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『東京喰種トーキョーグール』ネタバレ!感想と考察も。映画続編は?

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

2017年7月29日より全国公開された漫画家・石田スイの大人気コミック実写化『東京喰種トーキョーグール』。

人肉を食べて生きる喰種(グール)に襲われたことがきっかけで、半喰種になってしまった金木研の葛藤と戦いの序章!

松竹映画渾身のSFホラー・バトルに続編はあるのか?東京喰種パート1(序章)の感想レビューとともに考察します。

1.映画『東京喰種トーキョーグール』の作品情報

【公開】
2017年(日本映画)

【監督】
萩原健太郎

【キャスト】
窪田正考、清水富美加、鈴木伸之、桜田ひより、蒼井優、大泉洋、村井國夫、小笠原海、白石隼也、相田翔子、栁俊太郎、坂東巳之助、佐々木希、浜野謙太、古畑星夏、前野朋哉、ダンカン、岩松了

【作品概要】
「週刊ヤングジャンプ」に連載の漫画家・石田スイによる人気コミックで、すでにアニメ化もされた『東京喰種トーキョーグール』を実写化映画。

『MARS ただ、君を愛してる』の窪田正孝が主人公カネキ、NHK連続テレビ小説『まれ』の清水富美加がヒロインのトーカを演じる。

2.映画『東京喰種トーキョーグール』あらすじ


(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

日常では人間と同じような形態を維持しながら、人間に紛れて東京の街で暮らしている喰種(グール)。

彼らの真の正体は人間を喰らう怪物。水とコーヒー以外で人体に摂取できるのは“人体のみ”という、正体不明の怪物と人間は捕食関係になっていました…。

ある日、読書好きでさえない大学生の金木研(カネキ)は、親友の永近英良とともに、あんてぃくというカフェでコーヒーを飲みながら、怪物喰種の噂話をネタに面白おかしく話しています。

しかし、カネキとその友人のお目当は、そんな噂話や飲食ではなく、そのカフェを何度も訪れる可愛いらしくておしとやかな女性・神代利世(リゼ)に会いに来ることでした。

親友の永近はカネキに今日こそ、おしとやかなリゼをデートに誘うようにけしかけますが、カネキは内気で世間知らずウジウジと煮え切りません。

すると、カフェにいつものようにリゼが来店。カネキは永近のチョッカイから誤って大好きな小説「黒山羊の卵」を落としてしまいます。

しかし、その落とした高槻泉原作の書籍をきっかけに、互いに読書好きなカネキとリゼは急接近。

その後、リゼとのデートを約束したカネキは、オープンカフェでのランチに誘うと、大学生らしくたわいもない会話に花咲をかせています。

やがて、カネキとリゼは夜の公園近くで散歩をしながら、2人の間柄も親近感を増していきます。いつの間にかリゼは、カネキの寄り添うように彼の腕に縋ります。

リゼは内気なカネキとは違い大胆に彼女の方からカネキの胸に飛び込むと、ひとときを楽しむように彼を抱きしめます。

カネキも釣られてリゼの背中に腕を回し抱きしめようとすると、リゼはカネキの左肩を喰い千切ります。

実はリゼの正体は喰種と呼ばれ噂される怪物。しかも仲間の喰種たちからは大食いと呼ばれる女だったのです。

「美味しい!」と口と瞳を真っ赤にしながら叫ぶリゼに怯え逃げ惑うカネキ。

リゼの背中からは赫子と呼ばれる捕食器官が伸びると、カネキに次々に襲われて、「不味くなるから、頑張って死なないで」とカネキを弄ぶかのように生食いをしようと絶体絶命のピンチを迎えます。

しかし、偶然にも工事現場のクレーンで釣られていた鉄鋼の荷物が落下。

事故に巻き込まれリゼは絶命。何を逃れたカネキでしたが喰種に襲われ負傷していたことから意識を失います。

やがて、カネキが意識がもうろうとした中で目を覚ますと、緊急手術を行った医師の嘉納明博が、「すべて上手くいった」とだけ告げます。

その後、退院したカネキは、テレビで放送されたニュース番組での記者会見に登壇して責められる嘉納医師の姿を見かけます。

あの事故でカネキとリゼの2人を病院へ運び込まれた際に、カネキの命を救うため、瀕死状態のリゼから臓器が移植を無断で実行したことが判明。

こうして身体の一部が“半喰種(グール)”となってしまったカネキは、人間としての食事が取れなくなり、唯一の捕食“人体”を食らって生きるかの苦悩と葛藤の日々が始まります…。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『東京喰種トーキョーグール』ネタバレ・結末の記載がございます。『東京喰種トーキョーグール』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
カネキは喰種たちから大食いと呼ばれたリゼの臓器移植をしたことで、自身が喰種化したことで苦悩します。

