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映画『キラーマンKILLERMAN 』ネタバレ感想と考察評価。記憶を無くした男が警察とマフィアに仁義なき戦いを挑む|未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録18

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第18回

様々な事情で日本劇場公開が危ぶまれた、埋もれかけた貴重な映画を紹介する、劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第18回で紹介するのは『KILLERMAN キラーマン』。

ギャング、マフィア、汚職警官…裏社会を舞台にした映画は数多くあります。今回の登場人物は、裏社会の資金洗浄屋。確かな仕事で組織からの信用を得ていました。

しかし彼は危険な取引に巻き込まれ、その際の事故で記憶を失いました。果たして彼は、犯罪組織と警察を敵に回した状況から逃れることができるのか。

本格的なハードボイルド・クライムアクション映画の登場です。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020延長戦見破録』記事一覧はこちら

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映画『KILLERMAN キラーマン』の作品情報


(C)2019 Killerman Productions LLC.

【日本公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
Killerman

【監督・脚本・出演】
マリク・ベイダー

【キャスト】
リアム・ヘムズワース、エモリー・コーエン、ズラッコ・ブリッチ、スラージ・シャルマ、ダイアン・ゲレーロ、ニコラ・シュレリ

【作品概要】
クリス・ヘムズワースの弟で、『ハンガー・ゲーム』(2012)シリーズや『インデペンデンスデイ:リサージェンス』(2016)、『ある決闘 セントヘレナの掟』(2016)に出演した、リアム・ヘムズワースが主演の犯罪バイオレンスアクション映画。

監督・脚本は、本作に出演しているニコラ・シュレリと共に製作した映画、『ブラッディ・ホステージ』(2015)で高い評価を得たマリク・ベイダーです。

共演は『ある決闘 セントヘレナの掟』や「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】」上映作品『ウルフ・アワー』のエモリー・コーエン。ニコラス・ウィンディング・レフン監督とマッツ・ミケルセンの名を高めた『プッシャー』(1996)シリーズの、ズラッコ・ブリッチが貫禄ある姿を見せています。

映画『KILLERMAN キラーマン』のあらすじとネタバレ


(C)2019 Killerman Productions LLC.

麻薬ディーラーたちは取引で得た多額の現金、それは重量に換算しても厖大な量になります。それを司法機関に追跡されないよう、どう取り扱うか苦労していました。

かつて、アメリカのディック・ソーンバーグ司法長官は語っていました。

ニューヨークの繁華街で、小さな宝石店を構えるモー・ダイヤモンド(リアム・ヘムズワース)の前に、車で乗りつけた男が現れます。男は箱を持って来ました。

モーはその箱を受け取ります。箱の中には大量の札束が入っていました。モーと男はこの取引に慣れている様子です。

男が帰ると、モーは貴金属の取引所に行き、現金を金の延べ棒に変えました。それを別の店で現金に換え、また異なる店で金塊に換えるモー。

モーはNYの貴金属や宝石を扱う店が集まる、通称「ダイヤモンド街」でこの行為を繰り返します。彼は裏社会の資金洗浄屋でした。

最終的に何枚かの小切手に換えた金を手に、モーは車に乗り込みます。そこには相棒のボビー・サントス、通称スカンク(エモリー・コーエン)が待っていました。

モーは彼に小切手を渡しますが、スカンクは自分たちの行為に、何の意味があるのだと疑問を口にします。組織に任された仕事であり、果たすのが唯一の道だと告げるモー。

モーとスカンクは、とあるビルの屋上に現れます。そこにはスカンクの叔父で、マフィアのボスのペリコ(ズラッコ・ブリッチ)がいます。

叔父と抱き合って挨拶を交わすスカンク。ペリコはこのビルを、フリード議員に裏で手を回し、合法的に手に入れようと動いていました。

スカンクは叔父に小切手を渡しました。それを受け取り、モーに1日の洗浄できる額は200万ドルだな、と確認するペリコ。

依頼通り2週間の内に、2000万ドルを洗浄すると告げるモー。これは俺の能力と信用を試すテストですね、と確認するモーの落ち着いた態度に、ペリコは満足気な表情を見せます。

