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Entry 2018/07/13
Update

イザベルユペール映画『エヴァ』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

ハドリー・チェイスの小説『悪女イヴ』を映画化した映画『エヴァ』は2018年7月7日から全国公開されました。

娼婦エヴァに出会った事で、破滅の道を辿るようになる若き作家の悲劇を描いた、映画『エヴァ』をご紹介します。

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映画『エヴァ』の作品情報

(C)2017 MACASSAR PRODUCTIONS – EUROPACORP – ARTE France CINEMA – NJJ ENTERTAINMENT – SCOPE PICTURES

【公開】
2018年(フランス映画)

【原題】
Eva

【監督】
ブノワ・ジャコー

【キャスト】
イザベル・ユペール、ギャスパー・ウリエル、ジュリア・ロイ、マルク・バルベ、リシャール・ベリ

【作品概要】
1963年に公開された映画『エヴァの匂い』の原作小説、『悪女イヴ』を再び映画化。

他人の作品を盗み、作家デビューを果たした青年ベルトランが、娼婦エヴァに出会った事で破滅の道に進んでいく官能ドラマ。

主演は『たかが世界の終わり』(2017)でセザール賞主演男優賞を受賞したギャスパー・ウリエルと、フランスを代表する演技派女優イザベル・ユペール。

映画『エヴァ』のあらすじ


(C)2017 MACASSAR PRODUCTIONS – EUROPACORP – ARTE France CINEMA – NJJ ENTERTAINMENT – SCOPE PICTURES
ベルトランは、ある孤独な老人の介護をしていました。

その老人は、イギリスでは有名な劇作家として活動していましたが、評価されなくなり、フランスへ移り住みました。

ですが、フランスでは作風が評価されていませんでした。

老人は、それでも新作喜劇『合言葉』を執筆、世の中に出す機会が無いと嘆きます。

そして老人は、入浴中に発作を起こして、この世を去ります。

ベルトランは『合言葉』の台本を持ち出します。

喜劇『合言葉』はパリで大ヒットの舞台となります。

ベルトランは、婚約者のカロリーヌを始め、多くの人の高い評価を受け、ベルトランの出資者レジスから次回作を催促されます。

ですが、他人の戯曲を盗み発表したベルトランに、次回作が書ける訳がありません。

筆が進まないベルトランに、カロリーヌは両親の別荘での執筆を提案します。

別荘に到着したベルトランは、窓ガラスが割れている事に気が付きます。

そして中に入ると、見知らぬ男がいました。

男は、吹雪で立ち往生した為、ガラスを割って勝手に入ったと説明、腹を立てたベルトランは、男と一緒にいる女性を探し出そうとします。

別荘の2階に上がったベルトランは、バスタブに入浴中の女性を発見します。

勝気な性格で、美しい容姿の女性に心を奪われたベルトランは、男を追い出して、その女性に手を出します。

しかし、女性に拒否され鈍器で頭を殴られたベルトランは、失神してしまいます。

次の作品が全く進まない事に不安を感じているレジスに、ベルトランは適当に記憶喪失者の話を提案します。

また、頭を怪我したベルトランの「階段から転落した」という説明に、カロリーヌは納得しておらず、2人の間に亀裂が生じ始めます。

パリで大ヒットした『合言葉』は、フランスの地方公演で上演される事になります。

地方公演に帯同しながら、何のアイデアも出さないベルトランに、舞台監督は失望した様子を見せます。

ベルトランは宿泊したホテルのカジノに向かいます。

そこで偶然、別荘で出会った女と再会したベルトランは、エヴァと名乗る女から名刺を受け取ります。

エヴァは娼婦で、エトラ通り12番の自宅で客を取っていました。

後日、エヴァに連絡をして自宅を訪ねたベルトランは、自宅が豪邸である事に驚き、エヴァは「美術商の夫、ジョルジュの家で、夫はいつも家を空けている」と説明します。

エヴァのミステリアスな部分に、更に惹かれたベルトランは『合言葉』の公演にエヴァを招待しますが、エヴァは姿を見せませんでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『エヴァ』ネタバレ・結末の記載がございます。『エヴァ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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エヴァは、刑務所に収監されている夫、ジョルジュの面会に行きます。

ジョルジュは美術商ではあるのですが、模造品を作った事で収監されていました。

エヴァは、ジョルジュを仮釈放させる為に、さまざまな人に掛け合っている事を伝え、ジョルジュの手を優しく握ります。

ベルトランの、次回作の公演準備を進めているレジスは、次の台本が完成しない事に焦りを感じていました。

ベルトランはレジスに、小さな街の娼婦の話を提案し、更に出資を求めます。

カロリーヌは、ベルトランの部屋に女性のイヤリングが落ちていた事などから、ベルトランに他の女の影を感じます。

カロリーヌはベルトランに「レジスと寝た」と嘘を吐きます。

ベルトランは自分の気を惹く為に嘘を吐いたカロリーヌの気持ちを考え、結婚する事を決意し、カロリーヌの両親と会います。

娼婦の話が気になっているレジスは、ベルトランに「本当に、その娼婦は実在するのか?」と質問します。

ベルトランはレジスの前で、エヴァに電話をかけて声を聞かせます。

レジスは、ベルトランが構想するエヴァの話に、更に興味を示した様子でした。

エヴァとの話を戯曲にしていくベルトラン、カロリーヌも気になっており、ベルトランの書きかけの台本を読みますが、基本的な会話のテクニックが使われておらず、平凡な台本に疑問を感じます。

