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Entry 2021/04/25
Update

映画『ゲート・オブ・キングダム』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。ダークファンタジーな王の帰還をフィリップトッド監督が描く|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー35

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第35回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第35回は、フィリップ・トッド監督が演出を務めた、映画『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』です。

ゲール人とピクト人が対立する中世スコットランドを舞台に描いた、2017年製作のイギリスのダークファンタジー・アクション映画『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』。

敵対する国の謀略によって王国を失った、伝説の力を持つ若き国王とその弟が流浪の旅をしつつ、子供を攫う魔物と魔術師に立ち向かっていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

祖国の平和と再建を目指す兄弟を描いた、ダークファンタジー・アクション映画、『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』の作品情報


(C)2017 Fellowship Film

【公開】
2017年(イギリス映画)

【脚本】
フィリップ・トッド、マシュー・トッド

【監督】
フィリップ・トッド

【キャスト】
ジェイク・マクギャリー、ショナ・メルローズ、ケリー・ブラウン、ノア・アービン、ローレンス・ホイットリー、アラン・カスベルト、ピーター・コスグローブ

【作品概要】
新鋭のフィリップ・トッドが脚本・監督を務める、イギリスのダークファンタジー・アクション作品です。

ジェイク・マクギャリーが主演を務め、ピーター・コスグローブやショナ・メルローズら実力派俳優が出演しています。

映画『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』のあらすじとネタバレ


(C)2017 Fellowship Film

西暦790年。中世スコットランドでは、ピクト人が住む王国「ピクトランド」と、ゲール人が住む王国「ダルリアーダ」という、2つの王国が対立していました。

ゲール人とピクト人の間の憎しみは深く、両者を統一できる者はいませんでした。

しかしある日、両者を統一しようと試みた者がいました。ピクトランドの国王、ピクトランド王です。

ピクトランド王は娘のエダナ姫を、ダルリアーダの王子アルピン・アケフダヒに嫁がせ、両国の平和をもたらそうではないかと提案します。

ダルリアーダの国王、ダルリアーダ王は両国の平和を願い、ピクトランド王の提案を受け入れました。

早速両国は、ダルリアーダの都「ダナッド」の砦にて落ち合い、アルピンとエダナの挙式をしようとします。

ところが挙式前夜、ピクトランド王は屈強なピクト人の男たちと共に、挙式を控えてダナッドの砦に寝泊まりしていた、ダルリアーダ王たちゲール人を襲撃。

両国の平和が築かれるはずだったダナッドの砦は、罪なきゲール人たちとダルリアーダ王の血が流れ、燃え盛る炎の中で彼らの断末魔が響き渡っていました。

ダルリアーダ王は死ぬ間際、アルピンに王位継承の証であるブローチを手渡し、こう言い遺しました。

「私に代わって、お前が王位に就くのだ」と。

アルピンはまだ赤ん坊の弟、フィンと最低限の荷物を持ち、その場を立ち去ります。いつか兄弟のどちらかで、必ず王国を取り戻すと心に誓って…。

それから10年後。若き国王となったアルピンは、10歳になるフィンと一緒に、王国を取り戻すために、ダルリアーダ国内を回る流浪の旅をしていました。

流浪の旅の末、アルピンたちはダルリアーダの最北端の村に辿り着きます。