モーはスカンクに受け渡しの手順を説明させますが、資金の洗浄など使い走りの仕事に過ぎないと、軽んじた態度を見せるスカンク。

そんな甥をペリコは叱りつけました。その場から立ち去ると、スカンクは叔父への不満をモーにぶつけました。モーはそんな相棒をなだめます。

後日。ペリコの元にFBIの内通者、マニング捜査官から、捜査機関が動いているので、全ての取引を中止しろと告げる連絡が入りました。

今日も資金洗浄していたモーとスカンクの元に、ペリコから電話が入ります。叔父と隠語で会話したスカンクは、今日の寄り引きは中止だとモーに告げます。

スカンクはモーに明日まで作業を中止し、金は一時的に保管するよう命じられたと伝えます。理由も言わず仕事の邪魔だけすると、ボスへの不満を口にするスカンク。

結局叔父は自分を信用していない、とぼやく相棒をモーはなだめます。

2人の手元には明日まで多額の現金が残ります。するとスカンクが、この金で麻薬の取引を行い、利益を得ようと提案しました。

ボスの金に許可なく手を付ければ、自分まで大変なことになるとモーは止めます。しかし安全な取引で、相場の半値でコカインが手に入ると、スカンクは熱心に説得します。

リスクに見合う価値は無い、パートナーは互いに意見して、忠告に耳を傾けるべきだと意見するモー。お前こそオフの時は連絡がとれず、相棒にプライベートを隠していると指摘するスカンク。

お前には他のビジネスもあるんだろう、自分も1人で動きたいとスカンクは強く主張しました。

スカンクは自分はボスの甥という理由で、重要でない仕事を与えられたと考え、引け目と不満を持っていました。彼は叔父や仲間を見返す取引がしたいのです。

言い出したら聞かない相棒の性格を知るモーは、最後は渋々取引を承知しました。

スカンクが取引相手に電話すると、モーも電話をかけました。相手の女に今日は行けなくなったと告げます。こんな生活がいつまで続くの、と不満をもらす相手に謝ったモー。

モーとスカンクが乗った車は、とある酒屋に現れます。その姿を停めた車の中から見守る男の姿がありました。酒屋の男がスカンクに声をかけてきます。

その男フェデックス(スラージ・シャルマ)が、ドラックの取引を計画していた人物でした。相手はナイジェリア系ギャングのディボだと教えるフェデックス。

フェデックスは自分で取引するつもりですが、スカンクとモーはそれを諦めさせ、自分たちが取引すると告げました。ギャング相手の取引は彼の父と店を、危険に晒すと警告します。

利益の10%を渡すので、後は自分たちに任せろと告げる2人。フェデックスは不満を言いますが、スカンクは取引が終われば、何があっても今夜午前2時にクラブで会おうと取り決めます。

