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Entry 2021/12/24
Update

映画ボーン・アイデンティティー|ネタバレ感想とあらすじ結末の評価解説。マット・デイモンのアクションと“記憶喪失のCIA”の設定光るシリーズの原点

  • Writer :
  • 秋國まゆ

6つの名前と6ヶ国のパスポート……失くした記憶。
「ジェイソン・ボーン」シリーズ第1作!

ダグ・リーマンが製作・監督を務めた、2002年製作のアメリカのサスペンス映画『ボーン・アイデンティティー』。

6つの名前と6ヶ国のパスポートを持った記憶喪失の男が、次々と現れる暗殺者と戦いを繰り広げながら、失った過去を取り戻そうとしていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

人気作家ロバート・ラドラムのポリティカル・サスペンス小説「ジェイソン・ボーン」シリーズの第1作「暗殺者」を基に描かれた、マット・デイモン主演のサスペンス映画『ボーン・アイデンティティー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『ボーン・アイデンティティー』の作品情報


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

【公開】
2003年(アメリカ映画)

【原作】
ロバート・ラドラム

【監督】
ダグ・リーマン

【キャスト】
マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、クリス・クーパー、クライヴ・オーウェン、ブライアン・コックス、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ガブリエル・マン、ウォルト・ゴギンズ、ジョシュ・ハミルトン、ジュリア・スタイルズ、オルソ・マリア・グエリーニ、ティム・ダットン

【作品概要】
『スウィンガーズ』(1996)や『go』(1999)、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)などを手がけるダグ・リーマンが製作・監督を務めたアメリカのサスペンス映画。

原作は、人気作家ロバート・ラドラムのポリティカル・サスペンス小説「ジェイソン・ボーン」シリーズの第1作「暗殺者」です。

「オーシャンズ」シリーズや『オデッセイ』(2015)、『ジェイソン・ボーン』(2016)などに出演するマット・デイモンが主演を務めています。

映画『ボーン・アイデンティティー』のあらすじとネタバレ


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

フランス・マルセイユの南100キロ地点にある地中海を漂っていた男は、偶然通りかかった漁船に引き揚げられ救助されました。

漁船の船医ジャンカルロは、銃で撃たれ傷を負っていた男を手当てした直後、突如目覚めた男に胸ぐらを掴まれてしまいます。

何とか男を宥めたジャンカルロは、男に名前を尋ねましたが、男は自分の名前が思い出せない様子。

男の身元が分かるものは、尻の皮膚に埋め込まれたマイクロカプセルだけでした。

記憶喪失であることを自覚した男は、2週間ほど漁船に世話になった後、ジャンカルロからもらった金を手に、失くした記憶を取り戻す旅に出ました。

まず男が向かったのは、スイス・チューリヒ相互銀行。マイクロカプセルには、同銀行の口座番号が記されていたからです。

スイスに到着して早々、公園で野宿しようとしていた男は、パトロール中のパリ警察の警官2人に公園を追い出されそうになります。しかし警官に小突かれた瞬間、瞬時に体が反応した男は警官2人を昏倒させ、拳銃まで奪い取ってしまいました。

