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Netflix映画『ローグシティ』ネタバレあらすじと感想。フレンチクライムで描かれたギャングと警察の終わりなき抗争

  • Writer :
  • 糸魚川悟

Netflix映画『ローグ・シティ』

金融危機による不況の影響で、治安の悪化に歯止めがかからないと言われるフランス最大の湾岸都市マルセイユ。

銃を使った犯罪も増加傾向とされているマルセイユの街では、大規模な犯罪組織の検挙を行うため日夜警察とギャングの攻防が繰り広げられています。

今回はそんなマルセイユを舞台とした警察とギャングの抗争を描いた最新作『ローグ・シティ』(2020)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

映画『ローグ・シティ』の作品情報

Netflix ローグ・シティ

【原題】
Bronx

【配信】
2020年(Netflix限定配信)

【監督】
オリヴィエ・マルシャル

【キャスト】
ラニック・ゴートリー、スタニスラス・メラール、カーリス、ダヴィッド・ベル、ジャン・レノ

【作品概要】
『あるいは裏切りという名の犬』(2006)で監督・脚本・出演を自分で務めたことで知られるオリヴィエ・マルシャルが監督を務めたサスペンス映画。

ラニック・ゴートリーを始めとしたフランスで活躍する俳優の他に、ダヴィッド・ベルやジャン・レノなど世界でも知られる俳優の出演が話題となりました。

映画『ローグ・シティ』のあらすじとネタバレ

海辺の家でウィルは家族をショットガンで射殺し、自らも命を断ちます。

3週間前、マルセイユ警察のBRI(捜査介入部)は囚人のポールを移送中、ポールが末期癌の妻と会いたいと隊長のウロンスキーに懇願したことで、ウロンスキーはポールを完全監視の上で妻の入院する病院へと案内します。

余命が長くないことを理由にポールに殺害を求めるポールの妻を見たウロンスキーは、ポールが妻を殺害することを黙認。

ポールから感謝されるウロンスキーでしたが、BRIは違法な独断行動が多く上層部からは行動を問題視され、新たに赴任した署長レオネッティもBRIに注視していました。

レオネッティの娘マノンもマルセイユ警察のBRB(犯罪対策班)に所属することになります。

ある日、アラブ系の組織に所属するラルビとファリド兄弟の経営するバーが敵対するバスティアーニ家に襲撃されます。

ラルビとファリド兄弟を含む多数の人間が射殺され、襲撃犯の1人セルジョが撃たれ現場に残されました。

警察が到着後、ウロンスキーも現場に着きセルジョに話を聞こうとしますが、BRIのコスタがBRIの管轄であることを理由にそれを許可しませんでした。

コスタはセルジョと署内の取調室で2人きりになると、何も情報を吐かないセルジョを見て、わざと壁にぶつかり負傷した上でセルジョを射殺。

ウロンスキーたちが現場となった取調室に到着すると、コスタはセルジョが銃を奪おうとしたため殺害したと証言します。

その日、帰宅したコスタは妻を人質に取られギャングのフランクに脅されます、

バスティアーニ家と敵対するフランクはバーにいたところをセルジョたちに襲われており、自分と繋がりのあるコスタが情報を漏らしたのではないかと疑っていました。

コスタはバスティアーニ家の情報を与える代わりにフランクから見逃されます。

警察署内では誰かがバスティアーニ家に警察の捜査情報を漏洩しているのではないかと、上層部が調べを始めていました。

コスタによって殺害されたセルジョが事件に関わっていたのではないかと疑うウロンスキーは、バーのゴミ箱からセルジョの指紋の付いた防弾チョッキと銃を発見し、彼が襲撃犯の1人であることを確信します。

さらにセルジョの銃の検査でバスティアーニ家のビクトルの指紋が発見され、BRIはビクトルを連行し話を聞くことにしました。

ビクトルの自由を保証する代わりに情報を求める取引をしたウロンスキーは、今回の事件がマテオと言う男によって引き起こされたことを知ります。

早速マテオを確保しに行くBRIでしたが、マテオが銃で反撃してきたためやむを得ず射殺。

マテオは地元有数ギャングの元リーダーのポールの息子であり、現在はバスティアーニ家に所属していました。

マテオはフランクに何かしらの理由で脅迫され、フランクを殺害するためバーの襲撃を実行したのです。

署内ではこの事件はこれで終わりではなく、黒幕にバスティアーニ家の当主の妻カタリナが関わっているのではないかと更なる調査を進めます。

その日の夜、バーで飲酒後、マノンを連れ帰ろうとしたBRIのウィルが何者かに銃を使った襲撃を受けます。

マノンとウィルに大きな怪我こそなかったものの、採血を受ければウィルの飲酒運転が発覚し収監まであり得ると知ったウロンスキーは、医師のエレーヌにウィルの代わりに自身の血を採血する様に求めます。

しかし、その様子はレオネッティに見られており、ウィルと共に懲戒の調査を受けることになってしまいます。

その後、ウロンスキーはBRBの捜査官であり友人のジョルジュから、沈黙を貫くウロンスキーとは真逆にウィルが司法取引に応じたことでウロンスキーは6ヶ月の停職処分が確定したと聞かされます。

停職が決まってから数日後、マテオの葬儀に出席したポールから、マテオの情報を警察に流した男の情報を求められたウロンスキーは、代わりにバスティアーニ家の大きな取引を教えると言われ、ビクトルのことを教えます。