渋々承知し、取引相手を示すメモを書いた、紙マッチをモーに渡すフェデックス。

取引場所には多くのギャングがいました。相手の数が多いと心配するモーに、仲介したフェデックスも取引相手のディボも、知る仲だと告げ安心させるスカンク。

ディボの姿を確認すると、取引を開始する2人。カバンに詰めたコカインと現金が出された時、1台の車が現れます。

車から銃を持った刑事が現れました。それはフェデックスの店の前にいた男です。モーとスカンクは身を隠し、ナイジェリア系のギャングたちは手を上げました。

ギャングたちを立ち去らせる刑事。麻薬と金は置かれたままです。レオン刑事(ニコラ・シュレリ)とマルティネス刑事(マリク・ベイダー)は、2人に出てこいと叫びます。

ギャングたちを捕えず、応援の警官も現れません。これは汚職警官の罠だと見抜くモー。さらに隠れていた2人の刑事が現れますが、彼らに突然銃弾が浴びせられました。

それは2人が援護を頼んだ、仲間のスズキによる狙撃でした。慌てて身を隠す汚職警官たち。その隙にコカインと金のカバンを回収し、車に乗り込むモーとスカンク。

車を出すと2人はカバンをスズキの車に詰め替え、逃走を続けます。車の中でフェデックスに電話し罠だと告げ、後は2時に例の場所で話すと叫ぶスカンク。

刑事の車が追ってきます。細い路地を走り追手を撒きましたが、モーは現れた車を避けようとして事故を起こします。

傷付きながらも、何とか車を抜け出したスカンクは、重傷のモーを車から出し共に逃げます。彼らを4人の汚職刑事が追ってきました。

スズキの車が現れ2人を乗せました。モーの容態は悪く、車を病院に向かわせるスカンク。

警察署に戻ったレオン刑事は、不正行為を知る上司に得るはずの金どころか、コカインまで失ったと報告します。

彼らは押収した麻薬を使い、息のかかったギャングに取引をさせ、相手が用意した金を検挙を装い、奪い盗る計画を立てていました。しかし相手に金どころか麻薬まで奪われました。