空腹の欲望があっても人間であった時のような食事を口にすると、その強度の不味さに嘔吐を繰り返します。

また、唯一無二の親友である永近英良との関係も、今の喰種になってしまったカネキとっては、食う人間という捕食対象でしかないのか苦し見ます。

そんなある日、いつものように仲の良い永近は、大学のサークルにカネキを呼び出し、サークルの先輩である西尾錦に紹介します。

しかし、西尾の真実の正体は赫子を持った喰種であり、永近を突如食らおうと尾赫を使い激しく襲いかかります。

カネキは永近を助けるために、真の喰種として覚醒。

あのリゼが持っていたものと同じ赫子が背中から鱗赫として伸びると、西尾以上の力を持って西尾の命を奪い、親友の永近の命を助けます。

それでもカネキは、住む世界観が違ってしまった永近と友人関係を断ち切ることにします。

そしてカネキは、以前から通い詰めていたカフェのあんてぃくで働き始め、そこでアルバイトをしている女子高生の霧嶋董香(トーカ)と出会います。

真の正体が喰種であるトーカは、カネキが人間の時から彼のことを気にかけていた存在。そして、あんてぃくは芳村店長をはじめ、働くアルバイトや出入りする客のすべてが喰種で集まる店であることをカネキは知るのです。

トーカはカネキにぶっきらぼうな態度を取りつつも、少しづつ打ち解けていくと、カネキを助ける存在となっていきました。

カネキもまた、トーカの普通の女子高生のようでありたいと悩みを抱えたトーカを受け入れていきます。

カネキは人間と同じように喰種にも日常の営みがあり、人間と同じよう暮らして守るべき家族や大切な友人がいること知るのです。

愛する気持ちや哀しみ、憎しみといった感情がある喰種の存在を理解していくなかで、カネキは人間と喰種、2つの世界の価値観の中で自分の生き場所を模索していきます。

一方、喰種を駆逐しようとする人間側の組織・CCG(Commission of Counter Ghoul)の捜査官の真戸呉緒と、その部下である亜門鋼太郎が現れます。

真戸と亜門は情報収集や遺品操作から通称20区に巣作ろう喰種を炙り出していきます。

やがて、喰種の親子である母親の笛口リョーコと娘の雛実を操作で追い込んでいく真戸と亜門。

ガード下に喰種の笛口親子を見つけた真戸は、アタッシュケースに忍ばせていた“クインケ”という喰種駆逐専用の生体武器を使用して、母リョーコの命を娘の雛実の前で始末。

カネキもその場にいましたが、雛実を抱えてその場から連れ出し逃すことで手一杯でした。

トーカは雛実が両親ともどもCCGに駆逐されたことが逆鱗となり、真戸たちの戦いに挑んでい区ことを決意。

カネキも自分も戦うことを決めますが、あんてぃくの芳村店長はそれを制します。しかし、カネキは半喰種でもある自分を知るためにもその戦いに身を投じることを決意します。

CCGの真戸は母親リョーコの右手をあのガード下に放置。娘の雛実を誘い出す罠を仕掛けます。

案の定、仕掛けた罠にまんまと寄ってきた雛実を河原へと追い詰めていく真戸。

その河原に突如、雛実の命を救うためにトーカが現れます。

一方でカネキは、 CCGの亜門が真戸の元に向かう乗った乗用車を襲撃して大破。

ビルのロビーに突っ込んだ車からは亜門が出て来ます。カネキは亜門に戦いを挑むが、亜門もアタッシュケースから生体兵器を取り札して応戦。

しかし、カネキも赫子の麟赫は亜門の予想以上な威力で彼を追い込んでいきます。

河原のトーカは喰種の証であるは赫子の羽赫を使って真戸を追い込んでいきますが、真戸はいつもの生体兵器クインケを使い応戦していきます。

やがて、真戸のクインケで追い込まれ負傷していくトーカは、絶体絶命に追い込まれてしまいます。

ビル内のロビーで壮絶に戦うカネキと亜門。カネキは亜門を追い込み馬乗りになり、捕食となった亜門を舌舐めずりしながら喰らおうと、最大の武器である鱗赫で留めを刺そうとします。

