Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

映画『シャドウ・イン・クラウド』あらすじ感想と評価解説。クロエ・グレース・モレッツ最新作は“グレムリンとの爆撃機の戦い”というサスペンスアクション!

  • Writer :
  • 山田あゆみ

映画『シャドウ・イン・クラウド』は2022年4月1日(金)新宿ピカデリー他全国順次ロードショー。

『キックアス』のクロエ・グレース・モレッツが、2500メートル上空の爆撃機でグレムリンと格闘するサスペンスアクション映画です。

監督、脚本を務めたのはロザンヌ・リャン。ハリウッド進出を果たした本作で、第45回トロント国際映画祭ミッドナイトマッドネス賞を受賞。

ジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』などから着想を得た本作は、戦う女性の逞しさと美しさを感じられる映画となっています。

クロエがさらなる魅力を発揮している本作の見どころを解説していきます。

映画『シャドウ・イン・クラウド』の作品情報


(C)Ātārangi Kiriata Limited 2020

【日本公開】
2022年(ニュージーランド・アメリカ映画)

【監督】
ロザンヌ・リャン

【キャスト】
クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、ビューラ・コアレ、テイラー・ジョン・スミス

【作品情報】
映画『シャドウ・イン・クラウド』主演のクロエ・グレース・モレッツは、『悪魔の棲む家』(2005)で注目された後、『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)のリメイク『モールス』(2010)とアクション・コメディ『キック・アス』(2010)の2作品でブレイクした俳優です。

乗組員役を演じたニック・ロビンソンは『キングス・オブ・サマー』(2013)で主演を務め、メガヒット・シリーズの第4作『ジュラシック・ワールド』(2015)ではブライス・ダラス・ハワード扮するクレアの甥っ子ザックを演じました。

監督のロザンヌ・リャンは、自伝的なドキュメンタリー映画『Banana in a Nutshell』(2005)で監督デビュー。

同作品を劇映画化したロマンティック・コメディ『My Wedding and Other Secrets』(11)は、公開年におけるニュージーランド製作映画として最高の収益を記録し、そのほかの作品にはベルリン国際映画祭で最優秀短編賞を受賞した『Take 3』(2008)やサンダンス映画祭ほかで好評を博した短編『Do No Harm』(2017)などがあります。

映画『シャドウ・イン・クラウド』のあらすじ


(C) Ātārangi Kiriata Limited 2020

第二次世界大戦中の1943年8月。ニュージーランドのオークランド空軍基地から飛び立とうとしている大型爆撃機、フールズ・エランド号に、モード・ギャレット空軍大尉(クロエ・グレース・モレッツ)が乗り込みました。

上官からの密命を帯びて派遣されたというモードの任務は、ある最高機密を収納した革製の大きなカバンをサモアまで運ぶこと。

しかしフールズ・エランド号の乗組員7名は、爆撃機に女性が搭乗することに反発し、あからさまに嘲笑的な言葉を投げつけた挙句、狭苦しい砲台の銃座にモードを座らせました。

やがて離陸したフールズ・エランド号は、雷鳴轟く悪天候のなか、高度2500メートルの上空に達します。

そのときモードは右翼の下部で不気味にうごめく生き物の影を目撃するものの、誰も彼女の報告を信じようとしません。

日本軍からの突然の攻撃と、狂暴なグレムリンによる魔の手がモードに襲い掛かります。

映画『シャドウ・イン・クラウド』感想と評価


(C) Ātārangi Kiriata Limited 2020

本作は、前半はワンシチュエーションサスペンスとして、後半はアクションコメディとして、クロエ・グレース・モレッツの魅力が全開な作品となっています。

急遽上官からの特別極秘指令を受けてB‐17爆撃機に乗り込んだモード(クロエ・グレース・モレッツ)は、男性乗組員たちにひどい女性差別的発言を浴びせられ、砲台の銃座に入らされてしまいました。

