Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2018/09/18
Update

映画『リグレッション』あらすじネタバレと感想。ラスト結末に実話ならではの怖さがある【悪魔崇拝儀礼虐待】

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

1980年から90年代にかけて多発し、全米をパニックに陥れた「悪魔崇拝儀礼虐待」を描いたサスペンス映画『リグレッション』。

実際の事件を基に、人間の奥底にある闇を描く本作をご紹介します。

スポンサーリンク

映画『リグレッション』の作品情報


(C)2015 Mod Entertainment Mod Producciones Himenoptero Regresion Canada Inc Telefonia Studios Regression A.I.E

【公開】
2018年9月15日(スペイン・カナダ合作映画)

【原題】
Regression

【監督】
アレハンドロ・アメナーバル

【キャスト】
イーサン・ホーク、エマ・ワトソン、デビッド・シューリス、ロテール・ブリュトー、デビッド・デンシック、ピーター・マクニール、デボン・ボスティック、アーロン・アシュモア

【作品概要】
映画『アザーズ』のアレハンドロ・アメナーバル監督が、社会問題にもなった悪魔崇拝を描いたサスペンス。

小さな街の悪魔崇拝に挑む刑事、ブルース・ケナーをイーサン・ホークが演じ、共演には映画『 ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソン。

映画『リグレッション』あらすじとネタバレ


(C)2015 Mod Entertainment Mod Producciones Himenoptero Regresion Canada Inc Telefonia Studios Regression A.I.E
1990年、ミネソタ。