しかし、亜門の流した血液の溜まりに映った凶悪な喰種の自身の姿を見て、人間としての我に返ります。

カネキは自身に起きてしまった弄ばれた運命に涙を一滴落とす。その雫が亜門の目に落ちると、カネキは姿を消します。

一方で河原の真戸とトーカたちは、傷つき息絶え絶えとなったトーカに留めを刺そうと、次なる生体兵器をアタッシュケースから取り出した真戸。

すると、なんと真戸が手にしたのは、先に命を奪ったリョーコの甲赫を生体兵器にしたクインケでした。

真戸は2つの武器でこの戦いの幕を引こうとしたのです。

母親の一部が生体兵器にされた事実を見た雛実は、発狂寸前の覚醒。

雛実は玉子の殻を破った雛鳥のように喰種の正体である赫子の甲赫や尾赫を操り、真戸に身体に襲い掛かると彼の腕などを切断。

瀕死の重傷のトーカは、雛実に真戸の留めを刺すように言いますが、雛実は、「これは悪いこと」だと言うと真戸の命を奪うことができません。

トーカは身体を引きづりながらも赫子の羽赫をた買って真戸を絶命させます。

やがて、壮絶な戦いを終えたカネキは、トーカと雛実に合流。戦いで重体となったトーカに優しく手を差し伸べるカネキ。

そこにもう1人の四方蓮示も合流して、彼ら喰種たちは次なるCCGの追っ手が20区にやって来る気配を感じつつ、下水路を去っていく…。

3.『東京喰種トーキョーグール』感想と評価

ヒーロー&ヒロインの配役と演技力に拍手!

窪田正孝:金木研役】

(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

この映画の素晴らしさについて、先ず、挙げるのであれば、窪田正孝と清水富美加の配役の素晴らしさと、演技力に尽きますね。

圧巻なのは主人公・金木研役(カネキ)を演じた窪田正孝のCGIの技術を軽々と超えた豹変する表情と演技力。

映画の前半部分で見せている心に闇を抱えてしまった苦悩さも見事に演じていたが、このような多重人格的な設定を窪田正孝のように豊かな表情で魅せる俳優はそうそういないだろう。

俳優としてはタイプの違うのだが、ジム・キャリーやジェリー・ルイスのように、窪田正孝の表情は“ゴム人間的”な顔のように豹変をしてくれて、圧巻の一言で、実に面白く、見ていて心地よい。

清水富美加:島崎董薫役】

(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

また、ヒロイン役の島崎董薫役(トーカ)を演じた清水富美加の演技も見事だ。彼女の私生活での事務所騒動すら彷彿させる心の闇(孤独さ)を抱えた雰囲気を纏っている。

筆者は無神論者であり、宗教や群れる団体に一切関心はないが、“女優・清水富美加のカリスマ性という品格”を単純に管理しようとして、活かすことの出来なかった(救えなかった)事務所なのだろうと推測をしてしまう。

窪田正孝と清水富美加は、役者としてのカリスマを持った逸材だということは、この作品を見て誰の目にも明らかなのではないでしょうか。

先ずは2人に拍手を送り、続編を観てみたくなる存在です!

4.映画『東京喰種トーキョーグール』深掘り考察:その1


(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

萩原健太郎監督の「目」の演出・「見る」ことの意味は?

萩原健太郎監督は「目」というモチーフや表現について、演出のこだわりを見せた作品なのが『東京喰種トーキョーグール』でしたね。

主人公カネキが半喰種といった設定で見せている瞳の眼の「白」と「赤」の記号はもちろんのこと、萩原監督はこの作品で「見る」ことについて意識を配っていました。

例えば、その一つ、視線が交差する点を例に挙げてみましょう。

物語の冒頭で、親友のカネキと永近は、おしとやかなリゼに憧れながら“見ていた”。リゼは捕食対象として美味そうなカネキを狙い“見ていた”。

また、これらの位置関係を全て理解しながらトーカは、喰種という立場から人間側のカネキに興味を持ち“見ていた”。

視線の交差をさせることで“境”のある人間関係の配置を見せています

また、その意図は「男と女」や「喰種と人間」という“境”を認識をしながら、今作のテーマである「境を交じり合いながら超える」ためにも視線は存在しています。

カネキは「半喰種」として、人間から喰種になってしまったことに苦悩。また、喰種たちからはお前変な匂いなど言われ性別でも「半異性(両具的)」という境に配置した人物像は興味深いですね。

原作漫画は読んではいませんが、この作品の持つモチーフである「カネキという苗字」や「半喰種」という設定から、タブー視されがちな在日問題に焦点を当てたことは事実だと思われます。