咄嗟に動いた自分の体は、まるで人と戦うことが日常茶飯事であるかのように、速やかに、かつ確実に相手を沈める方法を知っていたことに驚く男。

翌日。その後公園から逃げた男は、チューリヒ相互銀行へ向かい、自分の貸金庫に何か記憶を取り戻す手がかりがないか調べます。

貸金庫に入っていたのは、アメリカ合衆国ほか5ヵ国のパスポートに、複数の通貨による大量の札束、そして拳銃1丁でした。

最初に見つけたアメリカ合衆国のパスポートに記された、パリ在住のジェイソン・ボーンこそが自分の名前だと男は確信します。

赤い鞄にパスポートと札束全てを入れ、拳銃だけを貸金庫に残し、ボーンはチューリヒ相互銀行を出ました。

ボーンが次に向かったのは、アメリカ領事館。ここで、自分の身元を詳しく調べて貰おうと思いました。

しかし昨夜の一件で地元警察にマークされていたボーンは、アメリカ領事館を訪れたパリ警察の警官に見つかってしまい、警備員に身柄を確保されそうになります。

警備員の手が肩を掴んだ瞬間、ボーンは昨夜同様、警備員と警官を瞬時に昏倒させ、拳銃を奪ったのです。

またやってしまったと反省する一方、ここから逃げる算段を考えたボーンは、アメリカ領事館内のゴミ箱に拳銃を捨て、非常階段と非常用通路を使って逃走。

アメリカ領事館詰めの海兵隊隊員たちの追跡を何とか躱し、アメリカ領事館を脱出します。


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

すると目の前に、1台の車赤いミニが停まっているのを発見。偶然居合わせた車の持ち主マリー・H・クルーツが、詐欺に遭ったせいで金がなく、学生ビザの申請ができず困っている様子だったことを思い出し、ボーンは彼女にある取引を持ちかけることにしました。

「パリに行くための足を探している。もしパリまで送ってくれたら、2万ドル報酬として支払おう」……マリーは葛藤の末、背に腹はかえられないと思い、出会ったばかりのボーンをパリに送り届けることにしました。

パリまでの道中、マリーは自分の身の上話を、ボーンは自分が記憶喪失であることを、互いに打ち明けます。

パリに到着後、2人はボーンのパスポートに記された住所へ向かうことに。その場所はアパートで、管理人はボーンのことを知っていましたが、ボーンは彼女と話しても記憶が戻ってきませんでした。

マリーに浴室を貸している間、ボーンは机の上に置かれた電話機のリダイヤル機能を使い、記憶喪失になる前の自分が電話をかけていた相手から、何か情報を聞き出せないか試します。

その結果、偽造パスポートにあった名前「ジョン・マイケル・ケイン」が、ホテル・レジーナに滞在していたことが判明。

しかしケインは、2週間前の高速道路での事故で亡くなっていたのです。そのことをホテルに知らせたのはケインの弟でした。

ボーンがその情報を知った直後、突如謎の暗殺者カステルがアパートを襲撃。ボーンを機関銃やナイフを使って殺そうとしてきます。

ボーンはこれまでの、警官を退けてきた身体能力の高さを活かしてカステルを撃退。カステルが一体何者で、なぜ自分を殺そうとするのかを知るべく、彼を尋問しました。

その最中、ボーンに言われてカステルの所持品を調べたマリーは、自分たちの写真が載った資料を発見。いつの間にか2人とも指名手配されていることに気づきます。

ボーンが混乱するマリーを宥めている隙をつき、カステルは尋問を免れようと、ベランダの窓を突き破って転落。そのまま頭を打って死んでしまいました。

その後、マリーはボーンとの口論の末、どこも安全ではないのなら彼と一緒にいた方が良いと考え、このまま一緒に逃げ続ける道を選びました。

以下、『ボーン・アイデンティティー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ボーン・アイデンティティー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

その直後、ボーンが運転する赤いミニは、自分たちを捕まえようとするパトカーや白バイと激しいカーチェイスを繰り広げていきます。

激しいカーチェイスを繰り広げた末、何とか警察の追跡を振り切り逃げのびたボーンたちは、車内にある荷物全て持ち、指紋を拭き取った上で赤いミニを乗り捨てることにしました。

近くのホテルで一夜を明かしたボーンたちは、ケインの滞在記録を調べるべく、ホテル・レジーナへ向かいます。

ホテル・レジーナに到着後、表立って動けないボーンに変わって、警察に見つからないよう髪型を変えたマリーが、客を装ってホテル・レジーナへ入って情報収集を行うことに。

マリーはただロビーにいた店員に笑いかけ、「ケインの秘書」だと言って領収書をゲットしてみせます。予想以上の働きを見せたマリーに、ボーンは驚きました。

一方その頃、アメリカ・ヴァージニア州にあるCIA本部に「自分はCIAの者に暗殺されかけた。家族にも危害が及んだため、CIAの暴露本の出版する」という、権力の座を追われパリに亡命した男ウォンボシからの脅迫メッセージが届きます。

CIA長官ワード・アボットは、部下のアレクサンダー・コンクリンと「踏み石作戦(トレッドストーン)」を話した際、ウォンボシの名前が挙がったことを思い出し、彼に真偽の沙汰を確かめさせます。

アボットはウォンボシの暗殺に失敗したCIA工作員が、アメリカ領事館で騒動を起こし逃亡したことを管理委員会に知られたら、来年度の予算に影響を及ぼすどころか、工作員を始末し損なえば破滅すると焦燥感に駆られていたからです。

