Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2021/02/13
Update

映画『名も無き世界のエンドロール』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。最後にキダが見せるマコトへの“熱い想い”

  • Writer :
  • もりのちこ

一日あれば世界は変わる。
史上最大のドッキリの結末とは。

小説家・行成薫のデビュー作にして小説すばる新人賞受賞作品『名も無き世界のエンドロール』を、『ストロベリーナイト』『累 かさね』の佐藤祐市監督が映画化。

それぞれが複雑な家庭環境で育った幼馴染のキダとマコトは、同じ境遇のヨッチと出会い始めて居心地のいい場所を見つけます。しかし、ある日突然ヨッチは2人の前から姿を消すのでした。

キダとマコトは、10年の歳月をかけ史上最大のドッキリ「プロポーズ大作戦」を企てます。果たしてドッキリは成功するのでしょうか。その作戦の裏に秘められた悲しき過去とは。

岩田剛典と新田真剣佑の共演でおくる衝撃のサスペンス・エンターテイメント『名も無き世界のエンドロール』を紹介します。

スポンサーリンク

映画『名も無き世界のエンドロール』の作品情報


(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
【公開】
2021年(日本)

【原作】
行成薫

【監督】
佐藤祐市

【キャスト】
岩田剛典、新田真剣佑、山田杏奈、中村アン、石丸謙二郎、大友康平、柄本明

映画『名も無き世界のエンドロール』のあらすじとネタバレ


(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
今日はクリスマス。賑わう街中をサンタクロースの恰好をした男・キダが歩いています。「お前にもドッキリ仕掛けといたぞ」。スマホの向こうから、幼なじみのマコトの声が聞こえます。

互いに親がなく複雑な家庭環境で育ったキダとマコトは、幼い頃から兄弟のように育ちました。昔からドッキリを仕掛けることが生き甲斐のマコトと、そのドッキリに毎回引っかかってしまうキダ。

大人になった2人は、いままさに人生を懸けた史上最大のドッキリ「プロポーズ大作戦」を決行しようとしていました。

輸入ワイン会社の社長になったマコトは、大物政治家の娘でモデルのリサと付き合っています。

リサとの出会いは10年前。キダとマコトが働いていた自動車修理工場に、リサがやってきたのが最初でした。

政治家の父を持つリサは、高級車を無免許で乗り回し事故を起こしていました。犬を轢いたと言うリサは、工場の宮澤社長に金を渡しこっそり車を修理するよう迫ります。

高飛車な態度のリサに呆れるキダ。興味をしめしたマコトは、リサに近付きお得意の手品を披露します。握った手の中から一輪のバラをだし、リサに差し出します。

そのバラからはさらに紐が続いています。リサが紐を引っ張っていくと万国旗が現れ、パンッ!最後にクラッカーの音が空しく鳴りました。

最後まで見下した態度で去っていったリサ。マコトは「金があればあの女に近付けるかな」ともらします。

「住む世界が違うんだよ」と言うキダに、「世界が違うんじゃない。分けられてるだけだ」とマコトは言い残し、それから間もなくして姿を消してしまいます。

キダとマコトにはもう一人、幼なじみがいました。ヨッチという女の子です。小学生の頃転校してきたヨッチは、2人と同じ両親がなく孤独でした。

仲良くなった3人は互いに支え合い、家族のように過ごしてきました。キダにとって、3人の世界だけが唯一生きる意味を与えてくれる場所のようでした。ヨッチが2人の前から姿を消す20歳の時までは。

ヨッチに続き、マコトが姿を消してから2年。裏社会で交渉屋として働き出したキダは、マコトの居場所を突き止めます。

訪ねるキダに、「わりぃ」とマコトは昨日も会っていたかのような態度です。マコトはひたすら金を集めていました。リサに近付くためです。

マコトから史上最大のドッキリ、名付けて「プロポーズ大作戦」を聞いたキダは、呆れながらも協力せざる得ない理由がありました。

それからマコトは、集めた金でワイン輸入会社を買い若手実業家として表社会でのし上がっていきます。

一方キダは、裏社会で交渉屋としてマコトをバックアップしていきます。経歴詐称に、新しいID取得、そしてリサの男関係も整理していきます。

計画通りにリサと付き合いはじめたマコトは30歳になっていました。そして、クリスマスの日、「プロポーズ大作戦」の決行の時を迎えます。

以下、『名も無き世界のエンドロール』ネタバレ・結末の記載がございます。『名も無き世界のエンドロール』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク


(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
キダとマコトは同じ写真を大事に持ち歩いていました。そこには高校生の頃の、キダとマコト、そしてヨッチが写っています。

キダは、ヨッチのことが好きでした。しかし、マコトの方が一足早く告白をしたことで身を引きます。キダは、マコトだからこそヨッチを幸せにできると確信していました。

20歳のクリスマス。マコトはキダに打ち明けます。「ヨッチにプロポーズしようと思う」。キダも心から祝福できました。

ドッキリ好きのマコトのプロポーズ作戦に上手いこと乗せられたキダは、クリスマス当日、サンタクロースの恰好でヨッチを驚かせるために打ち上げ花火の準備をしていました。

クリスマスパーティーのチキンを取りに出かけたヨッチが、そろそろ戻る時間です。しかし、待ってもヨッチは現れません。マコトが様子を見に行ってくると言います。

心配になったキダは、マコトの後を追います。いつも通る道で、マコトが何かを見つけ立ち尽くしています。

キダが駆け寄ってみると、そこには車に轢かれ血まみれになったヨッチの姿がありました。

あれから10年。キダは当時と同じようにサンタクロースの恰好で、マコトの仕掛けた「プロポーズ大作戦」の仕掛人として待機していました。

ホテルの敷地内で開催されるクリスマスイベント。会場に集まった人々は今日のゲスト、リサの登場を待っています。

大型スクリーンに、ホテルの一室の様子が映し出されました。リサとマコトが写っています。プライベート映像に会場はざわつき始めます。何も知らないのは、リサだけです。

マコトはリサに、10年前に初めて会った時と同じ手品を披露します。「リサ、君に近付くために俺はここまで来た」。

しがない自動車整備工場の社員だった男が、いまや社長になり自分に相応しい男になって現れたというストーリーに感動するリサ。あの日のように手品で現れた一輪のバラを受け取ります。

バラを引っ張ると万国旗が続きました。「この先に指輪があったら幸せよ」。そして目の前に指輪が現れます。リサは喜びの表情です。

しかし続いたマコトの言葉で、事態は予期せぬ展開を見せます。「これは、リサへの指輪じゃない」。

手品の最後に出てきたものは、事故車の破片でした。それはあの日、道で倒れるヨッチの側に落ちていた車の破片。リサが事故を起こした車の一部でした。

「あの日、犬を轢いたって言ってたよな。そこに写っているのは、俺と親友、そして犬だ」。マコトが見せた写真には、マコトとキダ、そしてヨッチが写っていました。

真実を知ったリサは逆上し「飛び出して来たあの女が悪いのよ」とまんまと自白。これまで事件は、リサの父親の根回しでもみ消されていました。

ヨッチの存在自体がなかったことのように消されていく事に、どうしても我慢ならなかったマコト。

世間に事故の真相を公表し、ヨッチの存在を残したいという思いで10年間、準備してきました。

キダは、イベント会場を後にし、マコトがいるはずのホテルの部屋に向かいます。このドッキリのエンディングを変えたかったからです。

しかし、キダがたどり着いた部屋にはマコトはいませんでした。その時です。向かいのボテルの一室が、爆撃音と共に吹き飛び、火花が飛び散りました。マコトがキダに残した最後のドッキリ。

「キダ、俺ずっと気になって仕方ねーんだよ。ヨッチは指輪、喜んでくれるかな。そろそろ渡しに行きてーんだよ」。10年前に叶わなかった「プロポーズ大作戦」を、マコトは叶えたのでした。

「メリークリスマス。ちゃんと指輪受け取ったか?」。キダの目に、手を繋ぎ横断歩道を渡るマコトとヨッチの姿が見えます。ヨッチの指には指輪が輝いていました。

スポンサーリンク

映画『名の無き世界のエンドロール』の感想と評価


(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
行成薫の小説すばる新人賞受賞作品『名の無き世界のエンドロール』の実写映画化。原作と映画を比較してみようと思います。