不正に持ち出した押収品の麻薬を回収しないと、我々は破滅だと言い、月曜までに探しだせとレオンに告げた上司。

治療を受けたモーの前で、スカンクは相棒の容態を訊ねます。重い脳震盪を起し、MRIで異常は無いが、より精密な検査が必要だと聞かされます。

事情を聞きに警官が現れると知り、スカンクはもうろうとした状態のモーを強引に抱えると、病院から逃げました。

車に乗せられたモーは混乱状態で、激しい頭の痛みを訴えます。やむなく息のかかった中絶専門医の元に連れて行くスカンク。

医師はモーが事故の前の、多くの記憶を失ったと告げます。専門外だが親しい人物や見知った場所を見せれば、記憶が甦る可能性があると教えます。

ホテルの一室でモーに金と奪ったドラッグを見せ、これで俺たちは殺されかけ、事故になったと説明するスカンク。しかし記憶は戻らず、自分は麻薬ディーラーかと聞くモー。

記憶は回復せず、信じがたい事実を告げられ混乱するモーに、スカンクは自分は友人で、お前の助けを必要としていると訴えました。

まもなく午前2時になるので、待ち合わせのクラブに行くと言うスカンクに、自分の家に戻りたいと告げるモー。スカンクは敵が張り込んでいると拒否します。

フェデックスに会わねばならない、自分を信用してくれと告げ、彼に銃を渡すスカンク。銃をスカンクに突きつけ、お前は誰だと叫んだモー。

スカンクは俺は、お前の親友だと叫びます。モーは銃で窓ガラスを撃ちました。警官を呼ばれるぞと言われ、モーは落ち着きを取り戻します。

自分たちはギャングのボスである俺の叔父と、汚職警官から逃げてるとモーに告げるスカンク。お前は狂っていない、お前の不安感は間違いなく本物だと語ります。

レオン刑事たちは、本来の取引相手であったフェデックスの酒屋に現れます。現れた父親に、今日息子さんは麻薬の取引現場におらず、殺されず運が良かったと告げるレオン。

現れたフェデックスの目前で、父親を射殺するレオン。彼はコカインを奪った相手を聞き出そうと、フェデックスを殴りつけました。

モーとスカンクは、フェデックスと約束したクラブに入ります。そこはまだ後遺症が残るモーには、激しい音と光が渦巻く悪夢のような場所でした。

仲間のスズキも待っていましたが、モーは彼も覚えていません。スカンクから彼が記憶を失ったと聞かされ、驚くスズキ。

モーは自分のポケットの中身を広げます。自分のIDや、取引相手を記したマッチを目にしても記憶は戻りません。

周囲の人間が、どういう人間なのか彼には全く判りません。モーに興味を持った女に声をかけられ、何者か判らないまま関係を持ちます。

フェデックスは現れず、彼らは酒を飲みます。こちらを伺う男に気付き、その後を追うモー。

男をトイレで捕まえ殴り倒すモー。刑事だと明かした男を、彼は殴って気絶させました。

その男は尾行がバレたとレオンに報告します。構わない、追うべき相手の正体が判ったと告げ、まずスズキの身元を確認するレオン。

次の日、スカンクはモーをペリコのアジトに連れていきます。そこにいるギャング仲間をモーに紹介しますが、彼の記憶は戻りません。

記憶の無いモーはギャングたちにからかわれ、争いになりかけます。そこにペリコが現れます。2人は彼の部屋に行きました。

スカンクは叔父であるボスに経緯を説明します。金は動かすなと命じたはずだと、ペリコは激怒し、どう処理するつもりだとスカンクを責めます。

彼がマニング捜査官に確認すると、スカンクとモーに対する令状も指名手配も出ていません。しかしFBIがペリコとフリード議員の関係を、何者かの依頼で調査し始めていると告げました。

お前は私の大きな事業を、軽率な行為で危険の晒した、とスカンクに告げるペリコ。

これは自分の失敗なので、責任を持って処理し迷惑はかけないという甥に、ベリコは金を返してNYから立ち去れ、と言いました。

お前は甥だから面倒を見てきた、と言う組織のボスに、命令に従うと約束するスカンク。彼は車を1台用意してもらうと、モーと共に立ち去ります。

しかしモーの願いで、彼のアパートに向かうことになりました。スカンクの案内で彼のアパートの前に来ますが、何も思い出せないモー。

2人は念のため、銃を用意してアパートに入ります。そこにはモーの恋人、ローラ(ダイアン・ゲレーロ)がいました。

彼女の存在と妊娠を知らなったスカンクは驚きます。何事かと説明を求める彼女に、モーは事故で記憶を失ったと告げるスカンク。事情の呑み込めないローラと言い争いになります。

モーはあなたの生き方を嫌い、私とNYを離れやり直そうとしている、と告げるローラ。そんな話を聞いていなかったスカンクは動揺し、そのやり取りにさらに混乱を深めるモー。

2人に黙ってくれと言うモーに、この仕打ちは酷いと言い、スズキと会って戻るから、それまでに準備しておけと告げて、モーはアパートを後にします。

ローラもモーが記憶を失ったと理解しました。なぜ付き合っているのをスカンクは知らない、と聞くモーに、あなたが私との関係をスカンクに隠したと教えるローラ。

彼らが私を傷つけると思ったから、とローラは言いますが、スカンクは自分を助けてくれたと教えるモー。その彼に、本当に危険なのはペリコだと彼女は告げます。

ペリコはジミーを殺し、次はスカンクを殺すだろう。断片的でよく理解出来なかったが、あなたはそう言ったと教えたローラ。

それを聞いても何も思い出せません。ここに来れば何か判ると思った、それでも思い出せないとモーは呟きます。

モーに自分のお腹を触らせ思い出せないなら、この赤ちゃんを感じて欲しいと言うローラ。モーは泣き出し、2人は抱き合いました。

スズキの前に現れたスカンクの姿を、張り込んだレオン刑事が見ていました。

スカンクがモーのアパートに戻ると、追って来たレオンが彼を殴り倒します。マルティネス刑事がモーの部屋に来ると、逃げるモーとローラに発砲します。

レオンもスカンクを覆面パトカーに押し込め、後を追いました。レストランの調理場に2人は逃げ込み、モーはマルティネスを殴り倒しました。

しかしその際、マルティネスが発砲した銃弾が、ローラに命中します。

以下、『KILLERMAN キラーマン』のネタバレ・結末の記載がございます。『KILLERMAN キラーマン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2019 Killerman Productions LLC.