村に入る前、アルピンはフィンにブローチを手渡し、彼にこう伝えました。

「俺がもし死んだら、お前が王になる。それさえあれば問題なく王位を継承できる。それを絶対に悪党に渡すな」と。

その後、アルピンはフィンと一緒に、王族である自分たちの身分を隠して村を訪ねます。

アルピンたちを出迎えたのは、村人のトーカル。彼はある出来事から、外部の者に対して過剰に警戒していました。

そのため、トーカルはアルピンたちを怪しみ、フィンと剣だけ置いて立ち去れと言い、アルピンに暴力を振るいます。

そんなトーカルを止めたのは、「ドルイド僧」という僧侶をしている村人のラクランです。

ラクランはただ騒ぎを聞きつけて、客人に暴力を振るうトーカルを止めただけなのですが、アルピンの首の後ろに刻印されたマークを見て表情は一変。

ダルリアーダに語り継がれているある伝説を知っているラクランは、アルピンたちが普通の旅人ではないことを見破り、彼らを自宅に招いて盛大にもてなしました。

ラクランは自宅でアルピンたちと食事を囲んだ際、トーカルの非礼を代わりに詫び、彼がああなってしまった原因の出来事を説明します。

「実のところ、今この村は呪われているんだ」

「村の近くにある暗がりの森から、この世のものとは思えない魔物が現れ、子どもたちを攫っていく事件が相次いでいる」

「我々はこの魔物を“影”と呼び、子供を誘拐している黒幕は、伝説にある魔術師“オルク・モア”だと思っている」

「私の娘シニードも攫われてしまった。妻のビティも私たち村人も、今は恐ろしくて森に近づくことができず、子供たちを捜索することもできていない」

そう説明するラクランの話を聞いていたアルピンは、伝説なんてただのおとぎ話だと言い、ピクト人の仕業だと疑いました。

フィンはまず、アルピンたちが話す「オルク・モア」のことが分からなかったため、ラクランに説明を求めます。

そこでラクランは夜、吹きさらしになっている自身の僧院にアルピンたちを案内し、ある石碑の前で伝説の内容を語りました。

ダルリアーダに伝わる伝説、それは200年前にダルリアーダを治めた当時の国王、コナル王の物語のことです。

当時、ダルリアーダは悪魔を生み出し、使役する邪悪な魔術師によって窮地に立たされていました。

その魔術師の名は、オルク・モア。彼女の所業に困ったコナル王は、異教徒が多い自国に、キリスト教を布教した聖人、聖コルンバに助言を求めます。

聖コルンバはコナル王に、「ダルリアーダを救いたければ、命を犠牲にしなさい」と助言しました。

コナル王はこの助言に従い、自らの命を犠牲にダルリアーダを救おうとします。

ところが、命の危機に瀕したコナル王は、王家に代々引き継がれる魔力のようなもの「王のパワー」に目覚めて復活。

コナル王は王のパワーを使い、オルク・モアをダナッドの砦の墓石に閉じ込め、扉に王族のマークを刻んで封じ込めました。

そんなコナル王の血を継ぐ者は、体に王族のマークが刻まれているのです。

ラクランの話を聞いていたアルピンたちは、2人とも首の後ろに王族マークが刻印されています。

アルピンの刻印を見たラクランは、彼らがコナル王の血を継ぐ者たちだと気づいて、彼らならこの村を救ってくれるかもしれないと希望を持ったのです。

石碑には、そのコナル王の伝説を象徴するように、コナル王と聖コルンバ、オルク・モアの姿が彫られています。


(C)2017 Fellowship Film

ラクラン宅での就寝前、伝説を知ったフィンは、隣に寝転がるアルピンに、その伝説は真実かどうか尋ねました。

これに対しアルピンは、「伝説なんて、ありのままの史実を語り継いでいるものではなく、ただの教訓だ」と答えます。

さらにアルピンは、伝説を純粋に信じるフィンに、「そんな“王のパワー”なんて不確実な武器で魔術師を倒したなんていう、お伽話に惑わされない大人になれ」と言いました。

翌朝、突如村に現れた影によって、フィンや村の子供たちが攫われてしまいました。

アルピンとラクランは、恐怖で腰が引けているトーカルたちを置いて、2人だけでフィンたちを救うべく、不気味な森の中に足を踏み入れていきます。

アルピンはラクランを信用し、自分がダルリアーダの若き国王であること、10年間ずっと兄弟2人で、王国を取り戻すために流浪の旅をしてきたことを明かしました。

