選ばれし9人が賞金を賭けて殺し合うサスペンス・スリラー
エロス・ダントナが脚本・監督を務めた、2017年製作のイタリアのサスペンス・スリラー映画、『サバイバル・デスゲーム』。
離婚した元妻に娘を奪われた男が、親権を取り返すために必要な資金を調達するべく、賞金を懸けたサバイバル・デスマッチに参加する姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
世界中の観客が見守る中、仮面をつけた正体不明の5人の殺人鬼と、4人の参加者が賞金10万ユーロを賭けて殺し合うサスペンス・スリラー映画、『サバイバル・デスゲーム』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
映画『サバイバル・デスゲーム』の作品情報
(C)2017 FUNNY DREAMERS. All Rights Reserved.
【公開】
2017年(イタリア映画)
【脚本・監督】
エロス・ダントナ
【キャスト】
カテリーナ・コルチンスカ、デヴィッド・ホワイト、ミルコ・ダントナ、チンツィア・スシノ、ビアージョ・サンピエトロ
【作品概要】
エロス・ダントナが脚本・監督を務めた、イタリアのサバイバル・スリラー作品です。
カテリーナ・コルチンスカが主演を務め、『デッド・ウォーカー』(2015)のデヴィッド・ホワイトが共演しています。
映画『サバイバル・デスゲーム』のあらすじとネタバレ
(C)2017 FUNNY DREAMERS. All Rights Reserved.
8年前に別れた元妻ペイジとその恋人ビニーに、愛する愛娘ミンディを奪われてしまった男リチャード。彼は、ペイジの借金返済に追われる日々を送っていました。
そんなある日、リチャードはミンディの居場所を突き止め、直接彼女を取り返そうとしたのですが、ビニーに殺されそうになり渋々断念。
リチャードは、ミンディが大きくなったにもかかわらず、劣悪な環境のせいで言葉が喋れないことに胸が痛み、早く親権を取り返す方法を考えねばと焦っていました。
そんなリチャードが、近くのバーで飲んでいると、1人の黒髪美女が声をかけてきます。彼女の名前はサーシャ、リチャードは気さくな彼女に、ミンディのことを相談しました。
するとサーシャは、リチャードにある提案をします。「2万5,000ユーロの賞金が手に入る、即興劇に出てみないか」と。
サーシャの話によると、役者の卵たちが明日劇場に集められ、24時間閉じ込められた状態で、台本無しの即興劇をやるようです。
一番良い演技をした者には、賞金2万5,000ユーロが与えられます。リチャードは半信半疑ながらも、親権を取り返すための弁護士を雇う費用が必要だったため、参加することを決めました。
翌日。サーシャとリチャードは、早速会場となる劇場へ行き、参加申し込みをしようとします。2人を出迎えたのは、目と鼻と口だけ開けた麻袋を被った男でした。
運営側は、リチャードの追加参加を認め、男に2人を劇場内へ入れるよう指示します。リチャードたちは、男に携帯を没収された後、劇場内のステージへ向かいました。
観客席に現れた2人に声をかけたのは、参加者の女性・デビー。その隣には、2人に目もくれずただ名前だけを告げる参加者の男・カートがいました。
リチャードたちが自己紹介を済ませた直後、突如貴族の舞台衣装を纏った仮面の男が現れ、リチャードたちは銃で殺されかけます。
最初に男の標的になったのは、デビーです。死を覚悟したデビーの顔に浴びせられたのは、男の銃から出たただの水でした。
呆気にとられるリチャードたちへ、ディレクターと名乗る別の仮面の男が、館内放送でこう告げます。
「上出来だよ、今のパフォーマンスには観客も満足だ。このまま続けてくれ」その言葉に、さっきのは演技だと言い調子に乗るデビー。
そんな彼女を咎めたカートは、続いてステージに現れたシスター服を着た別の仮面の人に、いきなり指を切断され首をナイフで斬りつけられて絶命。
カートが殺されたのを目の当たりにしたデビーは劇場内にあるシャワー室へ、リチャードたちは劇場内のトイレにそれぞれ逃げ込みます。
リチャードたちが去った後、ディレクターは館内放送を使って、彼らにゲームの説明をしました。
「今いるのがマスク1(貴族の衣装の方)とマスク2(シスター服の方)だ。ハンターのチームには、他に3人のマスクがいる」
「突然ショーを始めた無礼を、どうか許してくれ。とはいえ、ひねりもないと観客に楽しんでもらえない」
「参加者の皆さん、君たちは未来ある役者の卵だ。先ほどのパフォーマンスにより、賞金が10万ユーロに増額した」
