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Entry 2020/10/09
Update

映画『靴ひも』あらすじ感想と評価レビュー。家族を捨てた父と障がいを持つ息子の絆を結ぶイスラエル発ドラマ

  • Writer :
  • 松平光冬

家族を捨てた父と発達障がいのある息子の感動ドラマ

イスラエル映画『靴ひも』が、2020年10月17日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次ロードショーされます。

複雑で普遍的な親子の愛憎と予測のつかない展開で、本国イスラエルやアメリカで大きな感動を呼んだドラマが、ついに日本上陸します。

映画『靴ひも』の作品情報


(C)Transfax Film Productions

【日本公開】
2020年(イスラエル映画)

【原題】
Laces

【監督】
ヤコブ・ゴールドワッサー

【製作】
マレク・ローゼンバウム

【脚本】
ハイム・マリン

【美術】
ヨエル・ヘルツバーグ

【キャスト】
ネボ・キムヒ、ドヴ・グリックマン、エヴェリン・ハゴエル、ヤフィット・アスリン、エリ・エルトニオ、オシュラット・インガドシェット、スヘイル・ハダッド、ドロール・ケレン、アミール・ブシェリ、ネタ・トラウム

【作品概要】
約30年ぶりに一緒に暮らすことになった、家族を捨てた父ルーベンと発達障がいのある息子ガディが、本当の親子関係を築くまでを笑いと涙を交えて描いた、イスラエル製作のヒューマンドラマ。ガディ役にネボ・キムヒ、ルーベン役にドヴ・グリックマンという、イスラエル映画界を代表する俳優がそれぞれ演じます。

監督はイスラエルの映画やテレビドラマで活躍するヤコブ・ゴールドヴァッサーで、自身も特別支援を必要とする息子を持つことが制作の一因となりました。

イスラエル・アカデミー賞(オフィール賞)で8部門にノミネートされ、ドヴ・グリックマンが助演男優賞を受賞したのを皮切りに、アメリカ各地の映画祭でも観客賞を多数受賞しています。

映画『靴ひも』のあらすじ


(C)Transfax Film Productions

エルサレムで小さな車の整備工場を営むルーベンは、ある日、数十年前に別れた妻が交通事故死したという報せを受けます。

そのためルーベンは、妻と同居していた発達障がいがある息子のガディを受け入れてくれる施設が見つかるまでの間、彼と同居することに。

30年ぶりの再会、なおかつ障がいを抱えるガディの世話に、最初こそ困惑するルーベンでしたが、次第に生来の明るさと優しさを持つ息子との生活に慣れていきます。

そんな矢先、ルーベンは末期の腎不全と診断され、人工透析が必要になります。

さらには、特別給付金申請の面接の場で、特別な支援が必要であるとアピールするため、息子が靴ひもを結べないふりをするのですが……。

映画『靴ひも』の感想と評価

(C)Transfax Film Productions

イスラエル発、父と発達障がいの息子を描くファミリードラマ

本作『靴ひも』はイスラエル製作の映画です。

イスラエル映画というと、イスラエル・パレスチナ間の民族対立や宗教観の相違がもたらす事件などといった、社会的・政治的メッセージが色濃いテーマの作品を連想される方が多いかもしれません。

近年でも、息子の戦死の報せを受けた両親の皮肉な運命を描く『運命は踊る』(2017)や、ドラマ制作におけるイスラエル人とパレスチナ人の対立が主軸のコメディ『テルアビブ・オン・ファイア』(2019)などが公開されています。

しかし本作は、そうした事件性の強さは鳴りを潜め、離別して疎遠となっていた父ルーベンと発達障がいのある息子ガディのファミリードラマとなっています。

(C)Transfax Film Productions

本作は、イスラエルで実際にあったという腎不全を患う高齢の父親と知的障がいを持つ息子の話がベースとなっており、自国を代表する映画監督のヤコブ・ゴールドヴァッサーがオファーされたのも、彼自身が発達障がいを持つ息子の父親だったからでした。

最初は、あまりにも身近なテーマだからとそのオファーを断ったというゴールドヴァッサーでしたが、ガディ役を演じることとなるネボ・キムヒらの後押しを受け、監督を引き受けたと語ります。

親子愛、友愛、男女愛…さまざまな“愛”のかたち

(C)Transfax Film Productions

考え方が真っすぐで、相手の気持ちを理解できない発達障がいを持つガディは、決まったルーティンやスケジュールに沿って行動することを優先するために、周囲とトラブルを起こします。

家庭を捨てたことを追い目に感じていたルーベンは、そんなガディとの突然の共同生活に戸惑うも、次第に彼が誰に対してもフレンドリーで明るく接する性格の持ち主であることが分かります。

2人は空白だった親子関係を埋めていくと同時に、友人のような関係を築いていきます。

また、女性からの愛を欲するガディは、気になった相手を見つけるとすぐ口説こうとしますが、ルーベンもソーシャルワーカーの女性イラナに恋慕を抱くように。

親子愛、友愛、そして男女愛、あらゆる”愛”に包まれた、ユーモアでチャーミングなドラマが繰り広げられます。

「映画を通して人々の障がいに対する意識を変えたい」というゴールドヴァッサー監督の制作への思いは、ガディと初めてひとつ屋根の下で暮らすことで変化していくルーベンに、そのまま表れていると言えましょう。

まとめ

(C)Transfax Film Productions

タイトルの「靴ひも」とは、ガディが苦手な動作の一つである「靴ひもを結ぶこと」を指します。

本作では、この靴ひもを結ぶシーンが都合3度登場しますが、それぞれに違う意味が込められています。

交差させて結ぶことで、強固なものとなる「ひも」。

「ひも」のようにお互いを交差させて、強く結ばれていくルーベンとガディ父子の姿には、ほほ笑みと涙を禁じ得ないでしょう。

映画『靴ひも』は、2020年10月17日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。





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