モーは撃たれたローラを連れタクシーに乗り込み、病院に向かいました。彼女の処置が終わるのを不安げに待つモー。

その頃捕えられたボビーことスカンクは、レオン刑事たちの隠れ家で、闘犬を入れる小さな檻に押し込められていました。

彼の前では同様に監禁されたスズキが、汚職刑事たちに激しい暴行を受けていました。それを怯えながら見つめるスカンク。

手術中のローラの心電図が反応を示さなくなります。それを見て悲嘆に暮れるモーに、ここから去るように告げる看護師。

スカンクに対し、お前のせいで今夜のお楽しみは潰れた、と告げたレオンは、早くコカインのありかと、仲間の居場所を吐けと怒鳴りつけます。

激情に駆られたモーは、銃を手にギャングのボス、ペリコのアジトに乗り込みます。取り押さえられますが、ペリコに会うことは許されました。

金を返せば、私はお前たちに街を出て行くことを許したはずだ、と告げるペリコに、甥のスカンクは取引に乱入した相手に捕えられたと告げるモー。

まだコカインはモーが押えています。相手はスカンクの身元を知れば、自分に取引を持ち掛け、麻薬と甥を引きかえるはずだとペリコは言いました。

自分の恋人と赤ん坊が殺されたと叫ぶモー。復讐を望む彼はペリコに脅されても、自分のやり方でスカンクを取り戻すと言い張ります。

ペリコに銃で脅されても、金とコカインの場所は言わず、自分のやり方を認めろと叫び続けるモー。彼は復讐を望んでいました。

無法な悪徳警官と争うなど、身を滅ぼすだけだと怒鳴るペリコに、マフィアの甥を強引に拉致した連中が、交渉を持ちかけなどしないと訴えるモー。

ペリコはついにモーのやり方を認めます。情報を与える手助けはするが、後は自力で解決し金とコカインを持って来いと言いました。

スカンクの身にも自由を与えろというモーに、それを認めて欲しければ、汚職刑事たちの首を取って来いと告げるペリコ。

モーはフェデックスが持っていた、ナイジェリア系ギャングの連絡先を描いた紙マッチを示し、そのアジトの場所を訊ねます。

ペリコは内通者のマニングFBI捜査官から、ナイジェリア系ギャングのアジトを聞き出します。モーとスカンクを手配する動きは今だ警察にありません。

その情報を元に、彼らのアジトに向かったモー。偽ブランド品が山積にされたその建物に、彼はディボとの取引を装い入って行きます。

密かに建物内に着火剤を撒いたモーは、ディボの姿を確認すると火を放ち、ディボのいる幹部の部屋に乗り込みました。

部屋に鍵をかけ、ディボとボスに直接対決するモー。銃を向けられたボスは汚職警官に脅され、フェデックスを罠にかける取引に、渋々協力したと告白します。

素人から金を巻き上げるつもりが、スカンクとモーが乗り込んで来たと説明するボス。我々は仲間じゃないかと言うボスに、銃弾を浴びせるモー。

レオンとマルティネス刑事は、スカンクの目前でスズキを痛めつけます。怯えるスカンクですが、モーの居場所もコカインの場所も喋りません。

もうこのゲームに飽きた、と告げると、レオンは用意した犬をスズキにけしかけます。彼が噛み殺される姿を、スカンクは見せつけられました。

腕を撃ったボスに悪徳刑事に連絡し、現金があるからあのコカインを買いたいと、取引を持ちかけろと命じるモー。

スカンクに金とコカインのありかを聞くレオン刑事。散々痛めつけた彼に、自分たちはペリコの甥を殺し、余計な恨みを買いたくないとささやきます。

その言葉で心が折れたスカンクは、金と麻薬を置いた部屋を伝えました。

そこにナイジェリア系ギャングから、レオンに電話が入ります。ボスはモーに言われた通り取引を持ちかけ、承知させます。

目的を果たしたモーは、ディボを連れて行こうとします。それを見てナタを掴み襲って来たボスを、射殺するとそのナタを手にしたモー。

マルティネス刑事は口を割ったスカンクを嘲り、檻に閉じ込めました。そしてペリコへの保険が必要だと仲間に告げ、生かしておくよう命じます。

モーはホテルの部屋に戻り、現金だけを手にして戻ります。

その部屋をスカンクから聞き出した、レオンたちもやって来ました。金はありませんが、目的のコカインは回収できました。

