Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2024/11/02
Update

【ネタバレ】スマホを落としただけなのに3最終章|あらすじ感想評価と結末考察。ラストが衝撃的すぎる伏線をむかえシリーズ終焉とは⁉︎

  • Writer :
  • 糸魚川悟

韓国に逃げ延びた連続殺人鬼が巻き起こす「最後の事件」

あらゆる分野でデジタル化が進む昨今では、常に持ち歩く「スマートフォン」は生活の要であると同時に持ち主の人生の大部分が詰まったものとなっています。

そんなスマートフォンを落としたことから自分のあらゆる情報が流出し、やがて自身の命も脅かされていく恐怖を描いた志駕晃の小説「スマホを落としただけなのに」はシリーズ累計発行部数100万部を突破するヒットを記録しました。

今回は映像化でも大人気シリーズとなった「スマホを落としただけなのに」シリーズの最終章となる映画『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』(2024)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

映画『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』の作品情報


(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

【公開】
2024年(日本映画)

【監督】
中田秀夫

【脚本】
大石哲也

【キャスト】
成田凌、クォン・ウンビ、千葉雄大、井浦新、田中圭、白石麻衣、原田泰造、大谷亮平、佐野史郎、真飛聖、猪塚健太、髙石あかり

【作品概要】
志駕晃による小説を『リング』(1998)で知られる中田秀夫が映像化した「スマホを落としただけなのに」シリーズの3作目に当たる作品。

カツベン!』(2019)や『くれなずめ』(2021)で主演を務めた成田凌がシリーズの顔でもある連続殺人鬼・浦野善治をを引き続き演じるなど、シリーズに出演してきた多くのキャストが本シリーズに再出演を果たしました。

映画『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』のあらすじとネタバレ


(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

内閣サイバーセキュリティ室に出向となった刑事の加賀谷は神奈川県警を訪れていました。

先輩刑事の毒島が捜査していたのは、清掃の仕事をする男性が一方的に好意を寄せていた女性に恋人がいると知ったことで激高し殺害に及んだ事件であり、加賀谷は犯人の男が使った「Wi-Fiを内臓した充電ケーブルと既存の充電ケーブルをすり替え」ストーカー行為に及んでいたと言う手口に興味を寄せていました。

犯人の男は連続殺人鬼・浦野善治がダークウェブ上でサイバー犯罪の手口を広めていると話し、浦野を目の前で逃がしてしまった日から彼の逮捕に信念を燃やしている加賀谷は浦野が再び動き出していると感じます。

一方、韓国に身を潜める浦野は韓国の反政府組織「ムグンファ」に身柄を捕らわれ、幹部のキムから日韓首脳会談の阻止と韓国大統領の殺害を依頼されていました。

韓国をアジアの中心にすると言う心情を持つ「ムグンファ」にとって他国との協力姿勢を見せる大統領は邪魔な存在であるとキムは語り、浦野は「ある人物」の紹介を対価としてキムの依頼を引き受けることに決めます。

浦野を信用していないキムは部下のスミンを浦野の目付け役とすることで浦野の行動をコントロールしようと考えます。

キムの考えは既に浦野に読まれており、浦野はスミンの言動を無視する一方で過去の事件で一目惚れした富田麻美に未だに強く執着しており、浦野がキムに求めた「ある人物」とは人間を剝製にする技術を持った「剝製師」のチョンでした。

日韓首脳会談の会場の下見が行われる日、突然「Jアラート」が首都圏に鳴り響き、発射場所不明の弾道ミサイルが東京に向かって発射されたと発表されます。

着弾予想場所は日韓首脳会談の会場であり、各庁のエリートが集められたサイバーセキュリティ室の室長・窪田は即座に情報収集を命じますが、ミサイルが会場に着弾したと言う報道と映像が報道されてしまいます。

映像を見た加賀谷は、旗が風で流れる方向と会場から出る煙の流れる方向の違いから、即座に「フェイク動画」であること見抜き、会場の警備を行う公安警察の兵藤と連絡を取り会場の無事を確認。

韓国で自身の起こした騒ぎの報道を見た浦野は、自身が想ったより早く騒動が収まったことから、サイバーセキュリティ室に加賀谷がいることを知ります。

スミンを使いキムのスマホを乗っ取った浦野はキムのスマホのやり取りから、「バタフライ」と名乗る人物がキムに日韓首脳会談の情報を流していることを知り、国際メール便を使い加賀谷に「裏切り者がいる」と警告しました。

