台湾青春映画の瑞々しい源泉がここに!
台湾ニューシネマの異端児チェン・ユーシュン(陳玉勲)監督の幻の名作『熱帯魚 デジタルリストア版』
『ラブ ゴーゴー デジタルリストア版』が、8月17日(土)より新宿K’scinema他全国順次公開されます。
公開に合わせて、ポスタービジュアルが解禁され、また著名人のコメントも到着しました。
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映画『熱帯魚』『ラブ ゴーゴー』のポスタービジュアル
解禁されたポスタービジュアルには、観客に大きなインパクトを残した、台北のビル街を回遊する巨大な熱帯魚をとらえた『熱帯魚』の場面写真と、恋する乙女・リリーの印象的な『ラブ ゴーゴー』の場面写真がメインに据えられ、ポップでカラフルな印象です。
国内外で高い評価を得ながらも、僅か2作品を残すのみとなったチェン・ユーシュン監督の色褪せない作品世界の魅力が伝わってきます。
映画『熱帯魚』『ラブ ゴーゴー』について
エドワード・ヤン(楊徳昌)、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)やツァイ・ミンリャン(蔡明亮)らの“台湾ニューシネマ”の系譜から、突如出現した新人監督チェン・ユーシュン。
ツァイ・ミンリャンのテレビドラマ『快楽車行』(1989)にスクリプターとして参加し、同年、ドラマ『佳家福』で監督・脚本デビューを果たしたチェン・ユーシュンは、当時台湾で頻発していた誘拐事件をモチーフにして『熱帯魚』の脚本を書き上げ、1992年の全国シナリオコンクールで最優秀賞を受賞します。
そして1995年には映画を完成させ、映画監督デビューを果たしました。
続く『ラブ ゴーゴー』では、個性的なキャストたちが紡ぐ3つの恋模様を描き、ポップでオフビートなリズム感とユーモアとやさしいまなざしが共存した独自の作風を確立し、台湾の若い世代から広い共感と圧倒的な支持を得ました。
いずれの作品も国内外で高い評価を獲得しましたが、この2作品のみを残して、その後チェン・ユーシュンは長い沈黙に入ってしまうのです。
しかしこの度、台湾青春恋愛映画に流れるみずみずしい源泉を巡って、待望のデジタルリマスター化が実現しました。
映画『熱帯魚』の作品情報
【製作】
1997年(台湾映画)
【監督】
チェン・ユーシュン
【キャスト】
リン・ジャーホン、シー・チンルン、リン・チェンシン、ウェン・イン、リェン・ピートン、ファン・メイウェン、ア・ピポー、ロー・ピン、リ・チンメイ、リ・チンメイ、チェン・イファン、ワン・ホイフェン、チェン・チンツァイ、リャン・ティンユァン、チェン・ムーイー、チェン・チーシャー、ファン・シャオファン
【作品概要】
誘拐された受験生の中学生と誘拐犯一家の奇妙な交流を描いたコメディ作品。
監督・脚本は、テレビ畑出身で本作が映画デビューとなるチェン・ユーシュンが務めます。
新人のリン・ジャーホン、テレビの子役であるシー・チンルンの他、『浮草人生』(1996)の監督でもあるリン・チェンシン、本作で95年度金馬奨助演女優賞を受賞した『村と爆弾』(1987)のウェン・イン、『好男好女』(1995)のプロデューサーで『憂鬱な楽園』(1996)にも出演しているリェン・ピートン、『悲情城市』(1989)のヴェテラン女優アピポーなど個性的なキャストが顔をそろえています。
ロカルノ国際映画祭青豹賞、金馬奨の最優秀脚本賞と最優秀助演女優賞受賞作。
映画『熱帯魚』のあらすじ
受験戦争にまったくなじめない夢見がちな台北のボンクラ少年。
そんな少年をなりゆきで誘拐してしまった、超田舎な一家の、これまた一風変わった面々。
誘拐報道がヒートアップする台北がまるで別世界のように、少年は連れ去られた南部の漁村で、白日夢のような不思議な時間を過ごし、そして謎めいた少女と遭遇します。
はたして彼は、無事に(?)台北へ戻り、そして高校受験に間に合うことができるのでしょうか?
映画『ラブ ゴーゴー』の作品情報
【製作】
1998年(台湾映画)
【監督】
チェン・ユーシュン
【キャスト】
タン・ナ、シー・イーナン、リャオ・ホェイチェン、チェン・ジンシン、マー・ニエンシエン、チウ・ショウミン、ホアン・ツジャオ
【作品概要】
台北に住む様々なタイプの人々に訪れる愛の物語がユニークな構成で綴られる野心作。
監督・脚本は『熱帯魚』のチェン・ユーシュンが務め、本作が監督第2作目となります。
『海ほおずき』(1996)のタン・ナ、アイドル歌手のシー・イーナン、テレビ業界でマネージャーをしているリャオ・ホェイチェン、長年映画のスタッフとして活躍していたチェン・ジンシンなどが出演しています。
金馬奨の最優秀助演男優賞と助演女優賞W受賞作。
映画『ラブ ゴーゴー』のあらすじ
ケーキ職人の冴えないアラサー男子のアシェン。
彼のアパートに同居する食欲旺盛なおデブちゃんのリリー。
アシェンが小学生のときの初恋の君リーホァ、セールスには100%向かない内気な痴漢撃退グッズセールスマンのアソン。
どこにでもいそうな、でもどこかヘンな若者たち物語が紡がれていきます。
まとめ
受験戦争真っただ中の少年が誘拐事件に巻き込まれ、連れ去られた南の漁村で、不意に訪れた夏休みのような不思議な時間を体験する、奇跡のデビュー作『熱帯魚』。
都会に生きるごく普通の、いや全く冴えない若者たちの恋の行方をビタースイートに描いた第2作『ラブ ゴーゴー』。
台湾ニューシネマの異端児チェン・ユーシュン監督が残したこの2作品は、その後の台湾映画に強い影響を与え、青春映画の瑞々しい源泉であり続けています。
映画『熱帯魚 デジタルリストア版』『ラブ ゴーゴー デジタルリストア版』は、8月17日(土)より新宿K’scinema他全国順次公開!