アボットだけでなく、このままでは自分も破滅すると危惧したコンクリンは、部下ダニー・ゾーンらCIA捜査官と共に、総力をあげて2週間連絡が途絶えてしまった工作員の捜索を開始。同時に、バルセロナ・ハンブルグ・ローマにそれぞれいる3人の刺客を放ち、工作員を内々に始末しようとします。

しかし1人目の刺客カステルがやられてしまい、計画は変更。コンクリンたちはパリの調査員ニコレット“ニッキー”・パーソンズに頼み、カステルの死体を替え玉に使ってウォンボシに「暗殺しに来た工作員は死んだ」と見せかけようとします。

ところが、パリの死体保管所で替え玉の死体を見たウォンボシは、その死体が「射殺体」ではないことから工作員ではないとすぐに気づき、ますます激怒。CIAと工作員への報復心をさらに高めます。

ニッキーからその報告を受けたコンクリンたちは、こうなったらウォンボシ本人を黙らせるしかないと考え、2人目の刺客である教授と呼ばれた暗殺者を、パリの家にいるウォンボシの元へ派遣。狙撃銃で暗殺させました。

アボットにこのことを追及された際、コンクリンは「工作員が汚名返上のため、再びウォンボシを暗殺しに行き、成功させた」と嘘をつきました。

一方ボーンは、公衆電話を使って領収書に書かれた番号がどこのものか調べた結果、「アライアンス警備船舶部門(ASM)」という会社にケインが関わっていたことを掴みます。

ASMの担当者に会いに行ったボーンは、彼から「ケイン」と呼ばれたことを受け、自分はボーンであると同時に、ケインという人物でもあることを知りました。

なら、事故死したケインとは一体誰なのか。その謎を解明するべく、ボーンたちはパリの死体保管所へ向かうことにしました。

ボーンが死体保管所の係員を買収し、ケインだという死体を見せてもらおうとしましたが、ケインの弟が遺体を引き取った後だったため、中身は空っぽでした。

死体保管所に来た人が遺体を確認する際、必ず署名しているという記録があると、死体保管所の所長から聞いたボーン。ケインの死体を確認しに来た人物が書かれたページだけ破き、死体保管所を後にします。

その記録を確認したボーンは、ウォンボシがケインの死体と対面したことを知ります。ウォンボシは、ASMのパンフレットにも載っていました。

ウォンボシなら何か知っているかもしれないと考え、ボーンたちは彼の家へ向かいましたが、地元警察が来て家の前が騒然としている様子から、ウォンボシが殺されたのだと悟ります。

ボーンたちが、ウォンボシの死が報じられたフランスの新聞紙を読んでみると「ウォンボシは3週間前にもマルセイユ沖で、彼のヨットに忍び込んだ賊に襲われたが、賊の背中に2発銃弾を撃ち込み撃退した」と書かれていました。


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

自分はウォンボシを暗殺しようとした殺し屋であったことを知ったボーン。その後、ボーンたちが戻ったホテルは既に警察に嗅ぎつけられてしまい、厳戒態勢が敷かれていました。

