なぜ、小寺さんはのぼるのか? そこに壁があるから!?
珈琲原作の人気青春漫画『のぼる小寺さん』の実写映画化。
自分は何がしたいのかわからない。何にも興味が湧かない。好きなことをしたいけど自信がない。進路調査も白紙で提出してしまう高校生たち。
そんな彼らが、ボルダリングに一直線な小寺さんに出会ったことで、退屈な日常が少しづつキラキラ輝く時間へと変わっていきます。
「ガンバッ!」思わず声がでてしまう映画『のぼる小寺さん』を紹介します。
映画『のぼる小寺さん』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【原作】
珈琲
【監督】
古厩智之
【キャスト】
工藤遥、伊藤健太郎、鈴木仁、吉川愛、小野花梨、両角周、田中偉登、中村里帆、小林且弥
【作品概要】
ボルダリングに一直線な女子高生を描いた、珈琲原作の同名青春漫画の実写映画化です。
監督は『ロボコン』『ホームレス中学生』『武士道シックスティーン』の古厩智之監督。脚本には『けいおん!』『聲の形』など人気アニメーションを手掛けてきた吉田玲子が担当しています。
主演の小寺さんを演じるのは、今作が映画初主演となる、元「モーニング娘。」工藤遥。約4カ月の猛特訓でボルダリングに挑戦し挑みました。
小寺さんを見つめる近藤役は、『今日から俺は!!劇場版』『弱虫ペダル』など、ドラマに映画に大活躍の伊藤健太郎が演じます。
映画『のぼる小寺さん』のあらすじとネタバレ
高校の部活の時間。体育館では、卓球部の近藤が、クライミング部の小寺さんのことを、今日も見ています。
小寺さんは、そんな近藤の視線にも気付かず、大好きなボルダリングに夢中です。
落ちても落ちても、壁をのぼり続ける小寺さん。近藤には、彼女がなぜのぼり続けるのか、謎でしかありません。
その日、クラスで進路調査表を白紙で提出した生徒が、居残りとなりました。先生は言います。「自分で決めることが大切なんだ。決めた自分を好きになるはずだよ」。
「良いこと言いますね」と、嬉しそうな小寺さん。そしてやはり、小寺さんを見つめる近藤。
他には、引っ込み思案なもっさり男子・四条。カメラオタクのメガネJK・田崎。そして、不登校気味のギャル系JK・梨乃と、悩める高校生たちが揃いました。
近藤の日常が変化し始めたのは、四条がクライミング部に入部したのがきっかけでした。
いつものように、ダラダラと適当に練習していた卓球部の隣で、初めてのボルダリングに奮闘する四条の姿がありました。
「ガンバッ!」。小寺さんの声が響きます。四条がクライミング部に入部した理由は、明らかに小寺さんのことが好きだからに違いありません。歯がゆい思いの近藤。
そんなある日、梨乃は仲間たちと河原でBBQをしていました。楽しいはずのアウトドアもどこかつまらなそう。ゴミもそのままに帰ろうとします。
忘れ物をした梨乃が河原に戻ると、そこにはひとりゴミ拾いをしている小寺さんの姿がありました。「えっ! 同じクラスの小寺さんだよね?」。
クライミング部の練習で岩登りに来ていた小寺さん。梨乃は、小寺さんの手にできた「まめ」に驚きます。
反対に梨乃のネイルを褒める小寺さんに、梨乃は得意のネイルを施してあげます。感動した小寺さんですが、「ごめん、岩登るからもたないかも」と悲しそうです。
梨乃はそんな小寺さんに興味を持ったようです。「また、学校で」。不登校気味だった梨乃でしたが、そんな約束をしてしまいました。
学校では、先生が小寺さんの進路調査表に書かれた回答に頭を抱えていました。「小寺、現実を見ないとダメだぞ。他にもクライミングに関われる進路があるだろう」。
「嘘は書きたくないです。私、とりあえず、クライマー目指します」。クラスの女子たちは「不思議ちゃんだよね」と、ざわざわしています。
その中で、小寺さんの言葉に影響を受けた女の子がいました。カメラオタクの田崎です。
「好きなことを堂々と続けていっていいんだ」。気付くと、田崎は小寺さんのことをカメラに収めていました。
ある日、体育館で勝手にボルダリングをのぼって遊んでいる生徒たちがいました。「専用シューズ以外ではのぼらないで下さい」と書かれたボードを無視してのことです。
