Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2023/03/17
Update

『デスパレート・ラン』あらすじ感想と評価考察。ナオミ・ワッツ演じる“強き母”が愛する息子の救出に向かう

  • Writer :
  • 谷川裕美子

シチュエーションスリラー『デスパレート・ラン』は、2023年5月12日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開!

息子の通う高校で起こった事件を、遠く離れた森の中からスマホ1台で解決しようと奮闘する母親の姿がスリリングに描かれる新感覚シチュエーションスリラー『デスパレート・ラン』。

『インポッシブル』(2013)のナオミ・ワッツが息子を守るために奮闘する主人公を演じ、監督を『ソルト』(2010)、『パトリオット・ゲーム』(1992)のフィリップ・ノイスが務めます。

夫を事故で亡くし心に傷を持つ主人公エイミーは、同じく悲しみから立ち直れず学校に行きたがらない高校生の息子を心配していました。ある日ランニング中だった彼女は、高校で立てこもり事件が起き、息子も巻き込まれたことを知ります。

愛する息子を守るために、彼女がとった行動とはどんなものだったのでしょうか。母の強い愛が胸を打つ本作の魅力についてご紹介します。

映画『デスパレート・ラン』の作品情報


(C)2021 LAKEWOOD FILM LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
2023年(アメリカ映画)

【監督】
フィリップ・ノイス

【脚本】
クリストファー・スパーリング

【編集】
リー・ハウゲン

【キャスト】
ナオミ・ワッツ、コルトン・ゴボ、シエラ・マルトビー、クリストファー・マラン、ポール・ペイプ、アンドリュー・チャウン、ジェイソン・クラーク

【作品概要】
高校で起こった立てこもり事件に巻き込まれた息子を、遠く離れた森の中からスマホ1台で解決しようと奮闘する母を描く新感覚ノンストップ・シチュエーションスリラー。最後まで予測不能な展開を見せる一作です。

『インポッシブル』(2013)、『コンティニュー』(2021)のナオミ・ワッツが、息子を守るために奮闘する主人公を演じます。

監督を『ソルト』(2010)、『パトリオット・ゲーム』(1992)のフィリップ・ノイス。脚本を、棺桶に閉じ込められた男が脱出しようとするシチュエーションスリラー『[リミット]』(2010)で高く評価されたクリストファー・スパーリングが務めます。

共演はコルトン・ゴボ、シエラ・マルトビー。

映画『デスパレート・ラン』のあらすじ


(C)2021 LAKEWOOD FILM LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

交通事故により夫に先立たれたエイミーは、癒えぬ寂しさを抱えながらも、自然豊かな町で平穏な生活を取り戻そうと懸命に働いていました。

ある朝、いつものように小学生の娘・エミリーを学校へと送り出しますが、高校生の息子・ノアは学校に行かないと言い、ベッドから出てきません。彼にコーヒーを渡し「夜に家族で映画かディナーに行こう」と言ってから、エイミーはランニングに出かけました。

ランニング中、スピードを出して走るパトカーとすれ違い、不安を抱くエイミー。その後、遠く離れた森の中を走る彼女のもとに「ノアが通う高校で立てこもり事件が発生した」という連絡が入ります。

「家にいたはずのノアが出かけていくのを見た」という、友人の目撃証言を聞いたエイミーは動揺。

町は封鎖されて混乱に陥り、助けも移動手段もない中、エイミーは1台のスマホだけを頼りに愛する息子を救出するために走り続けますが……。

映画『デスパレート・ラン』の感想と評価


(C)2021 LAKEWOOD FILM LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

突然、愛する息子が銃による立てこもり事件に巻き込まれてしまった母が、スマホを頼りに助け出そうと奮闘するさまを描くノンストップスリラー『デスパレート・ラン』。

アメリカで何度も繰り返される学校での銃撃事件。その理不尽さ、銃社会の危うさへの警鐘を鳴らす一作でもあります

主人公のエイミーは一年前に夫を交通事故で突然亡くし、ふたりの子どもたちと共に深い悲しみに向かい合いながら、毎日を過ごしていました。

長男で高校生のノアは反抗的で、学校に行きたがらず、母を困らせています。どうにか彼を殻から引っ張り出したいエイミーは、戻ったら夜に映画に行く相談をしようといってから、ひとりランニングに出ました。