ホテルから離れた後、ボーンはこれからは警察の他に、ウォンボシを殺した者たちも追い続けてくると直感し、マリーにこう言いました。

「どこへでも君を送り届ける。そして僕は、君の前から消える」「パリにいたら僕ら2人とも殺されてしまう」

その後、マリーはパリ郊外の高速道路のサービス・エリアにある公衆電話を使って、唯一の身寄りである祖母と義弟に電話をかけましたが、一向につながりません。

ボーンたちはリオンの近くにある、マリーの知人男性イーモンの別荘へ向かいます。そこへ偶然子供と飼い犬を連れて来ていた彼に頼み込み、匿ってもらうことにしました。

しかし翌朝、いつもなら朝飯の時間になると飛び込んでくるというイーモン一家の飼い犬が、どこを探しても見当たりません。

ボーンはこの別荘に危険が迫っていると察知し、マリーと一緒にイーモンを説得し、3人は地下室に避難しているよう促します。

マリーを調べ、彼女が使った公衆電話の通話記録を洗ったコンクリンたちは、ボーンたちの居場所を特定。ニッキーを介して、教授にボーンの暗殺を命じます。

ボーンが別荘で見つけた銃と薬莢を手に、別荘を出た直後、離れた場所で監視していた教授が狙撃を開始。雪山を駆け下り、草が生い茂る草むらで、ボーンと対峙します。

草むらに隠れてボーンを迎え撃つはずが、逆に誘き寄せられていたことに気づかず、教授はボーンに迎撃する暇もなく、左肩と腹に2発銃弾を撃ち込まれてしまいました。

瀕死状態に陥った教授は死の間際、「トレッドストーンのせいで、酷い頭痛に襲われる」とボーンに言い、息を引き取りました。

教授を撃退したボーンは、荷物をまとめたイーモンたち親子が乗る車の前で待っていたマリーに、3万ドル抜き取った赤い鞄を渡し、逃げるよう説得します。

「奴らはどこまでも僕を追ってくる。僕のそばにいると危険だから、このまま彼らと一緒に逃げて、安全な場所で身を隠していた方が良い」「僕はこれから、奴らと決着をつけてくる」

マリーは葛藤の末、イーモンたちと逃げる道を選び、ボーンと別れました。その後、別荘に戻ったボーンは、教授が持っていた鞄から、教授の携帯を発見。

ボーンが試しに着信記録に残された番号にかけてみると、それはコンクリンたちがいるCIA本部につながりました。

「そっちが送り込んだ奴は死んだ、(何故僕の命を狙うのか)話すんだ」というボーンの問いに対し、電話に出たコンクリンはこう答えます。

「ジェイソン、君に残された選択肢は2つ。君が出てくるか、このまま最後までやるのか」「君はどうしたい?マリーと相談して決めるか?」

ボーンはマリーの安全を考え、「彼女は死んだ」と嘘をつきます。そして、自分がCIA工作員であり、ウォンボシの暗殺に失敗した自分をCIAが始末しようとしていることを、ボーンはコンクリンとの会話で察したのでしょう。

「今日の午後5時半、パリのセーヌ河の橋ポンヌフに来い。誰も連れて来るな」「橋の上で上着を脱ぎ、僕からの電話を待て」とコンクリンに言い、ボーンは電話を切りました。

コンクリンはすぐさまパリへ向かい、現地の調査員たちと合流。5分前に橋に到着し、離れた場所で現地の調査員たちを待機させつつ、決着をつけるためにボーンからの連絡を待ちます。

しかし、橋を見下ろせる建物の上にいたボーンが、コンクリンとその近くに調査員が複数人いることを確認したため、橋の上で決着とはいきませんでした。

代わりにコンクリンは、パリのトレッドストーン支部の閉鎖をニッキーに頼み、それと並行して別の調査員を介して、ハンブルグにいるマンハイムという暗殺者に指示を出しました。

この間、ボーンは橋の近くから立ち去る際、コンクリンたちが乗ってきたワゴン車の車体下に発信機を取りつけ、GPSで彼らの居場所を特定。トレッドストーン支部前にいるコンクリンたちを監視します。

その日の夜。トレッドストーン支部の閉鎖準備に急ぐコンクリンたちは、支部の周辺や支部内で相次いで警報が鳴り響き、挙句の果てに停電し通信が切られていることに違和感を感じました。

その隙に外から支部へ侵入したボーンは、コンクリンの背後につき、銃を捨てるよう命じます。

トレッドストーンが何なのか、自分は一体何者なのか問い質すボーンに対し、コンクリンはこう言いました。

「米国政府が3,000万ドルかけて育て上げた人間兵器だ」「ウォンボシをただ殺すだけなら、ニッキーたち調査員にもできる」

「3週間前に消すはずだった。何の痕跡も残さず、“身内に裏切られて、ウォンボシは殺されてしまった”という筋書きを作るための工作が、お前に課した任務だった」

「お前はケインだと名乗り、警備会社を利用して、ウォンボシの船に潜入。そしてウォンボシを殺すはずだった」

「お前が船の乗組員から燃料まで調べ上げ、決行の日時を決めた」「5日間船内に身を隠し、間違いなく任務を遂行するはずだった」

そう話すコンクリンの言葉から、失った記憶を取り戻していくボーン。ウォンボシ暗殺任務を遂行するはずだった彼は、ウォンボシのそばに子供がいるのに気づき、ウォンボシの暗殺を躊躇してしまったせいで返り討ちに遭ったことを思い出しました。