悪いことだと知りつつも注意出来ない近藤は、ただ見ているだけしか出来ませんでした。
そこにやってきた四条。震える声で注意し、倒されながらも必死で阻止しました。「大丈夫?」。近藤が声を掛けます。
最近髪を切り、雰囲気も明るくなったと評判の四条。今では、悪いことを悪いと言える勇気も持っています。
近藤は焦り、気になっていたことを口にします。「小寺さんとつき合ってるの?」。
四条は一瞬驚きますが、哀れそうに話します。「近藤くん、よく小寺さんのこと見てるよね。でも、小寺さんのこと分かってないんじゃないかな?」。
もっと小寺さんを理解したい、近付きたい。近藤は、体育館でひとり卓球台を準備し、自主練に励みます。
梨乃は、小寺さんに会うために学校に顔を出しました。楽しそうにボルダリングをする小寺さんに梨乃は聞きます。
「何でのぼるの?」。「頑張ってのぼれた時、自分が嬉しいから」。小寺さんの生き生きとした表情を眩しように見つめる梨乃。
一方、小寺さんの隠し撮りを続けていた田崎は、本人に見つかってしまいます。小寺さんがボルダリングに夢中なように、自分もとにかく今撮りたいものを撮ろうと決めた田崎。
そんな田崎に小寺さんは、ボルダリング部の写真を撮って欲しいと頼みます。大会に向けて自分のフォームを確認したいようです。
ボルダリングに夢中な小寺さん。鉛筆をナイフで削る小寺さん。球技は苦手で鼻血を出しちゃう小寺さん。大盛りラーメンを食べる時も一生懸命です。
そんな小寺さんの頑張る姿は周りの皆をも元気にします。「小寺さんを見てると、なんだか自分ものぼらなきゃって思うんだ」。
映画『のぼる小寺さん』の感想と評価
『のぼる小寺さん』は、高校生同士の青春純愛ストーリーでもあり、何かに夢中になることが人生を楽しく生きるコツだということを教えてくれます。
自分の好きなこと、ボルダリングを追求し、夢中に努力し続ける小寺さんの姿は、周りにも良い影響を与えていきます。
始めは小寺さんのことを見ているだけだった近藤は、自分も何かを頑張ってみたいと思うようになります。
頑張ることはダサイ、面倒だとカッコつけてきた近藤でしたが、頑張った先にある達成感や、やり遂げた充実感を得ることが出来ました。日常が輝き出します。
自分に自信がなかった四条は、小寺の後を追いボルダリングに出会うことで、自分に自信がもてるようになります。自分が変われば周りも変わる。
趣味のカメラを続けることを悩んでいた田崎は、小寺さんの「進路はクライマーです」と堂々と宣言したことに影響され、自分も将来にむけて今撮りたいものを撮ろうと決心します。目標が高くても諦めなくていい。
不登校で仲間とつるんで遊んでいた梨乃は、小寺さんにネイルを褒められたことで、もっと勉強したいと思えるようになりました。目標もなくただ過ぎていくつまらない日々より学ぶことが断然楽しい。
乗り越える壁は人それぞれです。それでも、その先を目指すこと。小寺さんは、一生懸命も悪くないと教えてくれます。
小寺さんを演じたのは、元「モーニング娘。」の工藤遥。ボルダリングに夢中で、他の事は少し疎い、可愛い小寺さんを等身大で演じています。
ボルダリングに、約4カ月の猛特訓を経て挑戦したというだけあり、軽快に壁をのぼる姿はまさにクライマーです。
制服姿で壁をのぼる、ドキッとする場面も清々しく、いい意味で色気がなく、小寺さんらしいと思ってしまうほど、役にハマりきっています。
そして、そんな小寺さんを見つめ続ける近藤役の伊藤健太郎。次々に話題作に登場し、そのたびに様々な表情をみせてくれる伊藤健太郎ですが、今作では卓球部という地味目な男の子。
しかし、小寺さんの影響を受け、成長していく姿を見事に演じています。どんどん上達する卓球姿と、男らしくなっていく表情に注目です。
まとめ
珈琲原作の人気青春漫画を、工藤遥と伊藤健太郎の共演で実写映画化した『のぼる小寺さん』を紹介しました。
一生懸命な小寺さんの姿に、誰もが勇気とやる気をもらえる映画です。
主題歌は、国内外で活躍する「NEOかわいい」バンド、CHAIの「Keep on rocking」。ハッピーオーラが映画をさらにポップに仕上げています。
頑張る姿が周りをハッピーにする。あなたも誰かの「小寺さん」かもしれません。