Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2021/01/28
Update

映画『ステージ・マザー』あらすじと感想評価。母の愛が亡き息子の夢を叶えるまで【笑って泣ける感動作】

  • Writer :
  • 山田あゆみ

映画『ステージ・マザー』は2021年2月26日よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー。

映画『ステージ・マザー』は、突然この世を去ったドラァグクイーンの息子の代わりにゲイバーの経営をすることになった母親の奮闘をコミカルかつ感動的に描いたヒューマンドラマです。

『世界にひとつのプレイブック』(2012)でオスカー候補になったジャッキー・ウィーバーが主演を務め、「チャーリーズエンジェル」シリーズ(2000/2003)でおなじみのルーシー・リューが共演しました。

2021年2月26日より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショーとなる本作『ステージ・マザー』の感想と見どころをご紹介します。

映画『ステージ・マザー』の作品情報

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

【日本公開】
2021年(カナダ映画)

【監督】
トム・フィッツジェラルド

【キャスト】
ジャッキー・ウィーバー、ルーシー・リュー、エイドリアン・グレニアー、マイア・テイラー、アリスター・マクドナルド、オスカー・モレノ、ジャッキー・ビート、エルドン・ティーレ

【作品概要】
本作は、Netflixで配信されたアーロン・ソーキン監督の『シカゴ7裁判』や『キッズ・オールライト』の製作を務めたJ・トッド・ハリスによるプロデュース作品です。

監督のトム・フィッツジェラルドは映画やテレビ、演劇の脚本家兼プロデューサーで監督業も行っている人物。過去にサンダンス映画祭で3度プレミア上映され、トロント国際映画祭、ベルリン映画祭ほか世界中の50以上の映画祭で賞を受賞しています。

また、ハリウッドリポーターから「次世代のトップ10のひとり」と称され、スクリーンインターナショナルからは「世界のトップ100の映画製作者のひとり」に選ばれている実力者です。過去作は『The Hanging Garden』『Beefcake』など。

映画『ステージ・マザー』のあらすじ

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

サンフランシスコのゲイバー「パンドラ・ボックス」でドラァグクイーンとしてステージに上がっていたリッキーは、薬物の過剰摂取により息を引き取ってしまいました。

長年縁を切っていた母親のメイベリンは、息子の訃報を聞きつけてテキサスからやってきます。

息子を亡くした悲しみに暮れるのも束の間、母親のメイベリンは遺されたゲイバーの立て直しに奮闘し…。

映画『ステージ・マザー』の感想と評価

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

本作は、全体を通して笑いを忘れない明るい気持ちにさせてくれる映画です。

テンポの良い前半に引き込まれ、しだいにドラァグクイーンたちが抱える問題や、彼女たちの母親世代であるメイベリンの人生における葛藤へと物語は広がりを見せます。

母親のもつ説得力と包容力

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

母親のメイベリンが、とてもパワフルかつ前向きに行動し続けることが本作の大きな軸となっています。

亡き息子の親友や恋人、友人らに対してメイベリンが向けた優しさは、本当は息子にしてあげたかったことだったのでしょう。

息子と同じリッキーという名の赤ん坊をあやしたり、かつての息子のように堕落してしまいそうな若者に対して誠心誠意よりそうことで彼女自身の長年の後悔が晴れていくようでした。

また、彼女が「夢」を語りその強さを発揮するシーンがあるのですが、全女性のヒーローともいえる振舞いに思わずスカッとするはずです。

母親ならではの包容力と、年の功からくる言葉の重みや思いやりは周りの人々を優しく巻き込んでいく勢いがあります。そのパワーに元気を貰える作品といえるでしょう。

ドラァグクイーンたちとステージの魅力

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

メイベリンと共にゲイバーを盛り上げようとするドラァグクイーンたちのキャラクターは、本作に欠かせない魅力のひとつです。

メインのキャラクターである、チェリー、テキーラ、ジョアンの3人のユーモアと歌唱力には注目です。

チェリー役のマイア・テイラーはデビュー作『タンジェリン』(2015)でサンフランシスコ映画批評家賞助演女優賞を受賞するなど、トランスジェンダーの女優として公式で初めて受賞を果たした人物です。今回は控えめなキャラクターを好演していました。

テキーラ役を演じたオスカー・モレノは本作が初の長編映画での演技でしたが、ドレスとメイクがとても映えて印象的です。

そして最も注目すべきなのが、ジョアン役のアリスター・マクドナルド

本作の演技が評価され、2020年にカナダの映画賞であるACTRAアワードにて主演男優賞を受賞しています。メインボーカルの立ち位置で、美声と体を張ったパフォーマンスを披露し、ドラァグクイーンの苦悩を見事に演じ切っていました。

彼のノーメイクのときの笑顔の可愛らしさと、メイクと衣装をばっちりきめてパフォーマンスをするときの美しい迫力はどちらも輝いており、観る人の心を鷲づかみにするはずです。

まとめ

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

本作は、母親世代のキャラクターが人生で新しいことをはじめることで、価値観やそれまでの人生を覆していくという、挑戦する勇気をもらえる映画となっています。

また、きらびやかなステージ衣装やメイクが楽しめるのはもちろんのこと、歌声の迫力も見どころのひとつです。ぜひ劇場での鑑賞をお勧めします。

『ステージ・マザー』は2021年2月26日TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『島守の塔』あらすじ感想と評価解説。キャストの萩原聖人が新境地と“結末の香川京子のセリフ”に刮目してほしい

映画『島守の塔』は2022年7月22日(金)より全国ロードショー! 第二次大戦終結間近、沖縄に大きな被害を被った沖縄決戦の中、県民の命を救うべく奔走した人々の姿を描いた映画『島守の塔』。 終戦間近に沖 …

ヒューマンドラマ映画

『ソング・サング・ブルー』あらすじ感想と評価考察。実話の人生どん底“歌まね”ミュージシャン夫婦の物語をハートフルに描く

人生どん底なミュージシャン夫婦の奇跡の実話 第98回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた映画『ソング・サング・ブルー』が、2026年4月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次ロード …

ヒューマンドラマ映画

映画『ジョン・デロリアン』ネタバレ感想とレビュー評価。実話を基に理想の車を作ろうとした男の転落人生を描く

“未来の車”を作ろうとした男の波乱万丈な半生。 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で一世風靡したタイムマシンのベースカーは、如何にして誕生したのか? 伝説の名車デロリアン(DMC-12)の開発者の …

ヒューマンドラマ映画

実話映画『SKIN/スキン』あらすじと感想レビュー。レイシストからの更正を誓い顔のタトゥーを剥いだ若者

ヘイトの“仮面”を剥いで更生の道を歩んだネオナチ青年を描く実話 レイシストとして生きてきた若者の贖罪と苦悩を描く映画『SKIN/スキン』が、2020年6月26日より新宿シネマカリテほかにて公開となりま …

ヒューマンドラマ映画

【ネタバレ 空白】ラスト結末で描かれた意味とストーリー考察。原作なしで映画監督 吉田恵輔が脚本オリジナルで挑んだ“人間の可笑しさ”

ある少女の死を発端に、関わった人々の人生の歯車が狂い始める! 『BLUE ブルー』(2021)、『犬猿』(2018)などで知られる吉田恵輔監督が自身によるオリジナル脚本で挑んだ映画『空白』は、万引した …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学