「明朝までに生き残った者で山分けしてもらう。君たちが賞金を獲得するには、ハンターを全滅させなければならない」
「ハンターに全滅されれば、賞金はハンターのものとなる。ハンターは時間をかけ、クリエイティブな手法で観客を楽しませるという条件付きだ」
その時、リチャードたちはこの危険なゲームから抜け出そうと模索しますが、そんな彼らをモニター越しに見つめるディレクターは、こう言いました。
「会場内では、至る所にカメラを設置しているため、隠れたり逃げようとしたりしても無駄だ」
「ようこそ、唯一無二の演劇式、チーム・デスマッチへ。“ダイ・イン・ワン・デイ(1日で死ぬ)”殺し合いの開始だ」
こうして世界中の観客が見守る中、仮面をつけた正体不明の殺人鬼「ハンター」5人と、リチャードたち参加者4人が殺し合う、恐怖のサバイバル・デスゲームが開幕してしまったのです。
以下、『サバイバル・デスゲーム』ネタバレ・結末の記載がございます。『サバイバル・デスゲーム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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ゲーム開始直後、1人で逃げていたデビーが、運悪く注射器を持った貴婦人の格好をした、マスク5に見つかってしまいます。
デビーは、ステージ上に置かれた台に両手両足をガムテープで拘束され、右腕には謎の注射器が刺され、台の横には注射器を繋がった点滴がありました。
気絶していたデビーは、何とかこの状況を打破しようと、襲われる前に入手したカッターで、右腕の拘束を静かにそっと切断。
マスク5が2本の刃を取り出し、デビーの足に刃先を添わせている隙を突き、デビーはマスク5の首をカッターで何度も刺して殺します。
その間、リチャードたちは観客席に戻ってきており、観客席の影に隠れながら、デビー救出の機会を窺っていました。
デビーとリチャードたちが合流しようとしたその瞬間、デビーの背後から現れた少年の格好をした別の仮面の男、「マスク3」がデビーの腹をスタンガンで貫いて殺害。
リチャードたちはデビーを助けることが出来ず、マスク3から逃げようとしますが、そんな2人をマスク1と2が捕獲します。
リチャードは、サーシャと離される直前、彼女を助けようと伸ばした手で、彼女の首に掛けられたペンダントをもぎ取りました。
リチャードたちは、それぞれ何とかしてマスクたちの魔の手から逃れましたが、逃げるのに精一杯だったので散り散りになってしまいます。
ステージ下の通路に隠れたサーシャは、マスク2を撒くことに成功する反面、通路に入ってきたマスク3に追いかけられてしまうのです。
匍匐前進で必死に逃げきれたサーシャの姿を確認後、ディレクターはハンターに指示を出しました。
「残る2人のうち、1人でも消せば、そのハンターにボーナスを与える。制限時間は3分。だが、粋な方法で消すことが条件だ」
機材が置かれた部屋に逃げ込んだリチャードは、部屋の机の上に置かれた、昔の新聞記事を見て驚愕します。
リチャードが見た新聞記事の内容は、「この劇場が昔、30年以上にわたって仮面をつけた者たちによるホラーナイトショーが行われていた」というものでした。
その事実に辿り着いた警察は、劇場を封鎖。そのため、リチャードたちがいる劇場内は、どこもかしこも古びた奇妙なものが置かれており、そのどれもが透明な布で覆われていました。
このゲームが、昔行われていたホラーナイトショーだと知ったリチャード。そんな彼が部屋から出ようとした瞬間、彼を追っていたマスク1が襲い掛かってきます。
リチャードは扉を挟んで、マスク1に首を絞められた際、自分の首を絞めている腕にある刺青が彫られているのを見て驚愕しました。
その刺青とは、ビニーがペイジの名前を彫った刺青そのものです。つまり、マスク1の正体はビニーだと、リチャードは確信します。
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リチャードはビニーをやり過ごした後、今度は白と赤が組み合わさった服を着た男、「マスク4」に襲われてしまいました。
リチャードは近くに転がっていた鉄パイプを手に、マスク4と戦おうとしますが、マスク4は持っていたクラッカーで翻弄してきます。
そしてマスク4は、リチャードの攻撃を難なく躱し続け、返り討ちにして床に沈めました。終始ピエロのようにおどけながら、殺そうとするマスク4。
リチャードはマスク4に鉄パイプを奪われ、頭に強烈な一撃を食らってしまいます。頭から血を流すリチャードは、それでも諦めず、鉄パイプに夢中で、こちらに背を向けているマスク4に突進。