取引場所についたモーは、車に残したディボに金を使い、汚職刑事と取引しろと指示します。取引を終えれば自由にしていいと伝えるモー。

彼はその後を付け、復讐を果たすつもりでいました。

そこにレオンが現れます。モーは隠れてその姿を見ていました。ディボにボスはなぜ急に取引を持ちかけた、と訊ねます。

レオンはいきなりディボを射殺します。それはモーの計算外の出来事でした。多額の現金を手に入れ喜んだレオンは、車に積み出て行きました。

モーは車に戻り、ディボの死体を運び出すとその車で後を追います。

レオンを尾行し彼らの隠れ家を突き止め、ナタと拳銃を手に忍び込むモー。

上司にコカインの回収を報告したレノン。あとはコカインを押収品倉庫に戻し、金を山分けし、邪魔者を始末するだけだと仲間に告げます。

レオンはスズキの死体を始末します。マルティネス刑事にスカンクは、言った通り金とコカインがあったか尋ねます。半分しか無かった、と答える刑事。

そしてスカンクに銃を向けます。怯えきった彼の前で銃声が響きました。モーがマルティネスを撃ったのです。

喜んで出してくれと言うスカンクを、モーは制止すると檻の中で死んだふりをしろと言い、刑事の体を片付けます。

様子を見にレオン刑事が現れます。マルティネスを探し、スカンクの死を確認するレオンを、隠れていたモーが撃ちました。

警官は殺せないぞ、とうそぶくレオンにもう1発浴びせ、スカンクが止めるのも聞かず、何度もナタを振り下ろすモー。

マルティネスにもナタを振るうモーの姿を、スカンクは震えながら見ていました。

助け出したスカンクに、彼らはローラを殺したと告げるモー。それを聞いたスカンクは自分のせいだと、心から謝ります。

その頃、FBIにはペリコの組織に関する写真や音声記録が続々届いていました。内通者のマニング捜査官は、ペリコに捜査に手が伸びていると伝えます。

マフィアのアジトには、モーと痛めつけられたスカンクが現れました。彼らはカバンと、黒いビニール袋を持っています。

2人はペリコの部屋に案内されます。モーはボスの机の上にビニール袋を置きます。中身を見て叫び声を上げるペリコ。

中には汚職刑事の、レオンとマルティネスの首が入っていました。自分の言葉を文字通りに受け散る必要は無かったと、ペリコは叫びます。

それでも約束を果たしたモーに、近頃珍しい男だと告げるペリコ。

約束を果たしたので出て行く、と言ったモーを、ペリコの手下が殴り倒します。何をするんだとスカンクは叫びました。

手下がモーを運び出すと、ペリコは抗議する甥のスカンクに、ボビーの名で呼びかけ、彼とモーの会話が録音された音声を聞かせます。

それがある理由が判らず戸惑うスカンク。音声は彼がモーを連れて行った病院に残された、モーのボイスレコーダーを警察が復元したものでした。

モーの正体は我々を潜入捜査をしていた、覆面警官だと告げるペリコ。

お前が友人として紹介した、資金洗浄屋を装った警官により、何百という人間が逮捕されるだろうと語ります。

そしてペリコは、モーの本当の名は、フランク・キラーマンだと告げます。

話が信じられないスカンク。彼は警官の首を斬った、潜入捜査官がそんな事をするはずがないと言いますが、彼は相手が警官だと知らなかったと説明するペリコ。

以前の記憶を失ったまま、自分の子供を殺し、恋人に瀕死の重傷を負わせた相手への復讐を優先したと説明します。

ペリコはローラは死んでいない、確かに奴らに撃たれたが、死んだのはお腹の子供だけだと、スカンクに言いました。

モーが自分に話した事は、全て嘘だったのか、と呟く甥を、相手はお前を刑務所に入れようとした相手だそ、と叱りつけるペリコ。

スカンクに銃を渡すと、ペリコはボビーと彼を名で呼んで、お前は私の息子のような存在だと語りかけます。

しかしお前がモーこと、潜入捜査官のキラーマンを呼び込んでしまった。これを終わらせるのはお前しかいない、と告げました。

スカンクはモーが助けに来なかったら、自分は殺されていたと力なく語ります。それでも自分が1人で彼を始末すると言うスカンク。

ペリコはそれを認め、モーを部屋に連れて来させてひざまづかせます。

モーに銃を向けるスカンクに対し、お前は何をしていると怒鳴るモー。

