横浜流星の魅力がさく裂する異色のギャンブル映画
累計発行部数880万部を突破した迫稔雄による大人気青年漫画「噓喰い」。
闇社会を中心にギャンブルによる金や命の取り合いを描いた作品は数ある中で、本作もまた読者を引き付ける圧倒的な魅力を持っていました。
そして2022年、注目俳優が多数出演する形で遂に実写化。
今回は相手の嘘を喰らい飲み込むギャンブラー斑目貘の戦いを描いた映画『噓喰い』(2022)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
映画『噓喰い』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【監督】
中田秀夫
【脚本】
江良至、大石哲也
【キャスト】
横浜流星、佐野勇斗、白石麻衣、本郷奏多、森崎ウィン、櫻井海音、木村了、鶴見辰吾、村上弘明、三浦翔平
【作品概要】
2006年から2018年まで『週刊ヤングジャンプ』で連載された迫稔雄による同名漫画を『リング』(1998)で知られる中田秀夫が映像化した作品。
大ヒットドラマ「あなたの番です」や『きみの瞳が問いかけている』(2020)などに出演し、高い身体能力と演技力が話題となる横浜流星が主演を務めました。
映画『噓喰い』のあらすじとネタバレ
3年前、「嘘喰い」とあだ名される凄腕ギャンブラーの斑目貘は、日本を遥か昔からギャンブルで支配する闇の組織「賭郎」の21代当主である「お屋形様」こと切間創一とギャンブル勝負を挑んでいました。
「屋形越え」と呼ばれるお屋形様との一騎打ち勝負は「1時間以内にビルの上を飛行機が飛ぶか飛ばないか」によって行われ、切間が圧倒的な資金と影響力を用いて東京上空を飛ぶ飛行機を欠便とすることを想定していた班目はパイロットを雇い個人的に飛行機を飛ばすことを企んでいました。
しかし、それすらも先読みしていた切間は班目の雇ったパイロットを殺害し班目はギャンブルに敗れます。
賭け金を奪われただけでなく屋形越えの失敗の代償として賭郎に命を狙われる班目でしたが、切間の気まぐれによって賭郎の会員資格を奪われ追放されるだけで済みました。
現在、追放先の島で日々を過ごす班目は自身の目付け役から、賭郎の会員を次々と倒し屋形越えを狙っているとされるギャンブラーの佐田国の話を聞きます。
屋形越えを諦めきれていない班目は意を決し、再び横浜の地に足を踏み入れることを決意。
友人の借金の保証人となったことで多額の負債を抱える梶はひょんなことから班目と出会い親交を深めます。
梶が多額の負債を抱えていることを知った班目は、賭郎の会員であり暴力団「鞍馬組」の鞍馬蘭子が運営する闇カジノに梶と同行。
ルーレットのディーラーが意図的に出目を操作していることを見抜いた班目は梶を使い、出目の操作を利用し500万の勝ち金を得ます。
班目の存在が蘭子に露見し班目は梶を先に逃がそうとしますが、班目を置いて逃げることに抵抗を覚える梶はその場に残ります。
蘭子との勝負で勝ち金をそのままに退出を認められた2人。
梶は班目と共に歩みたいと言いますが班目は保証人の件や自身を置いて逃げなかった人の良い梶にはギャンブルの才能がないと言い切り、500万を梶に渡し別れました。
その頃、佐田国は財務省の小野寺大臣と賭郎の目蒲を立会人として「ポーカー勝負」を行い、ただの1回すら勝たせることなく勝利し数億円の賞金を得ます。
負け金の支払いを拒み賭郎への反逆を行う小野寺は目蒲によって殺害されました。
翌日、蘭子のカジノに佐田国が現れ「ポーカー勝負」で蘭子に完封勝利していました。
その場に班目が現れ、佐田国にコイントスの出目を当てる簡単なギャンブル勝負を挑みますが、佐田国は班目を相手にせずその場を去って行きました。