刑事のブルース・ケナーは、自分の娘を虐待し、連行されたジョーの取り調べを行います。

まともに記憶が残っていないにも関わらず、自らの罪を認めるジョー。

ブルースは心からジョーを軽蔑し、捜査の為、保安官のジョージと共にジョーの自宅を捜査します。

その際、ジョーの自宅にある廃工場に、ブルースは不気味な雰囲気を感じます。

ジョーの自宅から警察署に戻る途中、車のラジオから、悪魔崇拝に関するニュースが流れます。

ジョージは「悪魔崇拝なんか聞きたくない」と、ラジオを切ります。

警察署に戻ったブルースは、ジョーの失われた記憶を呼び起こす為、所長から協力要請を受けた心理学者、ケネス・レインズと会います。

レインズはジョーに退行催眠をかけて、事件当日の記憶を蘇らせます。

事件当日にジョーが見た光景、それはジョーの娘、アンジェラに刃物を持って馬乗りになっている、保安官のジョージで、ジョーは側で写真を撮影していただけでした。

ブルースはジョージを殴り、その場で逮捕します。

次の日、ブルースはレインズと共に、教会に保護されているアンジェラを訪ねます。

精神的なショックを受けて取り乱すアンジェラ。

アンジェラの気持ちが落ち着くのを待っていたブルースは、教会の神父に話を聞きます。

神父は、ジョーの持っていたメモに逆十字架の印が描かれている事を伝え、ブルースは悪魔崇拝の影を感じます。

ジョーとレインズは、アンジェラの兄、ロイを訪ねます。

家族と離れて、廃墟で生活しているロイを不審に感じたブルースは、ジョーがアルコール依存症で、母親はそのせいで事故死したと聞かされます。

悪魔崇拝の情報を引き出す為に、レインズはロイに退行催眠をかけます。

ロイが過去に見た光景、それは自宅にいたロイの部屋に、黒いフードを着て、白塗りの化粧をした数人の信者が入って来るというものでした。

ブルースは、ジョーとジョージが悪魔崇拝をしていた事を確信し、再度ジョーの自宅を家宅捜査しますが何も出て来ません。

自宅に戻ったブルースは、テレビで放送されている悪魔崇拝のニュースを見ながら、異常な時代の空気を感じます。

後日、ブルースはあらためてアンジェラから、悪魔崇拝の情報を聞き出します。

アンジェラが過去に見た光景、それはアンジェラの部屋に黒いフードを着て、白塗りの化粧をした数人の信者が入って来る所から始まります。

信者の1人はアンジェラの祖母、ローズ。

アンジェラはローズに手を取られ、自宅の廃工場へと導かれます。

廃工場には多数の信者がおり、水差しを持った女が「これは夢だ」と語りながら、信者に水を配っています。

そして廃工場では、赤ん坊を生贄として殺害し、ジョーの自宅の敷地内に死体を埋めていたのでした。

また、ブルースはアンジェラに、ジョージによって腹部に刻まれた逆十字の印を見せられます。

そして、アンジェラはブルースに「この事を知ると、警告と勧誘を意味する無言電話がかかってくる」と伝えます。

ブルースは、廃工場とジョージの自宅敷地内を徹底的に調べさせますが、証拠は何も見つかりません。

その夜、ブルースは自宅で悪魔崇拝について調べていると、何者かから無言電話がかかってきます。

その後、激しい雷雨により停電が発生、ブルースはそのまま就寝しますが、物音に気付き目を覚まします。

目の前には、悪魔崇拝者と思われる黒いフードの人物が数人立っており、ブルースの部屋に侵入してきた様子でした。

ブルースは抵抗しようとしますが、手錠で繋がれて身動きがとれなくなり、信者の1人である老婆が、笑顔でブルースの様子を見ています。

信者の女性と無理やり性交をさせられ、その様子を撮影されるブルース、ですが全ては夢でした。

一方、ローズは自宅で黒豹の幻覚を見た事で、恐怖から逃れようと2階の窓から飛び降り、重症を負います。

神父とレインズと共に、ローズの病院を訪れたブルースですが、ロイに追い返されます。

別れ際に「純粋な悪は存在する」と神父から忠告され、十字架を渡されたブルース。

レインズは、非科学的な悪魔の存在を受け入れ始めた、ブルースを軽蔑します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『リグレッション』ネタバレ・結末の記載がございます。『リグレッション』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

街の誰が悪魔崇拝者かも分からず、人間不信になるブルース。

捜査は進展せず、また自らも悪魔崇拝の信者になり、赤ん坊を生贄にする夢を見た事で、ブルースの精神は衰弱していきます。

また、アンジェラが何者かに尾行されたり、ブルースの自宅に無言電話がかかってきたりするなど、悪魔崇拝者の影を感じるようになります。

母親の墓参りをするアンジェラに同行したブルースは、アンジェラに促される形で、キスをしてしまいます。

相変わらず捜査に進展はなく、ジョージも証拠不十分で釈放されてしまいます。

苛立つブルースは、馴染みのファミレスでジョーのメモを再び読み解きますが、手がかりはなく、外の空気を吸う為に外に出ます。

そこでブルースは、ある看板を目にします。

その看板に写っていたのは、ブルースが夢で見た、悪魔崇拝の信者である老婆でした。

ブルースは、レインズの自宅を訪ね、ある疑問をぶつけます。

「退行催眠で見た記憶は、刷り込まれた記憶じゃないか?」と。

レインズは、その可能性を否定しますが、納得いかないブルースは、これまで録音した取り調べの記録を再び調べ直し、ジョーに話を聞きに行きます。

ブルースは、アンジェラをジョーが暴行した事を前提で話を聞いていました。

そして、ジョーも自分がアンジェラを暴行した事を前提で話をしていた為、その状態での「退行催眠」は、刷り込みの記憶である可能性が高く、信憑性が無いのです。

事件の核心を掴みかけ帰宅したブルースは、マスク姿の2人の男から襲撃を受けます。

男達を撃退したブルースは、男のマスクを取ります。

正体はジョージで、ブルースに逮捕された事で保安官の職務を失い、復讐の為、友人と共にブルースを襲撃したのでした。

ブルースはジョージに、知っている事を全て話すように要求します。

次の日、教会を訪れたブルースは、アンジェラにジョージから全てを聞いた事を告げます。

酒浸りのジョーとローズを嫌っていたアンジェラは、作り話をして一家の崩壊を企んでいました。

ジョーやローズ、ロイに少しづつ悪魔崇拝のイメージを定着させていき、退行催眠で彼等が見た悪魔崇拝の光景は、全てアンジェラによって刷り込まれたイメージでした。

そしてアンジェラは、ジョージと共に街を出る事を望みましたが、拒否された事でジョージも陥れる事にしたのです。

事実を突きつけるブルースに、アンジェラは「あんたが、私とキスした事を皆にバラす」と脅します。

そして、「教会から出て行け!」と迫る神父に、ブルースは「あんたの言う通り、純粋な悪は存在する」と伝えます。

真実は表に出る事は無く、アンジェラは悪魔崇拝の被害者としてメディアに出るようになります。

ブルースはジョーに会い、真実を伝えます。

ですがジョーは、アンジェラを守る為に、自分が有罪になる事を望み、全てを闇の中に葬る事を望みました。

スポンサーリンク

映画『リグレッション』感想と評価


(C)2015 Mod Entertainment Mod Producciones Himenoptero Regresion Canada Inc Telefonia Studios Regression A.I.E

