アンディ・ウィアーの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が映像化!
SF作家アンディ・ウィアーの『火星の人』『アルテミス』に次ぐ長編小説の3作目『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。
本作は『火星の人』同様に、宇宙に独り投げ出された主人公が、人類の危機を救うべく奔走するストーリーです。
第53回星雲賞(海外長編部門)を受賞した本作が、『ラ・ラ・ランド』(2016)のライアン・ゴズリング主演で映画化されます。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、2026年3月20日(金)日米同時公開となります。
待ち遠しい映画公開に先駆けて、小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をネタバレありでご紹介します。
CONTENTS
小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の主な登場人物
【ライランド・グレース】
主人公。元科学者で中学の科学教師。
【ロッキー】
宇宙人。グレースと行動を共にする。
【エヴァ・ストラット】
ESA長官。宇宙船《ヘイル・メアリー号》を建造して地球救出作戦を練る。
小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のあらすじとネタバレ

アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(ハヤカワ文庫SF)
真っ白い奇妙な部屋で、男はたった一人で目を覚ましました。
天井から降りて来るロボットアームが看護を行ってくれていたようですが、自分以外にある2つのベッドの『患者』は死亡して、すでにミイラ化しています。
看護されながらずいぶん長く眠っていたようで、男は自分の名前も思い出せません。過去の記憶もなかったのですが、やっと自分のいる場所が地球上ではなく宇宙船の中であることに気づきます。
また徐々に記憶が蘇り、地球が滅亡の危機に瀕していること、自分がライランド・グレースという名前の科学者であること、自身が地球を救うためにここにいることを思い出しました。
【過去の記憶➀】
グレースがいた地球では、科学者たちによって、太陽と金星を結ぶ赤外線の帯・ペトロヴァ・ラインが発見され、その明るさが増加するのに比例して太陽の光度が減少していることも観測されました。
これを放置すると、数十年以内に地球は寒冷化することが予想され、人類は早急な対策を余儀なくされます。
国連はESA長官エヴァ・ストラットをこの問題の解決に任命。問題の発見から1年後、金星に送り込まれた探査機がペトロヴァ・ラインを構成する粒子状物質を採取し、その粒子が自発的に動き回ることが確認され、生命体である可能性が強く示唆されました。
一方、科学者であったグレースは、分子生物学で博士号をとったものの、宇宙生命に関する異端学説を強く唱えたために排斥されました。その後は、持ち前のユーモアと科学への愛情を生かして、中学校の科学教師となっていました。
グレースの学説と問題の粒子生命体の特性が合致することに注目したストラットは、彼に回収されたサンプルの分析を命じます。
グレースは、問題の粒子は単細胞生物であり、熱やあらゆる周波数の電磁波を完全に吸収し、そのエネルギーを再び赤外線として放射することで、ロケットのように宇宙を移動していることを解明し、この生物をアストロファージと命名しました。
グレースはさらに、アストロファージが太陽と金星を往復しながら繁殖していることや、そのメカニズムを突き止めたことをきっかけに、ストラットの率いるヘイル・メアリー計画へと参加することとなったのです。
ストラットたちは、アストロファージが近傍の恒星にも次々に「感染」し、星を暗くしていることを発見していました。そして、太陽系から12光年の位置にあるタウ星のみは感染を免れていることを察知します。
そこでストラットたちは、タウ星が感染に耐性を持つ理由を調査しようと、アストロファージを燃料とする宇宙船《ヘイル・メアリー号》を建造していました。
アストロファージを燃料としたとしても、建造可能な船の大きさや物資の量には厳しい制約があるため、乗組員は到着までの時間を昏睡状態で過ごします。
ですが、アストロファージを生産する時間が足りないため、片道分のアストロファージしか用意が出来ません。
ストラットの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、調査の結果を小型宇宙船ビートルズを使って地球に送り返したのち、燃料がなくなって乗組員は現地で安楽死するしかないという、驚異的な計画でした。
計画は順調に進行し、ヤオ・リー=ジエ船長、エンジニアのオリーシャ・イリュヒナたち3名が乗組員として選ばれました。
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過去の記憶の断片を思い出したグレース。改めて、地球の危機を救う決意を固めます。そして、いよいよタウ星系の調査を行おうとしていると、異星人の宇宙船が接近してきました。
グレースがブリップAと命名したこの船に乗っている異星人は、星図を用いて自分たちの船がエリダニ40からやってきたことを示します。
宇宙船同士を接続し、グレースは相手の異星人とコミュニケーションを進めていきました。
その異星人は、五つの手とも足ともいえるようなものを持つクモのような姿をし、体表が岩のようなゴツゴツとした甲殻で覆われていたため、グレースは彼をロッキーと命名しました。
音を通じて対話が出来るようになり、ロッキーたちの母星も地球と同様アストロファージによる危機に見舞われていることがわかりました。
エンジニアであるロッキーは、物作りにはかなりの才能がありました。問題解決のために、グレースはロッキーとタッグを組むことにします。
小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の感想と評価
本作は、滅亡の危機に瀕した地球の運命を託された中学の科学教師が、宇宙の果てで同じ目的を持つ未知なる生命体と出会い、ともに命を懸けて故郷を救うミッションに挑む姿を描き出します。
宇宙船の中で長い眠りから目覚めたグレース。自分の名前も思い出せないほど記憶を無くしていましたが、次第に過去を思い出してきます。
自分に与えられた使命を思い出した頃、同じように宇宙を漂流する宇宙船を見つけ、同じ目的を持つ異星人ロッキーと出会いました。
物語はロッキーとグレースが自分たちの故郷を救うべく奮闘する現在パートと、グレースが宇宙船に乗り込むまでのことを描いた過去パートとが、交互に綴られています。
なぜグレースがこのようなことになったのか、その経緯を知りたいと思う反面、宇宙空間で知り合った異星人の生活習慣はユニークなもので、交流を深めていく過程もとても興味深くものでした。
自分たちに課せられた使命を全うするため、やらなければならないことをやろうとする人間と異性人。片言の対話を成り立たせて助け合うその姿に、確かな‟他者への思いやり”を感じます。
人類絶滅の危機に見舞われたときに、予想以上の力を発揮できるのは、‟守るべきもの”があればこそ。
戦士でも勇者でもないグレースとロッキーですが、知恵とユーモアと愛を武器に自らの命をかけて使命に挑む姿に胸が熱くなることでしょう。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の見どころ