するとその話の最中、アルピンは村で見た影に襲われ、ラグランとはぐれてしまいます。

影を見失ったところで、アルピンはラクランを探しに行くと、彼は体に青いペイントを施したピクト人に捕まっていたのです。

屈強なピクト人の男たちに捕まったラクランは、彼らを率いるピクトランドの若き女王、エダナと対面。

それと同時刻、草むらに隠れて様子を窺っていたアルピンが、ラクランを拉致したピクト人たちと、自分を裏切ったエダナの姿を目撃。

その夜、アルピンはラクランを救出した直後、積年の恨みを晴らすべく、眠るエダナに刃を向けます。

アルピンの殺気を感じたのか、エダナは目を覚まし、ナイフを持つアルピンの腕を片手で制しながら、彼にこう言いました。

「(10年前の出来事は)全て覚えてるし、あなたの気持ちは理解できる。私だってもう終わらせたい」と。

アルピンがこのエダナの発言を聞いて、殺すことを躊躇した瞬間、自身が仕える元ピクトランドの姫で現女王であるエダナを守るべく、彼女の部下ファーガスが襲いかかってきました。

エダナは、アルピンを殺す勢いで殴り、気絶させたファーガスを止め、アルピンをラクランと一緒に拘束するよう命じます。


(C)2017 Fellowship Film

一方フィンは、子供たちとは別の場所で目覚め、森の中を彷徨っていると、ナサラと名乗る女性と出会いました。

ナサラは自身の家に案内する道中、フィンの王族のマークを見て、彼がダルリアーダの若き国王だと思い、ブローチを見せて欲しいとお願いします。

フィンは最初警戒したものの、自分を保護してくれたナサラを信用し、彼女に促されるまま、大事なブローチを渡しました。

ブローチがナサラの手に渡った瞬間、今まで優しかった彼女の態度が一変。

ナサラは村やアルピンを襲った影、青白く不気味な男2人を後ろに出現させ、フィンを拉致します。

ナサラは、拠点である暗い石室にフィンを拉致し、無理矢理刻印がある首をブローチの針で傷つけ、血を流させました。

そしてナサラは、血がついたブローチを泥水に浸け、血が混ざった泥水を手ですくって啜り、足元にある片足分の足形に自分の足を入れます。

このナサラと騙る魔術師、オルク・モアの目的は、自分を封じ込めるほど強力な魔力を秘めた王のパワーを手に入れ、ダルリアーダを征服することでした。

そこでオルク・モアは、先ほどやった行為、すなわち王位を継承し、王のパワーを手に入れられる「王位継承の儀式」をしたのです。

それがフィンの血によって手に入れられる。そう思っていたオルク・モアでしたが、体に何の変化も得られないことから、フィンではなく、兄のアルピンが真の国王であることを悟ります。

その頃、オルク・モアに狙われそうになっていることなど、ちっとも気づかないアルピンは目覚めてすぐ、エダナから衝撃的な真実を聞かされていました。

「ダナッドを奇襲した夜、父は封じられた石室を見つけた。扉に王族のマークがあり、父はその中に財宝が眠っていると考えた」

「でも石室の中から出てきたのは、恐ろしい魔術師オルク・モアだった。そうして父は自滅した」

「あの夜の罪の意識は、10年経った今でも忘れられない」

そう話すエダナは、ピクトランド王がした報いは自分が受けると言います。

アルピンは「ピクトランド王や、エダナたちピクト人に対する恨みはある。でも元凶たるピクトランド王が死んだのなら、もういい」と、エダナに告げ、彼女から渡された剣を返しました。

その代わり、アルピンは取り上げられた自身の剣の返却と、ラクランの解放をエダナに要求さします。

エダナはこれを承諾し、アルピンたちにファーガスたちが剣の稽古をつけてやると申し出ました。

それはエダナたちピクト人が、この10年間復讐せんと探し続けていた相手が、アルピンたちが探すオルク・モアだったからです。

つまりエダナは、オルク・モアが操る影との戦い方を知らないアルピンたちを鍛え、一緒に共通の敵に立ち向かおうと考えたのでした。

以下、『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』ネタバレ・結末の記載がございます。『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2017 Fellowship Film