そこはモードがどうにか一人座れるほどの狭さで、乗組員の男たちとは無線でやり取りをする状況となります。

前半は銃座に座るモードのみを映し出し、機内の状況はほぼ乗組員たちの声のみで描かれるという、ワンシチュエーションサスペンス的な演出を楽しむことができます。

2500メートルの遥か上空で、ガラス張りの銃座にひとり閉じ込められたモードが、獰猛なグレムリンに襲われるシーンは手に汗握る緊張感。

また、迫りくるグレムリンのグロテスクで狂暴な姿は、モンスターパニック映画好きにはたまらない造形になっています。

後半にかけては痛快アクションムービーへと展開していくのですが、ここでのクロエの大暴れっぷりは必見です。

冒頭の女性軽視、差別発言を豪快に一掃してくれるアクションを見せてくれます。銃撃ちまくり、グレムリンぶん殴りまくりの彼女の姿は本当に清々しい!

ある荷物の輸送という、極秘重要任務に隠された謎と、モードが抱える秘密。そこに命を懸ける彼女の決死の戦いからはただならぬ覚悟とパワーを感じられます。

ストーリーやキャラクター設定に関して多少の突っ込みどころがあるものの、潔い展開とテンポよく挿入されるシンセサイザー音楽が不思議なアドレナリンを私たちにもたらし、もはやこれはストレス発散ムービーと呼んでもいいかもしれません

まとめ


(C)Ātārangi Kiriata Limited 2020

キックアス』(2010)では当時13歳だったクロエの、幼さの残る見た目とは裏腹なアクションが話題を呼びましたが、本作ではひとりの逞しく賢い女性としての一面を魅せています。

本作は、そんなクロエの成長と女優魂を改めて感じられる作品ともいえるでしょう。

彼女が今回戦う相手は、歴史上では第二次世界大戦中に英国空軍兵の間で目撃情報が多発した妖精であり、映画『グレムリン』(1984)でお馴染みのモンスターです。

クロエがいかにして極秘任務を遂行すべくグレムリンと戦うのか注目です。

『シャドウ・イン・クラウド』は2022年4月1日(金)新宿ピカデリーほか全国順次公開

関連記事

サスペンス映画

映画『アングスト/不安』内容考察。超カルトムービーとしてミヒャエル・ハネケやギャスパー・ノエに影響を与える

異常すぎて長らく“封印”されていた実録スリラー、ついに解禁。 世界各国で上映禁止された常軌を逸した実話がいま、放たれます。映画『アングスト/不安』は、ジェラルド・カーグル監督が、1980年にオーストリ …

サスペンス映画

映画『守護教師』ネタバレあらすじと感想。マ・ドンソクの魅力と巧妙なストーリーが際立つエンタメ作品

行方不明の女子高生をなぜ誰も探そうとしないのか!? 韓国映画で今最も注目を集める俳優、マ・ドンソクが今回扮するのは、元ボクシング・チャンピオンで女子校に体育教師として赴任した男。 学費を滞納している生 …

サスペンス映画

映画『96時間』ネタバレ結末感想とラストあらすじ解説。リーアムニーソン演じる元CIA工作員の父が娘を助けるために犯罪組織と闘う

最強の父親による娘の救出劇を描くサスペンス・アクション ピエール・モレルが監督を務めた、2008年製作のフランスのサスペンス・アクション映画、『96時間』。 友人とパリへ旅行に出かけた17歳の娘が何者 …

サスペンス映画

【ネタバレ】映画ネメシス黄金螺旋の謎|あらすじ結末感想と評価考察。広瀬すず×櫻井翔が“無限の悪夢”と戦う不気味でコミカルな探偵映画

繰り返される悪夢の謎に立ち向かう3人の探偵の物語 2021年4月から日本テレビ系列の「日曜ドラマ」にて、全10話で放送された連続ドラマ『ネメシス』。 横浜の街を舞台とした風変わりな探偵ドラマとして人気 …

サスペンス映画

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』感想評価と考察レビュー。実話(1979年)の事件を基にBALLOONを手作りした飛逃亡

東ドイツから熱気球での逃飛行を図った家族を描いた実録ドラマ 東西冷戦下、手作りの熱気球で西ドイツを目指した平凡な家族がいた―― 奇想天外な実話を描いた映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』が、2020年7月 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学