エヴァの事が気になったレジスは、「ジャン・ルイ」と名乗りエヴァの自宅を訪ねます。

招き入れられたレジスですが、エヴァには若い娘と寝たという話だけをして立ち去ります。

その後レジスは危篤状態となり、この世を去ります。

レジスの死にショックを受けたカロリーヌは、ベルトランが滞在している別荘を訪ねます。

しかし、そこにいたのはエヴァでした。

ショックを受けたカロリーヌは、急いでその場を立ち去ります。

別荘に辿り着いたベルトランは、エヴァからカロリーヌが来た事を知らされ、逆上するエヴァを乗せて車でカロリーヌを追います。

ベルトランは、カロリーヌを追いかける途中の道路で事故現場に遭遇、崖から落下したカロリーヌの車を目撃します。

ベルトランはエヴァの鞄を放り投げて、徒歩で帰宅させます。

後日、再びエヴァの自宅を訪ねたベルトラン、エヴァに招き入れられますが、そこへ現れたのはエヴァの夫、ジョルジュでした。

ジョルジュの暴行を受け、入院したベルトラン。

病室を訪ねたエヴァは「二度と私に近付かないで」と、ベルトランの耳元で囁きます。

その後、退院したベルトランは、映画館に入るエヴァとジョルジュを目撃、後を追いかけ、カフェでジョルジュが電話をしている時にエヴァに近付きます。

エヴァは無言で首を横に振り、ベルトランは笑顔を見せて、その場を立ち去ります。

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映画『エヴァ』の感想と評価

(C)2017 MACASSAR PRODUCTIONS – EUROPACORP – ARTE France CINEMA – NJJ ENTERTAINMENT – SCOPE PICTURES
今作はベルトランとエヴァ、二面性を持つ男女の話です。

若手の劇作家、ベルトランが悪女エヴァによって人生を狂わされていく話ですが、作品内でベルトランがどういう人物か?は、ほとんど語られていません。

他人の作品を盗み、劇作家として認められましたが、最初から劇作家を目指していたかも不明です。

作品冒頭、老人の家で高価そうな物を盗んでいる描写があるので、お金に困っていた事は間違いないようです。

また、なかなか次回作が書けない状況で、出資者のレジスに見放されると、破産の危機に直面している状況にも、焦っている様子は描かれていません。

映画終盤、別荘でエヴァとカロリーヌが鉢合わせになったのも、偶然なのか作為的なのか分からず、献身的に自分に尽くしてくれたカロリーヌを、ベルトランがどう思っていたかも分かりません。

ベルトランは、他人の作品で得た名声は長く続かず、いつかは破滅するという事を察していたのかもしれません。

だからこそ謎の多いエヴァに惹かれたのでしょう。

エヴァもベルトランと同じ、他人を欺いて生きているからです。

本作で、唯一ベルトランの素の部分が見える場面があります。

エヴァとレストランで食事をする場面で、お酒の入ったベルトランはエヴァとの自然な会話を楽しみます。

劇作家として評価されて以降、ベルトランの周囲には「新進気鋭の劇作家」として接してくる人間ばかりで、ベルトランは誰にも気が許せなかった、婚約者のカロリーヌでさえ、本当のベルトランを知りません。

そこで出会った娼婦のエヴァに、ベルトランは気を許し、癒しを求め、収監された夫の仮釈放に奔走し疲れていたエヴァも、ベルトランとの幻想の時間を楽しみ、現実を忘れたかったのかもしれません。

人との繋がりや男女の関係は、複雑で微妙なバランスで成り立っており、人は孤独な存在なのかもしれない、そんな事を考えさせられる作品でした。

まとめ


(C)2017 MACASSAR PRODUCTIONS – EUROPACORP – ARTE France CINEMA – NJJ ENTERTAINMENT – SCOPE PICTURES
本作で印象的な場面がもう1つあります。

レジスが“ジャン・ルイ”と名乗り、エヴァの自宅を訪問する場面です。

そこでレジスは「婚約者のいる若い娘と寝た」と語りますが、これはおそらくカロリーヌの事でしょう。

カロリーヌは「レジスと寝たのは嘘」と言っていましたが、これが嘘だった事になります。

つまりエヴァとベルトランだけでなく、カロリーヌとレジスも嘘を吐いていたという事です。

そして、その事をレジスは“ジャン・ルイ”という偽名を名乗り、全く面識の無いエヴァに懺悔します。

大人になり、社会で生きていくには、人は「何者か」を演じ、時には嘘を必要としなければ、人間関係は円滑に回らない部分があります。

そして、その嘘に耐えられなくなった時、ベルトランやレジスはエヴァに救いを求めたのでしょう。

そうなるとエヴァは決して悪女ではないと感じます。

ベルトランを演じたギャスパー・ウリエルは、「『エヴァとは一体何者なのか?』という問いには誰も答えられない。だからこそ魅力的な人物なんだ。」と語っており、観る人によってエヴァの印象は変わるかもしれませんね。

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