そう考えるエダナに対し、ファーガスたち彼女の部下は、憎きゲール人に手を貸すなどあり得ないと猛反対。

敵に屈する王ではなく、ピクトランド王のように強き王になって欲しいと望むファーガスに、エダナはこう言います。

「私はピクトランドの女王だけど、父とは違う」と。

ファーガスはエダナの強い意志に根負けし、渋々アルピンたちに剣の稽古をつけることにしました。

最初はファーガスだけでしたが、彼に触発されたエダナの仲間たちも皆、アルピンたちの特訓に付き合い、彼らと信頼関係を築いていきました。

アルピンたちが特訓している中、偵察に出ていたエダナの仲間キアが戻り、オルク・モアの本拠地を見つけたと報告。

急遽本番に向けた特訓を中断し、エダナたちはアルピンたちを連れて、1日森の中を歩いた先にある、オルク・モアが潜伏する石室へ向かいます。

その道中、アルピンたちに襲い掛かってきた不気味な男たちを、彼らは力を合わせて撃退しました。

その場から離れる際、アルピンは倒した男たちが、影だけ残して、跡形もなく消失したのを目撃します。

そこから先へ進んだアルピンたちは、オルク・モアが大木に、拉致した村の少年を押しつけ、彼から魂を取り出している現場を目撃。

魂が抜けた少年が、その場に崩れ落ちた瞬間、大木から影が現れ、石室に戻るオルク・モアに付き従っていきました。

エダナとラクラン曰く、オルク・モアは純粋な子供の魂を使って、強力な悪魔を作り出し、使役しているのだという。

アルピンはオルク・モアや影は、ただの御伽噺や怪談に過ぎないと思っていましたが。

しかし影だと思っていたのは悪魔で、オルク・モアは実在する魔術師であることを、アルピンは自分の目でしかと見てしまったため、彼らの話を信じざるを得ませんでした。

いよいよ石室へ乗り込み、オルク・モアと戦うという場面で、ファーガスたちは怖気づいてしまい、その先へ進もうとしません。

そんなファーガスたちに呆れた、エダナ・キア・アルピン・ラクランは、4人でオルク・モアと悪魔と戦い、フィンやシニードたち村の子供を救おうと先に進みます。

松明の火がないと何も見えないほど、真っ暗な石室の通路を歩くアルピンたちは、フィン以外の子供たちを発見。

フィンの安否を気にしつつ、アルピンたちはとりあえず、シニードたちを救出しようとしますが、突如背後に現れたオルク・モアと複数の悪魔が行く手を阻みます。

エダナはアルピンたちと共に悪魔と戦い、子供たちを連れて村へ撤退する代わりに、外で待つファーガスたちに足止めを任せようと考えましたが、何故か外にいるはずの彼らの姿が見当たりません。


(C)2017 Fellowship Film

突然のファーガスたちの失踪に、愕然とするエダナ。アルピンはそんな彼女に、シニードたち子供を託し、重傷を負ってもなお戦おうとするラクランの援護に向かいます。

エダナとシニードたちがその場を去った後、ラクランは勇ましく槍を振るい、アルピンと一緒に複数の悪魔と戦いましたが、怪我が災いして隙が生まれてしまったせいで返り討ちにされました。