日本に住みながら社会参加として税金は納めるものの投票権のない存在や、国籍についてアイデンティティに悩む点はカネキや喰種たちに見られます。

どちらのコミュニティにも属しきれない主人公。また、異なったコミュニティから向こう側のコミュニティを見てみる。

萩原監督は「目」にこだわり、見せようとしたテーマなのでしょう。

【観察、窃視、目撃に見ることに宿る真の意味とは?】

(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

また、そのこと補強しておくのであれば、CCGの真戸や亜門は人間から喰種を観察(見る)こと。

カネキや雛実の未熟な思考が現実を受け入れる際にその場の出来事の目撃者(見る)といったことも随所に見受けられますね。

さらには、萩原監督の「目」の執着は、「リゼの亡霊(幻覚・錯覚)がカネキの瞳を舐めるショット」や「ウタがペロリと目玉を食べるショット」などもあり、一貫した演出を堪能させ楽しませてくれました。

ただ、一点だけ残念な「目」の演出を点を挙げるなら、物語の後半部分に用意されたカネキと亜門の戦闘シーンの締め方です。

人間に留めを刺せないカネキが運命の赤い涙を流し、亜門も恐怖の涙を流す。

あの場面は、「リゼの亡霊がカネキの瞳を舐めるショット」と反復演出であり、対になる構図でもあります。(しかも、左右非対称というヒッチコック監督の『疑惑の影』レベルの抜群な構図)

筆者の少し個人的な変態性なのかもしれませんが、カネキの血の涙は亜門の瞼ではなく、しっかり、瞳の中に入れて欲しかったですね。

それを見せていたとすれば、萩原健太郎監督の「目」の演出は、“擬似接吻”として映画史に残っただけに大きな取り逃がしをしてしまったように思います。

アラン・ドロンのあまりにも有名な“擬似接吻”である、男同士の煙草による表現にも劣らず、優っていたように思うといえば褒めすぎでしょうか。

それでも、萩原監督は「目」にこだわりを見せ、カネキが眼帯をしていたように、ラストで亜門に眼帯をさせていました。

“擬似接吻”は成立しているのですが、やっぱり、生がいいかな。(筆者、変態ですいません・笑)

映画をご覧になったあなたは、最後にエンディング・ロールもしっかりとご覧になりましたか?

この作品のテーマに込められた思いをメッセージにしたものが表現されて描かれていましたね。

「目」が花開くという絵です。

主人公カネキは大学生で社会についてのことなど何も知りません。それらについて本を読むことで知ろうとします。(目からの活字情報の集取)

また、実際には見たことのない喰種の噂話を親友とします。

しかし、やがて、カネキのみならずですが、知らないこと、新たなこと、真実、現実など“見る”ということで変化していきます。

まさに開眼がこの映画の求めたメッセージです。

あなたにとっての“境”とは何ですか?

あなたはこの映画に“何”を目撃しましたか?

5.映画『東京喰種トーキョーグール』深掘り考察:その2

続編に向けて気になるところは?

今作『東京喰種トーキョーグール』は、近々、松竹の制作サイドから続編の発表になることは間違いないでしょう。

現在2017年に上映中の作品では、前半部分がカネキが半喰種になてしまったことからの葛藤が描かれ、後半部分は喰種VS人間による一方的な正義感への疑問視の序章となっています。

聞くところによれば、今作の物語はコミック3巻くらいまでを映画化したそうです。(ちなみ、筆者は原作にあるものは読みません・笑)

さて、ここで映画に登場した続編に向けて、気になる人物や要素をいくつか挙げていきたいと思います。

高槻泉(たかつきせん)

悩みながらも現実に置かれた状況で喰種に覚醒したカネキや雛実が愛読する小説の作者名は高槻泉でしたね。

つまりは悩める者(喰種たち)のバイブルの作者が彼女になります。

映画の中で高槻泉が書いた書籍として登場したのが、「黒山羊の卵」。カネキが映画の冒頭で読んでいた本ですね。

ちょっとそのタイトルにこだわってみましょう。

タイトルにある“卵”についてのヒントは、かつてカネキが母親に難しい本について教えを請うたように、雛実の読んでいたヘルマン・ヘッセの本「デミアン」を解説してあげる下りがありました。