その情報を聞いたポールは殺し屋を雇いビクトルを殺害。

見返りとしてバスティアーニ家の大きな取引の現場と時間の情報を手に入れたウロンスキーは、ウィルを含めたBRIの仲間を集め極秘裏に取引現場を襲おうと画策し始めます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ローグ・シティ』のネタバレ・結末の記載がございます。『ローグ・シティ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

夜、押収品の車と銃を所持しバスティアーニ家の取引現場を襲撃したBRIのメンバーは大金を奪取。

翌日、素知らぬ顔でバスティアーニ家の取引の襲撃現場を訪れたウロンスキーは、ジョルジュから麻薬取締局の覆面捜査官が昨夜の襲撃で死亡したことを聞きます。

さらに襲撃した犯人が自分であることがコスタに露呈し、詰問されたウロンスキーはコスタのフランクとの癒着を暴露すると逆に脅迫します。

コスタは署長のレオネッティからの指示でフランクに先日のバスティアーニ家の取引の情報を流しており、レオネッティはフランクに無謀な襲撃をさせることでフランクを殺害しようとしていました。

実はレオネッティはカタリナから脅迫を受けており、フランク殺害のために数多くバスティアーニ家に肩入れしていたのでした(マテオを射殺したのがBRIだと教え、バスティアーニ家にウィルの襲撃をさせたのもレオネッティ)。

しかし、取引現場にウロンスキーと言う別の襲撃犯が現れたことで計画が失敗し、フランクはコスタが自分をハメたと確信しコスタは命を狙われていました。

コスタは沈黙を貫く代わりに、ウロンスキーとはイーブンの形でその場を去っていきます。

仲間を殺害された麻薬取締局のステファンは、取引現場の襲撃と覆面捜査官の死亡に署内の人間が関わっていることを確信し彼らを一掃しようと燃えており、徐々にウロンスキーたちは追い詰められていきます。

さらに弾道検査の結果が判明し、覆面捜査官を撃った弾がウィルの持っていた銃だと判明。

盗難品を使ったためバレることはないはずでしたが、司法取引をしウロンスキーを停職に追い込んだことや覆面捜査官を殺害したことに精神的に追い詰められたウィルは家族を射殺し自殺してしまいます(冒頭のシーン)。

ウィルの自殺を知ったウロンスキーは、続けてコスタとその妻がフランクに殺害されたことを知ります。

ジョルジュはコスタの妻と不倫しており、報復のため全ての精算を考えるウロンスキーに同行することにしました。

ウロンスキーはバスティアーニ家のアジトを訪れフランクを殺害する代わりにレオネッティの脅迫に使っていた資料を渡すように求めます。

コスタの持っていたバスティアーニ家がレオネッティを脅迫していた証拠も渡したことで、当主代理のカタリナはウロンスキーの提案を了承。

コスタの後釜と言いフランクを呼び出したウロンスキーとジョルジュは、フランクとその仲間を射殺します。

フランクに全ての罪を被せるため、取引現場の襲撃に使った銃をフランクの車のトランクに入れるとウロンスキーとジョルジュは現場を去ります。

ウロンスキーはレオネッティにバスティアーニ家からの脅迫資料を渡し、後のことは自由にしてくれと言います。

レオネッティはギャングの妻との不倫をバスティアーニ家に知られたことで脅迫されていたのでした。

レオネッティは全ての事件の罪をウロンスキーの思惑通りフランクに被せ、世間に公表し処理します。

しかし、ステファンだけはこの事件のまとまり方に納得していませんでした。

ウロンスキーは取引現場から奪った金をBRIの仲間であるザックとマックスに渡すと警察を辞職。

妻と共にヨットで航海するウロンスキー、優雅に過ごすレオネッティ、引き続き警察を続けるザックとマックスとジョルジュ、そしてバスティアーニ家のカタリナ。

それぞれの日常を過ごす全員は突如何者かに襲撃され死亡します。

バーから出てくるマノンを車越しに強い眼差しで見つめるステファンは何者かに電話し、マノンの近くには男たちが近寄っていました。

映画『ローグ・シティ』の感想と評価

『レオン』(1995)で主演を務めて以降ハリウッド映画にも数多く出演する俳優ジャン・レノと、映画にも多く取り入れられ始めた「パルクール」の始祖であり『フルスロットル』(2014)などの出演作を持つダヴィッド・ベルが出演した映画『ローグ・シティ』。

本作は治安の悪化が進むマルセイユを舞台に、警察とギャングの熾烈な戦いを描くと共に警察の腐敗を本筋としたスリリングな作品となっていました。

主人公のウロンスキーは正義心に熱く仲間のためにその身を犠牲に出来る人間として描かれます。

しかし、物語の序盤でポールによる妻の殺害を黙認するシーンが描かれていることから自身の心にある正しさのためなら、法律すらも無視する危険さも持ち合わせていることが分かります。

ギャングとの争いに身を置かされ、自身の大事なものすら失われようとしたときウロンスキーの取る行動とは。

終わりなき「復讐の連鎖」の物語をぜひその目で確かめてみてください。

まとめ

いかがでしたか。

北野武監督作品を彷彿とさせる過激な暴力描写と、秀逸な脚本が光るフランス映画『ローグ・シティ』。

本作は、映像配信サービス「Netflix」で独占配信中です。

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