目の前で悪魔たちに滅多刺しにされ、絶命するラクランの姿を見たアルピンは激昂し、たった1人で斬り込んでいきましたが、不意打ちをくらって昏倒させられてしまうのです。

アルピンは意識を取り戻し、辺りを見回すと、部屋の中にフィンに渡したはずのブローチと、王位継承の儀式に使う水と足形があることに気がつきます。

アルピンがブローチを手にした直後、オルク・モアが現れ、こう言いました。

「お前の父上は志半ばで死に、王位を継ぐお前は弱すぎる。もうダルリアーダは終わりよ」

「ダルリアーダには、国を復活させる真の強き国王が必要。だから私に王位を譲れ」

「さもなくば、ダルリアーダの国民は老若男女問わず死ぬことになる。ラクランのように」

アルピンは魔術師に仕えて、王国を再建させるくらいなら、このまま滅んだ方がマシだと言って断ります。

アルピンが断ることを想定していたのか、オルク・モアは悪魔を使ってフィンを人質にとり、アルピンに無理矢理王位を譲るよう脅迫してきたのです。

アルピンはフィンを救うため、やむを得ずオルク・モアにブローチを渡し、王位を譲ると宣言。

オルク・モアはすぐさま、ブローチの針で傷つけ採取したアルピンの血を使い、王位継承の儀式を執り行おうとします。

しかし、アルピンたちはオルク・モアが油断しきっている隙をつき、悪魔たちを倒してオルク・モアを突き飛ばし、儀式を中断させます。

代わりにアルピンが水を飲み、足形に片足を入れて、本当に王位を継いでダルリアーダの新たな国王となり、王のパワーを発揮しました。

アルピンの光る両目から放たれる王のパワーと、オルク・モアが放つ魔力がぶつかった時、ある光景が彼の脳裏によぎりました。

それは、フィンが自らオルク・モアを封じ込めた墓石の中に入り、アルピンが必死に扉を閉じさせないようにしている姿でした。

その直後、いつの間にかオルク・モアの姿はないことに気づいたアルピンは、この隙にフィンと一緒に石室を脱出。

森の中を歩くエダナたちと合流し、村へ帰還します。

翌朝、トーカルたち村の大人は、エダナたちが連れ戻してくれた我が子と無事再会。

アルピンは歓喜に沸くトーカルたちに、影の正体はオルク・モアが作り出した悪魔であることと、また襲われる前に一刻も早く、この村から逃げてくれと警告しました。

ラクランの姿がないことから、夫の死を悟ったビティはトーカルと一緒に、国王であることを明かしたアルピンと共に、オルク・モアと戦いたいと申し出ます。

「私たちはダルリアーダの国民よ。国王のためなら戦うわ」

「あんたのおかげで息子が戻ってきた」「あんたの、国王の下で皆と戦う。だから指揮を執ってくれ」

2人の覚悟を感じ取ったアルピンは、ビティには自宅で女子供と避難するように、トーカルには武器になりそうなものと馬の調達を頼みました。

そして準備が終わると、すぐさま実践経験があるアルピンとエダナが、トーカルたち村の男に剣の稽古をつけ、戦士へと育てていきます。

その間、アルピンはエダナに、「悪魔たちに正面から挑み、オルク・モアを討つ」という、無茶な作戦を伝えていました。

アルピンはその後、1人村から離れ石碑のところにいたフィンの元へ向かい、ブローチを再度渡します。

その際、アルピンたちは今後について話し合い、2人だけの約束を交わしました。

「俺が死んだらお前が王になる」「なりたくないよ」「それでもだ」「死なないで」

「聞いてくれ。俺がどうなるかより、王国の未来が大切だ」

「だから約束してくれ。俺が死んだら急いで遠くへ逃げてくれ、そしてどこかに身を隠し、王国の復活を望む味方を集めろ」

「兄さんみたいなリーダーにはなれない」

「王位は得るものではなく、与えられるものだ。どうするかは自分次第だ」

「約束するよ」「ありがとう、このブローチは誰にも渡すなよ」

その会話を全て、アルピンを呼びに来たエダナに聞かれていたとは知らず、アルピンは彼女と共に、予想より早く来たオルク・モアと悪魔の群れに立ち向かっていきます。

しかし、オルク・モアの方が一枚上手だったようで、彼女が張った結界によって正面突破は叶わず、アルピンたちは村への撤退を余儀なくされました。

アルピンたちはトーカルたちと一緒に、村の入り口にて、悪魔やオルク・モアの侵攻を防ぐべく、防衛戦にうってでます。

その間、フィンはビティたちを守ろうとしましたが、アルピンたちが取りこぼしてしまった悪魔が家に侵入。

もうダメかと思われたその瞬間、森からファーガスたちエダナの仲間が増援に駆けつけ、キアの活躍によって、フィンたちは無事助かったのです。

ファーガスたちの増援により、圧倒的戦力差によって劣勢を強いられれていたアルピンたちが優位に立ち、形勢逆転。