加賀谷は「裏切り者」が自分の身近にいると感じながらも、日韓首脳会談を巡るサイバーテロの中心に浦野がいることを確信し、兵藤と共に韓国に行き浦野を捕まえることを決めます。

兵藤に作戦の立案を任せた加賀谷でしたが、兵藤は浦野がまだ麻美に強い執着を持っていることから、彼女の夫である誠を利用し浦野をおびき寄せる作戦を立案。

麻美を囮とする方法に誠は強く反発しますが、彼自身のスマホが再度何者かに乗っ取られていることが分かると、誠は嫌々ながら作戦に協力することを決めました。

乗っ取られていることを逆手に取り、嘘の海外旅行の話をスマホですることで浦野を韓国のホテルにおびき出した兵藤と加賀谷は、兵藤が集めたはぐれ者の公安刑事と共に浦野を待ち構えます。

しかし、万が一のことを考え自身と同じ服装をした人間をSNSを使った闇バイトの募集で集めていた浦野の策によって逃走を許しただけでなく、刑事のひとりが浦野に刺されて死亡してしまいます。

夜、加賀谷に追跡不可能な電話で連絡を取った浦野は、加賀谷に「自分の違和感を信じろ」と伝え電話を切りました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』のネタバレ・結末の記載がございます。映画『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

目付け役であるスンミのスマホの位置情報を抜き取っていた浦野は、彼女が自らを虐待する父親から逃れるために「ムグンファ」に所属したことを知り、父親に拉致されていたスンミを救い出します。

スンミは浦野が自身と同じ痛みを知っていることから彼に惹かれ始めますが、浦野がスンミに対して優しさを見せる一方で麻美に異様な執着を持つことに苛立ちも感じていました。

日韓首脳会談が迫り、浦野は開発していたネットゲーム「BEE KILLER」を公開すると、「ムグンファ」のアジトから姿を消し単身日本へと向かいます。

日韓首脳会談の日、公安とサイバーセキュリティ室は会場の半径1キロを完全に封鎖しますが、浦野は蜂を操作するゲームと言う名目で公開した「BEE KILLER」のプレイヤーが、ゲーム内の蜂を操作する感覚で日韓首脳会談の会場付近を包囲するような形でドローンを操作するように仕組んでおり、会場はドローンによって完全に包囲されました。

ドローンには爆弾が搭載されており、一台のドローンが爆発すると同時に「ムグンファ」から暗号資産で20億円もの金額を求める脅迫メールが送付されます。

実はキムは脅迫によって多額の金を日本政府から脅し取ることが目的であり、「ムグンファ」の会長には秘密裏に浦野を使い計画を進めていたのです。

会場に駆け付けた加賀谷がジャミング装置を使ってドローンを停止する一方で、浦野はキムのパソコンを遠隔操作することでキムが脅し取った20億円を自身の口座に移しただけでなく、「ムグンファ」の会長に真実を告げることでキムを死に追いやりました。

浦野は麻美の家を訪れ彼女を「剥製」にしようと考えますが、頭に自身を慕うスンミがよぎり、麻美の家を離れ自身を追ってきたスンミと再会。

スンミは浦野を狙う人間を射殺し浦野と共に逃走しますが銃撃を受け腹部を負傷し、浦野の隠れ家で医療器具も少ない中、浦野からの手当を受けることになります。

そこに兵藤が現れ、浦野がキムから奪った20億円の在処を聞き出すため浦野の足を撃ち抜くと、兵藤を追って現れた加賀谷と対峙。

加賀谷は警視庁のデータベースから、兵藤が韓国に連れてきた刑事が全員懲戒免職を受けた刑事であることを調べており、キムに情報を流していた「バタフライ」が兵藤であることを見抜いていました。

兵藤は日本を強い国にするためにテロを起こそうと考えており、そのための資金源として20億円を狙っていたのでした。

兵藤は浦野に加賀谷を殺して手を組もうと協力を持ち掛けますが、浦野は「友達」を殺すことはできないと言い兵藤を射殺。

しかし、兵藤が力尽きる前に彼の持っていた銃が暴発し浦野の腹部を撃ち抜きます。

浦野は加賀谷の腕の中で「自分を好きになってくれる人といるときだけではマシな人間に思えた」と言い残すと息を引き取り、直後に加賀谷も何者かによって頭を殴られ意識を失います。