積まれた箱の山に埋もれたリチャードとマスク4、リチャードはマスク4の鼻をつまんで何度も後頭部を床に叩きつけます。リチャードは、近くに会ったミニブラウン管を振り下ろし、マスク4に止めを刺しました。
マスク4を倒したリチャードは、戦いの際に落としてしまったサーシャのペンダントの無事を確認。しかしそのペンダントには、何故か「ミンディ」と彫られていたのです。
それに気を取られていたリチャードは、マスク3の接近に気づかず、彼が持つスタンガンによって気絶。彼はそのまま、ステージの上に置かれた椅子に座らされます。
一方サーシャは、逃げ込んだシャワー室で、長いチューブで血を抜き取られ続けているデビーの死体を発見。
サーシャは、その惨状に思わずあげそうになる悲鳴を抑え、すぐさまシャワー室を出て他の場所へ移動します。
しかしその後、サーシャが逃げ込んだ衣裳部屋の近くに、人形選びしているマスク3と遭遇。すぐさま彼女は、すぐそばにあったクローゼットの中に隠れ、息を潜めてやり過ごそうとします。
接近するマスク3の足音が止んだのを見計らって、サーシャは恐る恐る外に出ましたが、いなくなったかと思われたマスク3は扉横にいたのです。
サーシャはマスク3が手にしたビニール袋によって、窒息死させられそうになりますが、必死にもがいた手で掴み取ったハンガーの針金で、マスク3を返り討ちにします。
マスク3を倒したサーシャは、彼から奪ったスタンガンを服に忍ばせ、リチャードと合流。しかしリチャードは、サーシャに「自分を騙したのか」と糾弾します。
それに対しサーシャは、リチャードに隠していた秘密を告白しました。「確かに、私はあなたを知っていた。これに誘ったのも私だけど、ただのゲームだと思っていた」
「ミンディは私の妹でもある!“サーシャ”は本名アレクサンドラの愛称で、私はペイジの第一子なの」
そう話すサーシャは、ウクライナで別の男と結婚したペイジの実の娘であり、サーシャは13歳の時に、実の母親によって売りとばされてしまったのです。
そしてサーシャは、6ヶ月前にペイジの居場所を突き止めた際、血の繋がった異父妹ミンディの存在を知りました。
ペイジとビニーが不在の時、サーシャとミンディは姉妹の仲を深めていきました。サーシャは純粋なミンディを、自分のような目に遭わせたくないと思い、このゲームに参加することを決めたのです。
サーシャがリチャードを誘ったのは、「少しでも賞金を得る可能性を広げるため」でした。リチャードたちが和解した直後、マスク1が放った吹き矢がリチャードの腹にヒット。
リチャードを攻撃したマスク1は、自らマスクを脱いで正体を露わにします。マスク1の正体は、リチャードの予想通り、ビニーでした。
「俺の目的も金だ。このゲームに勝ったら、あのクソガキをロリコンに売りとばす!」
「お前の母親は1つ間違っていた。お前は妹より価値がないと言っていたが、今日は金になる」
そうサーシャに告げるビニーは、彼女を捕まえさせたマスク2の目をナイフで刺して殺害。これを見たディレクターとビニーで口論します。
油断しているビニーの隙を突き、リチャードが近くに置かれたバールを持って、彼を背後から襲い殺そうとしますが、ビニーに返り討ちにされてしまいました。
ビニーは、倒れたリチャードの上に馬乗りになり、奪ったバールで彼の頭を何度も殴り殺害。逃げたサーシャを殺そうと追いかけます。
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ビニーは、シャワー室でサーシャの手をナイフで刺し、追い詰めました。しかしそこで、ビニーは抵抗したサーシャに消火器で頭を殴られ、気絶してしまいます。
ビニーが気絶から目覚める間、サーシャの脳裏によぎったのは、マスクたちに理不尽に殺されていったリチャードたち参加者の姿と、大切な妹ミンディの姿でした。
覚悟を決めたサーシャは、危機迫る顔でマスクを被らせたビニーを、背後から脳天目掛けて斧を振り下ろし、殺害。
勝者となったサーシャは、閉じ込められていた劇場から無事解放され、受付にいた男から賞金と着替え、大事なペンダントが入った鞄を受け取ります。
着替えたサーシャは、フラフラとおぼつかない足で、ミンディを迎えに行きました。サーシャはミンディに、「お互いの名前を彫ったペンダントを返し合う日、あなたを連れ出してみせる」と約束していたからです。
しかしサーシャが向かったミンディの家はそこになく、木の枝にぶら下げられた「サーシャ」と彫られたペンダントがあるだけで、ミンディの姿はありません。
サーシャはすぐさま、近くの警察署で行方不明になったミンディを探してほしいと懇願しましたが、警察はまともに取り合ってくれず断念。