(C)2025 SONY PICTURES ENTERTAINMENT (JAPAN) INC. ALL RIGHTS RESERVED.
宇宙に独り投げ出された主人公が、同じ運命の仲間と共に人類の危機を救うべく奔走するという、アンディ・ウィアーの同名小説を映画化。
脚本は、アンディ・ウィアーの『火星の人』を原作とした『オデッセイ』(2015)を手がけたドリュー・ゴダードが担当。
監督は、「スパイダーマン」「スパイダーバース」シリーズの製作・脚本などで知られるフィル・ロードとクリストファー・ミラーが務めました。
主人公の元科学者であり中学教師でもあるグレースを、『ラ・ラ・ランド』(2016)のライアン・ゴズリングが演じ、『落下の解剖学』(2024)『関心領域』(2024)のザンドラ・ヒュラーが共演。
見どころは何と言っても、異星人のロッキーとグレースが心を通わせていく過程でしょう。
ロッキーの種族は、地球よりもはるかに温度と気圧の高い星で生きていました。おまけにグレースが酸素なしでは生きていけないように、ロッキーはアンモニアなしでは生きていけないのです。
グレースは、基本的な生態系が全く違うロッキーとの共存方法をひとつひとつ見出し、次第にロッキーとの交流を深めていきます。
ニューキャラクターともいえるロッキーがどのように映像化されているのかが、楽しみの一つです。
また、本作はIMAX上映も決定しています。11.9光年先の宇宙で繰り広げられる壮大なミッションと大迫力の映像スケールを、IMAXだけでしか見られない画角や大画面で体験できるのも、大きな魅力です。
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の作品情報

(C)2025 SONY PICTURES ENTERTAINMENT (JAPAN) INC. ALL RIGHTS RESERVED.
【日本公開】
2026年(アメリカ映画)
【原作】
アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(ハヤカワ文庫SF)
【原題または英題】
Project Hail Mary
【監督】
フィル・ロード、クリストファー・ミラー
【脚本】
ドリュー・ゴダード
【キャスト】
ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー、ライオネル・ボイス、ケン・レオン、ミラーナ・バイントゥルーブ
まとめ
アメリカのSF作家、アンディ・ウィアーの長編小説3作目『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を、ネタバレ有でご紹介しました。
たった一人で広大な宇宙に漂う主人公。次第に思い出す過去の記憶から、自分の使命を悟ります。死を覚悟する主人公の前に頭脳明晰な宇宙人が現れ、2人は固い友情で結ばれていきます。
勇壮かつ心温まるこのSF小説が映画化されます。映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、2026年3月20日(金)日米同時公開。
豪華な顔ぶれのキャスト陣が、胸躍るようなスペースSFを展開してくれるでしょうから、映画の公開が待たれます。

































