARVEL.
サム・ライミ監督版第2作となった本作『スパイダーマン2』。
前作『スパイダーマン』はスーパーヒーロー映画の常識を覆し、ハリウッド映画として大成功となった訳ですが、公開前にはいわゆる“2作目のジンクス”に飲み込まれてしまうのではと言う声が多くありました。
しかし、公開されてみると、前作を遥かに上回るスケールの作品に絶賛の声が多く上がりました。
中には以降、製作される第3弾や別シリーズと比べても最高傑作だというファンも多数いるようです。
“ヒーローとは?”をテーマに掲げる本作ですが、ヒーローならずとも、自分の価値や存在意義を見失ってしまう時があります。
そんな私たちにも、誰かが見ていて、誰かが愛してくれていると感じさせてくれる作品の本作だからこそ、多くの人に支持されるのではないでしょうか。