『ワンダヴィジョン』はDisney+で配信。
「Episode1」から「Episode3」にかけて50年代から70年代のアメリカドラマのブームでもあった「シチュエーション・コメディ」通称「シットコム」をオマージュしたドラマを展開してきた『ワンダヴィジョン』。
コメディでありながらも物語の様々な部分に不穏な描写を盛り込むことで、そこはかとない不安を煽ることに成功していた本ドラマも遂に「Episode4」を迎えます。
今回はこれまでの物語の裏を描いた「Episode4/番組を中断します」を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
ドラマ『ワンダヴィジョン』の作品情報
【配信】
2021年1月15日(Disney+独占配信)
【原題】
WandaVision
【監督】
マット・シャクマン
【キャスト】
エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、テヨナ・パリス、キャスリン・ハーン、カット・デニングス、ランドール・パーク
【作品概要】
アメリカンコミック『マーベル・コミックス』を映像化する企画「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」の「フェーズ4」開始作となる配信ドラマ。
監督を務めたのは『ファーゴ』や『ゲーム・オブ・スローンズ』、『ザ・ボーイズ』など大ヒットドラマのエピソードを数多く手がけてきたドラマ監督のマット・シャクマン。
ドラマ『ワンダヴィジョン』Episode4のあらすじとネタバレ
サノスによる「デシメーション(全宇宙の人口を半分に削減する虐殺)」の犠牲者は、5年後にアベンジャーズによって復活。
母親の見舞いの最中に「デシメーション」が発生し、5年後に復活したモニカ・ランボーは自身が消えてる間に母が癌で死去していたことを知ります。
「知覚兵器観察対応局(S.W.O.R.D)」のエージェントであったモニカは僅か数週間で職場に復帰し、かつてからの知り合いであるヘイワードと再会します。
宇宙からの未知の脅威に対する観察と対応を主任務とする「S.W.O.R.D」は、モニカの母マリアが設立し長官を勤めていましたが、モニカの死によってヘイワードに引き継がれていました。
早速宇宙での任務を望むモニカでしたが、ヘイワードからしばらくは地上での任務を担当して貰うと釘を刺されてしまいます。
「デシメーション」から復帰直後の人間は、宇宙の任務から一定の期間離れるというルールは、他ならぬ母のマリアが定めたルールであり、「デシメーション」からの復活を確信していた彼女の想いを受けて、モニカは地上の任務を引き受けることにします。
ニュージャージーのウエストビューで住民の集団失踪が発生し、異常を感じたFBIは「S.W.O.R.D」に協力を要請。
現場を訪れたモニカはFBIの捜査官ウーからウエストビューで発生した異常な事態の説明を受けます。
ウエストビューに住む3892人の住民全員と連絡が取れないだけでなく、近隣の保安官はウエストビューという町は存在しないと証言します。
ウエストビューに関係している人間から町や住民に関する記憶が消えており、その異常な事態を認めたモニカはウエストビューの方面に向かって、ヘリコプター型のラジコンを飛ばします。
ラジコンはウエストビューの看板を越えた付近で消失し、町に何かしらのフィールドが発生していることに気づいたモニカは境界線に向かって手を伸ばすと、ウーの目の前で町の方角に向かって吸い込まれ消えてしまいました。
ドラマ『ワンダヴィジョン Episode4』の感想と評価
『ワンダヴィジョン』は「Episode1」から「Episode3」まで、観客から笑いの声が聞こえるような「シットコム」の体裁で物語が進んでいました。
今までの「MCU」の作風から大きく外れた内容に戸惑う声も大きかった一方で、作品内に散りばめられた今後の不安を煽るような描写の数々に、ドキドキしながらも次の話を楽しみにする声も強い本作。
そして遂に公開された「Episode4」では今までの物語の「裏側」を描き、これまでの話を観ているからこその没入感を作り出すことに成功していました。
「世界」を作り出した「ワンダ」
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でアベンジャーズがサノスを倒し、「デシメーション」による被害者を復活させた後から始める「Episode4」は「Episode2」と「Episode3」にジェラルディンとして登場していたモニカの目線で物語が始まります。
様々な驚異から地球を守る組織「S.W.O.R.D」のエージェントである彼女は、ウエストビューで起きた異変に気づき、ウエストビューに発生した「世界」の中に侵入してしまいます。
本話ではこれまでの話で「世界」に干渉していた「防護服の男」や「ジェラルディン」、そして「ヘリコプター型のラジコン」が「S.W.O.R.D」によるものであることが確定し、同時に終盤のワンダによる「全てコントロールできている」と言うセリフから彼女が「世界」を作り出していることも示唆されました。
しかし、同時にモニカをサイコキネシスで「世界」の外に追い出したワンダの顔は戸惑いに満ちており、彼女の言葉とは裏腹に、ワンダは彼女自身すらコントロール出来ていない可能性が、今後の注目点となると推察できます。
気になる今後の展開に繋がる要素
「Episode4」によって多くの部分に説明がなされましたが、未だに明らかになっていない部分や今後に繋がる伏線が多く存在しています。
テレビで放映されているワンダとヴィジョンの「シットコム」は、作中でルイスが気がついたように、ワンダにとって都合の悪い描写は「検閲」されてしまいます。
ワンダは自らの意思で「世界」を作り出したのか、それとも番組を「検閲」している「何者か」によって導かれてしまっているのか。
そしてワンダに注目しなければならない一方で、「防護服の男」である「S.W.O.R.D」のエージェントフランクリンにも注目の要素があります。
フランクリンは外の「世界」からウエストビューに入ったにも関わらず、現段階で外に吹き飛ばされた描写はありません。
登場時に蜂を身体に纏っていた演出もあり、原作に登場する蜂を操るヴィラン「スウォーム」との繋がりを匂わせるフランクリンにも目を光らせておくべきだと断言できます。
まとめ
次々と明らかになる「シットコム」の裏側と悪に堕ち始めたワンダによる悲劇。
物語は果たしてここからハッピーエンドに向かうのか、それとも惨劇になってしまうのか。
凄まじい盛り上がりを見せる一方で、まだまだ中盤である『ワンダヴィジョン』は今最も注目したいドラマです。