このままオルク・モアを倒せるのではないか。アルピンたちがそう希望を抱いた時、オルク・モアはナイフを放ち、ファーガスを殺害。

さらに、ファーガスを殺されて激昂するエダナにも、オルク・モアはナイフを放ち、重傷を負わせるのです。

貴重な戦力を失ったアルピンたちは、増え続ける悪魔たちの勢いに抑えきれず、ついにビティの家の前まで追い詰められてしまいます。

アルピンによって、ビティの家に避難し治療を受けていたエダナは、フィンに彼との約束通り、この場から逃げるよう促しました。

フィンは一瞬躊躇しましたが、アルピンとの約束を守ろうと森の中に逃げ込みましたが、それに気づいたオルク・モアに殺されそうになります。

そこへ駆けつけたのが、オルク・モアの不在に気づいたアルピンでした。

アルピンはフィンを身を呈して守りましたが、オルク・モアのナイフが刺さった場所が悪く、瀕死状態に陥ってしまいます。

ところが、命の危機に瀕していると感知した刻印が光ったことで、アルピンは王のパワーによって復活。

彼は王のパワーを使って、オルク・モアを近くの大木に封じ込め、その大木の幹に王族のマークを刻みました。

これにより、オルク・モアが作り出した悪魔たちも消滅。トーカルたちは村の平和を取り戻したのです。

その夜、アルピンたちはオルク・モアを退けた祝いとして、焚火を囲んで宴を開きました。

フィンはシニードと、アルピンは復讐を遂げたため、青いインクを消したエダナと、それぞれ戦いの中で親密になった同士で宴を楽しんでいました。

その際、アルピンは気になっているエダナに、「一緒にダナッドに行き、国を取り戻さないか」と誘います。

しかしそこに、酔っ払ったトーカルが乱入し、返事しようとしていたエダナを連れ去ってしまうのです。

呆然とするアルピンですが、すかさず空いた隣に座ったビティに背中を押され、トーカルと踊るエダナを取り戻し、彼女と笑顔で踊りました。

翌朝、シニードたち村の人々に暖かく見送られたアルピンとフィンは、ついてきてくれたエダナとその仲間と一緒に王国の再建のため、10年ぶりにダナッドに帰還します。

その頃森の中では、オルク・モアを封印した大木に刻まれた、王族のマークが青く光り、何かに斬られたような跡が刻まれていました。

映画『ゲート・オブ・キングダム 王の帰還』の感想と評価


(C)2017 Fellowship Film

伝説の魔力を持つアルピンたちが、トーカルやラクランたち村の人々と出会い、徐々に絆を育んでいくところは微笑ましいです。

そして何より、ゲール人のアルピンたちとピクト人のエダナたちが、オルク・モアとの戦いを通じていがみ合うことをやめ、互いを信頼する戦友になっていく過程が感動します。

それと物語の後半に明かされた、このオルク・モアの真の目的と、10年前と村での事件の真相。

それによって全ての謎が解消し、点と点が繋がったそのミステリーサスペンス要素が、作品の世界観に引き込まれる魅力に溢れていて、とても面白いです。

さらにアルピンの王のパワーと、オルク・モアの魔力がぶつかるところと、いなくなったファーガスたちが増援に駆けつけて、一気に形勢逆転していく場面。

このアクション場面は、迫力と大どんでん返しによる面白さがあるので、ダークファンタジー映画好きも、アクション映画好きも両方楽しめます。

まとめ


(C)2017 Fellowship Film

伝説の魔力「王のパワー」を持つアルピンとその弟フィンが、いがみ合っていた隣国のエダナたちと共闘し、因縁の相手オルク・モアを打倒するダークファンタジー・アクション作品でした。

王のパワーvsオルク・モアの魔力のぶつかり合い、人間vs魔術師と悪魔の戦いは、次に何が起こるか分からないワクワク感と、迫力満点のアクションを楽しめます。

そこが本作の最大の見どころなのですが、戦死したラクランの勇姿も必至です。

ただの僧侶が最愛の娘のために、命懸けでオルク・モアと悪魔に立ち向かっていったその姿は、主人公たちよりも勇ましくて感動します。

しかも続編がありそうな物語の終わり方だったので、続編がもしあるなら、ぜひアルピンたちの夢の実現と、彼らの恋の行方を描かれているといいですね。

伝説の魔力を持つ若き国王とその弟が、村の人々や隣国の人と絆を育みつつ、悪と戦うダークファンタジー・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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