そしてスカンクは叫びながら、ペリコの手下たちと、そして自分の叔父である組織のボス、ペリコを撃ち殺しました。

何があった、と説明を求めるモーに、お前を殺せと言われたと答えるスカンク。

モーは自分がいない間、どんな話をしていたと訊ねます。スカンクはお前より組織を選べと説得されていたと言いました。

しかし全ては終わり、自分たちが残ったと告げるスカンク。

モーとスカンクは金とコカインの入ったカバンを持ち、部屋を後にします。カバンを車に積み込むと、2人は出発します。

運転するモーの隣に、スカンクが座っています。2人は何も語りません。

車はNYの、マンハッタン島にかかる橋を渡って行きました。

2014年10月23日、フランク・キラーマンと、スカンクことボビー・サントスは姿を消しました。その後モー・ダイヤモンドが、記憶を取り戻したのかは、定かでありません。

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映画『KILLERMAN キラーマン』の感想と評価

参考映像:『ブラッディ・ホステージ』(2015)

潜入捜査官は犯罪映画の人気テーマです。古くはスパイ映画に登場する「二重スパイ」の方がお馴染みでしたが、クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(1992)が、改めてこのテーマの面白さを世に認識させました。

ジョニー・デップとアル・パチーノ出演の、実話を元にした映画『フェイク』(1997)も生まれますが、香港映画『インファナル・アフェア』(2002)は人気に火を付けた感があります。

『インファナル・アフェア』はシリーズ3部作化され、マーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』(2006)としてハリウッドリメイクを果たし、世界的ブームを起こします。

その一方で、冷戦時代のスパイ物や荒唐無稽な忍者物でも、こんな大がかりな手段で潜入しないだろう、と言いたくなるようなトンデモ設定の作品も数々生まれました。

さて、新たに登場した映画『KILLERMAN キラーマン』の潜入捜査の描写はリアルですが、巻き起こる人間ドラマの方では、フィクションの面白さを追求した犯罪アクションです。

本作の監督・脚本、そして出演のマリク・ベイダー。彼と汚職警官コンビを組んだニコラ・シュレリは、監督の前作『ブラッディ・ホステージ』の脚本を書き、主演を務めました。

『ブラッディ・ホステージ』の印象的なシーンが、幾つか本作で再現されていますから、両作品に強い関連性があるのは明白です。

マリク・ベイダーとニコラ・シュレリは、クエンティン・タランティーノ的な映画作りを試みました。そう考えると本作の『レザボア・ドッグス』的な部分に、納得がいくでしょう。

映画が生んだ2人の協力関係


(C)2019 Killerman Productions LLC.

マリク・ベイダーは2006年、ドキュメンタリー風の犯罪映画『Street Thief』を監督し、様々な映画祭で受賞した高い評価を得ました。

そして『Street Thief』を見て感銘を受けたニコラ・シュレリが、自ら執筆した脚本を彼に送ります。それまで面識の無かった2人の関係は、この時から始まります。

その後1年に渡り、脚本を送りあい練り直した末に、監督は「予算は4千万ドルでも、2ドルと酒1本でもいいから、これを映画化しよう」と思わず口を滑らせます。

するとニコラ・シュレリは、「だったら自分は2ドルと酒1本を持っているから、撮影を始めよう」と提案します。こうして『ブラッディ・ホステージ』の製作が始まりました。

監督のリアルなタッチと、アルバニア系移民のニコラ・シュレリの実体験を反映した脚本が生んだ作品が『ブラッディ・ホステージ』になります。

この作品が『KILLERMAN キラーマン』を生むきっかけとなり、2人は汚職刑事コンビで出演を遂げました。何とも熱い、映画に賭ける男たちの物語です。

任侠映画的な男のドラマ


(C)2019 Killerman Productions LLC.