警察に保護され目を覚ました加賀谷の前からは浦野の死体と奥の手術室にいたはずのスンミは消えていました。

数日後、山奥の湖畔でスンミは浦野と暮らしていました。

あの日、スンミは浦野のシンパによって回収され生き延びており、スンミは動くことのなくなった「剥製」となった浦野と幸せに生きているのでした。

映画『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』の感想と評価


(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

殺人鬼・浦野善治を描いた大人気シリーズ最終章

SNSや現代のデジタル技術に精通し、技術が普遍化したからこそ生まれる個人のセキュリティの穴をつくことに長けた殺人鬼の浦野善治。

誰もがやってしまいそうな些細なことから、その人のすべてに侵入していく浦野の恐怖は舞台が現代だからこそ描けるものとなっており、浦野の演じる成田凌の怪演も含め1作目の登場でシリーズの顔と呼べる登場人物となりました。

本作はそんな浦野を描いたシリーズの最終章と銘打たれており、彼の物語は本作を持ってしっかりと完結します

許されてはいけない連続殺人鬼でありながら、幼少時の虐待の過去や、同様の痛みを持つ人間への強い感情を併せ持つことで「人間味」も感じる浦野は、最後の事件で何を思うのか。

浦野の心の奥にあるのは善の感情か悪の感情か、に注目して欲しい作品です。

現実とリンクする恐怖


(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

本作は原作の3作目に当たる「スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス」を下敷きとした作品ではありますが、原作と映像化で物語が大きく異なりました。

原作では「オリンピック」を題材とした物語が映像化では「日韓首脳会談」に変更されており、物語の舞台となる国も「北朝鮮」から「韓国」へと移っています。

映画内ではより現代的となる要素が多く描かれており、浦野が日本に対し行うサイバーテロの標的となった「Jアラート」による弾道ミサイルの発射の緊急速報も、必ず目にしたものであるはずです。

さらに劇中では「闇バイト」についても触れられており、現実でも身近となってしまった恐怖を作中に入れることで現実とリンクさせる手法が効果的に活きていました

まとめ


(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

映画「スマホを落としただけなのに」シリーズの最終章にふさわしく、田中圭や井浦新、白石麻衣や原田泰造と言った作品を彩ってきたキャストが再び集結した本作。

『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム』はあまりにも衝撃的なラストシーンを含め、一度でもこのシリーズに触れたことのある人に観てほしい完結編作品となっていました。




関連記事

サスペンス映画

映画『サンセット』あらすじ感想と考察。ネメシュ監督が誘う“解けない謎”とは

『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督が贈るミステリー 映画『サンセット』は、2019年3月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開! 初の長編映画『サウルの息子』( …

サスペンス映画

フリーファイヤー感想とネタバレ!映画評価やラスト結末も

現在も日本各地で公開中の『フリー・ファイヤー』は、2017年に見るべき映画! GW映画として4月29日より公開されている今作品は、製作総指揮マーティン・スコセッシ&監督ベン・ウィートリーのタ …

サスペンス映画

韓国映画『ゴールデンスランバー』あらすじネタバレと感想。結末は伊坂原作や日本版とも大きく異なったオリジナル作品へ⁈

日本のベストセラー作家である伊坂幸太郎の人気小説をカン・ドンゥオンを主演に迎え、ノ・ドンソク監督で映画化! 大統領候補暗殺犯に仕上げられた一人の宅配ドライバーの運命は!? 韓国映画『ゴールデンスランバ …

サスペンス映画

映画『迫り来る嵐』あらすじネタバレと感想。ミステリー仕立てに描く社会派のチャイナノワールの魅力とは

2017年に開催された第30回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、最優秀男優賞と最優秀芸術貢献賞のダブル受賞。 経済発展で社会が激変した中国の1990年代を舞台に、連続殺人の捜査にのめり込む …

サスペンス映画

映画『失われた少女』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

ライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンが共演した『ヒットマンズ・ボディーガード』(2017)やウィル・スミス主演の『ブライト』(2017)のように、Netflix独占配信映画では今や、ハリウ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学