大金を奪われた蘭子に対し班目は賭郎の会員証を譲って欲しいと言いますが、蘭子は代わりに若者を自身主催のゲームに引き込み殺害する老人の九重を紹介。
班目と別れた後に勝ち金で豪遊を重ねたものの満たされない梶は班目の前に現れ、自身を傍において欲しいと懇願。
九重との勝負に梶が必要と考えていた班目は彼を受け入れ、2人は九重のもとへと向かいます。
九重の用意したギャンブルは彼の管理する森の中から2時間以内に5つの鍵を探し出し、梶の足に付けられた時限爆弾を解除するというものでした。
鍵を所持しているのは5人の銃器を所持した殺し屋であり、梶は殺人ゲームに動揺しますが班目の精神陽動によって殺し屋を次々と罠に追い込み5つの鍵を取得。
鍵が奪還されたことを知った九重は肉体改造によって生み出された殺人鬼ロデムを投入し2人の殺害を目論みます。
しかし、立会人となる賭郎の夜行に盗聴器を仕掛け夜行と九重の会話を盗み聞きしていた班目は、ロデムの弱点を見抜き行動不能に追い込み、殺人ゲームを勝利しました。
ゲーム前に九重に「賭郎会員資格」を賭けさせていた班目は、会員資格を永久に剥奪された自分ではなく梶に会員資格を移動させます。
ロデムの殺人鬼としての人格が九重によって作られ強制されたものだと見破っていた班目は行き場を失ったロデムをマルコと名を改め引き取ります。
こうして班目、梶、マルコは蘭子の家に3人で居候することになりました。
映画『噓喰い』の感想と評価
大ヒット漫画を豪華俳優で映像化
全49巻で描かれたギャンブル漫画「嘘喰い」。
既存のゲームの発展系からオリジナルのゲームまで幅広いギャンブルが登場する本作は根強い人気を誇り、実写版となる本作で主演を務めた俳横浜流星もファンのひとりであることを公言しています。
相手の嘘やイカサマを見抜き、逆に利用する形で勝利を掴むことから「嘘喰い」と呼ばれる主人公班目獏。
その圧倒的な強さと壮大なスケールの闇組織が存在する世界観、そして何といっても班目の良き相棒となる佐野勇斗演じる梶の存在。
原作とは異なる展開を見せる本作は梶と班目の「絆」により焦点を当てて作られており、バディムービーとしての特色が強く出ています。
無敵のギャンブラーと善人な相棒を描いた「賭ケグルイ」や、スケールのデカいギャンブル勝負を描いた「カイジ」シリーズなど、ギャンブル作品が好きな人には必見の作品です。
ギャンブルだけじゃない!手に汗握る究極のデスゲーム映画
本作の最大の特徴はギャンブル映画でありながら描かれるのはギャンブルだけではないという部分にあります。
「嘘喰い」では人の命をあっさりと奪う暴力、すなわち「暴」にも重点が置かれた物語が展開され、実写版となる本作でもその特色がしっかりと引き継がれています。
金満老人による若者の殺戮ゲームは『パージ:アナーキー』(2015)などを彷彿とさせ、『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(2010)で「デスゲーム」作品を製作した過去を持つ中田秀夫監督の経験が生きており、手に汗握る2時間が展開されます。
本郷奏多によるアクションなど見どころがギャンブルだけに留まらない本作は、ギャンブル映画として異質の作品でした。
まとめ
班目のキメ台詞「あんた、嘘つきだね」や、彼の勝利の行動となる「カリカリ梅」を食べるシーンなど、つい真似したくなる格好良いシーンが印象的な映画『嘘喰い』。
横浜流星の持つ魅力が最大限に引き出され、その魅力の虜となってしまうこと間違いなしの本作はギャンブル映画としてもサスペンス映画としても、その期待に応える内容となっていました。
映画『嘘喰い』は原作好きにもギャンブル映画好きにも是非一度は鑑賞してみて欲しい、異色の実写化作品です。