それもそのはず、実はその警察署にいた警察官2人は、受付にいた男とディレクターだったのです。ディレクターは、連絡してきたペイジとこんなやり取りを交わします。
「あの子(サーシャ)を殺さなかったわね。おかげでビニーも失った、償ってよ」「君の想像以上の金をやろう。ショーは次の段階にいく」
「あの子が戻ると?」「戻ってくるさ、彼女は史上最高のプレイヤーだ。それに君は、彼女の探し物を私に売る」
それから6ヶ月後、サーシャの元に「新規オーディションを開催します。今日死ぬ覚悟はできていますか?」という、一通のメールが送られてきました。
それに対しサーシャは、今さっき始末したばかりの男の死体を撮った写真と、「あんたは?」というメッセージを、差出人に返信しました。
映画『サバイバル・デスゲーム』の感想と評価
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変貌を遂げるサーシャ
突如始まった、24時間以内に劇場内で殺し合う、ハンターたちと参加者たちによるサバイバル・デスゲーム。
実はリチャードたちが参加するよりも昔に、30年以上にわたって仮面を被った者たちによる、ホラー・ナイトショーが行われていたのです。
その事実を知ったリチャードが、因縁の相手とも呼べるマスク1、ビニーと死闘を繰り広げる場面は、正義と悪がぶつかり合う興奮とスリルを味わえます。
リチャードはバールによる撲殺でしたが、物語の前半で殺されたデビーとカートの死は、グロテスクな表現がされているので、観る時は心の準備が必要です。
リチャードの死後、己の目的のために死闘を繰り広げていくサーシャとビニー。サーシャとビニーの関係性は、劇中で明かされていません。
しかしながら、2人は因縁がある様子でした。2人の最終決戦は、どちらが殺されてもおかしくない状況に、観ているこちらがハラハラドキドキしてしまうスリルがあります。
生き残るためには殺さなくてはならない。そんな過酷な状況に置かれたサーシャは、リチャードが死ぬまでは妹想いで優しい、普通のお姉さんでした。
そんなサーシャが物語の終盤、リチャードたちの死を乗り越えた故の覚悟からか、彼女から笑みが消え、妹を救うためなら殺人も厭わない殺人鬼へと変貌するのです。
物語の前半と後半で激変するサーシャの姿。その変貌っぷりに、思わず観ているこちらがゾクッと恐怖を感じる美しさがあります。
サーシャたちを巻き込んだ黒幕の正体
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ペイジはまさに、お金が欲しいあまり、平気で我が娘を売ったり、虐待を繰り返したりする悪女でした。そのくせ、ペイジは、いつか金になるミンディを手放そうとしません。
そんなペイジの元から、ミンディを救い出したいリチャードたちは、5人の殺人鬼と賞金を懸けて殺し合うサバイバル・デスゲームに参加します。
しかし、彼らが即興劇とは名ばかりの殺し合いに参加させられたのは、ペイジのせいだったことが物語の終盤で明らかになったのです。
ペイジとディレクターの会話から考察すると、ペイジは邪魔なサーシャを殺したいから、彼女をサバイバル・デスゲームの参加者にエントリーしたのではないかということ。
そしてまた、ペイジはミンディを人質に、サーシャを次のゲームに参加させようと、ディレクターと企んでいるということです。
ただ、ペイジが何故、ディレクターたちゲームの運営側と繋がっているのか、ディレクターたちの正体は一体何なのかは一切明かされていません。
まとめ
(C) 2017 FUNNY DREAMERS. All Rights Reserved.
仮面を被った正体不明の5人の殺人鬼と、即興劇と騙されて参加したリチャードたち4人が、24時間以内に賞金を懸けて殺し合うという、イタリアのサスペンス・スリラー作品でした。
本作の見どころは、殺人鬼たちハンターチームと、リチャードたち参加者チームによる死闘です。そのサバイバル・デスゲームは、どこから敵が襲ってくるか分からない恐怖がずっと続きます。
他のサバイバル・デスゲームを扱った作品と違うのは、殺人鬼たちが奇妙なマスクを着けたまま、無言で追いかけ殺しにかかってくる怖さです。
ただ最後まで、ディレクターたちが何者で、なぜ今になってホラー・ナイトショーという名のデスゲームを開催しているのか、一切明かされていません。
しかも最後、殺人鬼へと変貌したサーシャが、次のゲームに招待されたところで終わっています。
観終わると続編もあったら観たくなるほど、殺人鬼と参加者による賞金を懸けたサバイバル・デスゲームにハマれる、サスペンス・スリラー映画が観たい人には、特にオススメな作品です。