1980年から1990年代にかけて、アメリカで実際に多発していた「悪魔崇拝儀礼虐待」をテーマにした本作。

この作品の特徴は、観客が、登場人物を誰も信じられないという点です。

「誰が真実を語っているのか?」が、作品の核になるのですが、主人公であるブルース・ケナーでさえ、刑事である事以外は、何も作中で語られていません。

特に、ブルースが見る悪魔崇拝の夢は、夢の中で落とした電話の受話器が、目覚めた後でも落ちたままになっていたり、眠る時は夜の場面だったのが、目覚めると朝になっており、時間の経過を現しています。

悪魔崇拝に関わった者が、全員記憶を欠落させている事を考えると「ブルースも同じじゃないか?」と、物語が進んでいくにつれて、観客もブルースという人間を信じられなくなるのです。

バックグランドが一切語られないブルースを演じたイーサン・ホークは「こんな役は初めてだ」と語っています。

これは、監督のアレハンドロ・アメナーバルの意向で「事件以外の関係ない部分は、極力語らない」という、狙った演出となっています。

また、アンジェラを演じたエマ・ワトソンが素晴らしく、複雑な内面を抱えた役柄を見事に表現しています。

エマ・ワトソンの美しい容姿が、天使のような悪魔であるアンジェラの存在に説得力を与えており、作品全体の完成度の高さに繋がっています。

まとめ


(C)2015 Mod Entertainment Mod Producciones Himenoptero Regresion Canada Inc Telefonia Studios Regression A.I.E
悪魔崇拝を、神父と心理学者の協力を得ながら、解明していくブルース。

無神論者で、科学も疑うブルースは、一般の人間に一番近い感覚を持っています。

それは、オカルトと科学の間に人間が存在しており、人間の心の奥底を解明する事は、どちらに偏っても不可能という事です。

人間はそれだけ難解で、時には悪魔より恐ろしい存在なのです。

実際の「悪魔崇拝儀礼虐待」事件も、神父と心理学者、刑事で事件の解明に挑みましたが、解決できず長期化する事も多かったようです。

また、タイトルの『リグレッション』は、「退行」を意味しており、心理学において抑制された人の記憶を呼び起こす「退行理論」という意味でもあります。

監督のアレハンドロ・アメナーバルは、本作を撮影する際に、自身の原点でもあるサスペンスやミステリーへ、再び挑戦する事をテーマにしており『リグレッション』は「原点回帰」の意味も込められています。

派手な恐怖は無いですが、ジワジワと迫る人間の奥底にある恐怖を、味わってみては如何でしょうか?

関連記事

サスペンス映画

映画『ALONE/アローン』ネタバレ感想。地雷を踏んだマイクが結末で見たものとは

地雷を踏んでしまい、一切の身動きを封じられた米軍兵の、悪夢のような52時間を描いたワンシチュエーションスリラー。 今回は6月16日(土)より新宿シネマカリテほかで全国公開中の、映画『ALONE/アロー …

サスペンス映画

映画『哀愁しんでれら』は実話か考察。凶悪事件の元ネタとは実在のモンスターペアレンツ!?

映画『哀愁しんでれら』は2021年2月5日(金)より全国ロードショー。 「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを獲得した企画をもとに、『かしこい狗は、吠 …

サスペンス映画

映画『ヒッチャー』感想考察と内容解説。サスペンスおすすめの極上名作が2021年にリマスター版にて劇場公開

ルトガー・ハウアー怪演のサスペンススリラーがニューマスター版で2021年公開! 2019年7月に75歳で亡くなった名優ルトガー・ハウアーが、謎の殺人ヒッチハイカー役を怪演し話題となった1986年製作の …

サスペンス映画

映画『セブン』ネタバレ考察と評価感想。衝撃的なラスト結末は名作か胸糞か⁈凄惨な殺人に抗う刑事たちの人物描写

デヴィッド・フィンチャー監督×ブラッド・ピットのサスペンス映画 映画『セブン』は、『エイリアン3』(1992)や『ファイト・クラブ』(1999)を手掛け、『ソーシャル・ネットワーク』(2010)ではゴ …

サスペンス映画

『屍人荘の殺人』小説あらすじネタバレ。映画キャストの神木隆之介×中村倫也がゾンビ化するのか⁈

ただのミステリーじゃない! 思わぬジャンルとの融合で面白さ倍増! デビュー作にして国内主要ミステリー賞4冠を達成した今村昌弘の小説『屍人荘の殺人』が、神木隆之介、浜辺美波、中村倫也の共演で映画化。いよ …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学