ハードボイルトな映画である本作は、映像も硬質なタッチで描かれました。

撮影監督は『デッドプール』(2016)、『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)のケン・セング。彼は本作に製作にも参加していますから、相当意気込んで作り上げた映像でしょう。

映像の力でも盛り上げてくれる『KILLERMAN キラーマン』ですが、物語もまたノワール映画ファンをツボを、大いに刺激してくれます。

日本の任侠映画に限らず、世界のノワール映画は男同士の友情を描きます。それは潜入捜査物では多くの場合、友情や恩をとるか、任務に従って裏切るかの、葛藤として描かれます。

『レザボア・ドッグス』は将にそれを描いた映画で、騙す側と騙される側の歳が離れた『フェィク』では、それが疑似的な親子関係となり、葛藤を深めました。

さて、本作ではその関係が、デキる男前な人物リアム・ヘムズワースと、容姿も性格も情けないエモリー・コーエンの間に築かれます。

これが何とも、プラトニックなホモセクシャルの香りを漂わせています。こういった人間関係は、日本の任侠映画にも数多く見られた特徴です。

任侠映画や犯罪映画は、男たちの濃厚な愛憎劇である。だから面白いんです。本作のドラマ部分は、その性格を前面に出した言えるでしょう。

まとめ


(C)2019 Killerman Productions LLC.

ハードボイルドなタッチでリアルに描いた、男の愛憎劇を見せる『KILLERMAN キラーマン』。クライムアクション映画好きは無論、任侠映画やVシネマのファンのハートにも響く作品です。

主人公はリアム・ヘムズワースですが、物語が進むにつれ、ヘタレながらも裏社会で粋がっていた、エモリー・コーエンの描写に重きが増していきます。

ヘタレキャラ、と聞くとアニメの専売特許のようですが、東映任侠映画にも川谷拓三のような、その役柄を演じ愛された名脇役がいました。

多くの場合アニメのヘタレキャラは、本気を出す、覚醒するといったチャンスを与えられますが、映画の中のヘタレキャラは現実同様、最後までその姿のまま消えていきます。

そんなヘタレな男が見せる美学に、ロマンを感じる方は必見です。カッコ良くない姿だからこそ、カッコいい。それを描いた映画が『KILLERMAN キラーマン』です。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」は…


(C)2020 by Vibe Productions LLC. All Rights Reserved

次回の第19回は、保守的なキリスト教系高校に通う女子高生が、エッチに目覚める!青春コメディ『ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書』を紹介いたします。お楽しみに。

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連載コラム「銀幕の月光遊戯」第79回 2021年・第93回アカデミー賞で見事脚本賞に輝いた映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』が、2021年7月16日(金)より全国公開されます。また、7月9日(金) …

連載コラム

ネタバレ感想『トラウマゲーム 恐怖体験アトラクション』西村喜廣が参加のハイテンションホラーを解説|未体験ゾーンの映画たち2019見破録14

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第14回 ヒューマントラストシネマ渋谷で絶賛開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。ジャンルと国籍を問わない貴重な映画計58本が …

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『ザ・ファイブ・ブラッズ』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。スパイクリーがベトナム戦争を背景に人権問題を描く|Netflix映画おすすめ2

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第2回 ベトナム戦争を背景にスパイク・リーがアフリカ系アメリカ人に対して繰り返される暴力、差別を描くNetflixオリジナル映画『ザ・ファイ …

連載コラム

映画『エル・チカーノ』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。レジェンド・オブ・ストリート・ヒーローが悪を討つ|未体験ゾーンの映画たち2020見破録41

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第41回 「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第41回で紹介するのは、LAの街を支配するギャングに挑む、覆面ヒーローを描くアクション映画『エル・ …

連載コラム

映画『友達やめた。』感想評価と考察解説レビュー。コミュニケーションの壁を乗り越える心の越境ドキュメンタリー|だからドキュメンタリー映画は面白い53

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第53回 友達って、ハンディキャップって、コミュニケーションって何? 今回取り上げるのは、2020年9月19日(土)より新宿K’s cinemaほか全国 …

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CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
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映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
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アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
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