原作のストーリー展開は、過去と現在を行ったり来たりし、少しづつ「プロポーズ大作戦」の全貌が明かされていきます。

映画化では、原作に忠実に、盛り込まれているエピソードを映像によりコンパクトに分かりやすくまとめ、細かい伏線を丁寧に繋いでいます。

特に、幼なじみのキダとマコト、ヨッチの3人の思い出のシーンは、映画化ならではの美しい景色も合わさり、甘く切ないものとなっています。

映画では、ドッキリ好きなマコトの十八番は、吹き出すコーラになっており、絶妙なタイミングで使われています。マコトとキダの友情を感じます。

原作では、ヨッチとマコトが映画好きでタイトルやセリフを真似するシーンが多くありますが、映画では控えめになっています。

その分、ヨッチが映画のエンドロールが苦手な理由が浮き彫りになっています。映画が終わり、現実に戻るのが怖いという思い。のちにやってくる結末を示唆する場面になっています。

それぞれを演じた岩田剛典、新田真剣佑、山田杏奈の演技により、心を許し合える幼なじみの穏やかな日常が、特別に尊いものに映ります。

(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
またもう一人のキーパーソン。リサという人物。演じたのは、中村アン。優しいお姉さんのイメージが強い中村アンが、これまでとは正反対のヒステリックでわがままな女を演じています。

原作のリサは悪女のイメージが強く、読者はエンディングでマコトにやり込められるリサの姿にスッキリ感を覚えるかもしれません。

しかし、映画では中村アンから滲み出る品の良さが、悪者になり切れないあどけさを伴わせ、もう一人の悲しい主人公に見えてきます。リサもまた父親の人生の駒のひとつでしかありませんでした。

そしてもうひとつ、原作と映画で違う部分として、キダの最後の行動があげられます。キダは決行の日、マコトのいるホテルで開かれるイベント会場にいます。

マコトが作戦を終えようとする時、キダは原作では爆弾があると大声をあげ現場を後にしますが、映画では作戦を止めようとマコトのいる部屋に走ります。

結果、そこにはマコトの姿はなく、最後のドッキリに引っかかってしまいます。クールなキダが最後に見せる、マコトへの熱い想いが溢れだすせつないシーンとなっています。

まとめ


(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会
第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名小説を、佐藤祐市監督が岩田剛典と新田真剣佑の初共演で映画化。『名も無き世界のエンドロール』を紹介しました。

ラスト20分に明かされる衝撃の真実。心にぽかっと空いた穴を埋めてくれそうな、「もうひとつのエンドロール」がdTVにて配信中です。

原作者の行成薫が書き下ろしたという、「プロポーズ大作戦」から半年後の世界。闇の交渉屋・キダの新たな物語『Re:名も無き世界のエンドロール~Half a year later』。ぜひ、映画鑑賞後に観てください。

BadなのかGoodなのか、それぞれの感じ方が出来るSadエンドロール。キダとマコトの名も無き世界は、どこまでも真っ直ぐなヨッチへの愛であふれていました。

自分の世界のエンドロールには、誰の名が流れるのでしょうか。愛する人の名前が流れる人生でありたいものです。

関連記事

サスペンス映画

映画『スワロウSwallow』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。ヘイリーベネット演じる“抑圧された女性の解放”を描く

映画『Swallow スワロウ』2021年1月1日(金)より新宿バルト9、シネクイントほかにて全国順次公開! 一見完璧な生活を送っているかのように見える主婦・ハンターが“異物を飲み込む”ことで自分を取 …

サスペンス映画

『検察側の罪人』ネタバレ感想。映画と原作ラストの違いとインパール作戦とは

名匠原田眞人監督のもとに木村拓哉と二宮和也の2大スターが集結し、ベストセラーを映画化! ここまで聞くと邦画では、たまにありそうな企画と思うかもしれません。 しかし、映画『検察側の罪人』は、ただのエンタ …

サスペンス映画

映画『検察側の罪人』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【木村拓哉×二宮和也】

映画『検察側の罪人』は、2018年8月24日より公開! 雫井脩介の同題ベストセラーを『関ケ原』『日本のいちばん長い日』など、スケールの大きな作品が続く原田眞人監督が映画化。 正義を巡ってやがてぶつかり …

サスペンス映画

映画『ハウス・ジャック・ビルト』あらすじと感想レビュー。トリアー監督の物議必至の問題作

映画『ハウス・ジャック・ビルト』は2019年6月14日(金)より、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー! 自身の欲求を満たすために、次々と凄惨な殺人を繰り返すシリアル・キラ …

サスペンス映画

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書|あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

ベトナム戦争に関する分析を記録した、国防総省の最高機密文書“ペンタゴン・ペーパーズ”。 機密文書の存在を世に発表しようとしたワシントン・ポスト紙のキャサリン・グラハムの姿を、巨匠スティーブンスピルバー …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学