息を飲むような美しい風景の中を走り抜けるエイミー。しかし、彼女の胸は夫を失った悲しみでいっぱいのままでした。

町から離れた森林の中で、ノアの高校で銃による立てこもり事件が起きたことを知ったエイミーは、夫に続いて息子を理不尽な形で失うわけにはいかないという強い信念のもと奮い立ちます。

彼女の頼りは手にしたスマホだけでした。現場から離れた場所で推理し、友人たちの手を借りながら真相に迫ろうとするエイミー。しかし、彼女はいわゆる“安楽椅子探偵”とは異なり、終止走り続けます

家にいたはずのノアが外出するのを見たという友人の証言や、実際に彼の車が学校に駐車されていることが確認されるたびに、エイミーの心はかき乱されます。それでも彼女は、息子の無事を確かめるまでは倒れるわけにはいかないと、いためた足をひぎずりながら走り続けるのでした。

母の強さ、深い悲しみ、恐怖がひしひしと伝わってくるなかで、目まぐるしく展開するストーリーに心揺さぶられます。

恐怖にさらされるエイミーの姿を、暴力的なまでに美しい自然だけが見守っていました。手に汗握るスリリングな状況と、静まり返った紅葉美しい森の対比が見事です。

次から次へとさまざまな恐怖に立ち向かいながら、目的に向かって突き進んでいく勇ある母の姿から目が離せません

まとめ


(C)2021 LAKEWOOD FILM LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

どんな状況下にあっても、我が子を守るためならば、如何なる苦労も厭わない母の強さが浮き彫りになるシチュエーションスリラーです。

画面に登場するのは、数々の賞を受賞してきた演技派女優のナオミ・ワッツただひとり。スマホでの会話以外は全編ほぼひとり芝居で、緊迫感ある物語をけん引します

深い母の愛に泣かされるとともに、銃社会の恐ろしさを改めて思い知らされる作品です。

新感覚のシチュエーションスリラー『デスパレート・ラン』は、2023年5月12日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開です。





関連記事

サスペンス映画

映画『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』ネタバレ感想と評価レビュー。衝撃の事件を犠牲者の側から描く

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で注目を集める、あの事件が映画化された! ハリウッドを震撼させた事件から50年、今再び注目を集めるシャロン・テート殺害事件。 “マンソン・ファミリー”に …

サスペンス映画

映画『バーンアウト』ネタバレ感想とラストまであらすじ。バイクと印象的な結末が魅せるクライムサスペンス

Netflix映画『バーン・アウト』 その身を外気に晒し、命を懸け、より速いスピードを求めるバイクレーサー。 今回は、そんな常に死と隣り合わせなスリル満点の世界に生きる男が闇社会に飲み込まれていく様子 …

サスペンス映画

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書|あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

ベトナム戦争に関する分析を記録した、国防総省の最高機密文書“ペンタゴン・ペーパーズ”。 機密文書の存在を世に発表しようとしたワシントン・ポスト紙のキャサリン・グラハムの姿を、巨匠スティーブンスピルバー …

サスペンス映画

映画『ルイの9番目の人生』あらすじネタバレと感想 。ラスト結末も【エイダン・ロングワースおすすめ作品】

9歳のルイはこれまでに9回も命の危機を迎えました。不遇すぎる運命のその真相に迫ります。 ロングセラー小説「ルイの9番目の命」を原作に、ファンタジックに描かれたサスペンス映画をご紹介します。 CONTE …

サスペンス映画

映画『浜辺の女』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

本日ご紹介する映画は、ジャン・ルノワール監督の『浜辺の女』です。 今年2016年6月から、東京のイメージフォーラムを皮切りに順次全国公開された、リマスター版『ピクニック』も、ルノワール監督作品でしたね …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学