雛鳥(雛実)が卵の中の世界から殻を破るというものでしたね。

きっと、それは“黒山羊”というものにも掛かっていて、続編では閉ざされた世界観の殻を破る存在を予感させているのだと思います。

つまり、続編は「黒山羊」に要注目です。

映画の中にはカネキが高槻作品の書籍を取り上げていた場面がありました。

読書好きの出会いでリゼに同意を求めていたセリフで、「高槻泉の処女作の「拝啓カフカ」も面白いよね」というくだりです。

このことは、フランツ・カフカの著書「変身」に掛けていて、カネキの半喰種へのへ変身を暗示しています。

カフカの小説「変身」の主人公グレゴール・ザムザが朝起きると「虫」に変身しているという物語。

通常「虫」と訳されますが、ドイツ語の原文は「Ungeziefer」であり、鳥や小動物なども含む有害生物全般を指す単語です。

つまり、喰種を連想させて読むことが可能です。

さて、あなたはもうすでにお気づきですよね。

この石田スイという作者はダジャレ大好きなようで、“拝啓”はカフカの書籍「変身」への“返信”な訳です。

他にもカフェのあんていく(アンティーク:安定区)といったものもみられましたね。

言葉遊びや意味を解読するヒントなど、きっと原作コミックにはたくさんあるのでしょうから、深掘りをしたいあなたは読んでみるのはオススメです。

また、想像に容易いので話してしまいますが、喰種たちからも大人気のバイブルを書く、あるいは書くことができる背景を持った高槻泉は、きっと喰種か、半喰種なのでしょうね。

嘉納教授(嘉納明博)


(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

もう1人気になった人物を挙げるとすれば、俳優・岩松了が演じていた嘉納明博です。

わすが2ショットのみの登場にも関わらず、絶対的な存在感は岩松了だから見せられた演技力の存在感です。

物語の冒頭で建築資材の鉄骨落下事故で運ばれた、瀕死のカネキにリゼの臓器を生体肝移植を実行した嘉納総合病院の院長であり、カネキを半喰種に変身させた張本人です。

岩松了のみが持つ、あの含みを浮かべた笑みで「すべて上手くいった」というセリフだけで、彼が告げたのはカネキの容態を心配して述べたものではないのでしょう。

自己賛美で手術が成功したことを告げているのです。

つまり、確信犯的に喰種を生み出しているマッド・サイエンティストということになります。

嘉納教授にどのような背景があるのかは不明ですが、過去にも人体実験を行い半喰種を生産していることは想像がつきます。

もちろん、物語的なことを考えれば、主人公はカネキなのですから、人体実験の成功例は彼が一番なのでしょうね。

父親を早く亡くしたカネキにとっては第二の人生「半喰種」としての父親的な存在がマットサイエンティスト嘉納教授という皮肉も宿命なのでしょう。

また、そんな鍵もカフェあんていく芳村店長が持っているかもしれませんね。

兎にも角にも、続編では嘉納院長にも要注目ですね。

【柳俊太郎が演じた四方蓮示の目指す未来とは?】

(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

また、ほかにも、今回はあまり出番の活躍を見せなかった、柳俊太郎が演じていた四方蓮示に注目など、続編は気になるところです。

あげれば、キリがないのですねー。

ぜひ、松竹には今作『東京喰種トーキョーグール』シリーズには大型の予算を組んでいただきたいですね。

カフカの「変身」も考えてみれば家族の物語とも読めますし、『東京喰種トーキョーグール』は、松竹映画の「伝統であり、十八番の家族テーマ」にピッタリの新しい家族の映画になるはずです。

家族とは何か?

コミュニティとは何か?

現代の人間賛歌とはどうあるべきか?

松竹は『東京喰種トーキョーグール』のシリーズ化に大型予算で活かすことで、東宝の『君の名は。』や『シン・ゴジラ』の次なる映画のステージを見せてほしいと期待を惜しみません!

単に松竹の社風のみでなく、エンターテイメントとしての映画の岐路が見られる『東京喰種トーキョーグール』とその続編に今後も「目」が話せません!

もちろん!松竹なだけに、歌舞伎での『東京喰種トーキョーグール』を展開させてみせることは、早急に検討された方が良いでしょうね。

5.まとめ

今回は実写化された映画『東京喰種トーキョーグール』は世界的に注目される作品です。

正義”と“悪”の二項対立ではない複雑な構造の物語性が面白いというだけでなく、窪田正孝が演じる主人公・金木研(カネキ)というキャラクターも魅力に溢れています。

松竹の問いかけた“新しい家族映画”としても注目です!

舌舐めずりをして人肉を食べて生きる怪物である喰種がはびこる東京を舞台に、半喰種になった主人公・カネキはどうなるのか?

ぜひ、今作と今後のカネキの葛藤と戦いを描いたSFバイオレンスホラーを、ぜひ、お見逃しなく!

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