記憶を取り戻したボーンは「ジェイソン・ボーンは溺死したと報告しろ。これ以上追ってくれば、気配だけで死の一撃を食らわしてやる」とコンクリンを脅迫します。

コンクリンを昏倒させた直後、彼の危機を察知した現場の調査員たちが襲来。気配だけで襲撃を悟ったボーンは、身体能力の高さを活かし、次々と撃退していきます。

コンクリンが意識を取り戻した時には、すでにボーンの姿は消えていました。コンクリンは傷を負いながら、それでもボーンを追いかけようとしましたが、サイレンサー付きの銃を携えたマンハイムが待ち構えており、有無を言わさず殺されてしまいます。

実はアボットは、ダニーにマンハイムを使って、コンクリンを始末するよう命じていたのです。

後日。アボットはダニーを伴い、米国政府にこう説明しました。

「トレッドストーンは終了しました」「訓練プログラムとして開発・実施されたのですが、正直言って効果の割りに費用がかかりすぎていることが判明しました」

「次のプロジェクトは国防総省との連携で実施する、黒バラ作戦です。その結果は保証します」

その頃ボーンは、マリーが沿岸に開いたレンタルスクーター屋を訪れ、マリーと再会。2人は晴れて結ばれました。

映画『ボーン・アイデンティティー』の感想と評価


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

孤軍奮闘するCIA工作員

突如2週間前までの記憶を失ってしまったCIA工作員ジェイソン・ボーンは、まず自分が何者であるか知るため、失くした記憶を取り戻す旅に出ます。

CIA工作員が任務遂行しようとする姿から物語が始まるのではなく、まずは自分を知るところから始めるという、従来のスパイ映画にはない設定がとても新鮮で面白いです。

また、任務遂行のためのサポートとしているはずの味方が、ボーンにはいません。なのでボーンは、自分が何者か分かっていない上に、自分の命を狙う者と戦わねばならないのです。

たとえ頭では覚えていなくても自然と反応する体を使って、ボーンが追ってくるパリ警察の追跡を躱しつつ、次々と現れる暗殺者たちと戦うアクション場面は、ハラハラドキドキするスリルが終始味わえます。

ボーンの命を狙うCIAの目的


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

失くした記憶を取り戻そうとするボーンの命を狙う暗殺者たち。彼らを差し向けているのはCIA長官アボットの部下コンクリンです。

コンクリンたちが話す「踏み石作戦(トレッドストーン)」とは、おそらくコンクリンが言う、米国政府が3,000万ドルかけて開発・育成した人間兵器のこと、その人間兵器の実用試験のことを指すのでしょう。

本来米国政府の、ひいてはCIAの武器となるべく訓練されたCIA工作員であるボーンは、彼らの武器としてウォンボシを排除しなければならなかったのです。

ただそれが失敗してしまったことで、ウォンボシに脅迫され危機に陥ったCIAは、ボーンもろともウォンボシ暗殺という事実を隠蔽するべく、ボーンに同じ人間兵器である暗殺者たちを送り込みました。

ですが物語の終盤、コンクリンはマンハイムに殺されてしまうのです。

チューリヒやパリでいくつもの失敗を重ねたコンクリンもまた、アボットにとっては処分の対象であり、作戦の範囲内であることが、「作戦終了だ」と告げた彼のセリフから考察できます。

まとめ


(C) 2002 Universal Studios – All Rights Reserved

記憶を失くしたCIA工作員が、失くした記憶を取り戻す旅をしつつ、次々と現れる暗殺者たちを撃退していくアメリカのサスペンス作品でした。

旅の途中、偶然アメリカ領事館にいたマリーと出会い、逃亡生活中に愛を育んでいったボーンが、最後に彼女と感動の再会を遂げる場面は感動します。

またボーンを始末しようと動いていたコンクリンが、味方に裏切られて最後殺されるなんていうまさかのオチはとても衝撃的で、物語を最初から最後まで観ている人でも予想できなかった展開でしょう。

最後まで格好良いボーンを演じたマット・デイモンが、続編である第2作『ボーン・スプレマシー』(2004)ではどんなジェイソン・ボーンを演じ、どんなアクションを魅せてくれるのか楽しみです。

記憶を失くしたCIA工作員が、彼らの武器となるよう訓練されたCIAと戦いながら、失くした記憶を取り戻していくサスペンス映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。






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